1話
あれは、俺が派遣切りにあって寮を追い出され財布の銭も底を尽き、行く当てもなくバック一つで街をフラフラしていた。
寮を追い出されてから二日間は繁華街をブラつき、銭があるうちは夜露を凌いだが、とうとう小銭もなくなった俺は、街頭テレビでホームレスの炊き出しを知り歩き続けた。
炊き出し場所の公園は失業者達で溢れ、新参者を寄せ付けない雰囲気に包まれ、入り口付近で何度も躊躇(ちゅうちょ)したものの、結局、俺は空腹に耐え切れず炊き出しの行列に並んだ。
5分10分と経過し少しずつ受け取り場所に近付くものの、アチコチから割り込みが入りボロボロの作業ジャンパーに身を包んだ中年男性たちの罵声が飛び交う。
ボランテイアのオバサンたちが忙しそうに、罵声を浴びせあう人たちの中に割って入り、その都度ちゃんと並ぶようにと注意すると、一旦は納まるものの次から次から小競り合いが始まる。
そして、いよいよ俺の番が回り受け渡し場所に立った時「はいよぉ♪ この列はこれで終わりだからねぇ♪ あとの人は隣に並んでぇ~♪」と、俺の後ろに向かって目の前のオバサンが声を張り上げ、俺にオニギリとお茶を手渡そうと腕を伸ばした瞬間!「ドスン!」と、突然俺を突き飛ばして誰かが俺の分を奪って逃げた。
俺はその場から横に突き飛ばされ地面に両手を着いて、逃げる相手を追おうと見た瞬間、ボロボロの服とも着物ともつかない物を身に纏った初老の男性が走り去るのが見えた。
そして俺が立ち上がった瞬間「キイィィー! ドカアァーン!」公園から他の場所へ逃げようと道路に飛び出した男は、大型トラックに跳ね飛ばされた。
公園の中の炊き出しは、そんな男を放置し無情にも何事も無かったかのように、行列への手渡しを続けていた…… 列に並ぶ人たちは一途に受け渡し場所を目視し誰一人として事故の場所に目をやるものはいなかった。
交通事故を目撃した俺は、余りのショックでさのまま炊き出しの場所を離れ、公園の隅っこまで移動すると植樹の木を囲む縁石に腰を下ろし項垂れてしまった。
時(とき)は過ぎて太陽が赤々と沈む頃、公園での炊き出しも終わり辺りが薄暗くなり始めた頃、突然横ろから「おいアンタ! 腹減ってんだろ!」と、俺に誰かが声を掛けて来た。
俺が重い頭を上げ横に立つ人を見上げると「飯食わせてやるからついてこい!」と、俺に語りかけた男は、細い声の割りに頑丈そうな身体つきで立っていた。
俺は意味も解からず「ただ飯を食わせてやる」と、言う言葉に無意識に立ち上がると、俺と同じくらいの背丈で170ランチ位の男はサングラスを掛けたていた。
スーツ姿の優男(やさおとこ)風の男は俺に「着いてこい!」と、命令口調で言うと無言で歩き出し、着いて行く俺を確認するわけでもなく、大通りから外れ数分歩いた辺りの古びた商店街へと進むと、肉屋で買い物をし酒屋でビールを買い、衣料品店で何かを買うと荷物を俺に持たせ「着いて来い!」と、俺に命令口調を一言。
男は俺を従え商店街の真ん中から右の枝道に反れ、急な傾斜道を慣れた感じで歩く… 車が2台擦れ違えるほどの道の左側にはブロック塀、右側には傾斜のついた芝生が生い茂り草の甘い匂いが立ち込めていた。
坂道を歩くこと数分で頂上へ辿り着くと、平らになった大きな駐車場の向こうに見える20階建てほどの白いマンションへと男の足は向いていた。
俺は買い物袋を抱え、男の後をついてマンションの中へと入るものの、到底「俺のいる場所ではない」と、素直に思えるほどに豪華な作り高級マンションだった。
品のいい建物はエレベーターの音さえも品良く俺の耳にその音を伝え、何者かわからない男と二人、エレベーターの中で重い空気が漂っていた。
途中、怖くなって何度も逃げ出そうと思っては見たものの、空腹の俺は逃げる体力さえもなく「空腹を満たした後で!」と、ひたすら男に着いてきた。
エレベーターは最上階で止まり、降りて数メートルのところに頑丈そうなドア、男は電子キーを操作すると「カチャッ!」と、ドアは静まり返った辺りに金属音を奏でた。
部屋に入ると、自動で照明が点灯し30畳はあろうかと言う広々したリビングを、大きな窓が「ズラリ」と並び、俺には夜景がそのまま部屋の中に飛び込んでくるように見えていた。
買い物袋を持つ俺に男が「来い!」と、一言呟き移動すると、12畳ほどのキッチンの中にある大きな冷蔵庫の前に立ち「ここに入れて整理してみろ」と、男は冷蔵庫の前から少し横にずれてみせた。
派遣会社の寮に入る前は自炊の経験を持つ俺は、大きな冷蔵庫を開け買って来た食材をいれて見せると男は「ふ~ん」と、俺をチラっと見ると今度は「着いて来い」と、大きな風呂場の横の脱衣場の更に横の洗濯室に入ると「服を脱いで洗濯機に入れろ」と、俺に言い放った。
その一言に俺は内心大慌てした…「何で服なんか!」と、驚いていると男は「裸になったら風呂に入れ!」と、俺に命令し自らも服を脱ぎだし俺は次々に脱いで行く男を見て「おい! ちょっと待てよ! アンタ女だったのかぁ!」と、俺はブラジャー姿になった相手に後退りして声を震わせた。
俺が驚いて相手から目を伏せるように脱衣場を出ようとした時、相手は俺に「女じゃねえーよ 心配すんな! それよりお前、服の上から透けて見えるぜ! パンティーラインとブラの紐がよ!」と、スラックスを脱いだ相手はヘソまで来るパンティーを俺に見られながらも「平然」と、俺が大慌てした理由を指摘してきた。
そして相手は後退りする、俺の前に仁王立ちし「女の裸なんか隠れ女装子のお前にには何の利益にもならんだろ! むしろお前にはこのブラの下の胸と、プルプル震える女の身体が羨ましいってのが本音だろう…」と、次々に俺を見抜く相手だった。
全てを見透かされていたことで観念した俺は、相手の前でスウェットの上下を脱ぐと、白の上下お揃いのブラジャーとパンティー、そしてブラウンのパンティーストッキング姿になって目を閉じた。
相手は俺に「風呂に入るぞ!」と、命令口調で言うと、洗濯室から出て「着いて来い!」と、言わんばかりに足音を立て風呂場へ向かった。
6畳ほどの脱衣場も俺の前で恥ずかしげも無く、ブラジャーを取ると「スルスルッ」と、ベージュのパンティーを脱ぎ「スタスタ」と、風呂場へと入ってしまった。
目の前で豪快に脱いだ相手に圧倒されるように、俺は自らも裸になったものの、いくら女装子と言え目の前の本物の女が脱いだ生パンティーが気にならないはずはなく、以外に「美人」だった相手のパンティーに「そっと」手を伸ばした瞬間、風呂場のドアが開き「パンツの匂いなんぞ後にしな! 先に風呂と飯が先だろ! その後、好きなだけそのパンツ味見しろ!」と、またまた、見透かされた俺は股間を恥ずかしそうに押さえて「お邪魔しま~す」と、虫の声を出して中に入った。
相手(おんな)は、俺に構わず、豪快に男のように湯船から「ザブゥーン! サブゥーン!」と、湯をかき回し手頭から「ザバッ! ザハッ!」と、桶の湯をかぶると俺に「何してる! お前もやらんかい!」と、風呂場の中に声を響かせた。
2畳はあろうかと言う湯船を横に、俺の方を向き大股開いて胸とマンコ丸見えで頭を洗い、身体を洗う相手(おんな)は、男の俺を前に躊躇(ちゅうちょ)することなく洗い終わると「ザブウゥーン!」と、湯を波立たせ豪快に湯船に浸かった。
暫く目を閉じてのんびりしている相手を気にしながら、慌てながら頭と身体を洗う俺に相手は「そんなんで汚れが落ちるか! ドアホ! ちゃんと洗え!」と、突然の激を飛ばし、全身を「ビクゥッン!」と、させた俺は「この女、頭オカシイんだ! 穏便に穏便に!」と、心で自分に言い聞かせ身体を洗い続けた。
湯船から勢い良く出た相手は、俺に「風呂に浸かったら100数えろよ! そして出たらちゃんと無駄毛の処理もしろ! いいな!」と、言いつけると「お尻をプリンプリン」させて出て行った。
俺は相手に言われた通り「1、2、3」と、子供のように100数え、風呂から出ると脇の下やVラインとスネ毛の処理に「セッセ」と、励み風呂を出るとそこには「白の新品のボクサーパンティーと白のタンクトップ」が置かれていた。
辺りをキョロキョロ「自分のは~」と、俺が見回していると突然ドアが「ドンッ!」開いて「お前のは捨てたからな! それから俺のパンツは洗濯したから匂い嗅ぐのは今度にしときな!」と、相手は大きな声で俺に言い放った。
用意されたボクサーパンティーとタンクトップを身に着けた俺は、全てを見透かされている気軽さからか、同じく用意されていたデニムのミニスカートに脚を通して風呂場から出るとリビングへと移動した。
キッチンから換気扇の回る音がして、キッチンへと近付くと「おい! こっちに来い! 飯の支度するぞ!」と、相手は俺を察知したようにキツチンから俺に声かけた。
中に入るとガスコンロの上に大きなステーキが何枚も並べられ「ジュゥー ジュゥー」と、焼けては油の跳ねる音が俺に伝わり「おい! ボヤッとすんな! 客じゃねえんだからよ! 冷蔵庫にビール、それとフォークとナイフはあっちの棚にあるから並べろ!」と、またまた俺に命令口調の相手だが、忙しく動き回る相手に、俺は「了解~♪」と、敬礼し満面の笑みで指示どうりに動き始めた。
ブ厚いステーキとホクホクの御飯と、新鮮な野菜サラダは俺の腹も心も内側からポカポカと温め、解雇されてから久々に満たされた気分でいっぱいだった。
腹の膨れた俺に向かい側に座る彼女は「今夜泊まっていきな!」と、タバコに火を点け俺をチラッと見て「満腹になったかい! フッ♪」と、初めて笑って見せ、俺は彼女に「何でこんなに親切にしてくれるの?」と、思っている疑問を素直に口に出した。
すると彼女は予めナイフで一口大に切ったステーキを、口に放り込み「お前が女装子だからだよ! ただそれだけだ!」と、俺を見据え「ニコッ」と、口元を少し緩め無言になり「彼女が動く度に揺れる豊満な胸」に否応なく目の行く俺。
そんな俺の視線を感じてか、白いテーブルの向こうで彼女は俺に「アンタ、女は経験してんだろ? それとも未経験(どうてい)かい?」と、憚ることなく聞いて来た彼女に、缶ビールを開けながら「女性は知らない…」と、素直に答えると彼女は俺を怪しげな目つきで再び見据え「大丈夫だから心配すんなっつぅーの! あっはははは♪」と、俺をからかう彼女の目からは妖気が漂っていた。
かたことの話しをするだけの彼女は、俺のことは何一つ聞かないばかりか、名前すらも聞こうとせず、また自分の名前すらも口には出さず、俺が不思議に思っていると「疲れたろ! 寝るなら向こうの部屋を使いな」と、手振りして場所を俺に教えると「部屋の中にあるものは何を使ってもいいからね」と、サラダを「バリバリムシャムシヤ」と、耳に心地よい音を出して食べ始めた。
俺は彼女に礼を言うと早速、教えられた部屋へと移動した……
2話
部屋に入ると8畳ほどの客室だろうか、殆ど未使用状態で壁紙の匂いが漂い息苦しさを覚えた俺は、辺りを見回して外気の取り込みスイッチと換気扇のスイッチを探しまわった。
縦長の部屋はホテルのような作りでシャワーとトイレを備え、小さめのキッチンも目につくところだろうか… 窓辺に半分かかるようにセミタブルのベッドが横たわり、ベッドの壁側にスイッチが二つ並んでいて、早速いれてみると高速で回るファンは外気をスムースに取り込み、部屋の真上から微風として新しい空気を漂わせた。
『部屋にあるものは何でも自由に使っていいから』と、言う彼女の言葉を思い出した俺は冷蔵庫を開いてみると、冷えた缶ビールにチーズにハムそしてビーフジャーキーと彼女の男勝りな性格を垣間見た気がした。
そして部屋に入った時、一番先に目に付いたのが木目の縦長の洋服ダンスと何処にでもある2段重ねの洋風の和ダンス…「いったい中に何が?」と、言う疑問は自然に浮かぶところ、俺は彼女の言葉通り躊躇(ちゅうちょ)することなく洋服ダンスを開けてみることにした。
扉を開くとそこにはハンガーに掛けられた無数のドレス、それも色とりどりのロングからミニタイプまで、小引き出しにはアクセサリーがビッシリと並べられ、女性に必要な物が揃っていた。
和ダンスにはパンティーなどの下着類の他にストッキングや、インナー類のキャミにスリツプが綺麗に畳まれ並べられていて、使用感は殆どなく見る限りはどれも新品のようだった。
家着はスカートはロングとミニに分類され、ワンピースもロング丈とミニに分けられて、その中からデニムのミニスカートを取って見ると俺のサイズより少し大きめがだった。
ストッキングは俺のサイズのLTより少し小さめのLLで、ブラジャーはアンダーこそ大して違わないものの、AAサイズの俺に対してAカップと少し大きいことが直ぐに解かったが、衣料品店で俺のサイズを目測でパンティーとタンクトップを買った辺りはさすが女性だろうか。
窓辺に半分掛かったベッドの向かい側の椅子に腰をかけて、厚みのある窓のサンに両肘をつけ頬杖をつく…「あの女(ひと)は一体、何者なんだろう… 何で何処の誰とも知らない男を連れて来たんだろう…」と、睡魔に襲われながら彼女の『お前が女装子だからだよ! ただそれだけだ!』と言う彼女の言葉を思い出していた。
考えても解からぬまま睡魔に襲われ続けた俺は、灯りをしぼると毛布だけを借り床で蹲ってそのまま意識を失った… 最後に考えた「どうせ明日は出て行くんだから」と言う言葉が俺を安心へと導いたことは言うまでもない。
どれほど時間が経過したのか瞼の外に外から差し込む真っ赤な朝焼けを感じてゆっくりと目を開けると、高台にある最上階のこの部屋は燃えるような赤に包まれていた。
前日の久々の風呂と満たされた空腹のお蔭で、グッスリ眠れた俺は赤い色に全身を染めるべく立ち上がり、窓辺にたって赤く燃える太陽に彼女との出会いを心から感謝し「そろそろ暇(いとま)しなきゃな」と、部屋を見回したものの自分の荷物の入ったバックが見当たらず、ここに入った時のことを思い出そうとしたが飛んだ記憶は蘇ることはなかった。
俺は下着姿のまま部屋を出ると足音を忍ばせてリビングへと向かった… バッグが玄関へ続く廊下手前のドアの横にあるのを見つけ「ヒタヒタ」と、裸足の音に「ドキドキ」しながらバッグへ近付くと、慌てる心を抑えバックの横からスウェット上下を拾い出して身に纏うと、そのまま部屋を逃げるように、後ろに聳える高層マンションを振り返ることなく走り続けた。
部屋の中で見えていた真っ赤な朝焼けは、地べたには届かず住む世界の違いを俺にマザマザと伝えていた。 走ること25分、無意識に辿り着いた場所は昨日の夜、彼女に声かけられた公園だった… 逃げるように走った俺の額からは汗が滲み、ベンチに腰を下ろしバックから手拭を出そうとバックを再び開いた俺の手に「ぅん??」と、言う感触が伝わった。
感触を確かめながらバックの中を見た俺に「こ… これはぁー!」と、激震が走った…「こ、こんな物がいつの間に!?」と、俺は自らの目を手で擦って再び中を見入ったが中の100万円の束二つは消えることはなかった。
そして、メモが入っていた…「これだけあれば当分は暮らせるだろ、楽しかったぞ」と、言う彼女からのメッセージは俺に自分の愚かさを気付かせた。
「ありがとう」の一言も言わずに、黙って逃げ出した俺に「恥ずかしい…」と、心の底から思わせた… そして俺はこの金を「返さなきゃ!」と、俺をベンチから奮い立たせるものの「これだけあれば仕事を探せる…」と、思い止まらせ何度もベンチに座ったり立ち上がったりを繰り返した俺は、ようやく俺を照らした朝日に顔を向け「返さなきゃ! 受け取れない!」と、俺は走った! 来た道を只管走った! 返さなきゃ! 彼女のマンションの前に立った俺は彼女のいる部屋を見上げ「よしっ!」と、自分に気合を入れた。
そして玄関の前に立った俺はあることに気付いた…「はいれない… 入る術(すべ)を知らない…」と、俺をその場に立ち尽くさせた瞬間「ウイィィーン カタカタカタ…」と、勝手に玄関が開き、俺は何故か咄嗟に真横の植え込みに身を伏せ、中の様子を覗ってしまった。
中から誰も出てくる様子なく、何度か入り口が閉じようとするものの再び開くを繰り返したその時、俺は「ダダダダアァァー!」と、何故か腰を屈め辺りを見回し一気に駆け込んだ! そして音楽ホールのような巨大な広間をエレベーターに向かい突進し胸をドキドキさせてボタンを何度も押した。
彼女の部屋へ辿り着きチャイムを鳴らそうとした時「ガチャッン!」と、重圧なドアキーの音が響き俺を驚かせた…… 息を飲んでドアを開け中に入ると「朝飯出来てるぞぉー!」と、大声が中から聞こえた… ダイニングにいる彼女の元へそのまま移動し「黙って… 黙って出たこと御詫びします!」と、キッチンに立つ彼女の横顔をチラリと見た俺が深々と頭を下げた。
そんな俺に彼女は「何で戻って来た?」と、俺と顔を合わせることなく小声で聞き返し、俺はバックから金を取り出し「こんな大金、受け取れません! 受け取るいわれはありません… お返しします! 俺の… いや… 僕の一年分の年収に近い金額なんて…」と、声を震わせた。
すると彼女はキッチンから離れ、テーブルにサラダの盛り合わせを置くと俺に「お前の一年分なのか?」と、落ち着いた口調で聞きながら席に着くと「朝飯くらい食え」と、俺のカップに紅茶を注ぎ始めた。
俺は妙に落ち着いている彼女に若干の苛立ちを覚え「アンタさぁ! おかしいんじゅないのか! そりゃー こんな家に住んでいるアンタにしてみりゃー200万なんてハシタ金だろうけど、何処の誰とも知らん男を連れてきて、そりゃー感謝してるけど… それにしたって!」と、落ち着いてテーブルに着く彼女に言い放った。
彼女は俺を見ることなく「用意できたから… 食えよ!」と、まるで俺の話しを聞く耳もたずと言う態度でティーカツプに口をつけ「お前にその金やるよ、今日から住み込みで家政婦として働け! それならお前の安ぽい自尊心も傷つかんだろ…」と、初めて俺の顔を見て「ニコ」と、微笑んでみせた。
腹立たしいほどの彼女の言動だったが、彼女の目に悪意は感じられず俺は口をへの字にしながらも彼女の真向かいの席に座り「とにかくこれは返します…」と、二つの札束を彼女の方へ押すと「ここは食卓だぞ! そんなもの置くな!」と、俯き加減の上目遣いで俺を「チラッ」と、見て彼女は威嚇し「また、あの炊き出しに戻るのか? 寝るところはあるのか? お前みたいな女装子なんぞ何処も使わんだろ! お前が精精出来るのは何処かの工場の中で流れ作業に就くくらいだろうが、こんな不景気にそれもムリだろうよ!」と、顔を上げて俺の目を見据えた。
そんな彼女の言葉に怒り爆発の俺だったが、彼女に何一つ言い返すことの出来ない自分自身がとてつもなく惨めに思えた俺は、遂に「うぅぅぅ…」と、テーブルの前に置いた両手に拳を握り泣き出すと、彼女は「女装子の上に泣き虫かい! フッ…」と、一瞬笑みを浮かべ俺を追い詰めるように「私はさぁー お前みたいな女々しい女装子が大好きなんだよ♪ 可愛いねぇ~ その泣き顔~♪」と、俺をコバカにした態度をとった。
