◆◆◆◆◆1話
「○○君! 勘違いしないでくれたまえ! 私だって好きでやっている訳ではないんだ!!」
と、俺の背後の両脇から手を回してブラウス越しに両胸で揉む課長。
俺は、この銀行に入社して今年で3年目の総務部の列記とした係長なのだが、
近年の不況の煽りを受けて、派遣会社から大量に受け入れていた女子の派遣社員を切って、
会社を立て直すべく、各部署から召集されし身長165センチ前後の小柄な男たちは、
通勤する時は背広で勤務する時は、スーツスカートにパンストを履きブラウスにリボンに
ローヒールのサンダル姿で、午前と午後に分かれて、店内に来る客達に背を向けて
仕事をしているフリをする仕事をしている。
業績悪化か連日報道され、金融不安から顧客離れを防ぐ対策として、派遣社員の替わりに
比較的小柄な男性社員たちが、女装してあたかも、ここでは業績は悪化していないと言う
奇策とも取れるアピール作戦に出たのであった。
そして、総務部の係長である俺も招集された中の一人として、女子社員から女の心得を学び
歩き方から、立ち座りに至るまでを毎日数時間勉強して、華々しく店内にデビューしたのが
2週間前なんだが、何かギコチ無いと言う、俺を指摘した女が居たらしく、そして俺は
その日から毎日、毎朝のように一人会議室に呼ばれては、ホモと噂される人事部長の
餌食として、背後から胸を揉まれ続けている。
人事部長曰く!!
「女になりきれないのは、女の気持ちに成り切れていない所為である!」 と、人事部長。
俺に対して普通ならセクハラとも取れるような行動を、研修や勉強と言う名のごとく…
「さあー! 女になるのだ! 女の心になるのだ!」 と、ブラウスの上から乳を揉む部長。
最初は、ブラウスの上に手をかけるだけだった、人事部長も次第にエスカレートし
両胸を揉むようになり、デスクワーク用の椅子から背凭れ無しの椅子に替えられたと思うと
なにやら背中に当る硬い物、内心これは!と思いながらも抵抗出来ずに耐えるのは女心。
何度かブラウスのボタンを外されそうになるものの、何とか危機を脱した俺だったが
俺を嫌いな女性社員が居て、部長にある事ない事を耳打ちしてるらしく、ホモの部長も
それをいいことに、ここぞとばかりにホモダチの和を広げようと画策していた。
今朝なんぞは、俺のウナジにフ~ッと熱い息を吹きかけて来る始末で、会議室なのに
ドアに鍵まで掛けてくるほど熱心な部長だった。
午前中は女装して顧客の目を騙し続け、午後からは減少傾向にある客離れを防ぐべく
奮闘する日々を繰り返している。
まぁ~ 楽と言えば楽だし、女装に使う衣類は全て会社負担と言うこともあって慣れれば
どうってことのない死後となんだが、経費削減で冷房も温度を上げられ25度設定で
暑くて耐えられないでいると、本物の女子社員たちがチョッキを脱ぎ始めたことで、
俺達は窮地に追い込まれたのだ。
俺もチョッキを脱ごうとすると、危険を察知した女子社員が俺に咄嗟に耳打ちした一言。
「係長! チョッキを脱いだら肌着が透けて見えちゃいますよ!」 と、慌てる女子社員。
俺達、特命班には翌日からブラジャーとスリップが支給された…
顔は慣れない化粧で肌荒れを起し始めていた…
頭はカツラの所為で拷問のようだった…
俺、どうなっちゃうんだろう…
◆◆◆◆◆2話
何もしなくてもいいとは言え、流石に着慣れない女物を着て3時間は辛い!
フロントから入り口に掛けては客が椅子に座って或いは、立って見ているから下手な動きも
顔を見られるとヤバいから出来ないし、かと言って何かしようにも実際、俺のデスクには
何一つ入っていないし、兎に角何もしないでいるのは辛い。
パソコンのモニターにも横にカバーが付けられているとは言うものの、周りの男どもの
目もあって、ネットも出来ないときているし、まぁ~ もっとも電源は入っていないのだが。
モニターに向かっていると、いろんなことを頭に浮かんで来る…
俺のこと楽でいいな~ なんて思ってる奴もいるだろうし、気持ち悪いと思っている奴も
当然いるだろうが、俺の外回りの時間まで残り30分、この30分が長いのだ。
ジッとしていると陰部が蒸れて痒くてたまらん!