いつまでも「メソメソ」している俺に業を煮やしたのか突然、席を立った彼女は俺に近づくと「お前、可愛いな今日から住み込みの家政婦だ、家政婦なんだからそんな男の格好はダメだからな!」と、俺の頭に細長い指を絡め撫でまわし俺の涙を別の手で拭き取った。
結局、行く当ての無い俺は彼女の言う通り我が身をここに置くことにした……
そしてこの物語はようやく本文へと進むことになる。
3話
彼女に家政婦として雇われた俺は、衣食住をただにしてもらい一年間継続した場合に限り、200万円を貰う約束を俺側から申し出て成立したものの、ベテラン女装子の俺だったがさすがに24時間(フルタイム)での女装は辛いものがあった。
俺の仕事は、朝晩の食事と掃除と洗濯と言った日常生活の賄いがメインでだが、彼女からの条件の一つである家政婦は女であるから、男の姿は捨ててもらうと言うもので俺の荷物である男用の衣類は全て捨てられてしまった。
以前の勤め先である派遣労働者の時は、寮の自室から工場の仕事と帰宅までは男姿、もちろん下着もだが仕事を終え翌朝までが女装(おんな)としての生活、フルタイムは精精、土日の休日の時だけで、それも外出する時は下着だけ、室内は女装(おんな)と、忙しいながらも男に戻れることもあったが、家政婦として雇われて三日目の俺はそろそろ辛くなって来ていた。
昼間も彼女の居ない時、何度か男に戻ろうとも考えたものの「約束」と言う文字は俺にとってはとても重く、彼女の目を盗んで「コソコソ」と言うのは俺としては抵抗があって、男に数時間でいいから戻りたいと言う葛藤(かっとう)に苛まれていた。
フルタイムで女になっていると言うことは、朝目覚めてから日中を過ぎ夕方も就寝時も、そして翌朝目覚めるまでも延々となのだが「股間」が辛い… 俺たちが女になるときはペニスを縦にし、玉袋を下から上に持ち上げペニスの上に半分ほど覆いかぶせるようにしてから、パンティーを着け、そしてその上からパンティーストッキングを履くから、最初はそうでもないが徐々に玉袋への圧迫が生じ同時に激しい「蒸れ」に襲われる。
誰も居ないときはスカートを捲くり上げ、パンストとパンティーを降ろして蒸れでかいた汗を拭きとり「カリカリカリ」と、痒いところを掻いてと言う具合なんだが、彼女から着けるように言われた「カツラ」と、一日かけて教え込まれた化粧のせいで、俺は年中、女装(おんな)の姿なのだ。
ゴミ出しも買い物も全て、女装(おんな)として過ごすから、当然暑さでスカートの中はムレムレ状態に、そんな時に限って「サービス品ですから♪ どうぞお持ち下さい♪」と、彼女に教えられた店から俺に手渡される「ティッシュの5箱」考えて買い物をしている俺の両手を塞ぎ、人知れずスカートの上から股間を掻くと言う行動も制限され、痒さに耐えるマンションまでの15分。
痒くて痒くて、下半身を「モゾモゾ」させて歩き、誰かの視線を感じて後ろを振り返ると、俺の歩き方が後ろの男性を誘って見えたのか、男性は鼻の下を伸ばして俺の腰に見入り「ハッ!」として周囲を見回すと「ニヤニヤ」したスーツ姿のオジサンたち数人が、俺の「ヌーブラ」の入った胸に視線を釘付けにしていた。
クリーム色の半袖ワンピースの裾が風に靡いて、下から俺の股間を涼ませるものの両手の荷物は重く脇の下に汗が滲み、ブラジャーの下の「ヌーブラ」と肌の間の隙間に汗を感じ、少しずつ剥がれて来るヌーブラを気遣いながら足を止める訳にも行かず「只管」歩き続ける。
マンションに辿り着く頃には「ヌーブラ」は完全に肌から離れブラジャーの中の異物と化し、股間は蒸れた蒸気で掻き毟りたいほどに痒く、ドアを閉めた瞬間、ワンピースは俺の両手に依って「ヒラヒラ」と、宙を舞い膝まで一気に下ろされたパンティーとパンティーストッキングは汗で「グッショリ」濡れ乾いていた膝に不快な湿気を感じさせた。
股間(ふくろ)は汗まみれで「ヌルヌル」し、捲り上げた裾の下に見えるパンティーのクロッチには、肛門からの「ウン筋」は真っ直ぐ伸び、まるで本物の女のよな色が滲んでいた。
両手に荷物を持ち、膝まで下ろした状態で長い室内廊下を歩き、再び荷物を降ろしてトイレへ駆け込むと膝まで下ろした物を脱ぎ捨て、ウォシュレットを冷水に切り替え玉袋を下に押し付け、打ち付ける冷水で玉袋を冷やす至福の一時(ひととき)。
蒸れたパンティーとパンストは洗濯籠の中に…「一日2度の着替え」も「ホンの数分」だが男に戻れる至福の一時(ひととき)、次はどの「パンティー」履こうかと、中々楽しい下着選び。
家政婦になって二日目に彼女と一緒に出かけた衣料品店の下着コーナー… 楽しそうに下着を選び、一人買い物籠に入れる子供に、冷静な視線を送る母親のような彼女は一度も「笑み」を浮かべることなく一日を終えたのは記憶に新しい。
俺の部屋の箪笥の中身は全て処分され、彼女が買ってくれたものと総入れ替えしたが「あの服と下着は誰の物?」と、言う疑問には彼女は答えてくれそうにはなく、俺の心の中に留めておくことした。
洗濯物は彼女の物と俺の物は別々に籠にため別々に洗う… 彼女は一緒でも構わないと言ったが俺が勝手にやっているだけのことなのだが、洗濯している時も彼女は「ポンポン」と、汚れた下着を恥らうことなく、俺の目の前で籠に平気で入れていく…「一体この人はどういう人なんだろう?」と、疑問だらけだが「互いに何も聞かない」と、言う彼女の条件通り俺は何も聞かない。
ただ、俺が洗濯室にいるのに時折、彼女は「面倒」だと言わんばかりにスラックスを脱ぐと、俺の横で無表情でパンティーを脱ぎ「ポン」と、籠のナスに放り投げることもあって、そんな時の俺は目のやり場に困り果ててしまうことも。
美人でグラマーな彼女が一日中履き続け、俺の目の前で脱いだ「脱ぎたて」の使用済みパンティーに目が行かないはずはなく、例え女装子(おんな)の俺でも彼女の「匂いと味」は興味を引くところだが、そんな俺を彼女はどう見ているのか気にならない訳もなく、俺は平静を装い興味なんか無いよと言う態度でモクモクと家事をこなす。
食事は彼女が選んでくれた比較的簡単な物のレシピを渡され、奮闘するものの彼女からの「失敗しても恐れるな! 失敗し続けても成功に意義がある!」と、体育会系の男のような格言を信じて練習に練習を重ね、数品目は合格ラインに達したような感じがある。
彼女と暮らしてそろそろ一週間と言う頃、リビングのソファに座っている俺に彼女が「これを読んで勉強しろ!」と、手渡したた一冊の本を見ると、煤けた年代物で表紙には「女性の美しさ」と言う大きな文字… 俺が「これは?」と、聞くと彼女は「読んで本物の女を目指せ! 下着や服だけ着てたらただの変態だ、中身にこそ女があると言うもんだ!」と、自室へと姿を消した。
彼女から渡された古びた一冊の本の中は、活字と簡単な挿絵の昭和○○年と裏に記された書き方や表現から言っても、男尊女卑の時代の物であることが解かったが「何でこんなものを彼女が?」と、言う新たな疑問が俺の中に生まれた。
女子は三つ指付いて男子を迎えるべし… 女子は男子より三歩下がって歩むべし… 男子が女子を所望(あい)する時、女子は目を瞑りて身を委ねるべし… 何百もある古めかしい項目は俺を爆笑させると同時に、今の時代には無い男の女に対する願望が秘められた一冊の本のように思えた。
俺が本に見入ること1時間ほどした頃だった…「おい! マッサージ頼むわ!」と、彼女の声に顔を向けると弾力のある彼女の太ももが俺の目の前を横切った。
薄青のトレーニングパンツから出た二本の太ももは「プルプル」と、女を感じさせるような揺れと適度な弾力を俺に印象付け、見上げれば「キュッ」と、括れたウエストの線上に歩く都度(たび)に揺れ零れそうな豊満な胸が俺の視線を奪った。
男なら誰でも覗いてみたいランニングの下だろうが、俺は初めて彼女と会った日から毎晩のように風呂を共にしている所為か、彼女を「嫌らしい男の目」で、見ることは殆どない。
彼女と交代するようにソファーから降りて立っている俺の目の前で彼女は、無表情でソファーにうつ伏せになるとクッションに顔を横に埋め両手をクッションの下にクロスさせた。
うつ伏せになった彼女の豊満な胸は、彼女の身体から真横に溢れるように流れた… ソファーの上で丁度いい場所を探すように微動する彼女の全身は「出来立てのゼリー」のように「プルプル」と、震動し「男ならこのまま彼女を…」と言う気持ちになるほど彼女は美しかった。
俺の手は彼女の足首を捕らえ、彼女に教えられるままに、指を柔らかな彼女の肌に食い込ませ「気持ちいい…」と、ばかりに時折聞こえる彼女の「ヨガリ声」にも似た「唸り声」に「ドキドキ」と俺の胸は高鳴り、手が彼女の「フクラハギ」そして「太もも」へと到着する頃、俺は俺の中から大量に溢れる恥ずかしい液体がパンティーを濡らしていることに気付いた。
俺の両手の指は彼女の柔らかい肉肌に埋まるように溶け込み、彼女の肉肌の中で指を漂わせ彼女の「ヨガリ声」にも似た「唸り声」に導かれるように彷徨った。
彼女の柔肌の中を漂う俺の両方の指は、彼女の「あぁ…」と言う声に安堵し「ぅあっ!」と言う彼女の声に俺の胸の中は「ドキッ!」と高鳴り、彼女の無意識な「あん…」と言う声に、俺は男にそして女にと交互に意識変化を何度も起こしていた。
俺の指は彼女に導かれるように彼女のトレパンの中に進入し、彼女は無意識だろうか柔らかい下半身を徐々に開き始め、俺の指が陰部の縁に食い込むたびに「ああぅ」と、全身を微動させ、狭い場所で否応無くクロッチ越しに触れる俺の手に「ああああぅ…」と、上半身を仰け反らせては深い吐息を繰り返した。
うつ伏せの彼女のトレパンは、マッサージする俺の両手首で上に捲れ上がり、彼女を覆う白い無地のパンティーは丸見えになりクロッチが「濡れて」いるのが俺の男心と女心を最大限に押し上げた。
ヒップの肉肌を両手で押し広げ、親指で彼女の肛門の縁に少しずつ指を食い込ませ、徐々に力を入れると彼女は「ぅぅん!」と、尻を左右に微動させ「クイッ!」と、親指の先に力を加えると「あひっ」と、彼女は「プルプル」と、下半身を振るわせた。
彼女のパンティーは次第に「グショグショ」に変化を遂げ、トレパンの裾から入る部屋の灯りに、上から下へ割れる筋を俺の目に伝え俺はいつしか「触りたい… 彼女に触れて見たい…」と言う気持ちを俺に増大させた。
彼女に触れて見たいと思った瞬間から俺の両方の指は小刻みに震えていた…… 俺がそのことに気付いた瞬間「ぅあっ! ぅあっ!」と、震える指に反応しながら後ろにいる俺に「触りたいなら… ぅあっ! 触りたいなら… ああああぅ… 触りなさい! アンタも所詮は男… あん… 触りたいんでしょう… ぅあっ!」と、俺にヨガリ声を出しながら声と身体を震わせ話しかけてきた。
俺はそんな彼女に「触れたい! 触りたい! 舐めたい! 匂いを嗅ぎたい!」と、言う心の叫びを「ぐぐっ!」と、堪えて無言で彼女のマッサージを続けると「あひっ」と、彼女は仰け反って髪を振り乱し「ああああぅ…!」と、クッションを右手が鷲掴みにした… 俺の両手の親指は彼女のパンティーのクロッチ部分の「スレスレ」を上下に優しく摩っていた。
彼女の愛液はパンティーから滲みでるほどに中で溢れ、マッサージを続ける俺の両指に彼女の温もりが絡みつく… ヌルヌルと部屋の灯りを照り返す俺の指に絡んだ彼女の愛液… 彼女のパンティーは洗濯したてのように白い色を変色させていた。
そして彼女はクッションに顔を埋め、耳を澄ましていなければ聞こえないような小さな声で「いぃ、いぃ、いくっ、いぅくぅ…」と、全身を硬直させ両足を「ピンッ!」と、伸ばしたかと思うと全身を小刻みに震わせ「ピタリ」と、動かなくなってしまった。
彼女のパンティーから滲んだ愛液は、トレパンの前側に滴り落ち溶け落ちたゼリーのように部屋の灯りを照り返していた。
俺はクッションに顔を埋めたまま動かなくなった彼女の頭に、そっと口付けをしてその場を去った………
4話
彼女の家に住み込み家政婦として働くようになって二週間が過ぎようとしていた… 相変わらず俺は彼女の名前も仕事すら何も知らされずに居たが、ただ彼女の俺に対する接し方が「あの日」以来、変わった気がしている。
『いぃ、いぃ、いくっ、いぅくぅ…』と、クッションの中に聞こえた彼女の女の肉声は俺の耳に今も記憶に新しく、硬直して両足を「ピンッ」と、伸ばした彼女の光景が俺の脳の大半を占めているように思える。
生身の女性の「イク」瞬間は彼女から溢れた愛液の量とは真逆に、とても静かに、そして可愛らしく傍に居た俺すらも、心の中の彼女に対する「男の嫌らしさ」を瞬時に打ち消されてしまっていたのを記憶している。
指先に残る彼女の愛液の感触は、俺を彼女の留守中の自慰へと導き女装(おんな)としての俺に淫らな体位をさせ、恥ずかしいヨガリ声を出させては「俺」と「彼女」を重ね合わせる。
ワンピースの襟元のボタンを全て外し、スリップとブラジャーの肩紐を引き降ろし、腰まで捲くり上げられたワンピースの裾から手をいれ、ストッキング越しに肌に触れるか触れないかで太ももに手を滑らる。
くすぐったさと平行して心地よい感覚が生まれ、やがて心地よい感覚はくすぐったさを飲み込んで触れられる快感に変わった時、俺に「あぁ…」と、微かに女の声を奏でさせ、目を閉じて這わした手の中指を肌の上に円を描きながら無心になって滑らせれば「ああああぅ…」と、無意識に全身を仰け反らせる。
ストッキングに密着したパンティーの前側に湿り気を感じながらも、スカートの中をストッキング越しに指は静かに滑り、襟元の胸の中では「乳首」に絡めた指を回しながら指の腹で乳首を回すと次第に感触は「コリコリ」と、快感に勃起したことを俺の脳に伝える。
僅かな胸の肉を手の平で優しく柔らかに滑らせながら、無意識に乳首に当たる指の感覚に「ビクウゥッン!」と、全身をビクつかせ、衝撃で思いも依らない箇所に下半身の指が当たり俺に「あひっ」と、身体をくねらせる。
ストッキングに覆われたパンティーの前側は、ホンの少しだけ硬くなり生暖かい液体がパンティーの生地に滲む… 両胸の乳首は「ピンッ」と、立ち頬に熱を帯びる頃、両手は一気に下半身に攻め入る… 仰向けの下半身から一気にパンティーとストッキングを膝まで降ろし両足を開いて正常位へ… 開かれた両足の茂みの下に隠れる体液で濡れたペニスの先を右手の平で回し、左手の平で誰かに触れられていることを想像しながら太ももを滑らせる。
少しだけ大きくなったペニスから溢れる愛液は、手の平に「ヌルヌル」と、滑りながら陰毛に絡み付き全体に「ヌルヌル」した感覚をもたらし、手の平をペニスの先端に集中させると、突然「あひっ」と、驚いたように俺を仰け反らせる。
徐々に硬くなり始めたペニスから溢れた愛液は次第に粘度を増し、手の平に張り付き指と指の間に接着剤のように絡み付く…… 乳首を転がす指は中指に親指も加わり、先端のみならず乳首を乳輪ごと摘まみ軽く搾るように肌から先っぽへと移動させると、閉じた瞼の中に七色が鮮やかな色彩を放ち「ああああぅ…」と、俺に一際大きな鳴き声を放たさる。
「あひっ」「あん…」「あっ、あっ」「ぅあっ!」「ぅぅん!」と、数え切れないほどの喘ぎ声と同時に身悶えを繰り返し「硬くなったペニス」を上下に「シュッシユッ」と扱き「乳首を左右交互に」搾っては先っぽへ移動させると頭の中は真っ白になり、自分の身体に何をしているのか解からない幻覚に襲われ、自分の身体と「彼女」の身体が入れ替わる。
女装子(おんな)のオナニーは敏感なペニスと、鈍いながらも広がるような快感に満ちた乳首を使い、更に男と女の感覚を同時にフルに使った究極のオナニーいえるかも知れない。
時には「レイプ」される「シーン」を脳裏で構築し荒々しい両手が服を引き裂き、激しくパンティーを剥ぎ取り、時には優しい彼に入念にタッチされる… 一つの身体の中に男と女を宿すのが女装子(おんな)であろうか。
普通の女装マニアなら、自慰(セックス)の後は男に戻り、そそくさと女装から男装へと早変わるするが、女装子(おんな)は女であるが故に終わった後は、男か女に抱かれた余韻に浸り時間を過ごす… そしてまた女装子(おんな)になるべく着替えをする。
時に自慰(セックス)での男は、俺を正常位から攻め最後は俺の顔めがけて熱い精液を放つこともある… 女装子(おんな)には目を閉じていても確かに荒々しい男の吐息が聞こえ、荒々しく俺の肌を飢えた獣のように貪る舌の感触すらも… 獣は俺に散々恥ずかしい格好をさせては歓喜の遠吠えを上げる… 獣の放った熱い精液は俺の顔に当たり閉じられた瞼に体温を伝えると、鼻と唇に生臭い精液が流れ落ちる。
自慰(レイプ)を終えた俺は、目を閉じ辱めに打ちひしがれ獣が立ち去るのを唇を震わせジッと待つ… 眉毛に絡みついた獣の精液は瞼へと流れ落ち、息するたびに精液の刺激臭は鼻から入り咽させ、上下の唇の間に溜まった精液は俺が微動する度に左右に揺れ動く。
夢から覚めた女装子(おんな)は、身体を静止させタオルを取ると顔に掛かった獣の精液を拭い取り、無言で後片付けをするとシャワーで獣に汚された身体を洗い流し、獣に触れられた衣類は洗濯機ほ放り込まれる。
2時間にも及ぶ女装子(おんな)の自慰(セックス)はこうして幕を下ろし、日常の家事へと戻るものの、一つ気がかりなことがある… それは彼女のところに時折掛かってくる電話だった。
彼女の電話でも対応は女ではなく言葉使いから会話中の仕草も、正に「男」を思わせ俺に「オナベ」を想像させる…… 仕事に出かけるのは毎朝決まって9時、帰宅は決まっていないが夜の8時か9時、更に休みも不定期で土日であったり平日であったりとマチマチで、仕事には決まってパンツスーツで出かける。
家に居る時の彼女はスカートは履かず、ショーパンかトレパンにランニングシャツと言う男とも女とも付かない「ラフ」なスタイルだ。
化粧は薄化粧で鼻に付かない程度の香水を使い、ハンドバックを持ち立った姿はエリートOLか女実業家と言った感じだろうか、とにかくカッコいい。
毎朝、決まった時間に起きては台所で朝食の用意をする俺に「あれ以来おはよう♪」と、感じよく声掛けてはベランダから外に出て、朝日の方向に立つこと30分、そんな彼女が洗顔して歯を磨きと普通の人と変わらない朝の時間帯を過ごし「食事の用意できました♪」と、リビングのソファーにいる彼女に声掛けた時だった。
何か考え事していた風な彼女が突然俺の方を向いて「あっ♪ ○○♪」と、俺の知らない女の名前を口に出し「ハッ!」としたように、俺と目を合わせることなく彼女は慌てるようにダイニングへ向かった。
そしてその日、出掛けに俺に初めて名前を尋ねた彼女の眼差しは真剣だった………
5話
冷蔵庫の中に見慣れない薬のような物を見つけた…「何だろう… これ…?」10センチほど小さな箱を手に取って見るものの、医学用語ばかりで何の薬か解からないまま冷蔵庫の扉を閉めた。
朝食の準備で見つけた詳細のわからない薬をそのままに彼女が起きてくるのを待つ… いつものようにキッチンにいる俺に「おはよう♪」と、声掛けてベランダに向かう彼女を真っ赤な朝焼けが包み込む。
朝焼けに染まるリビングでソファーに座り新聞に目を通し捲る音と、テレビの天気予報の音が重なり俺の頭に幼少期の実家の一こまが思い出された。
新聞に目を通し1枚ずつ捲る親父は無言で、見ていないテレビの天気予報の音だけを聞き、そこへ母親が御茶を持って来る… テーブルの定位置に置かれた御茶を見ることなくもそっと伸ばした親父の手は湯飲み茶碗を迷うことなく掴む。
親父は仕事のことは何も語らず、ただ朝出かけ夜になると戻るを繰り返していたし、母親の料理を口に出して褒めることはなかったが、酒コップを持ちながら小さな笑みを浮かべていた… そんな親父を見て母親もまた何も語らず小さな笑みを浮かべていた。
妻とは何か、夫とは何か子供ながらに解かるような気がしていた俺の子供時代…… それと似ている目の前の光景… この光景に不足している物といえば彼女の全てを理解出来る「妻」の存在だろうか。
形こそ違いはあるが事実、彼女は俺を養い、俺は彼女に家政婦と言う位置づけながらも尽くしている… しかも俺は彼女を怖いと思いながらも好きになっているし、時には「愛」をも感じることがある。
朝食はいつも二人で摂るというのが彼女と交わした約束、今朝も昨日と何も変わらない二人の朝食は静かに進みそして終わりを迎える。
いつも通りの時間が過ぎ、彼女は化粧と着替えのために席を立ち、俺は後片付けのためキッチンの前で慣れた手つきで洗い物をしている。
後片付けもそろそろ終わりに近付いた頃、彼女はパンツスーツ姿でキッチンの前に立つ俺に「ちょっといいかしら」と、真横から話しかけてきて、振り向いた俺に「これ、今日から飲んで見て♪」と、さっき俺が冷蔵庫で見つけた薬を見せた。
そんな彼女に俺が「それ何…?」と、不安げな表情をすると、彼女は俺に「女性ホルモン剤よ…」と、落ち着いた表情を見せ、更に「少しずつ女に生まれ変われる薬だから…」と、俺の目を見て使い方を教えると「ネットで調べてごらん」と、言い残し彼女はそのまま仕事へと出かけた。
女に生まれ変われる薬と渡された物を、彼女が買ってくれたパソコンでネット検索してみると、その詳細がアチコチに閲覧することが出来た… 個人差はあるものの胸が出て体毛が抜け落ち男の身体は徐々に女性化する反面、人によっては副作用で頭痛や吐き気に悩まされることもあるらしい。
長く飲み続けると睾丸とペニスの萎縮が始まり「精子の消滅」もあり得ると言う記述の他に「体験談」がズラリと並び俺の目を釘付けにした。
睾丸とペニスの萎縮に依って今まで蒸れて痒かったのが解消された上、以前よりスッキリとパンティーを着けられるなどの記述の他、精子を失って後悔した記述が山のように並んでいた。
その中でも一番、俺の目に付いたりは「豊胸」の項目だった… ただでさえ子供の頃から敏感な乳首を持っていた俺は「少しでいいから胸が欲しい」と言う願望もあったことで、記事に食い入るように読み耽った。
性転換も視野に入れて来た俺の人生で、もしかしたら「キッカケ」になるかもと言う淡い光が見えたような気がしていた…… 閲覧するほどに期待と不安が平行したが、これほど自分の「性」を考えることは今まで無かったことに気付いた俺だった。
ソファーに座りAカップになった自分を想像し「プルプル」揺れる全身を想像し「ドンドン」今の現実から離れ喜びに浸って行った… インターネットは俺に様々な情報を教えてくれた。
レーザー治療で口ヒゲも除去出来、筋肉の目立つ箇所への「シリコンの注入」で女性特有の「丸み」を帯びる施術のことや、豊胸手術のことに性転換では「オーガズム」を得られる記述まで見つけることが出来た。
彼女から渡された1箱の「女性ホルモン剤」は、俺に限りない夢を与えてくれ、俺はその夢に胸躍らせた… 子供時代から敏感な「俺の乳首は」肌着が擦れただけで、全身に快感が走り歩く両足の動きを止めるほどだった。
乳首をメインにした触手オナニーを続けた所為で、乳首は乳輪とほぼ一体化し若干ながら乳輪に広がりが出来るほど成長していた。
触手でのオナニーの時は殆どペニスは勃起しない… 勃起せず縮んだままで愛液を溢れさせるだけだから、何時間でもオナニーを継続でる身体に進化した。
触手オナニーを覚えてからの俺は、ペニスを扱いて大きくしての射精オナニーは精精、月に一度か二度で毎日続けた乳首メインの触手オナニーで、ペニス以外の殆どの全身が感度を上げ敏感に反応するようになってしまった。
パンティーストッキングに脚を通している僅かな刺激でさえも、俺から愛液を滴らせてはパンティーを濡らすことは日常的だ… そんな俺が「女の身体」を手に入れたら… だが喜びも束の間だった。
俺は同性愛者ではないし「ゲイ」と、言う感覚もないから、仮に本物の女になれたとして「いったい誰が俺を抱いてくれるんだ?」と言う基本的な疑問の答えが見出せない。
本物の女になれたとしても「俺にはあ相手がいない!」と言う難問にぶつかってしまった… 抱いてくれるなら誰でもいいと言う訳ではないし、まして男なんかに、そりゃ想像の世界では誰かに抱かれるものの、実際に身体を男に舐めまわされるなんて! 想像しただけで背筋が凍りつきそうだった。
俺の女装子(おんな)での自慰(セックス)には相手は必ず登場するが「男」と言う認識は殆どゼロで、あくまでも「誰か」であり、その誰かが男であることはありえない。
男なんか絶対に嫌だ! と、思い悩んでいた時「フッ」と、身に着けた花柄ワンピースの裾から見える「ブラウンのパンティーストッキングを履いた自分の脚」を見た俺にヒラメキが……「女… 女だ!」相手は必ずしも男である必要はないんだと言う「ヒラメキ」が、俺を安心感へと導いた。
男にも同性愛はある… それなら女にだって同性愛はある…「レズビアン」これが俺の「ヒラメキ」から得た答えだった… 女同士の柔らかく溶けそうな肉肌が互いに絡み合い、限りなく互いが互いを求め合う。
何とも短絡的な答えだったが、今はこれしか答えが見つからないから、これをベースに彼女に渡された薬を一錠飲んでみた… 36粒ある薬の一錠を飲んだ俺に何も変化はないのは当然だろうか。
そして薬を飲み続け一ヶ月が経過しようとしたが、自分では何も変化を感じることが出来なかったし、一緒に風呂に入っている彼女からも特別「俺の変化」について語られることも無かった、ある日のこと「これにして見ようか♪」と、渡された薬を飲み始めて一週間後に変化は起きた。
朝、目覚めると妙に身体がだるく熱っぽく、ベッドから起き上がった俺の重心は前のめりに…「風邪かな…」と、汗でベトついたネグリジェの襟元を摘まんで前後に仰いで風を送った瞬間!「ムニュゥ~」と、コンニャクみたいな感触に驚き「恐る恐る」俯くと、ノーブラの胸に薄っすらと揺れる物が二つ…「出たあぁぁぁー!! 出た! 出た! 出たあぁぁぁーーー!」俺はベッドから飛び降り「ブルンブルン」と、胸を揺らして等身大の鏡の前でネグリジェを少し肌蹴た瞬間! 大粒の涙を流しその場に崩れ泣いてしまった。
そして、俺の騒ぎに驚いて俺の部屋に走ってきた彼女は、泣き崩れる俺の後ろから「ギュッ!」と、俺を抱きしめ「スウゥーッ」と、俺の胸に両手を入れ無言で上下左右へと優しく揉み始めると、俺の胸は全体に心地よさが広がり全身の力が抜け「グッタリ」と後ろの彼女に凭れかかってしまった。
ネグリジェが捲りあがって見えた俺の両足からは、処理した後の毛根が全て抜け落ち、後ろから鏡に映った俺の胸を彼女が見て「えぇ!」と、絶句した… 彼女の異変に気付き鏡を見ると、俺の乳首は普通の女と変わらないほど大きくなり、乳輪もそれに伴って大きくなっていた。
再び俺の胸を彼女が揉み始めると俺は「グッタリ」し、彼女の指が乳首に絡んだ瞬間! 俺は………
6話
元々、痩せてた所為もあってか大きくなったと思った乳房、じっくり見てみるとそうでもなかったと言うのが俺の実感だった。
それにしても確かに胸は膨らんだことは間違いないが、一向にペニスも睾丸も「萎縮」は始まらず、焦っては見たものの「気長」に行くしかないなぁ~ と、結構冷静な俺だったが、彼女に乳首を抓まれた瞬間、まさか射精しちまうなんて思いもよらなかったなぁ。
鏡に飛んだ黄色みがかったゼリー状の精液は、鏡に貼り付いて流れ落ちることなく、後ろにいた彼女の前「生まれて始めての恥辱」と言うものを感じたが、その恥辱すらも妙な快感だったのは覚えている。
そして彼女から貰った薬を服用し既に十日が経過した頃、休日で家に居た彼女が夕飯の献立を考えている俺に「明日、私の留守中に知り合いが尋ねてくるから、アナタはその人に付いていって頂戴」と、レシピ本を前から取り上げ俺の前に屈んだ。
突然の彼女から言い付けに俺が「?」と言う表情をして見せると、彼女は俺に「豊胸の手術、受けさせてあげるから明日から検査入院も含めて一週間、着替え用意して頂戴ね」と、淡々とした口調で俺の顔を見た。
そんな俺が「えっ? えっ?」と、動揺してみせると、彼女は俺の両膝に手を乗せて「費用とかのことは心配しないでいいから! ○○は黙ってその人に付いて行って帰ってくればいいからね♪」と、俺の目を見て軽く笑みを浮かべた。
突然だった… 俺は心の中で「そんな気軽なものなの? 身体に穴を開けることって…」と、気軽に話す彼女に反感を持ったものの「夢にまで見た大きな胸」になれるんだ! と、複雑な想いで彼女に頷いて返事をした。
彼女に頷いて返事した時の俺の目は恐らく輝いていたと思う… 彼女は俺の目を見た瞬間とつぜん「そう♪ いい娘(こ)ねぇ~♪」と、俺をその場で抱きしめてくれた。
彼女に「いい娘(こ)」と、言われた俺も悪い気はしなかった… と言うのは「ギュッ!」と、俺を抱きしめる彼女との距離が縮まった気もしていたからだった。
翌朝、出かける彼女を見送り10時に迎えに来るという男を待っていると電話が掛かってきて「下で待っていますから」と、だけ言うと太い声の男からの電話は切れた。
一週間分の荷物と彼女から渡された数万円の入った財布を持ってエレベーターに乗る… エレベーターの金色の鏡に映った紺のスーツスカートの俺は無意識に胸に目をやる…「戻る頃はここにちゃんとした膨らみが…」と、俄かに涙を滲ませる。
マンションの外へ出ると「黒塗りのリムジン」が止まっていて、片側スリードアの最後部のドアを開けて立っている「黒いサングラス」のオールバックにスーツ姿の男が見えた。
この時の俺の心の中では「暴力団」と言う言葉で埋め尽くしていが、彼女に頼まれた「善意の人」と言う位置づけをすることで自分を納得させることに成功した。
走る車の中には運転手が居たが顔は見えず、真ん中の席にはドアを開けてくれたサングラスの男が無言で乗っていて、重たい空気が漂いハンドバックをスカートの上に置いて両手を揃える俺は緊張で揃えた両脚が震えていた。
車は都心をゆっくり走り右へ左と繰り返すと、30分ほどして「○○美容整形外科」と言う10階建ほどの白いビルへ到着し、車は外来用ではなく地下の職員専用駐車場に吸い込まれた。
何処にでもある地下駐車場の独特の雰囲気が嫌いで、早く明るいところへ移動したいと言う俺を裏切り、車は職員出入口と書かれたドアの前で30分も停車したままだった。
重たい空気の中、密閉間のある地下駐車場は薄いオレンジ色の蛍光灯もマバラで、出入する来る車もなく我慢出来なくなった俺が、ドアを開けて外に出ようとした時「まだです! 暫しお待ちを!」と、真ん中のサングラスの男が太い声で俺を制止した。
仕方なくスモークの入った窓を少し開けて「職員専用入り口」と言う誘導灯を見ること数分、突然ドアが「ガコォーン」と、音を響かせて開くと、中からピンク色したワンピースを着たナースが一人出て来て、車に向かって御辞儀すると「結構です! 参りましょう!」と、真ん中の男が外に出て俺の側のドアを開けた。
俺は男に連れられナースの下へ行くと「一週間後、お迎えに上がります」と、男は俺に一礼するとナースを見て「コクッ」と、頷きその場から離れ車へ向かい、俺はナースから「こちらへ」と、呼びかけられ中へと移動した。
ナースは、サングラスの男同様に無言でエレベーターへ引率し「当医院ではプライバシー、特に男性患者さんのプライバシーを重く受け止めておりますから無言の対応、お許し下さい」と、エレベーターの中で俺に頭を軽く下げた。
そして、俺が通されたのは特別室と呼ばれる8階の個室、20畳ほどの広さのリビングと10畳ほどの寝室を備えた1LDKで、応接セットを備えベランダまで設けられていた。
ナースは専属で俺の面倒を見てくれるといい、キッチンの冷蔵庫の中には既にビッシリと飲食料品が詰められ、風呂場も掃除も行き届いていて清潔感が溢れていた。
部屋の内部を説明してくれるナースに「一体… 一体、あの男の人や、そ! それに… 私! いえ、僕をここによこしてくれた女性は一体、何者なんですか?」と、ナースの前に立って真剣に尋ねると、ナースは「申し訳ありません… 私達ナースには解かりかねますので…」と、顔を俺から背けた。
ナースは何か知っていると感じた俺だったが、やむなく挫折…… 久々に化粧を落としてリビングで「スッピン」で過ごす俺の髪の毛は、もう肩まで伸びていて退院したら少し切ろうかなと鏡に見入る。
ナースに引率され向かった診察室では問診が行われ、男性医師は見慣れているのか「女装子」の俺にも普通の接し方で、胸の診察でも膨らんだ胸を診て特別驚く様子もなく筋肉の付き方を両手で触診を続けた。
上半身裸になった俺の乳首は「ピン」と、勃起しそれを他人に見られることに、恥ずかしさから頬が熱くなるのを感じ無言で俯き目を閉じた。
レントゲンを撮り、検査のための注射を打ち診察台の上で、胸にマーカーで「こんな感じでね」と、担当医の持つマーカーが肌を滑るたびに「ヨガリ声」を出しそうになって、それを止めるのに必死に両手で診察台の端を「ギュゥー!」と握り締めた。
パンティーストッキングの下に着けたパンティーが俺の愛液で濡れていることに気付きながらも「声を出さないように」と、唇を噛み締めて耐えた診察も終わり、病室へ戻る途中ナースが俺に「感じやすい身体なんですね~♪ いいなぁ~♪」と、言った一言に「あは♪ あはははは♪」と、張り詰めた緊張が一気にほぐれた俺だった。
ナースには俺が感じていることも「濡れている」ことも全てがバレていたらしい…「替えた下着はこっちに置いて下さいね♪」と、病室で恥ずかしさで頬を熱くする俺に、話しかけたナースだった。
俺は濡れてグショグショになったパンティーと滲んで濡れたパンティーストッキングを、洗濯籠に入れるとタオルで陰部を拭き、別のパンティーに履き替えた。
入院初日にマーカーで濡れた俺だった……
7話
胸の筋肉を削ぎ取り、そこへ詰め物(バック)を入れる説明と、詰め物の内容量を決めようとの担当医に「Bカップくらいでお願いします!」と、予め考えていた通り返事を返した俺に「もっと大きいのもありますよ♪」と笑顔の担当医が「手術は1時間ほどで終わりますからね♪」と、診察台の俺を安心させた。
不自然な大きさにしたくないと言う俺の意思は、担当医にちゃんと伝わったようだったが、本当は性転換のことも聞きたいのを堪えてナースと一緒に部屋へ戻ったが、筋肉を削ぐと言う話を聞いて俺の股間は縮み上がっていた。
部屋に設けられた風呂で身体を洗い「鏡に映る自分の胸」を想像し暫し「ウットリ」するものの足を組んで、うっかり玉を挟んで「痛てえぇー!!」と、悲鳴を上げた俺は、視線を胸から股間に移し「ブラァ~ン」としたペニスと温まった伸びた玉袋を見て「はあぁぁ~」と、大きな溜息を漏らした。
スネ毛の抜け落ちた「ツルツル」の両脚と、少しだけ膨らんだ胸に似合わない口の周りのヒゲ… 右手でアゴを触れば「ジャリジャリ」と、手に感触と音を伝え、自分が男手あると否応なく認めさせられる。
湯船に肩まで浸かれば、独り風呂の所為か知らずの内に、顔を両手で「ジャブジャブ」男臭さが滲み「ぷっはあぁー!」と、息を吐き出して「ハッ」と我に返って自己嫌悪に陥る。
目を閉じて「ジッ」としていれば、胸が気になって、気付けば両腕をクロスさせ人差し指で両乳首を撫でて「ああぁぁ…」と、恥ずかしい声を風呂場に響かせ自分の声に独り唇を噛み締めた。
そして手術当日、手術台の上、麻酔で意識が無くなり耳元で囁くナースの声に起こされると「終わりましたよ♪」と、担当医の笑顔に嬉し泣きして目頭を腫らしたが、俺は手術室の中に誰かの匂いを感じていた。
寝台に移され病室へと向かう途中で注意事項に耳貸しながら、胸に感じる重みに「ツイツイ」涙を頬に伝える俺だったが、麻酔が切れ痛み止めの注射をされそのまま翌日の朝を迎えたものの、途中何度か点滴をされていたことには気付かなかった。
手術を終え4日目の土曜日、傷口も閉じ担当医とナースの目の前で初めて上半身裸で診察を受けた… その間も消毒と術後経過の診察があったが、俺は目を閉じて胸を見ようとはせず、この日を待っていたように目を開いて、鏡に映った我が身の変化に感動していた。
脇の下の傷口の両方の消毒だけで終わったこの日、俺はベッドから降りて大きな鏡の前で、何度も向き角度を変えては無言で独り喜びを噛み締めていた… 触っても良いと言う担当医の言葉を思い出し、強張る手を震わせ下から上に持ち上げるように、そっと… そっと… そして乳首に指を触れた瞬間「ビクウゥゥゥゥーン!!」と、全身に衝撃が走った俺は、その場に崩れてしまった。
まるで脳天を拳銃で打ち抜かれたような衝撃(かいかん)は、俺の全身から全ての力を奪い立っていることさえも禁じたようだった。
余りの衝撃(かいかん)に、女座りして尻を床に着けた俺のパンティーは「生暖かい精液」で「ヌルヌル」と内部を濡らしていた。
俺はとんでもない物を得てしまったと、その場で独り両手で顔を覆って笑い泣きしてしまった… そして退院の日のこと、荷物を纏めていると慌てた様子でナースが彼女からだと言って俺の部屋に届けて来た。
封筒を開けると彼女から「口元のヒゲの永久脱毛(レーザー)を頼んでおいた」からあと一週間、入院していろと言うものだった… 願ったり叶ったりの彼女の計らいに俺は胸の奥に高鳴るものを感じていた。
ただ、俺には不思議だった… 誰にも話していないのに何で彼女にヒゲのこと解かったんだろ… ヒゲのことなんか誰にも相談してないのに… ヒゲの永久脱毛は俺には過酷だった… 施術中の「チクウゥー!」と言う針で点されたうな痛みとと「今日はココとココ」と言う具合なのだが、終わった箇所は次々に「ヒリヒリ」感が巻き起こり、口の周りは火傷状態になってしまった。