スカートだから立ち上がった時にゴワゴワしてても妙だと言うことで、幼少期以来のブリーフ
嫌だったが買ってしまった。
流石にブリーフまでは会社には要求できんしなぁ~ トホホだよ。
これが、本店じゃなく支店だったら、こんな事もないんだろうが本店勤務だし…
話しは替わるが、今朝も部長に呼び出された会議室、お決まりのパターンだったんだが、
俺としたことがとんでもないことをしてしまった。
後に立った部長は、いつもの事なんだが俺の両肩に手を置くと軽くポンポンと手の平で
叩くと、置いた両手をジワジワと滑らせて両胸の辺りに手が滑り降りた。
俺がバカだった…
「おぉ! 今朝は… そっか♪ そっかぁ~♪」 と、何やら微笑する部長。
目を閉じて会議机を向いていると…
「そっか、そっか~♪ ムフフフ♪」 と、俺の胸元に右手を入れて来た部長。
時間ギリギリに出勤して来た俺は女装の時に、うっかり襟元のボタンを閉め忘れ
そのまま、気付くこともなく会議室に来てしまったのだ。
それを椅子に座り目を閉じて俯く俺を、部長は勘違いしたようだった…
毎日のようにホモ部長から受けるセクハラの日々、今日に限って胸元を開けておいたら部長も
勘違いすると言うものだろう。
部長は俺の背中に硬くなった物を押し付け、左手で俺の左手首を握るとスルスルッと、
右手をスリップの上に這わせて来た。
一瞬驚いて身体をビクッンとさせてしまった俺に…
「大丈夫だから~♪ 心配しないで~♪ 子猫ちゃん~♪」 と、薄気味悪いホモ部長。
部長の手がスリップの下のブラの端を指でピラピラと弄ぶと、スッと俺の左胸に手が…
「ビクンッ!」 と、部長の手が一瞬、俺の乳首に触れたことで身体を強張らせた。
来る! 俺がそう思って心で防御していると、スッと部長の手は俺の胸から離れた…
「おっ! こりゃこりゃ、すまん!」 と、間違えて入ったように振舞うホモ部長。
部長はそう言うと、俺の側を離れ会議室を出て行ったが、男に胸を触られたショックは
大きく俺のプライドを傷つけた。
呆然としながら胸元のボタンを直していると、会議室のドアが開いて床を叩くヒールの音が
室内に響き、うしろに気配を感じて一番上のボタンを閉じながら振り向くいた。
「お楽しみのようね~♪」 と、微笑んだ女係長。
この女こそが、俺のことをマイナス評価してホモ部長を唆した、俺の同期で女の係長は、
入社以来何かにつけて、俺の仕事を妨害し、社内中に俺の悪口を吹聴しているバカ女。
「中々、お似合いよ~♪ ウッフフフフ~♪」 と、俺を挑発する女係長。
流石に頭に来た俺は、女係長の前に仁王立ちすると…
「ダメねぇ~ ボタン半分しか入ってないわよ~♪」 と、俺のボタンを直した女係長。
女係長は、俺のボタンを直すと無言で会議室を出て行った…
◆◆◆◆◆3話
「女の気持ちになっておらんから! あんなガニ股で歩いてしまうんだ!」
朝から、例の会議室で俺の後から両肩に手を置いて俺を叱責する、部長。
「今日からこれを履きなさい! これを履けば少しはガニ股も治るかも知れん!」
と、後から俺の前の会議テーブルに部長が投げ置いた紙袋。
また、あの女係長がなにやら入れ知恵したらしい…
俺はガニ股ではないし、他の特命班の連中だって誰一人としてガニ股なんぞいないはずだ。
スーツスカート姿の俺は、部長が置いた紙袋を開けて中の物を取り出すと、絶句した。
「それは私からのプレゼントだ! ムフフフフ♪」 と、後で笑みする部長。
白いレースの女物のパンツが3枚入っていた…
「こ!これを僕に履けと言うんですか! 部長!!」 と、肩を震わせて低い声の俺。
「そうだ! それを履いて直すべきところは直してもらう!」 と、強気の部長。
両肘をテーブルで立てて両手を組んで、額に当てて考えていると襟元がモゾモゾ
し始めたが、俺の頭の中はパニックになっていて、それどころではなかった。
「こんな物を俺に履けと言うのか!! どうなってんだ!! いい加減にしてくれ!」
俺は、心の中で部長にも女係長にも叫び怒りが頂点にたっしていた。
「ビクゥンッ!!」 俺は、突然無意識に身体が反応した。
気付けば、襟のボタンを外され左胸の中に部長の手が入っていた…
モゾモゾと胸の下着の中に侵入して来た部長の右手は、俺の左胸を覆い尽くしていた。
俺は蛇に睨まれたかえるのうに身動きが取れなかった…