只管耐える日々を10日ほど過ごし、ようやく終わった頃にはまるで「泥棒ヒゲ」のように醜い顔になってしまった… そしていよいよ退院と言う時のこと、荷物の整理を始めているとナースが来て今度は口頭で「全身にシリコンを使って丸みを持たせますから♪」と、彼女の伝言を俺に伝え、結局俺は更に一週間の入院生活を余儀なくされた。
全てが完了するまで結局、俺は一ヶ月以上も入院していたことになり、ようやく退院の前日になったが永久脱毛した箇所は綺麗になり豊胸手術の傷はなくなり、風呂の中では前後左右に揺れて俺に「お前は女」でよと教えてくれるようになった。
嫌で仕方なかった太ももの左右の筋肉のヘコミも、シリコンのお蔭で丸みを帯び全身で数十箇所の施術は俺を「ガラリ」と、生まれ変わらせた。
豊胸終了後は前屈みに重心が奪われ、気にしてないと猫背のようになっている自分に何度も嫌気をさし、口周りの火傷は「本当に治るんだろうか」と不安に駆られていたあの頃。
今では歩く度に全身が「プリンプリン」と、揺れBカップの胸もブラの中にしっかり納まって「ズッシリ」と、肩に紐が食い込んでいる。
あとは… あとは… 何度心の中で祈っても彼女からの手紙も伝言も来ることは無かったが、性転換だけは日本では出来ないことくらい俺も知っていたし、性同一性障害の認定を受けるのでも一年や二年掛かることも知ってたから、無理だとは思っていたけどな。
そして退院当日、俺は担当医師とナースに見送られ再び地下駐車場から、例のサングラスの男に連れられ一ヶ月半ぶりの我が家に帰宅した。
本当は彼女に抱きついて自分を真っ先に見て欲しかったが、彼女の姿は家にはなく静まり帰った家の中に時計の音だけがコダマしていた。
彼女が帰るまでに、掃除に洗濯にとハリキっては見たものの、綺麗に保たれた室内と洗濯物もなく、何もすることなく買い物にでもと思って冷蔵庫を開ければ、きちんと整頓された食材でギッシリと「まるで家政婦なんか無用だ」とばかりの彼女の家だった。
広い部屋の中を意味も無く歩き回る… ただ歩き回る…「プリンプリン」と歩く度に揺れる胸、お尻、太もも… 自分の身体とは思えない柔らかくて丸みを帯びた全身… 鏡の前で踊って見る…「プルプルプル」と、弾む肉肌、テレビで見た可愛子ぶりっこの真似をして見る… 誰か別人を見ている錯覚に陥る… 右手の中指でスカートの上から軽くなぞってみるとヘコミの無くなった下半身に独り感動する。
鏡の前に立ち自分に見入る…「彼女に… 彼女に食べて欲しい…」自分の膨らんだ胸を見て自然に出た独り言…「彼女にあげたい… 上半身の処女…」目頭を熱くして俯いてとまう自分。
自分が家を出た日から逆算して今夜の献立を考える… 彼女が食べている物が不思議と頭に浮かんでメモをする… 冷蔵庫の中を見て彼女の考えている今夜の夕飯を想像すると、何故か手に取るように頭の中に浮かんだ。
コトコトと鍋の中で小さな音を立てるロールキャベツ、火加減を微妙に調節しながらダイニングの椅子に座ってフロアーの木目を目で追いながら火を止める間合いをはかる。
けっして美味しいとは言ってはくれないし、褒めてもらったことはないけど彼女から伝わる「何か」で、今夜は「ロールキャベツにしろ!」と、冷蔵庫の中で彼女の声が聞こえた。
ロールキャベツの時は一緒に添える、俺の18番(おはこ)の「クラッシュトマト」のサラダは俺が自炊してた時に、近所の食堂のオバサンに習った物だ。
御飯は固めにサラサラさせ、お酒の後に食べるお茶漬けの準備として、冷蔵庫から出した生うにをガーゼとキッチンペーパーで水切りして、そこへ荒塩を振り掛け水分を飛ばし何度か落ち着かせてはスプーンでかき混ぜ、更にキッチンペーパーに包んで、お捻りにして冷蔵庫で落ち着かせれば、ウニの塩漬けが出来上がる。
番茶をフライパンで煎ってから濃い目に湯飲みに入れて「フタ」をして冷蔵庫で冷やす… この時プラスチックのボトルは匂いが付くので避ける。
彼女が唯一「美味しいー♪」と言って笑顔を見せてくれた、俺の故郷の「ウニ茶漬け」の準備も終わり、彼女が帰宅する前に風呂に入って身支度を整える。
風呂から出て「ソワソワ」しながら時計を見る… 無地で白の膝上10センチ程の家着のハウスドレスに着替え玄関を何度も見ること何十回になつた時も彼女は帰宅した。
彼女はいつも俺に開けさせず自分で開けて来るから、玄関の音を聞いた俺は走った… 何故か解からないが「彼女に抱きつきたい」そんな激しい気持ちに襲われ「彼女にギュッと抱きしめられたい!」と、同時に俺の心は高鳴った。
だが、ドアを開けて入って来た彼女は「お帰りなさい♪」と、言う彼女との再会を喜ぶ俺の言葉とは真逆に「………」と、無言で俺を「チラッ」と見ただけで俺の横をすり抜け、リビングへとスリッパの音を廊下に響かせた。
俺はその場に立ち尽くし「とてつもなく惨めな気持ち」に泣き出しそうになっていた… 天井の白い蛍光灯の光が廊下の反射して俺に「寒々しさ」を伝えていた。
高鳴っていた俺の胸の奥は静まり、喜びに溢れていた心は一気に冷え切った… 彼女は普段と変わらぬ態度だで、手を洗ってくると、俺が用意してワインには目もくれず冷蔵庫から自分で出した缶ビールを開ける「ゴクゴク」と、一気に飲み干し俺の給仕なんか必要ないとばかりに「黙々」と、食事をし始めた。
彼女が両手を開いて俺を抱きしめて喜んでくれると言う、俺のイメージは一瞬にして吹き飛び、胸の奥から噴出しそうな程の「惨めな気持ち」は、俺に大粒の涙を床に「ポタポタ」と零れ落とさせた。
俺の顔を見てもくれない彼女に「もう… もおぅ… もおぅ、知らなぁぁーい!」と、両手に拳を握った俺は「バタバタ」と、足音を立て自室へと口元押さえて彼女の前から姿を消した。
床に座りベッドに凭れ「うぅぅぅぅ… うぅぅぅぅ…」と、押さえ切れない涙に声を上げて泣いた…… 泣いている俺の部屋のドアが開いて廊下の灯りが差し込んだのを瞼の外に感じると、突然後ろから「風呂は一緒にって約束したろ!」と、彼女の声が俺の脳裏を劈き(つんざき)、それを聞いた俺は顔を覆う両手を離し「ウワアァァーン!」と、大きな声で無きベッドに顔を埋めてしまった。
彼女はそんな俺を「………」無言で後ろから「ギュゥゥー!」と、抱きしめてくれた。
そしてその夜俺と彼女は………
8話
食事をしてお酒もちょっぴり飲んで、病院での楽しかった話しや辛かったことを彼女は笑顔を浮かべ俺の目を見て聞いてくれた。
いつもは差し向かいの彼女も、この時だけは俺の隣に座り楽しそうに話す俺の肩に腕を回し引き寄せた… 泣きすぎて目を腫らし浮腫んだ顔を見られるのが恥ずかしくて時折、俯く俺の頭を彼女は撫でてくれた。
そして食事の後、俺は彼女に「お風呂… いこ…」と、小声で隣の彼女に囁くと、彼女はそっと無言で俺の手を引いた… ホームドレスを脱ぐ俺に見入る彼女の視線を感じながら、頬を恥ずかしさで熱くさせる俺はスリップの肩紐に手を掛けようとした時、彼女は黙って俺の後ろから俺の手の上に手を重ねた。
白いスリップのレースの中の俺の胸は彼女に見て欲しいと「小刻みに揺れ」俺から肩紐を外す彼女の手の「振るえ」は、俺に喜びを改めて感じさせ「スルスルスルー」と下へ滑り落ちたスリップをそのままに、彼女は俺の向きを自らへ向けると俺の両肩に手を乗せ、俺は彼女にされるがままに床に腰を下ろし仰向けに、そして目を閉じると彼女の両手は俺の胸を優しく優しく…… 彼女の唇から乳首に体温を感じた時、閉じられた俺の瞼から涙が流れた。
彼女を乳房に感じた時の俺は「快感」ではなく「癒し」を乳房から全身の隅々に感じていた…… 彼女の唇は壊れそうものを扱うように小さな震えを俺の乳首から乳輪にそして乳房全体に伝え、俺から「あぁぁぁ…」と、切ない溜息を漏らさせた。
彼女の両手は優しく胸(おれ)を揉みながら唇は乳首を挟み中から「ネットリ」とした舌が上下に滑ると「ぅぅん!」と、俺の首を左右に揺らせパンティーを「グッショリ」と、濡らさせた。
愛撫され身悶を繰り返し小鳥のように鳴き声を奏でる俺の下半身へ、彼女の手が伸びた瞬間「ここは… このままでね……」と、彼女の声が聞こえたような気がした時、俺はその場で重圧過ぎる全身への幸福感(エクスタシー)から失神してしまった。
気付くと俺はリビングのソファーの上に、大きなタオルで胸と下半身を隠した状態で真横になっていて、彼女はソファーに背を凭れてオンザロックを飲んでいた。
おぼろげに思い出される彼女の『ここは… このままでね…』と言うあの言葉は幻聴だったのか、それとも現実だったのか俺には解からないが、確かに彼女の熱い手が俺自身を優しく包み込んだ気がしていた。
彼女のグラスを回す「コロン♪ カロン♪」と言う音が俺の耳に心地よさを覚えさせ、俺の両脚に当たる彼女の髪の毛に彼女を感じながら、俺は「愛している」と、素直に心の中で彼女に伝えていた。
次々に俺の夢をかなえてくれる彼女は神様のような人だけど、俺は所詮1年契約の家政婦… 雇い主を好きになっても実るはずはないことくらい解かっているけど、心の中では素直に「愛してる」と彼女に伝えたいと心から思った。
「彼女に抱かれて見たい… 一度でいいから女として彼女に抱かれて見たい… 彼女の腕の中で眠りたい…」俺の彼女に対する女としての想いは、次から次に心の中で沸いては大きくなって行くのを感じながら「ぅん…」今、目が覚めたと言う感じで辺りを見回した。
辺りを見回す俺を起こすと「さぁ、おいで~♪」と、彼女は俺の隣に深く腰掛けると、俺の自らの胸へと引き寄せ両手で抱きしめると「さっきは凄かったんだからねぇ~♪ 私のお腹、精液塗れになっちゃったんだからねぇ~ あっははは♪」と、彼女は俺の頭に自らの頬を乗せて可愛らしく微笑んだ。
大切なものを扱うように俺を抱き寄せる彼女は、俺の耳元に囁いた…「男の身体には未練は無い…?」と、頭を撫でられ「ウットリ」する俺の耳に辛うじて届いたものの、余りの心地よさに口が聞けないほどになっていた。
そんな彼女は俺の答えを待たず、俺を抱き起こすと俺の部屋へと連れベッドにゆっくりと俺を横にして「もう寝なさい…」と、薄暗い部屋の中で俺に声を掛けた… そんな彼女の手を握った俺は咄嗟に「抱いてぇ! 抱いて欲しいのぉ! お願い! 抱いて… 下さい…… 愛してる… 愛してるのおぅー!」と、本心を打ち明けてしまった。
「駄目よ! これ以上は! 寝なさい!」と、俺の手を振り解こうする彼女の手に手を絡め直す俺は無意識に彼女をベッドに引き寄せようとしていた… さんな俺に彼女は「まったくもおぅー ドンドン女の子になっちゃうねぇー♪」と、引き寄せる俺の方に「スゥー」と近付くと「チュッ♪」と、オデコに「キス」をすると俺の鼻の先を「チョンッ」と、指を当てると「お休みなさい…」と、俺の手をベッドに下ろして俺を一人にして出て行った。
眠れぬ夜は長く、寝返りをうつ度に何度も彼女に『愛してる… 愛してるのおぅー!』と、告白した自分の涙声を思い出し胸の奥に詰まる物を感じては息苦しさに身を丸くする。
残酷な暗闇は俺に「初恋」にも似た切なさを何度も何度も繰り返させ、苦しさに寝返り打てばBカップの胸は向いた方向に一斉に流れ、スリップの生地にスレる乳首は俺に「女の辛さ」を与え続けた。
長い辛い夜は只管続いたものの、いつしか俺は夢の中へと吸い込まれて行った…… そして睡眠不足の俺に容赦なく目覚まし時計のアラームが突き刺さり「フラフラ」と起きあがればスリップの中の胸は左右に揺れ引力に従って「プルルルン」と、下に流れて治まりを見せた。
黒いスリップに窓から入った光が反射してその眩しさに瞼を閉じ「身体をフラつかせ」フラついた方向に胸が流れて弾みがついて窓辺に凭れた。
女の身体は弱った俺から自身のコントロールさえも奪ってしまう… 嬉しさではなく「遣る瀬無さ」に唇を噛む… 動く度に「プルプル」と、まるで「蒟蒻(こんにゃく)」のように振るえ揺れる身体に「今更」のように違和感を覚えた。
ハウスドレスを身に纏い鏡台の前で髪を解かし、睡眠不足で浮腫んだ顔を見て「こんな顔、彼女に見せられない…」と、目を背けるものの「家事(しごと)」しなきゃと、立ち上がり部屋を出る。
静まり返ったリビングに寒々しさを感じながらも、カーテンを開ける壁のスイッチを押せば「グォォーン ザッザッザァー」と、大きな窓を覆う厚めのカーテンが開き、部屋の隅々に眩しいほどの陽の光が届いた。
いつもの朝が始まったのに、俺だけが「取り残されている」感覚に襲われながらもキッチンに入り、いつもと同じことを淡々と続ける… いつものように彼女が起きてきて「おはよう♪ あらあら… 私が出かけたら少し眠りなさいね」と、俺を気遣う彼女の顔もまた浮腫んでいることを俺は気付いた。
俺がバカなこと言ったばかりに気に病んだに違いなく、俺は心の中で彼女に「ごめんなさい」と、手を合わせる想いだった… いつものように淡々と食事を済ませ彼女は、化粧をしてスーツに着替えバックを片手に「じゃぁ♪ 行ってくるわね♪ ちゃんと眠らなきゃ駄目だからね♪」と、玄関ドアを開いて出ようとした瞬間、彼女は引き返して「チュッ♪」と、俺の頬にキスして出て行った。
ここへ来て初めてだった、彼女からの出掛けのキス… 彼女は彼女なりに俺の彼女に対する想いを受け止めてくれていると思った瞬間「ポタポタ」と、俺は玄関の床を涙で濡らした。
彼女からの「キス」で安心感を得た俺は、彼女に言われた通り数時間リビングのソファーで眠り目覚めると、時計は午後4時を指し驚いて飛び起きた俺は慌てて鏡台の前に座り、薄化粧をしてブラッシングし身だしなみすると、ハウスドレスと黒いスリップを脱ぎ、ブラジャーとさの上に白いスリップを着け、白の無地ワンピースを身に纏った…「スルスルスルーッ」と、ライトブラウンのパンティーストッキングに脚を通し、買い物へと向かうべく玄関へ急ぐと「プルルルルル♪ プルルルルル♪」と、電話のベルに引き返して受話器を取ると彼女からだった。
初めて誘われた彼女からの外食の招待の電話に「あっはははははー♪ きゃっははははは♪」俺はリビングの真ん中で、両手を広げクルクル回って少女マンガのように喜んだ…… ブラッシングした髪が振り乱れるほどに喜んだ。
ワンピースを脱いで、彼女に買ってもらった黒系のスーツスカートに着替えたものの、滅多に履かないタイトスカートが俺の動きをセーブし、長めの後ろスリットだけが唯一の移動範囲だった。
白系のヒールを玄関でスーツに合わせて見ては「うふふふふ~♪」と、独りで笑みを浮かべ彼女との「デート」に胸を躍らせ脚に着けて見る…「うふふふふ~♪」止めても止まらない微笑。
待ち合わせは夜の8時、このマンションと入院していた病院の中間当たりにあるレストランは、雑誌にも何度も掲載されたことのある有名店…「タクシーでいらっしゃい♪」と、言った彼女だったが、進まぬ時計と睨めっこに退屈し少しだけ歩くことにした。
家を出た時間は夜の7時、普通にタクシーを呼べば30分と掛からない距離だったが「歩いて見たい…」と、言う思いと「待ちきれない」と、言う思いから俺は薄暗い夜道を目的地に向かって歩いた。
思った通りマンションの平らな床とは違い、外の道は段差と傾斜で、ヒールはあれほど練習した俺に膝を「カックン! カックン!」と、曲げさせ、まるでテレビゲームの中の骸骨のような歩きをさせた。
少しずつ練習を思い出しながら、歩くと数分で外歩きをマスターし何とか形だけは良くなったものの、実際には相当の負担が脚に掛かっていた。
ハンドバックを持ってリズミカルに歩くと、ヒールの音が「コツコツ」と、響いては車道を通る車の音に掻き消され、通り過ぎる人達の中に紛れる「女」の自分がたまらなく嬉しくて歩きながら微笑した。
彼女が買ってくれた腕時計の針が7時20分を過ぎた辺り「そろそろタクシー拾おうかなぁ~♪」と、歩道から車道を見たものの、あれほど勢いのよかった車の流れは途絶え仕方なく「もう少し歩こうかな♪」と、思った瞬間、突然「ドスン!」と、お腹に鈍くて重たい衝撃を感じ、俺はそのまま気を失ってしまった。
着ている服を無理やり剥ぎ取られるような痛みで目を覚ました俺が、慌てて重たい目を開くと、「何でこんなとこにいるの!?」と、思う間もなく「あっひゃひゃひゃー♪」と、言う狂喜な男の笑い声が俺の耳に入ると同時に、着ていたチョッキのボタンが「ブチブチブチッ!」と、飛ばされた。
俺は自分の置かれた立場を理解出来ずに「えっ! えっ!」を繰り返していると「ブチブチブチブチブチー!!」と、ブラウスのボタンが弾け飛び「あーっひゃひゃひゃひゃー♪」と、男の狂喜と同時に俺のブラウスは左右に引き裂かれ、その時初めて俺は自分が「レイプ」されかかっていることに気付いた。
両手で俺の上にいるサングラスにマスクを着けた男を撃退しようと、動かした両手は後ろ手に縛られていることに気付いた俺は、咄嗟に「イヤアァァーーー!!」と、喉が切れるほどに悲鳴を上げ、顔を左右に激しく振ったものの、狂喜な男は俺の悲鳴を物ともせずもスリップとブラの肩紐に両手が掛を掛けた瞬間、俺は再び「イヤアァァーー!! ヤメテ! ヤメテ! ヤメテエェェー!」と、必死に叫んものの、男の両手はスリップとブラジャーを一気にズリ降ろした。
男の目の前で胸を晒された俺はパニックになるのを必死に堪え、男に「アタシ女じゃないの! アタシはゲイなの! だから、だから許して!」と、咄嗟に言い放つと男の動きは「ピタッ!」と、止まりそこへ俺が「スカート! スカートの中を見て! 男だって解かるからぁー!!」と、動かなくなった男に落ち着きながらも、肩で「はぁはぁはぁ」と、荒い吐息を立て言い放つと、男は黙って後ろのホックを外しファスナーを降ろすと、俺からスカートを脱がし「うおおおー!」と、パンティーストッキングの下の「モッコリ」に顔を近づけ「マジか!!」と、俺の腰に両手を掛けるとパンティーストッキングとパンティーを「スルスルスル」と、引き降ろした。
男はサングラスを外して、出現した俺の股間に見入ると「クンクンクン」と、俺自身の匂いを嗅ぎ「本物だあぁー!」と、一瞬俺から離れ立ち膝をし、じっくりと俺を見下ろすと「こうなりゃ! ゲイでも何でもいい! 上だけは女だからなあぁー!」と、声を荒げ再び俺の上に覆いかぶさり、胸に片手を置いて乳首に指を絡めた瞬間、俺は全身をビクつかせ「ぅあっ!」と、首を捻って顔を横にし「うんっ…」と、唸り声を上げた瞬間「ジユウゥッ! ピチャピチャピチャ!」と、男の腹目掛けて射精をしてしまった。
男は腹部に違和感を感じたように立ち膝して、自分の腹部を見ると「なんじゃぁ! こりやあぁー!」と、付着して滴る精液に驚き「くそおうー!」と、今度は逆の胸に手を置いた瞬間「ジユウゥッ! ピチャピチャピチャ!」と、再び俺は男の腹部に2発目を勢いよく発射すると、男は再び膝立ちし「こっ! こなくそおぅー!」と、自分の腹部に掛かった二箇所の精液を見て「こうなりゃー! こうしてやるうぅー!」と、男は俺の顔の後ろに移動して、俺の顔を覆うように上から両手で俺の両胸に掴みかかった! そして次の瞬間俺は「いぅくぅーーー!!」と、叫んだ瞬間「ドピュウゥゥーーーン!! ピチャピチャピチャ!」と、俺の3発目は異常なほどの量を俺の上にいる男の頭と額に飛んだ。
男は無言になり動きが「ピタッ」と、止まるとゆっくりと俺から両手を離すと「ちきしよおうぅぅーーー!!」と、大声で叫びながら俺を置いて建物を出て行ってしまった。
俺は男が出て行った後、慌てて後手に縛られた手首を後ろから両脚を通して前に持ってくると、必死で縄を解き胸元の乱れを震える手で直すと、携帯電話で彼女に「怖いよぉ! 怖いよおぅ! 怖いよおぅーーーー! 助けてぇ! 助けてぇ!」と、何度も号泣して叫んでいた。
薄暗い中でパンテイーとパンティーストッキングを直し、ボタンの飛んだブラウスとチョッキを片手で押さえ「フラフラ」と、明るいほうへと出るとそこは建物同士が並んだ隙間通路の奥の小さな倉庫だった。
フラフラしながら表通りに出ると、そこへ彼女を乗せた「いつかのリムジン」が、急ブレーキをかけて止まり俺は中から出てきた彼女と、例のサングラスの男に抱きかかえられ車に乗った。
そして彼女の顔を見た瞬間「怖かったよおぅーー! うわあぁぁーん!」と、大粒の涙を流し彼女の胸の中に飛び込んだ。
俺はこの日、何時間も全身の振るえが止まらなかった………
9話
俺は彼女に連れられ街から車で4時間、松林に囲まれた丘の上に立つ和風旅館に来ていた… レイプされ掛かった俺の心を癒すべく彼女の計らいだった。
途中、高速道路のパーキングに立ち寄ると、駐車場では異様な目で俺と彼女、そしてサングラスの男を見る他の人達が目に付く… 黒塗りのリムジンは辺りに威圧感を与え、ワンピース姿の俺はパンツスーツ姿の彼女に手を引かれ建物の中へと足を運んだ。
元気の無い俺に彼女が「おそば食べようか♪」と、入り口から少し歩くと混雑していた店内は俺達を見て「サァー」と、四方八方に道を開け、まるで暴力団でも見るような視線を俺達に放っていた。
テーブルの前の席に俺と彼女が並んで座り向かい合う形で、サングラスの男とサングラスの運転手の4人が座り、俺の隣に座る彼女を前に緊張しているのか二人の男は無言でテーブルに両手を置き、俯いて静かにしていた。
背丈180センチ以上あるだろうサングラスの男は色白のオールバック、小太りながらも175センチはあるだろうスポーツ刈りの運転手は、何処から見ても暴力団を想像させるイデタチだが、注文した天ぷらそばが来た時の「ニコォー♪」とした嬉しそうな笑顔が印象的だった。
二人の男達の食べっぷりを「微笑」して見る彼女の目は、まるで我が子を見る母親のように優しく、俺と彼女が一つを半分も食べていないのに、既に食べ終わった二人に彼女が「ふふっ♪」と、口元を緩めると「もおぅ♪ 好きなだけ食べなさーい♪」と、言うと二人の男達は顔を見合わせて「お替りぃー!」と、カウンターに駆け込んだ。
俺と彼女が一杯のソバを食べ終わる頃には、二人は4杯目の天ぷらそばを食べ始め、それを見ながら彼女が俺に「お手洗い行ってこよう…」と、耳打ちした。
彼女の後を着いて行くと、男女の区別表記の前で俺は固まった… すると彼女は「サッ」と、俺の手を握りしめ「女表記の方」へと、俺を導き、中へ入ると「○○はこっちね♪ 私はこっち♪」と、俯いて立ち尽くす俺の両手を握った。
トイレには俺と彼女の二人だけ…「スルスルッ」と、彼女の脱衣音が聞こえ「ジャァー!」と、水を流す音が壁伝いにワンピースの裾を捲くり上げ、パンストとパンティーを脱ぎながら便座に座る俺の耳に聞こえた。
俺はワンピースの裾の中に手を入れペニスを下に向け、押さえながら緊張して水を流し「チョロチョロチョロ」と、先っぽから跳ね返らないように用を足した。
隣から「カラカラカラー!」と、トイレツトペーパーの回る音がした時、俺は惨めな気持ちに落ちて行った… 彼女は用を足した後、当然のようにペーパーで「アソコ」を拭くのに、俺は先っぽを「チョンチョン」と、指で抓んで振ると「俺と彼女は違う…」と、誰かに諭されたような気がした。
パンティーの中で「モッコリ」して蒸れて痒くて堪らなかった「ペニスと玉袋」を、除菌ペーパーで何度も拭いて、太ももの付け根まできれいに拭きあげるて「はあぁぁ~」と、心地よさに溜息を出す「女装子」の悲しさ。
早く性転換したい… お金はないけど性転換して彼女と自然にトイレが出来るようになりたい… パンティーの中で「モッコリ」した部分を「スッキリ」させたいと言う願望は一気にレットゾーンに達した気がした。
トイレから出た俺がドアの前で待つ彼女の目を見た瞬間「早く女の子になりたい…」と、小声で誰も居ない室内、俺は彼女に抱きついて彼女の胸に顔を埋めた… 彼女は俺の悲しみと苦しみを「解かっているから… うん… 解かってるから…」と、俺に悲しい程に痛々しい声で囁くと俺の頭を優しく撫でてくれた。
松林に囲まれた旅館の前には広大な海が広がり、海から漂う風は手を繋いで並ぶ俺と彼女の髪を「サラサラ」と、後ろへと靡かせる。
二人の男達が旅館で手続きをしている間、旅館から二人で庭園を抜け松林の中の砂の道を海へと5分ほど歩くと、両側に松林の端っこを見ながら少し先に白波の打ち寄せる波打ち際を臨む。
ワンピースの裾が「パタパタ」と、時折、風に流されては「スッ」と、元に戻るを繰り返した時、彼女は右側から俺の左肩に腕を伸ばし、自らの方へと引き寄せると「風に流れる二人の髪」は互いを愛しむように絡みつき、彼女はそっと俺に口付けをしてくれた。
彼女に手を引かれ白波の打ち寄せる波打ち際へと真っ直ぐに歩く俺に、彼女が立ち止まって「私ね、昔… 随分と子供の頃なんだけどね、好きな人が居たんだ… その子とは幼稚園も小学校も途中まで一緒でね… 二人は毎日朝から晩まで一緒に居たんだ… ずっと一緒にいようねって約束したのに私は父の仕事の都合で別の街へ引っ越した… そこで私と彼は離れ離れになって、私は何度も引越しに次ぐ引越しでさー」と、話しながら再び歩き出した彼女に手を引かれる俺。
俺は彼女が初めて話す彼女の生い立ちに、耳を澄ましたが波打ち際に近付くにつれ彼女の声が途切れ途切れに伝わり、聞き返そうと彼女の顔を見ると彼女の瞳から一粒の涙が頬を伝うのが見え、俺は何も聞き返すことが出来ないまま、その場に両脚を両手で抱くように腰を下ろした。
砂に座る俺の右横で無言で立ち尽くし、海を見詰める彼女が俺の横に座り突然「ねぇ、性って何だろうねぇ…」と、俺をチラッと見て再び海を見詰め「愛って何だろう…」と、俺に疑問を言い放つと「戻ろう♪」と、立ち上がって俺の肩に手を置いた。
旅館に戻ると横の駐車場の隅に黒のリムジンが光沢を放ち、和風造りの庭園に心地よく見える門構えに癒しを覚え見入る二人…… ドンドン俺と打ち解ける彼女は俺と顔を見合わせ「こんなとこに二人で住みたいねぇー♪」と、俺の両手に手を添え子供のようにハシャイで見せた。
軽い駆け足で手を繋いで玄関に入ると「おいでなさいませー♪」と、和服姿の綺麗な女将(おかみ)が正座して俺と彼女を出迎えた… 俺が一瞬、彼女から手を離そうとした瞬間、彼女は「ギュッ」と、俺の手を握り締め目の前で両手を付く女将(おかみ)に「私の大事な人だから」と、俺を見せるように自らの位置を横にずらすと、女将が「本日から一週間の貸切、いつもながらの御利用、ありがとうございます♪」と、満面の笑みを浮かべた。
一泊、3万円はするであろう高級旅館を一週間も貸しきったと聞いた俺は絶句し固まってしまった… 彼女は俺と手を繋いだまま中に上がると和服の女将の後ろを、懐かしそうに辺りをみながら着いて行った。
庭園を見回せる磨きあげられた縁側を進むと、やがて石灯篭と水の流れる池のある「離れ」へと案内された… 周囲に縁側のついた時代劇に出てくるような、障子で覆われた武家屋敷の「茶室」を思わせる「離れ」は、静まりかえり周囲を囲む松林と庭園から小鳥の鳴き声が耳に心地よかった。
時代を感じさせる黒い柱が何本も使われ、高い天井には太くて大きな梁が上下左右に組み合わされ、迫力のある天井を綺麗な大畳と純白の障子が四方を取り囲む室内に心奪われる俺だった。
離れから渡り廊下を通ると時代の流れを感じさせる「露天の総ヒノキ風呂」が出迎え「チョロチョロ」と掛け流しの湯が湯船に流れ落ち、天井から吊るされた行灯(あんどん)が俺の心を和ませた。
お食事は本館の炉辺でと言う、女将は彼女とはとても親しそうに話し、大きな旅館の中を初めて来た俺に案内してくれ、途中何人かの「女中さん」と言うのだろうか、出会う度に彼女と親しげに語らっては通り過ぎて行った。
一緒に来た男性二人は、別に部屋を用意され「離れ」を守るように庭園を挟んで両側に一部屋ずつ与えられたようだった… 男達の正体も彼女の仕事すらも知らぬ俺は、この大きな旅館の中で一週間、傷ついた心を癒すこととなった。
そしていくつかある離れの中の一室に、二つ並べられて敷かれた布団を見て頬を熱くする俺がそこに居た………
10話
振り返れば派遣切りへのボランティアの炊き出し公園から、全ては始まったんだよなぁ… あの場に現れた男の身形の「彼女」に俺が「女装子」だって見抜かれて声かけられて、彼女のマンションへ行き、成り行きで彼女の家の家政婦として雇われた。
しかも男の身形じゃなく、家政婦だから女装するように言われ、言葉少ない彼女に「冷たさ」を感じたことは何度もあったものの、少しずつ彼女も俺に対する接し方が柔らかく変化し、気付けば化粧の仕方まで教わった俺は女装子から本当の女に進化すべく、彼女の費用負担で豊胸手術に全身整形に顔の永久脱毛と一部を残して女へと進んだ。
一年契約の家政婦のくせに彼女に「恋心」を抱き、その恋心は俺の知らずのうちに「愛」に変化し「一人の女」として彼女を愛し、彼女に「抱かれたい」と、心の底から思うようになっていたなんて。
彼女の仕事も知らず、未だに俺は彼女の名前さえも知らされていない… マンションへの郵便物はほとんど無く、郵便箱の鍵すら俺は渡されていないが、彼女のことを詮索しないと言う「約束」も彼女と暮らす俺に何度も「葛藤」を繰り返させていたが、目の前の並べられた布団を見た瞬間「名前なんかいらない… 彼女に抱いて貰えるなら…」と、報われることのない愛に耐える「女」が、一途の「望み」が叶う瞬間を俺に演じさせていた。
襖(ふすま)を閉め、広間(いま)を通り過ぎ、庭園が見れる縁側に腰を下ろす… 体育座りして自分の足の爪先を何気なく見る… パンティーストッキングを履いている俺に「女」であることを認識させるものの、股間で内モモに挟まれる玉の痛みが「お前は男なんだよ」と、冷たく語りかけ寂しい気持ちに襲われる。
陽の光で温もった縁側の板から、ワンピースのスカート部分の中に温度が篭り、パンティーストッキングに覆われた白いパンティーの中、玉袋が蒸れて行くのを感じる… 俺と彼女の違い過ぎる使用済みパンティーの汚れている部分の記憶が頭を掠めると、両手に握り拳を作り膝の上にオデコを置いて唇を噛み締める。
頭を上げて目の前の庭園を見れば、紋白蝶のつがいが二匹、風に流されながら「ヒラヒラ」と舞う… オスとメスの自然な性別… 彼女は「メス」そして俺は…… 滲んだ涙が頬を伝い膝を覆うワンピースの生地を一つ、また一つと濡らした涙が模様をつけていく。
左の方から縁側を歩く足音がして慌てて涙をハンカチで拭くものの、溢れた涙は止まらず傍に来た彼女が「どうしたぁ! また泣いてるのか!」と、俺の後ろに両足を開いて座ると、俺を抱きかかえ「あぁ、蝶(あれ)を見てたのかー」と、仲良く宙に舞う二匹の蝶を見た。
彼女は俺の頭の上にアゴを乗せ「私達みたいだな♪ 仲良しだな♪」と、俺を更に「グイッ」と、引き寄せ、彼女は俺の両手の上に優しく両手を重ねた。
そして「ここには私とアナタだけ… 誰もいないから安心して心の整理しなさい♪」と、彼女は俺の耳元で囁きながら俺の右耳タブを軽く噛んでから「今、アナタの性転換手術の書類作っているからね… その替わりも一年どころか5年以上は、家政婦として働いてもらうからね♪」と、俺の息を一瞬止めさせた。
俺は自分の耳を疑った! 夢にまで見た女の身体になれる! 性転換出来る! 俺は大きく息を吸い込むと「うぅぅぅぅ… うぅぅぅぅ…」と、嬉し泣きし再び顔を膝の上に置くと、彼女は俺に「また泣くうぅー! まったく困ったちゃんだこと♪」と、言って俺の膝に両手を回して「ギュゥ!」と、抱きしめた。
庭園の中を手を繋いで散歩する俺の心は晴れていた… 吹く風も心地よく時折立ち止まっては彼女に甘えるように、彼女の肩に頭を置く俺に彼女は庭園の端、松の木影で唇を重ねて来た… 重なった柔らかい彼女の唇の中から俺の唇の中へ入って来た「ネットリ」と、した感触の彼女の舌は、俺の舌と絡み合い互いの唾液を分け合った。
腰に回された彼女の手の温もりが、ワンピースの生地から俺の肌に柔らかく伝わる… 初めての彼女からの口付けは俺の心を無心にさせ、どれほどの時間が流れたのかさえ解からないほど、俺から時間を奪って行った。
口付けか終わると俺は「恥ずかしさ」から、彼女の顔をまともに見ることが出来ずに、手を引かれるまま俯いて歩く足元は既に夕日色に染まっていた。
部屋へ戻り縁側に上がった、俺たちは互いの顔を見て「キャッハ♪ あっははは♪ キャッハハハハハ♪ あっははははは♪」と、大笑い… 二人の唇の周りがお互いの口紅でアートのようだった。
夕日の前で大笑いし終えた頃「ねぇ、一緒にお風呂入りましょうか♪」と彼女に誘われ、別の部屋で二人並んで服を脱ぐ… 女が二人並んで後ろ向きで服を脱ぐシーンが俺の頭の中に客観的に映し出される… スボンを脱いだ彼女の下半身を包む、アッシュグレーのパンティーストッキングと、そこから透けて見えるレースの黒いパンティーに、その横でライトブラウンのパンティーストッキングに包まれた、白いパンティーの俺のヒップ。
白いスリップを「スルスルッ」と、脱ぐ俺の横で、白いキャミソールを「スゥー」と、脱ぐ彼女はCカップのブラを、そして俺はBカップのブラを外すと白い障子から入り込んだ夕焼色に二人の女が肌を晒した。
用意された浴衣を羽織って帯締めて、洗濯物の下着とストッキングを、洗濯用の袋に入れて夕焼け色に染まった障子を開けると、先に出た彼女から仄かに甘い女の匂いが俺を掠める。
風呂場の脱衣場の洗濯籠に下着の入った袋を入れ、浴衣を脱いで前を隠して屋根の付いた露天風呂へと移動すると、夕焼け色が風呂の屋根を、そして周囲の庭園と松の木を赤々と染め檜の湯船の上に「ユラユラ」と、赤を揺らしている。
化粧を落とし頭と身体を洗うと言う普通の行動なのに今の俺には、全てが新鮮だった… 彼女から受けた初めて口付けは、俺を「女」として彼女が受け入れてくれた証… そして「性転換」出来ると言う彼女から伝えられた事実は俺の沈んでいた心に光を与えた。
立ち上がった彼女の見事なまでプロポーションに圧倒され、見入っている俺に「コラ♪ そんなに見るな♪ あはははははー♪」と、俺の視線に照れる彼女を見た瞬間、俺は彼女の腰に抱きついて陰毛部分に頬を寄せると、彼女は恥ずかしそうに声を震わせ「駄目よ… まだ… ここでは駄目…」と、俺の頭に両手を乗せ両足を小さく震わせていた。
二人で湯船に浸かると巻き起こった波で並んで入る二人の乳房は左へ右へと揺れに揺れた… Cカップの彼女の揺れはBカップの俺の揺れを遙かに上回り俺の彼女に対する想いをかきたてる…「触れて見たい彼女の胸に… 触れて欲しい俺の胸に…」と、湯船の中で俺の中から愛液が流れ出るのを感じる俺だった。
風呂から出て歩く彼女の身体には揺れる物以外に「ブラつく物」は、なく俺の身体には揺れる物と「ブラつく物」があって、彼女は見ないように気遣ってくれているのに、俺はといえばいつまでも「彼女への羨ましさ」から逃れることも出来ずに、彼女の「スッキリした」陰部を「チラチラ」と、見ていた。
炉辺で二人並んで縄で編んだ敷物に座り、給仕してくれる料理長さんの目を気にしながら胸元を何度も直す俺に対して、少し肌蹴ぎみの彼女は全く気にしてない様子で、笑みを浮かべて女将さんと楽しげに会話を弾ませ、注がれる地酒と串焼きの鮎に舌鼓を打っていた。
一通り料理の説明と食べ方を学ぶと料理長さんは退席し、女将さんと俺たち三人だけになった時、突然、女将さんは胸元を「ガバッ!」と、開き正座していた足を崩して炉辺の向こうで着物のまま「胡坐」をして両足の太ももを見せた! するとそれを見た彼女が「こおぉーらぁー♪ あっははははは♪」と、大笑いして女将さんを諭すと、女将さんは突然、俺を見て「初めましてぇ♪ 私、男なんですよ♪」と、微笑んで見せた。
俺は女将さんの話しの意味が解からず、彼女と女将さんの顔を何度も見回すと、彼女が俺に「ここの女将さんはね♪ 性転換して女として街で暮らしたあと、跡継ぎの問題があって数年前にここに来て家業を女将として継いだのよぉ♪ だから彼女が男からの性転換者だってことは、亡くなった父親と従業員さんたちは誰も知らないの♪」と、うそぶく様子もなく楽しそうに俺に話してくれた。
女将さんと彼女がどんな繋がりなのかは語られることは無かったが、楽しさからか女将さんが彼女に「そう言えば夢の中の彼女とは会えたの?」と、聞いた瞬間!「ハッ!」と、した顔を見せた女将さんは突然、慌てて身だしなみを直すとその場から逃げるように去ってしまった。
その瞬間、俺が「チラッ」と、彼女を見ると彼女からは笑顔がすっかり消え、黙り込んだ彼女の目は閉じられていた… 炉辺から聞こえる薪の燃える音だけが「パチパチ」と、辺りに音を伝えていた。
胸元が崩れ斜め座りして無言で目を閉じる彼女に、女の色気を感じる俺がそこに居た………
11話
食事を終え離れに戻る途中、月灯りに照らされた縁側で、暗闇に浮き出る庭木を擦り抜けて心地よい風が、肌蹴られた浴衣の胸元に届けられる。
酔いの回った俺たち二人は互いに寄り添うように、支えあいながら回り廊下から何度も落ちそうになりながら、右へ左へと千鳥足を続けた。
離れの部屋へ来た時には、二人はすっかり肌蹴た胸元から乳房が見え隠れしていて、彼女は布団の敷いてある部屋に辿り着くと、そのまま崩れるように布団の中に我が身を投じた。
捲くれ上がった浴衣の裾から見える、彼女の「プリプリ」した太ももと「プルプル」と小刻みに揺れるCカップの胸を見た俺が「こんなに酔ってたら抱いてもらうのは無理だな…」と、彼女に布団を掛けて寝室の行灯(あんどん)の灯りを絞って部屋を出ると、広すぎて何処に居ればいいのか迷う居間の隅っこに身を寄せた。
普通の男だったら自然に、あのまま彼女の柔肌を太くて大きな腕で抱きしめ自分の物にするんだろうけど、俺は彼女を抱きたいのでなく、彼女に抱かれたい側… 抱いてもらえるまで只管待つ女の哀れさに浸るように体育座りして両膝の上にオデコを乗せた。
「もう眠ろう…」と、顔を上げ障子を通過する柔らかい月灯りを頼りに彼女の眠る寝室へと足を運び、敷かれた隣の布団に静かに身体を沈めた。
彼女から聞こえる寝息を子守唄に俺はいつしか眠ってしまった…… そして慣れぬ浴衣の寝苦しさから目を覚ました深夜の2時、彼女の寝息が聞こえないことに気が付いて隣を見ると彼女の姿は無かった。
トイレにでも行ったのかなと思って居たものの、一向に彼女の戻る気配がなく心配になった俺は、浴衣の襟元を調えて障子の襖を開け回り廊下へ出ると、耳を澄まし音を探した。
トイレは露天風呂の方にあって「もしかしてトイレで倒れてる?」なんて悪い想像をしながら足を忍ばせトイレへと廊下を進んだ… そしてもう直トイレと言う時だった… 何か呻き声のような音が俺の耳を掠めた。
廊下を進み突き当たりを左にトイレと右に露天風呂に分かれる分岐点に立って、耳を澄ますと「あぁ…」「あぅ…」と、露天風呂側から苦しそうな人の唸り声が聞こえ、更に「ああああぅ…」「ああああぅ…」と、繰り返さし聞こえる彼女の唸り声に驚いた俺は、腰を屈め足音を消すように露天風呂の入り口から中を覗いた。
すると脱衣場の奥の方の棚の横で、月明かりに照らされ両脚を大きく開き浴衣を肌蹴、片手を乳房に片手を陰部に置いて「ああああぅ…」と、小さく絞ったヨガリ声を出しオナニーをしている彼女の姿があった。
そんな彼女の顔には、俺と彼女が風呂に入る時に脱いで部屋から持って来て入れた、洗濯籠の中の使用済みパンティーが覆い尽くしていて、時折荒い息を立て彼女は鼻でパンティーの匂いを嗅いでは乳房と陰部の両手を動かしていた。
そんな彼女の光景を見た俺は「そんなバカな! 彼女があんなことするはずないだろ!」と、心の中で叫ぶように両目を擦り月明かりに照らされた彼女に見入った。
彼女は間違いなく俺の使用済みパンティーの匂いを嗅いでオナニーしていた… 首には使用済みのパンティーストッキングが巻かれ、垂れ下がった二本の爪先部分がユラユラと揺れていた。
向こう側にいる彼女の両手は動きが次第に早くなり、パンティーを被った顔からは「ぅぅん!」「うんっ…」と、一段と激しい喘ぎ声が暗闇に溶け込んでいた。
そんな彼女は一度ならず二度、三度と「いぅくぅ…」と言う表情を見せ、四度目にイッタ後、疲れ果てたのか「グッタリ」と、身体を月明かりの下で休めていた。
俺は彼女のあられもない姿に余りのショックで、彼女に気付かれずに部屋へ引き返すのがやっとだった…… 部屋の布団の中に身を置いて数分後、彼女は足を忍ばせて入室すると、俺が寝ているか俺の顔を覗き込んで、自分の布団へと入ったようだった。
寝たフリして息をする俺はいつのまにか本当に眠ってしまい、翌朝、小鳥の囀りで目覚めると隣に居たはずの彼女の姿はなく、障子の向こう側は既に陽の光が眩しそうだった。
浴衣のまま廊下へ出ると光に包まれた庭木たちが、キラキラと朝露を照り返しそれを俺の目に優しく伝えた… 自分でもか細いと思えるほどに「フラフラ」して歩く俺はトイレで用を足し、露天風呂の脱衣場を覗くと既に洗濯籠は片付けられていた。
洗顔して部屋に戻ると、彼女が布団を片付けたのだろう畳の上で、ショコラブラウンのパンティーストッキングに脚を通し「おはよう♪」と、俺を「チラッ」と見て立ち上がると「スルスルスルーッ」と、腰までパンストを上げてシームの流れを直した。
パンストに包まれた彼女の黒のビキニパンティーは、ピッタリと彼女にフィットし「女」のメリハリを、俺が「嫉妬」するほど俺に見せつけていて「スルスルスルーッ」と、パンツ(ズボン)は彼女の下半身をピタリと包み込んだ。
白いブラウスから透けて見える、彼女のCカップのブラを隠す白いキャミソールのフリルが、クールな彼女を若干和らげているように俺には見えた。
着替えを終えた彼女は隣室の居間へと移り、俺も荷物から白いフリルの付いたパンティーに履き替え、下とお揃いのBカップブラを着けると、ブラウンのパンストを爪を気にしながら下半身に纏い、無地の白いミニスリップを上に、レモン色のブラウスと膝上10センチのレモン色した台形スカートを履いた。
居間へ行くと彼女は新聞を読みながら、見ていないテレビの音だけを聞き、それを見た俺は慌てて「ゴメンなさい!」と、彼女の傍で頭を下げて謝ると、お茶道具に手を伸ばした。
すると、新聞に見入ってた彼女が突然、俺に「旅館(ここ)では仕事となくていいからノンビリしてろ」と、言い「今日、ボート頼んであるからクルージングに行かないか?」と、無表情で俺に話しかける彼女に、俺が「うん♪ いくいく♪」と、笑顔で答えると彼女は携帯電話で誰かと話し始めた。
俺と彼女は並んで、備え付けの鏡台の前に座り化粧をし、女将さんに見送られリムジンへと乗り込みと「おい、アレ買って来てくれたか?」と、彼女がサングラスの男に聞き「えぇ、ここに」と、大きな箱を彼女に手渡すと「ホラ♪ 私からのプレゼントだ♪」と、俺の両脚の上に大きな箱を置いた。
隣に座る彼女は俺の顔を見てニッコリして「開けてみろよ!」と、左側から俺の右肩に腕を回し、真ん中の席にいるサングラスの男は、俺を覗きこむように背凭れから顔を出して笑顔を見せた。
俺はみんなの顔を見回してから箱を開けると、中に大きなツバのススキ色したセレブハツトが入っていた… 目を大きく見開いた俺から自然に「うわあぁーい♪」と、大きな笑みが零れると、それを見た彼女もサングラスの男も満面の笑みで「パチパチパチ」と、拍手してくれた。
車は俺たちを乗せ港へと到着すると、巨大なクルーザーが波に揺れることなく「ドッシリ」と風格を漂わせていた… 三階建てのような甲板の最上部に、船長さんと彼女と俺、そして二人の男達… 下の方に世話してくれるミニスカートの女性が数人乗り込み、白い波を上げて突き進むクルーザーが揺れるたびに長い髪を風に靡かせていた。
揺れるクルーザーの上、座席に座る彼女と俺の手は人目を憚ることなくしっかり繋がり、煌く(きらめく)海の上で互いの温もりを感じていた時、彼女は俺に「今夜、いいな…」と、耳元で囁くと耳たぶに軽いキスをしてくれた。
思ってもいなかった彼女の一言に俺の目には、海も空も見えなくなり彼女だけかしか見えず、気付けばクルージングも終わり港に立っていた。
彼女の『今夜、いいな…』と、言う一言は俺を男から女へと羽化させてくれると言う彼女の合図、俺の頭の中は彼女に優しく抱かれ、彼女の腕の中で静かに眠ることだけが駆け巡っていた。
二時間のクルージングで飲んだ物も食べた物も何も記憶になく、あるのは彼女が俺を見る視線と『今夜、いいな…』と、言う彼女の言葉だけだった。
そして車に乗って旅館に戻ろうと車に乗ると、彼女が1枚のメモをサングラスの男に渡し「ここへ行ってくれないか」と、男の顔を見ると、男は彼女に「えっ? 今からですか?」と、言うと彼女が「往復したら何時間掛かるかな…」と、男を見ると、男は腕時計を見て「往復ですと六時間ほどでしょうか…」と、焦るように返事を返した。
旅館へ連絡をいれたサングラスの男は助手席に移動して、運転手と地図を見て打ち合わせていたようだった… すると隣に居た彼女が俺に「今から往復六時間のドライブに行くからな」と、俺に言い放つと「眠くなったら座席倒して寝ろ」と、椅子のスイッチの使い方を教えてくれた。
車の時計は昼の11時、何処へ行くのか解からないが、着いて戻って17時として一時間滞在したら戻りは18時、一体何処へ行くんだろうとスモークの窓の外を眺める俺だった。
窓の外を眺めている俺に彼女が「アナタに見せたいところがあるから…」と、俺に話すと彼女は座席を倒しリクライニングさせ、ポケットから出したサングラスを掛けると目を閉じたようだった。
そんな彼女を横から見る俺は「何処へ行くんだろう…」と、心の中で彼女に語りかけていた………
12話
車は港を離れ、高速道路に入ると窓から見える景色は猛スピードで前から後ろへと流れていった… 俺の横でサングラスを掛けリクライニングしている彼女もまた無言のままだった。
切り開かれ山や川に掛かる橋をいくつも越え、長いトンネルを走る車の中は静まりかえり、スモークガラスの外に見えるオレンジ色の照明がスライドショーのように内側に入り込む。
静まり返った車の中で真ん中の席に居る彼が、時折「クスクス」と小さな笑い声を出し、時には爆笑を堪えるように息を止める… 気になって最後部に座る俺が真ん中の席の彼の肩を「チョンチョン」と、指で突くと突然オールバックの彼は背凭れに両手を掛け後ろの俺の方を見て「これこれ!」と、携帯電話の画面を見せた。
彼が差し出した携帯の画面を見ると、ネット小説作家の「ずんだもち」と言う人が書いた「性転換・義母・ブラジャー・秘密・新妻シリーズ」を俺に見せ無言で「顔を口元」をニヤつかせた。
彼に勧められるようにハンドバックから携帯を出した俺は、座席を少しリクライニングさせ、興味のある「性転換シリーズ」に目を通した… 相変わらず真ん中の席の彼は「クッククク♪」と、苦しそうに笑い声を出し読みふけっていた。
性転換、義母、ブラジャー、秘密と数ページ目を通し最後に残った「新妻」を見た時、俺は「あ然」とした… 書かれてる内容がまるで「今の俺」に、そっくりだったからだ… 携帯を持つ手を替え右足からサンダルを脱いで左足の上に置いた俺は、座席を更にリクライニングさせ画面に見入った。
1話から11話まで読み終えた時、俺は自分とそっくりの内容に身体を震わせた…「12話はどうなるんだろう!」と、画面をスライドさせたが残念ながら12話はまだ掲載されていなかった。
俺はこの「新妻Ⅲの11話まで」を読み終えた時、横で眠る彼女を「もしかしたら彼女は性転換した男なのか?」と、言う疑問が浮上したが、マンションで家事をしている俺にとっては、毎月定期的に彼女に来ている「生理」を、トイレの汚物入れで掃除の都度、確認しているからそれは無いと思うがなどと、退屈な時間を「考える」ことで費やして遊んでいた。
つまらない事を真剣に考えることで「退屈なドライブ」を楽しむ俺だったが、真ん中の席の彼の「クックゥクククク♪」と息を殺して笑う声がなんとも耳に心地よく感じた俺だった。
車は幾つもの料金所を横に見ながら一路、彼女の指定した場所を目指して進んだが標識を見るたびに俺は「えっ?」と、心の中で驚き、それが「えっ!」に変わり「えぇぇー!?」に変わった時、時計は予定到着30分前だった。
そしてインターチェンジを降りて暫く走った頃、車は小さな街に入り「ポツポツ」しか無い信号機で停車すると、横に並んだ他の車のドライバー達から異様な視線が送られるのを感じた。
こんな田舎街に居るはずのない黒塗りのリムジンは、都会でさえ人目を引くのにましてこんな寂れた田舎では、一生に一度見れるかみれないかだろう……「俺が生まれ育った街」では。
俺にとっては懐かしく感じることの無い、この「俺の生まれ故郷」は、苦い想い出しかなく、高校卒業と同時に逃げるようにこの街を離れ、都会に身を潜めるように故郷のヤツらとは連絡は勿論、親にさえ消息を伝えることは無かった。
まして俺は横で眠る彼女にも「ここの存在を」話してはいないのに… まあ、何者かは知らないが「彼女」の暮らしぶりを見れば「探偵」でも雇ったのだろうけど、俺はここには来たくは無かったと言うのが正直な感想だろうか… まして女に生まれ変わろうとしている矢先に、こんなとこで誰かに会いでもしたらと、俺は憂鬱(ゆううつ)な気分に落ちていた。
あの先の一角を曲がり数分行けば俺の実家、逆に行けば幼稚園と小学校に中学、その先をいけば街に一つだけの高校と、思い出したくない記憶が否応なく俺の脳裏に渦巻いた。
何も知らずに幼少期を育ち、小学では妙な目で見られ中学では「変態」と、バカにされ続け、形を直したものの俺を知る街の連中は、高校に入った俺を「ゲイ」と、あだ名し卒業まで孤独に耐えた辛い日々。
親が悪いんじゃないと自分に言い聞かせるも「何でこんな思いを俺がしなきゃなんねんだよおぅぅー!」と、人知れず山の中で叫んだ中学、高校時代。
こんな街から早く離れたい、何でこんなとこに連れて来たんだ! 心の中で彼女に叫びつつ、俺は車の窓がスモークだったことに感謝していると、突然「プルルルルル♪ プルルルルル♪」と、彼女の携帯が大きな音を立てた。
俺の苛立ちを知らずに彼女は携帯の目覚ましを切ると「グゥィィーン」と、リクライニングから席を戻し、辺りを見て「次の信号を左に3本目を右に行って頂戴」と、運転手の男に命令口調で言い放った… 俺は起き上がった彼女とは目を合わさずに只管窓の外に見入っていた。
車は彼女の言う通りに進むと「そこの電柱の横で止めて頂戴」と、再び運転手に言い放つと「ねえ、ちょっと降りて見ましょう、人も居ないし」と、辺りを見回して俺に話しかけて来た、彼女の目は作り笑顔とは対照的に限りなく澄んでいた。
俺は辺りを見回して人の居ないことを確認すると、脱いでいた右足にサンダルを履くと、自分でドアを開けて車から降り彼女の立つ真逆へと移動し、彼女と並んだ瞬間「………」絶句してしまった。
そこは俺が幼稚園と小学校の途中まで、家族以上に絆を感じていた女の子が住んでいた朽ち果てた家だった… 女の子は突然何の前触れもなく引っ越してしまったが、女の子の家の仕事が何なのかなんて子供の頃の俺には解かる術もなく、女の子が居なくなってから毎日のように「戻ってくるかも!」と、学校から帰ると毎日暗くなるまでここに立っていた想い出。
記憶を辿り蘇る想い出に目を閉じ、再び開くと左に立つ彼女の右頬を伝う一滴(ひとしずく)の煌く涙が、彼女の正体を俺に教えてくれた気がした。
苦い記憶に埋もれていたこの街での、俺のたった一つの宝石のような大切な想い出…「さぁ! 戻りましょうか♪」と、彼女は悲しく笑みを浮かべると、サングラスを深く着け車の中に入ってしまった。
車に戻った俺が彼女に声を掛けようと、彼女を「チラッ」と、見た時の彼女は寂しそうにスモークの窓から外を見ていた… 車は緩やかにユーターンすると来た道を戻り街中に入り加速しようとした瞬間「まだあったのねぇー♪ あそこの駄菓子屋さん!」と、突然大きな声だして、彼女は車を店の前に付けさせた。
止まった車の中から慌てたように降りると、懐かしそうに店の左右を行ったり来たり繰り返し、彼女は店内へと姿を消した… そして数分後、戻った彼女は両手一杯の駄菓子の入った紙袋を二つ抱えて来た。
彼女は席に座ると、彼女と俺の間に「ジャァー! ジャラジャラジャラァー!」と、二つの袋を引っくり返し「ねぇ! 見てぇー! 懐かしいでしょおぅー♪」と、サングラスを外し俺に子供のようにハシャグ顔を見せ、そんな彼女に俺は「なんで… 何で黙って居なくなっちゃったの…」と、俺は彼女の顔を見ることなく俯き加減で泣きそうな声を出した。
彼女は俺の「問い」に答えることなく、真ん中の席にいる男に背凭れを倒させ「ほらぁー♪ 食べなぁー♪ これも美味しいのよぉぅ♪」と、一口ドーナツを食べては、男に駄菓子のことを語っていた。
俺はそんな彼女を見ることなく、彼女と過ごした幼少期を目を閉じて独り思い起こしていた………
13話
クルージングの後の往復6時間のドライブから戻ると、旅館は夕焼け色に染まり車から降りた運転手の男も、さすがに疲れたと言わんばかりに足元をふら付かせた。
長時間、座っていた所為で俺のパンストに覆われたパンティーの中は、蒸れていて「早くトイレに駆け込みたい!」そんな心境だったにも関らず、寂しげに無言を貫いた彼女を横目に慌てて車を降りる訳にも行かず、俺はゆっくりと車から降りた。
車から降りた俺が彼女の側へ行くと、彼女が俺に「先に行っててちょうだい…」と、車から降りながら小声で呟いた… 自分の正体を自ら俺に証しながら「どうしてそんな寂しげな顔しているの?」と、心の中で彼女に問い掛けながら、俺は旅館のトイレに足を急がせた。
部屋に荷物を置いてトイレに駆け込み、スカートを脱いで壁のフックに掛け便座の上で屈みながら、パンティーストッキングを膝まで降ろし、蒸れたパンティーを一気に膝まで降ろし両脚を開いて便座に座った。
ペニスの根元に覆い被さるようにセッティングした玉袋から、目に見えない湯気と一緒に酸味の効いた独特の匂いが「もわぁーん」と、俺の鼻先を直撃、慌てて除菌シートをハンドバックから取り出して「ヌルヌル」した、玉袋と太ももの間を下から上へ、上から下へと丁寧に拭き取る。
二枚のシートでキレイに拭き取り、ペニスを下に片手で押さえて小用を足し、下に向けた先っぽを指で抓んで便座の下で左右に振ると、ペニスの中の残尿が「ピチャピチャ」と、音を立てた… トイレットペーパーを切り取り先っぽに着いた尿を拭き取り、立ち上がりながらパンティーに両手を添えると「冷たい!」と、前屈みでパンティーの内側に手の甲を当ててみれば、思った通り内部は蒸れた所為で「グッショリ」と濡れていて汗で解けた肛門から縦に「ウン筋」がハッキリと付いていた。
再び便座に腰を落ち着けた俺は、パンストとパンティーを脱ぎ「クルクルッ」と丸めるとスカートを「ノーパン」のまま履きトイレを後にした… そして「彼女に嗅がれるのでは」と、思いながらも露天風呂の中の脱衣場にある洗濯籠に放り込んで部屋へと移動した。
部屋に戻る廊下を歩いていると、パンツ(ズボン)姿の彼女が廊下の柱に背凭れし、体育座りで両手で両膝を抱え、真っ赤な夕焼け色の中にその身を染めて額を膝の上に俯いていた。
そんな彼女の横に膝を崩して女座りした俺が彼女に「驚いちゃったよ… 私…」と、囁くと彼女は俺に「ずっと探してた… ずっとアナタのこと探してた…」と、前を向いたたままで「ポツリ」と、呟いた。
それ以降、無言になってしまった彼女に俺が「あの炊き出し公園に来たのは…」と、問いかけると「スウゥゥー! ハアァァー!」と、大きく深呼吸した彼女が俺に「そう… 偶然じゃないの…」と、膝を抱いて数回、身体を前後に揺らした。
身体を揺らして黙り込んでしまった彼女に、俺は何も聞かず、ただ「ジッ」として彼女の真横で夕焼け色が暗闇(くろ)に変わるまで、その場で同じ時間を過ごした。
少し肌寒さを感じた俺が彼女に「部屋に入ろう」と、声を掛けようとした瞬間、彼女は俺に「覚えてる? 小さい頃、アナタが私に言ってたこと…」と、一瞬、顔を上げ暗闇の中で呟いた。
彼女からの問い掛けに暗闇の中、彼女との間合いを静かに詰めた俺は、無言で彼女の頬にそっと口付けをした… 俺の唇に触れる、彼女の頬に伝う雫を感じた時、俺の心と彼女の心は子供のときから繋がっていたことを思い知らされた。
俺は彼女からソッと唇を離し、彼女と離れ離れになった後を振り返るように小声で呟き聞かせた……
男ばかり4人の兄達の中「女の子が欲しい」と、願い続けた両親の切ないまでの想いの中で生まれた「5人目の男」の俺は、女の子として両親に育てられ、自分の服装に違和感を持つことなく、幼稚園で時間を過ごし小学校では、男の子に似せた服とスボンを母親が手製で作り、何も知らずにそれを着せられ過ごした幼少の頃。
幼稚園では周囲から異様な目で見られ、小学校では俺と口を聞くもの無く、いつも寂しい想いをしていたが、そんな俺にただ一人だけ幼稚園の頃から一緒に遊び、いつも同じ時間を過ごしていた人が居た…… 赤いスカートと白いタイツを履き、白いブラウスにオカッパ頭の俺に、優しくしてくれた一人の女の子とはいつも一緒で、同じ時間を過ごした彼女の家の前は俺にとっては、どんな物にも変えがたい宝物だった。
小学校の途中で彼女は突然、この街から姿を消し悲しみに暮れた俺を誰一人として、慰める者もいず、悲しいままに時が過ぎ、俺が中学に入学した頃は、俺の幼少期を知る周囲は「変態」と、俺を罵り(ののしり)罵声を浴びさせた… 学生服に身を包んだ俺が自宅に帰り、悔しさで咽び泣きし目を腫らしていた時、俺の部屋に置いてあった「セーラー服」の入った紙箱は俺を更に追い詰めた。
両親の中に住み続ける5人目の女の子は、現実では男子として学生服を着ているのに、両親の中では確実に5人目の女の子は成長していたと、俺に知らしめるべく男物の入った箪笥の横に置いてある「もう一つの箪笥」の中には、中学生の女子が身に着けるであろう、下着やソックスに服にスカートが綺麗に折りたたまれて入っていた。
そして高校に入る頃には、別の箪笥の中にはパンティーストッキングやニーソックスまで入れられていて、下着も中学生物から高校生物に入れ替えられていた… そんな頃の俺のあだ名は「ゲイ」だった… 部屋の中にあった中学生用のセーラー服は無くなり、高校生用のセーラー服の入った紙箱が俺の目に付くところに置かれていた。
上の兄弟達はそんな両親の「異常」さに気付いていながら、俺の留守中に勝手に部屋に入り、女物の下着やパンストを「自分を慰めるために」持ち出し、使い終わると近所のゴミステーションに捨てるを繰り返した。
兄貴達の行動を知らぬフリして放置する俺の「女専用の箪笥」には常に無くなった物の替えが母親によって補填され続けたが、男の形をしていた俺の心はいつも「女」だった事は間違いなかった。
俺が学校から戻ると、部屋に無造作に捨ててある、乾いた精液塗れのセーラー服もそのままにしとくと翌日には無くなり、翌日学校から戻れば新品のセーラー服の入った紙箱が、箪笥の上に置かれていた。
そして俺が高校を二年の頃には上の、元々社会人で家を離れていた兄貴達を別に一人、また一人と進学やら就職で家を出て行き、俺が高校三年の時には家には俺一人だけになってしまった… そんな頃のある夜のこと、俺が宿題で机に向かっていると突然、部屋へ入ってきた両親が「セーラー服を着て見せて欲しい」と、俺の前で土下座した。
初めて聞かされた、俺の生まれる前に「死産した女の子」の話しは強い衝撃として俺の心を劈(つんざ)いた… 待ちに待った女の子の死産は両親の心を「ズタズタ」に引き裂いたものの、俺を身ごもったと知るや、毎夜・毎日のように喜び暮らしたと言う… そして生まれたのが男の俺だったらしい。
俺は土下座する両親の余りの痛々しさに、無言で頷くと一旦、両親を部屋から出し、白いパンティーにブラを付け、冬間近と言うこともあって黒いタイツを履き、白いソックスとセーラー服に身を包んだ… 幼少の頃から女の子として育てられ途中から男に戻らねばならなかった葛藤の日々を振り返り、袖を通したセーラー服は俺にとって余りにも重い両親へのプレゼントだった。
その夜から俺は帰宅すると女の下着とストッキングを履き、女物の服にスカート姿で両親と一緒に過ごすようになり、眠る時でさえパンティーにスリップ姿でベッドに身を沈めていた。
寝返りを打つベッドの中、スリップと乳首が擦れ知らずのうちに両手の指で乳首をこすっていた深夜の出来事は、俺に「女」のオナニーを教え、毎夜のごとく乳首を弄りベッドの上で悶え、息を殺しヨガリ声を止め繰り返した日々。
理由はどうであれ、俺は学校であだ名されるとおり「ゲイ」になっていた… 帰宅し女装した姿を両親に見せ「両親の喜ぶ顔」が嬉しくて母親に頼んだ化粧の匂いと、歩く度に「サラサラ」と、揺れるロングヘアーのカツラは俺に「女」の色を濃厚にさせていった。
夕飯の時に両親を目の前で言った「性転換してもいいよ」と言う俺の一言を本気にした両親に、金策をさせることにまで発展し、何気なく言った俺の一言は両親を走りまわらせることとなってしまった。
そんな両親に悪いと重いながらも、高校を出たら街を離れようと心に誓っていた俺は、高校卒業後、家出するように置き手紙を残し街を離れた。
俺が語り終えると彼女は俺の肩に腕を回し、静かに引き寄せると俺の「オデコ」に自らの「オデコ」を寄せた。
俺からオデコを離した彼女は再び、俺の肩を抱き寄せると彼女は俺に真実を語り始めた………
14話
大きく深呼吸をした彼女の口が開かれた瞬間だった… 突然廊下の向こうから「お食事の支度が出来ましたので~ どうぞぉ~♪」と、着物姿の女中さんが教えに来てくれた。
彼女の開いた口は閉じられ「スッ」と、立ち上がると俺に「お腹空いたねぇ♪ 続きは後にしよう♪」そう言うと彼女は部屋に入り灯りを燈すと、上着を脱いで「さぁいきましょう♪」と、座っている俺の肩に手を置いた。
刺身に鍋物に焼き物にと、二人は炉辺の前で舌鼓を打ち続けたものの、食事の後の苦い話しを予期してか彼女のお酒はすすむ気配なく、俺も同じで酒を二合で飲み終えた。
クルージングの後の長距離ドライブの疲れもあってか、今夜の宴(うたげ)は前夜とは比べ物にならないほどに静かだった。
食べ初めて1時間、柱時計は夜の9時を指し二人は早々に食事を終え離れへと無言で戻った… 本来なら「今夜、彼女に抱いて貰える」と言う喜びから、笑みの絶えない俺のはずだったが「彼女の話しを聞きたい…」と言うことの方が大きく俺を支配していた。
部屋の中央に置かれたテーブルの前、備え付けの冷蔵庫から出して来た麦茶で乾いた喉を潤し、タバコに火を点ける彼女の目は覇気を失っているように思えた。
風呂の準備をしようと入った別室、二つ並べられて敷かれた布団と枕元に置かれたティッシュが、妙に艶かしく思えるものの、俺の中では「早く彼女の話しが聞きたい」と、言う想いで充満していて、並べられた布団から視線をずらした俺だった。
そして彼女に誘われ露天風呂へ、前夜とは違い浴衣とタオルに下着をもって移動し、脱衣場でブラウス、キャミと順に脱ぐ彼女から甘美な香りが漂い脱衣する俺の手を止める… 晒された彼女のCカップの胸は彼女が動く度に「プルプル」と、上へ下へ左に右にと目まぐるしく動き回る「天然」の若鮎のようだ。
彼女の目を盗んでスカートを脱ぎ、ノーパンであることを隠し俺の焦る片手は「今入れましたよ」と、ばかりに洗濯籠のフタを開け閉めしてみせた。
片腕で乳房を覆い隠し、片手で陰部にタオルを当てる俺に対して、全身を露にする彼女は、そのまま隠すことなく風呂場へと移動した。
洗濯籠の中にある「彼女が今、脱いだ使用済みの下着とパンスト」に、目を奪われ「嗅いで見たい…」と、脳裏を掠める嫌らしい言葉。
風呂場で淡々と無言で化粧を落とす彼女の後ろ、近付いて屈み彼女の背中にBカップの胸を押し付けるように抱きつく俺に「………」と、無言のまま化粧を落とし続ける彼女。
彼女の胸の下辺りに抱きついた両手を這わせ、肩にそっと頬を寄せる俺の髪の毛と彼女の髪の毛が寄せ合う… 俺の高鳴る心臓の鼓動は俺の胸を通じて彼女の背中に通じる。
鏡の中から感じる彼女の視線が、更に俺の心臓を高鳴らせ、股間に少しだけ硬くなる俺自身を感じて彼女から腰を少し後ろに下げると「お風呂くらいのんびり入ろう…」と、小声で後ろの俺に囁いた彼女。
髪の毛を洗い始めた彼女の横に座り、化粧を落とす手を急がせる俺の脳裏に「男と女」の二つの嫌らしい感性が渦を巻き始め、それを押さえようを必死になる。
広く大きな檜の湯船は俺達二人を軽々と受け入れ、その豊かな湯量は尽きることなく彼女は湯船に入るなり、突然「ザブゥゥーン」と、泳いで見せ流れる曲線と丸みを帯びた身体を俺の目に焼き付けた。
微笑むことなく無言で俺の前を、左から右へそして右から左へと「スイィースイィー」と、全身を横に回しながら、豊かな身体を様々な角度で俺に見せた彼女の表情は、何かを思い詰めているようだった。
そんな彼女を前に湯船に浸かる俺に彼女が突然「ホラホラー♪ アナタもそんなとこで、オンナオンナしてないでー♪ 一緒にやってごらんよぉー♪」と、笑い声とも何か違う口調で俺を誘った。
月明かりが美しい露天風呂、天井からぶら下がった行灯(あんどん)の下で、二人は右へ左へと無言で何度も繰り返し、手と手が触れ合う都度、徐々に二人の間合いが近付き、やがて二人は抱き合い身体を一つにして湯船の中を只管… 只管。
疲れ果て湯船の端に身を寄せ座る彼女、そして彼女の正面に覆い被さるように抱き寄せられる俺は、彼女から濃厚な口付けを貰った… 下にいる彼女の柔らかい太ももの上を跨ぐように落ち着く俺の水流に揺らめく陰部が、引き寄せられて彼女の腹部に密着した。
幻想的なまでの空間の中で、俺の腰に回された彼女の両手は俺のヒップへと移動し我が身へと引き寄せ、俺と彼女の隙間を埋めた。
下位から真横へ湯船の中で体位を変え、そして横位から俺を下位にした彼女は自身を上位へと変えると、下にいる俺に再び濃厚な口付け… 俺の口の中に入る「ネットリ」と、した彼女の舌は俺の舌と絡み合いを繰り返し、彼女の腰に回した俺の両手は腰から彼女のヒップへと滑るように移動した。
柔らか過ぎるほどに柔らかい彼女のヒップは、俺の両手の指を一つずつ肉肌に沈めた… 彼女の陰部は俺の腹部に「ムニュー」と、秘密の感触を与え、俺の硬くなった半起のペニスが彼女の後ろで水流に「ユラユラ」と揺れる。
重なり合う二人を邪魔するように、湯船に止め処なく流れ落ちる源泉賭け流しの湯は、俺と彼女に「暑い!」と、言う以外に何も浮かばないほど全身に熱を帯びさせ「暑いーーー! ザバンアァーン!」と、彼女が湯船から上がったことで、一気に愛の一時(ひととき)は終焉を迎えた。
湯船から出た彼女は、真っ先にシャワーへ向かうと水シャワーで至福に浸り、そんな彼女を追うように俺も彼女の隣でオーバーヒートした身体を水シャワーで冷やし、二つの重なるシャワーの下で二人の身体も重なり、冷えた身体で熱い口付けを交わした。
涼みがてら露天風呂から下着も浴衣も着けずに、部屋へ戻った二人がしたことは、冷蔵庫に「ギンギン」に冷やされた缶ビールを、月明かりに照らされた廊下の上で裸になって「プシュッ! ゴクゴクコグ! プッハアァァー!」と、飲み干した。
そして部屋に戻ってパンティーを履きインナーキャミを着けた俺たちは、再び月明かりの下で並んで廊下に腰を下ろし、子供の頃に遊んだ話しを肴にビールで喉を潤した。
缶ビールを一人数本ずつ飲み終える頃、本館の明かりが落とされて時間を知った俺たちは、手を繋いで部屋に戻ると浴衣を着ることなく、そのままの姿で寝室へ入ると彼女が行灯の明かりを絞った。
少し冷えた二人の身体を布団が優しい肌さわりで温め、並んだ布団から出された二人の手は重なり合いながら、そして互いを求めるように指と指を絡めあった。
そして………
15話
落とされた行灯の灯りと交代するように、白い障子から漏れる月明かりは、二人の居る部屋を淡い白色で染め和室を和らぎの間に変える。
絡みあった二人の手と手、指と指に互いの温もりを感じながら瞼を閉じた俺に右隣の彼女が「ねぇ、覚えてる? 子供の頃、アナタが私に何度も言ってたこと…」と、小さな声で囁いた。
瞼を閉じた俺の中に蘇る「わたしねぇ、大きくなったらー ○○ちゃんのお嫁さんになるのおぅ♪」と、赤い靴とスカート、白いブラウスを着た俺がも半ズボンに白いワイシャツを着た彼女の胸に飛び込んだあの日。
互いに互いの服装に違和感を覚えることなく、自然に過ごした幼少期は、俺に自分は「女」で彼女は「男」と言う概念を定着させていたことを思い出す。
スカートとブラウスの中に女児用の下着を着けた、オカッパ頭の俺はそれが普通だと思い込み、仕草や言葉までもが女の子で近所の人たちからも「可愛い」と、言われ続けていたあの頃。
彼女の家の前、ママゴトの最中「わたしねぇ、大きくなったら○○ちゃんのお嫁さんになってぇー 美味しいお料理とか作ってぇー お掃除にお洗濯も頑張るんだあぁー♪」と、男姿の彼女に甘え「よおぉし! おれがお嫁に貰ってやるからなー 心配すんなー!」と、俺の頭を優しく撫でてくれた彼女。
俺は小学校へ通うようになっても、男とも女ともつかない服を着て過ごし「○○君は男の子だからこっちねぇー」と、俺を呼ぶ先生の言葉に違和感を覚え、躊躇しながら育ったものの、彼女もまた男の子の服装で学校を行き来し、彼女が俺の前から姿を消した後も俺は彼女が男だとずっと思っていた。
そのためだろう、俺が彼女に声を掛けられ自宅に連れて行かれた後も俺の記憶と「女」である彼女が重なることはなく、思い出すこともなく今ここに、幼少時代に俺が恋焦がれた人と同じ時間を過ごすべく手を絡めあっていた。
隣にいる彼女は今、なにを考えているんだろうと右側に首を捻ると、俺の手に絡む彼女の指先に一瞬、力が入った瞬間「こっち… 来て…」と、彼女は俺の手を軽く引き寄せた。
俺は彼女に引き寄せられるまま布団を出ると、彼女の横で正座して両手を床に着いて「宜しくお願いします……」と、しおらしく深々とお辞儀すると、彼女は布団の上で自らの身体を少しずらし掛け布団をはぐった。
布団をはぐった彼女のからは甘美な香りが漂い、俺はその香りに引き寄せられるように、まるで蝶が蜜を求めて羽を休めるように、キャミを静かに脱いで彼女に身を寄せた。
はぐられた掛け布団をそのままに、仰向けで目を閉じた俺を下にして彼女は俺に自らを重ねた… 俺のオデコに彼女の唇を感じると同時に彼女のキャミを脱ぐ音が聞こえた。
再び彼女が俺に自らを重ねた時、俺の震える唇をしずめるよに彼女の唇が覆いつくした… 彼女の髪が俺の両側に垂れ下がり彼女が動く度に俺の両頬を掠め刺激する。
俺の両肩に添えられた彼女の両手は、俺との口付けを継続しつつ、肩から少しずつ腕を伝い下へ下がると、俺の喉まで「あぁ…」と、声にならない唸り声を出させる。
自らの唇で俺の唇を開く彼女の舌が俺の中へと滑り込むと、ゆっくりと俺の舌へ彼女の舌が絡み、彼女の唾液と俺の唾液が絡み下に居る俺の喉を潤す。
彼女の両手はゆっくりと、俺の腕を滑り降りると指先からそのまま腰へ移り、両太ももに中指を滑らせるように円を描き、そして予期出来ない場所へ次々に指を移動させ、俺に「あぁ…」と、全身をビクつかせた。
俺の両脚は少しずつ開かれ、彼女の腹部をパンティー越しに恥骨に感じながらも、彼女の指は休むことをせず俺の肌を踊るように滑り、それに反応するように身悶えを左右に小刻みさせる俺の身体は「プルプル」と、女の揺れを空気に伝える。
彼女の唇が俺から離れると、吸盤のように首筋に吸い付くと中から「ネットリ」とした舌先が出て来て、俺の肌を舐め回しながら少しずつ下へと降り進む。
そして彼女の愛撫に耐え切れず、両手を広げ布団のシーツを鷲掴みに爪を立てる… 俺の開かれた両脚を膝立させた彼女の両手が、太ももを下から掬い上げるように撫で回し、えも言えぬ這わされる彼女の手の感触に「ああぅ」「ああぅ」と、俺の首は小刻みに左右に振られる。
首筋から吸い付きながら移動する彼女の唇と舌は、鎖骨の上を通過した時、俺の太ももを撫で回す彼女の両手が「スゥーッ」と、離れたと思うと、俺のBカップの胸を下から上へと押し上げるように揉見回した。
生まれて初めて他人から受ける愛撫は俺を心の底から蕩けさせ、豊胸したBカップの胸は「女」の証しである、揉まれる「心地良さ」を満遍なく俺の全身に伝え、愛撫される快感(しげき)から心地よさに浸らせた。
そして俺は全身を「ああああぅ…」「あひっ」「ああああぅ…」「あひっ」「ああああぅ…」と、何度も仰け反らせ「快感」と「心地よさ」の二つを同時に彼女から与えられた。
俺の硬くなった乳首を「コロコロ」と転がす彼女の舌と同時に「チュゥー!」と、吸い付く彼女の唇で、俺は「あっ、あっ」「あひっ」「あっ、あっ」「あひっ」「あっ、あっ」「あひっ」と、激しく仰け反りながら全身を左右に振った。
自分のパンティーが「グショグショ」になっていることも気付かずに、俺は只管「あひっ」「ぅあっ!」「うんっ…」と、叫びにも似た、ありったけの恥ずかしい声を彼女に聞かせた。
彼女の愛撫は止まることを知らず、俺のヨガリ声と全身の反応が変化する度に激しくなり、俺の右乳首は彼女に抓まれ左から離れた彼女の唇は、俺の左腕を持ち上げると突然、脇の下に! 「あひっ」「あひっ」「あひっ」と、くすぐったさの中から信じられないほどの快感が押し寄せた時、俺は重なった彼女の身体を持ち上げるほどに絶叫を繰り返した。
左から右の脇の下と移った彼女の舌は「チュゥーチュゥー」と、音を立てると狂いそうなほどに身悶えする俺から「はひぃ…」「はひぃ…」と、叫ぶように無意識に出る俺の恥ずかしい声。
彼女の舌が唇が俺の肌を這う度に、俺から狂喜とも取れるような激しい歓喜な声が発し、それに答えるように彼女の手と口が慌しく動きを増し、俺は遂に「はひぃ…」「はひぃ…」「はひぃ…」「いぅくぅ…」と、全身を「ひくひく」痙攣させた。
俺のパンティーの中に「ドクドクドクドク」と、俺の中から発射された精液が行き場を失って、溢れ生暖かい温度は俺の嫌悪感を与えた。
俺の声を聞いた彼女は一瞬、俺から離れたものの直ぐに、俺の胸に貪りついて「はうっ!」「はぁん」「ぅぅん!」と、俺の首を左右に振らせ、俺の上から身体を避けると精液で「ドロドロ」になった俺のパンティーの上から、再び硬くなって「ゴリゴリ」になった俺のペニスを、右手で鷲掴みするとそのまま「グニュグニュ」と、上下させ俺に「はうっ!」「はっはっ…」「はっはっ…」と、腰を強く振らさせた。
俺のパンティーから「けちゃ! くちゃ! にゅちゃ!」と、パンティーから滲み出た精液と彼女の手が擦れる音が聞こえ、俺を頬を紅く染めるほどに辱め、その辱めが快感になって俺のペニスをドンドン大きく硬くさせた。
胸を吸われ揉まれながら、精液塗れのパンティーの上から扱かれる俺は「女の喜び」と「男の喜び」を同時に彼女によって味あわされていた。
揉まれる右胸と吸われる左乳首、そして扱かれる硬いペニスの三点責めは、俺にとって予想のつかない「とてつもない」快楽を与え再び「はひぃ…」「はひぃ…」「いぅくぅ…」と、叫んだ俺はパンティーの中に二度目の射精をした。
それでも止まることのない彼女の愛撫に「もぅ… もう… もう許して… お願いよぉ! ゆ… 許してぇー!」と、無意識に彼女に哀願していた俺に彼女は無言で、精液で「ドロドロ」になったパンティーを「ズリュッ! バサッ!」と、剥ぎ取ると彼女は突然「体位」を替え、俺の顔の上に自らの陰部を晒し、俺の精液で「ドロドロ」になったペニスに貪りついた!
がぼ(っ)と、突然ペニスを銜えられた俺は「くうぅぅぅーーー!」と、全身を捩り首を一杯に上に伸ばし、顔を左右に繰り返し振った…「じゅるじゅる、じゅるじゅるじゅるー じゅるじゅるじゅるー」と、ペニスに貪りついた彼女の口から激しい音が聞こえた瞬間、俺は「く…あん」と、全身を仰け反らせ息を止めた。
ちゅぱちゅぱ… ちゅぼちゅぼ… ちろちろ… 彼女の舌が俺のペニスを絡みつき唇を滑らせれば「はひぃ…」「はひぃ…」「はひぃーー!!」と、左へ右へと身体を捻る俺の頭の中は真っ白な靄に包まれた。
彼女のフェラチオで身悶えを繰り返す俺は、失神寸前にまで追い込まれていた所へ「ポタッ! ヌル… ポタッ! ヌル…」と、俺の頬に何か粘液のような物が滴り落ちて来て、無意識に口元に滴り落ちた粘液を舌舐め擦りして舐め取るものの、薄い塩分と生臭さの中に甘味な香りが俺の口の中に広がった。
俺は彼女からのフェラチオに身悶えして仰け反りながらも、必死で俺の顔を覆う彼女の尻に両手を回し口を大きく開き、舌先を「これでもか!」と、言わんばかりに伸ばし目を閉じたまま、首を真っ直ぐ上に伸ばした瞬間「ニュリュゥー」と、彼女の割目に舌が当たり、俺の口の両端に「サラサラ」した彼女の陰毛が心地よく当たった。
彼女の割目の中は粘度を伴った愛液が溢れ、中に入った俺の舌先に伝わり彼女の愛液を俺の口の中へと伝わり落とした… 首を「クイッ!」と、上に押し上げ割目の中に舌を「グニュ!」と、入れた瞬間、彼女は「あひっ」と、驚いたように尻を「ピクッ!」と、上に跳ね上げ、俺が舌を割目の中で「ニュルニュルッ!」と、前後させると彼女は、俺を貪りながら「はぁ…あっ…」と、尻を左右に微動させた。
俺は「もっと中に入りたい!」と、瞬間「うぐぅ!」と、俺の上にいる彼女の身体を下に、俺が彼女の上へと体位を替えると彼女にペニスを銜えられたまま、彼女の「プリンプリン」した太ももを両手で開いて、彼女の割目に両手の親指を添えると左右に広げ「チュゥー! レロレロレロ!」と「ムシャブリ」付きながら彼女の中を味わった。
彼女の中に俺の舌先は体温を優しく感じ、暗闇で見えないまでも「ネットリ」と、舌先に「クリーム」のような粘液を絡め、それを舐め取り飲み込むと強い塩分と蜜のような甘い香りが口いっぱい広がった。
二人は身を捩り恥ずかしい声を互いに奏でながら、全身を「ビク付かせ」終わることのない求め合いを続けたが、俺は彼女のフェラチオの所為で全身に走る電流に耐え切れず「はひぃ…」「はひぃ…」「はひぃ…」「いぅくぅ…」3発目の射精を彼女の口の中にそのまますると「ごくっ! ごく!」と、彼女は無言のまま、俺の精液を飲み干す音を俺の耳に届けた。
3発目の射精を終えたものの、彼女は縮んで来た俺のペニスを口に入れたまま両手を俺の腰に這わせ、離れようとはせず、俺もまたそんな彼女の割目を只管舐め続けていると、彼女は突然、首を振って俺のペニスに再びムシャブリ付いた。
彼女の口の中で3発目を射精した俺だったが、長い間していなかったオナニーの所為か俺のペニスは再び大きく硬くなって彼女の首振りを止めさせた。
そして二人は互いの陰部を舐めあい貪りあっていたが、俺の中に「彼女の胸…」そんな「モヤモヤ」が生まれ、俺は彼女の口から下半身をゆっくり引き離す素振りを見せながら「スウゥー」と、ペニスを抜くと彼女の頭の方へ体位を変え「グッタリ」する彼女の両胸を下から上に回すように揉み始めた… 彼女は俺の下で目を閉じ「ウットリ」するようにペニスへの愛撫で疲れた身体を休め始めた。
Cカップの天然の胸は、作り物の俺の胸とは違っていて、仰向けの彼女胸元から上下左右に均等に流れ、それを両手で集めるように揉みまわしては、彼女から聞こえる「ああああぅ…」と言う声に「本物の女」を感じる俺だったが「ピンッ!」と、立った彼女の乳首に唇を寄せ吸い付きながら、舌先で「コロコロ」と、乳首を回すと「あっ、あっ」「あっ、あっ」と、俺の耳に心地いい「女の愛らしい声」が届けられた。
彼女の胸元から漂う切ないほどの甘美な香りは、俺から「女」を奪い「男」のように甘美な香りに誘われるまま、彼女の肌を「獣」のように貪り、彼女同様に胸から脇の下、そして脇の下から耳、耳から背中へと慌しく彼女の身体を舐め尽した。
彼女は俺の下手糞な愛撫にも関らず、ヨガリ身悶えして柔らかい身体をクネらせ「はう…」「はぁん」「はぁ…あっ…」と、可愛らしい声を出し続け、俺の中の「男」の部分に言葉にならない何かを塗りこんでいった。
そして俺が彼女の両脚を大きく開いた時だった… 彼女の割目からは異様な程の愛液が溢れていたのを舌先で感じた俺に、彼女は突然「入って来て! 私の中に! 私の中に! 私の中に入って来て!」と、俺に下から発せられた彼女の声に「え!」と、躊躇している俺に、彼女が再び「早く! 早くして! 今しか! 今しかないから! 早く入って来てえぇー!」と、何かを覚悟したかのような彼女の叫びに、俺は彼女の両脚を「クイッ!」と、持ち上げると、右手で硬く撓ったペニスを持ち、彼女の割目に「ムリュムリュムリュー!」と、腰を落とした。
俺が彼女の中にペニスを入れた瞬間、彼女は閉じていた目を大きく見開き「いぎぃ…」と、女の悲しい唸り声を上げ「痛ーーい! 痛ーーい!」と、口を窄め、それを見た俺が「抜こう!」とした瞬間「抜かないでえぇー! 抜かないでぇー! このまま… このままもっと奥まできてえぇぇー!」と、痛みに顔を歪め物凄い気迫で俺に促した。
俺が少しずつ彼女の奥に入ると彼女は「痛ーーい! 痛い!」と、涙ながらに叫び続けるも俺の背中に爪を立て「腰を! 腰を振るのよ! 早く! 早くー! 腰を振ってー!」と、怯む俺に命令し、俺は訳が解からないまま「パン! パン! パンッ!」と、彼女の中にペニスを根元までいれ、生まれて初めて「男」として「女」の感触をペニスで感じた。
俺の背中に爪を立てる彼女は痛みに耐え切れず、顔を歪め涙を流して唇を振るわせた… そんな彼女を見た瞬間、俺の中に突然「男」が再び姿を現し、痛みに「いぎぃ…」と辛そうな唸り声を出す彼女を見て「なんて可愛いんだ… これが女なんだ… 俺は今、目の前の女の中に入っているんだ!」と、思った瞬間、彼女の「痛い!」と、言う声は俺の耳には届かないようになって「パンッ! パンッ! パンッ! パパパパパパアァーン!」と、激しく腰を振って「女」の感触を「男」として楽しんでいた。
腰を振れば振っただけ、強弱付ければ付けただけ、彼女の胸は「プルプルプル」と揺れ、溶け落ちそうな彼女の太ももと尻は俺の手の平の中で激しく「女」の柔肌を伝え、そして俺は、痛がる彼女を省みることなく只管、彼女の中でペニスを前後させると4発目を彼女の中に発射した! 発射して暫くは腰を前後させていた俺だったが「ハッ!」と、我に返って動きを止めた時、彼女は俺の肩を抱いた… 彼女の胸と俺の胸の二つがが「ムニュムニュムニュ」と、彼女と俺の間に密着した時、彼女は俺に「私ねぇ、処女だったの… アナタに上げようって子供の時から決めてたの…」と、薄っすらと笑みを浮かべると目を閉じた。
俺が彼女から離れた時、布団の純白のシーツは鮮血に染まっていた… そして彼女の俺に対する想いを感じた時、俺は獣のように彼女の中を前後したことを深く悔いた。
そして眠りについて目がさめた時、俺は彼女の口から真実を告げられた……
16話
純白を赤く染めた鮮血の痕跡を隣に見ながら、彼女と俺は一つの布団で白い障子の向こうに薄っすらと朝を感じていた。
俺の肌へと直接伝わる彼女の温もりが心地いい布団の中は、彼女から漂う甘い女の香りと真傍に感じる彼女の髪の匂いで俺を再び、夢の中へと引き込みそうになる。
俺の胸に頬を寄せる彼女と、彼女の吐息を感じる俺の乳房は、その部分だけが「ホンノリ」と熱を帯び、時折寝返りを打つように俺の乳房の上を彼女の頬が移動し肌に彼女の感触を感じれば、それを抱き寄せるように俺の左腕が彼女の背中を覆う。
そんな中で彼女は耳を澄まさなければ聞こえないほどに小さな声で語り始めた… 彼女は語りながら、まるで子供が母親の乳房を捜すように俺の右胸に左手を這わした。
彼女は子守唄を唄うような口調で止まることなく話し続け、途中何度も唇を振るわせる涙声になりながらも、俺に真相を伝え終えた。
彼女の話しを聞き終えた俺は、彼女と二人抱き合って涙し互いの身体を揺らし合った… 彼女を下に互いの胸をスリ合わせるように上へ下へと全身を使って揺すれば時折、互いの乳首が当たり擦れて「ビクゥッン!」と、弾けるように彼女は仰け反り俺は海老ぞった。
二人の愛の形が二人に「はぁ…あっ…」と、同じ鳴き声を奏でさせた… 揺れる互いの乳房… 振り乱れ絡み合う二人の髪の毛… 下の彼女に両脚を開かせ互いの陰毛を滑らせては、乳房をと交互に上下に動かし乳首が触れ合った瞬間「はひぃ…」「ああああぅ…」二人から放たれ漏れる喜びの詩。
そして「きてえぇー! 私の… 私の中へ… 私の中へきてえぇぇー!」と、彼女に囁かれた瞬間、俺は彼女の中へと我が身を沈めた… 俺が入った瞬間、彼女は「ぅあっ!」「いぎぃ…」と、未だ癒ぬ痛みに唇を噛み締め俺の背中を抱きしめた。
俺は彼女と「一つになった」喜びを二度目にして手に入れた…… そして俺と彼女のセックスは「男とも女とも付かない俺」と「女とも男とも付かない」彼女との奇妙な愛の形を育んだ。
【真実】
彼女は整形外科医の父親の下、女ばかり姉妹の末っ子として生まれ、跡継ぎに恵まれず生まれながらにして俺とは間逆に、男の子として育てられたものの、彼女が5歳の時、念願の男の子が両親に授けられた。
そして女でありながら男の形をさせているのはと、悔いた両親は彼女から男の子の服も何もかもを取り上げ、途中から女の子として育てようと試みるものの、幼い彼女にはそれが理解できずに病床へとつながったと言う。
このままではと、彼女の身を案じた両親は車で何時間も掛かる、あの街に家を買い子供の居ない妹夫婦を住まわせ、彼女の面倒を頼んだと言う。
俺が彼女の両親だと思っていたのは、彼女の叔母さんだったらしく、田舎へ来て「俺」と巡り合ったことで彼女の病状も回復し、小学校へ入学するも途中から彼女は自分の「性」を表向きは認識し始めたと言う。
そして、彼女は自分が引っ越すことも事前に知らされぬまま突然、叔母夫婦に連れられ「おの日」俺の前から姿を消すことになったと言う。
そして表向きは自らの「性」を「女」と、認識し家族の前でも女の子として「振舞った」ものの彼女の中では「俺は女じゃない!」と言う思いが依然として消えることはなかったと言う。
更に歳月が流れ彼女が中学へ入学した頃のこと、彼女は「ハッキリ」と認識した出来事があったと言う… 中学で同じクラスの子を好きになったものの、それは自らの「性」と「同様」の「女生徒」だったと言う。
彼女は自らが「性同一性障害」だと認識したと言う… そんな彼女の中では常に「俺は男だ!」と言う認識も消えぬままに、彼女を苦しめていたのが彼女の記憶に残り続けていた『私ねぇ♪ 大きくなったら○○君のお嫁さんになりたい』と、言った『オカッパ頭で赤いスカートと靴』を履いた俺だったと言う。
彼女は当時、俺が男だとは気付かず小学校へ入学して暫くしてから、俺が男だと言うことを知ったと言うものの、俺のことが忘れられずに長い年月を苦しみ続けたと言う。
そして彼女は「性同一性障害者」との認識を持ちながら高校、そして医学部へと道を求めと語り終えた… そんな彼女に俺は「一つだけ抱いていた疑問」を、彼女に伝えた… 俺が豊胸の手術を受け終えた時に感じた彼女の匂いを彼女に伝えると、彼女は俺に背中を向けて出て行った「執刀医」が「自分」だと認めた。
更に俺が手術を受けたのは、彼女が医師として勤務する彼女の父親の病院だったと言い、探偵を使って俺を探していたことや、俺が派遣労働から外れ行き場を失ったことまで事前に知っていたと言う。
彼女と俺が暮らしているマンションは父親から借りた物で、俺を探すのに給料を殆ど費やした彼女は無一文になり二年間の約束で借りたと言う。
あの高級リムジンは病院で所有するもので彼女の物ではないこと、この旅館も元々は病院で保養施設として利用していることと、女将さんが病院の患者さんだったこと。
彼女は俺の知りたいことを全て打ち明けてくれ、俺は最後に彼女に一番聞きたいことがあると、俺の腕の中にいる彼女に「私のこと… 愛してる…?」と、小さなキスをしてから彼女の目を見る俺に、彼女は「バカねぇ… 愛してない人にバージンあげる人いると思う?」と、彼女は頬を紅く染めた。
彼女との愛を確認し、一週間の旅行に終止符を打ち旅館を後にした俺を驚かせる出来事が… 丁度帰りの高速道路で尿意を催した俺は車をパーキングに止めさせ、スカートの裾を振り乱し走っていると、後ろから「バタバタバタ」と、革靴を履いた運転手とサングラスの男が俺の跡を付いて来た。
あの人たちもかと、振り替えり微笑んでいると「お先いぃー!」と、走った男達二人の入り口を見た俺が「ソコ! 違う、隣だよ隣だよ!」と、大声で静止するも、男達は「女子トイレに」に駆け込んでしまった。
俺は「大変なことになる!」と、心配しながら恐る恐るトイレの中に入ると…「いゃぁースッキリしたわー!」と、男達が女子トイレから出てきて、俺と顔を見合わせた瞬間だった、たまたま中に入ってきた他人がトイレに来て男達を見た瞬間「キャァー!」と、悲鳴を上げて出ていってしまった。
そして慌てた二人の男達は「違ーう! 俺たちは女だあぁー!」と、叫んで出ていった女性をおいかけて走り去ってしまった。
残された俺が、オロオロしてると後から来た彼女が「あの二人は女の子だからね♪」と、俺にニッコリ微笑むとトイレに入ってしまった。
俺が男だと思っていたのは「性同一性障害」と、認定された彼女の大学時代の後輩だったが、彼らは彼女に自分達の素性は伏せてくれと頼んでいたらしく、逆に俺が男だと言うことは知らなかったらしかったらしい。
帰りの車の中は声が外に漏れるほど賑やかなドライブだった…… そして俺と彼女はマイホームへ無事に戻り新しい生活を始めた。
女の身体なのに心は男の彼女と、男の身体なのに心は女の俺が、この後めでたくゴールインしたのは解かってもらえると思うが、俺は結婚後も性転換せずに「玉をぶら下げたまま」女として「新妻(しゅふ)」として暮らしているし、彼女は毎月一度の生理を繰り返しながら「男」として暮らしている。
俺と彼女の家には男ものの衣類は1枚もなく、あるのは女物ばかり… 表札だって、俺が婿養子になったから彼女と同じ苗字になったしとし合わせ一杯の俺たちだ。
ただ、ちょっと困ったことがある、と言うのは彼女の弟であり病院の跡継ぎである長男なんだが、彼は医大では成績も優秀らしいんだが、白いストッキングを履いて白衣で大学に通学していると言う。
将来は性転換したいと父親に言ってるようだが、さてさてどうなるのか……
【新妻Ⅲ・完結】
2019年7月9日火曜日
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