「恐がることはない… はぁはぁはぁ~♪ はぁはぁはぁ~♪」 突然、息を荒くした部長。
咄嗟に俺は…
「部長! パンツ取り替えます!」 と、少し大きめの声を発した。
すると、部長はビックっとしたように手を引っ込めて俺から少し離れて…
「う! あ! あぁ! そ! そうだな!」 と、声を上擦らせた。
「こんなもん! 履けるか! バカ野朗!!」 と、心の中で部長に叫んだ俺だった。
会議室から出て行った部長と入れ替わるように入って来たのは特命班の同僚だった。
「おい! 気をつけろ、お前部長に狙われてるぞ!」 と、女装姿で真横に座った同僚。
「あぁ、今も胸に手を入れられてたとこだよ!」 と、身体を震わせて話す俺。
「そうかー、遂にそこまで来たかぁー!」 と、腕組して俺の方を向く同僚。
「こんなもん履けとよ! 俺に!」 と、部長が持って来た女のパンツを指差した俺。
「あぁ、部長は女装子のゲイが好きだからな!」 と、真剣な眼差しでパンツを見る同僚。
「裏で糸を引いてるのは、女係長の○○だ!」 と、低い声で語る俺。
「あぁ、知ってるよ、お前アイツに嫌われてるしな!」 と、パンツを手に苦笑する同僚。
「だが、お前はまだいい方だよ、二課の○○なんか、スカートに手を入れられたらしい」
と、眉を顰めて話す同僚。
「でっ! どうなったんだ?」 と、深呼吸する俺。
「あぁ、扱かれたそうだよ… 30分間も…」 と、腕組して俯く同僚。
「イッたのか?」 と、低い声の俺。
「あぁ… スカートとパンスト履いたままでブリーフの中でな!」 と、怪訝そうな同僚。
「元々、この特命班の企画は部長が立てたものらしいし、集められた男共は全員が部長の
好みの奴らばかりらしいぞ!」 と、座っている椅子を前後に揺らす同僚。
「やっぱりそうか… 妙だとは思ったよ!」 小声の俺。
「次期に俺らも部長のオモチャにされるだろうなぁ~」 と、大きく後に仰け反った同僚。
「そんな馬鹿な話しって!」 と、会議テーブルを両手で平手打ちした俺。
「オマケに部長は、特命班を一つの部署として重役達に働きかけているらしい」 と、同僚。
「なに?! そ! そんな馬鹿な!?」 と、身体を震わせる俺。
「馬鹿も何も部署として申請が出てると常務の秘書からの情報だよ」 と、同僚。
「じゃぁ、俺達は一生もこのまま女装して働くのか?」 と、同僚を見る俺。
「いや、部長がオモチャにして飽きるまでだろう…」 と、俺の顔を見る同僚。
「飽きるって?」 と、同僚に質問する俺。
「いや、だから、その、何だよ、ヤラれて飽きるまでだよ」 と、口を窄める同僚。
「ヤラれる?!」 と、顔を歪める俺。
「あぁ、部長に散々味見されてヤラれて飽きるまでだよ!」 と、テーブルに項垂れる同僚。
「下手すりゃー 部長の部下にされて定年までオモチャにされるかもな」 と、小声の同僚。
「部長の部下だって!?」 と、息を飲む俺。
「あぁ、それも散々、ゲイの訓練させられて女装子のままで、毎日部長のオモチャにさせられ
下手すりゃー 部長のことだから自宅にまで連れ込んで、考えたくねえが、過去にも
俺の同僚で、部長に自宅で無理矢理犯されたやつ身二人いるんだよ」 と、強張る同僚。
「まぁ、そん時は特命班なんてなかったから、背広のまんま脱がされてだろな…」と、同僚。
「何で逃げなかったんだ!」 と、隣を向く俺。
「薬だよ! 酒に睡眠薬入れられて気付いた時はバージン損失で、縛られてたらしいし」
と、頬を引き攣らせる同僚。
「さてと、行くかな… また、窮屈な午前の勤務が待ってる!」 と、立ち上がった同僚。
同僚は立ち眩みを起したようだった……
◆◆◆◆◆4話
犯られる前に何とかしなきゃ! 俺は意を決して常務に直談判を思いついた。
喰うか喰われるかではないが、俺は女装から男姿へと着替え重役達の居る階へと向かった。
一般社員が行けるのは7階までだから、8階以上は重役専用エレベーターで行くしかないが、
さてさてどうしたもんか、一階店舗の逆側の隙間で重役専用エレベーターの様子を覗うと
書類を持った女子社員たちが乗り込む様子が目に飛び込んで来た。
そうか! その手があった!
エレベーターに乗り込む秘書課の連中を見ていた俺は早速、元の女装姿に戻りいつものように
化粧しロングのカツラを装着すると、付近に社員たちが居なくなるのを目掛けて駆け込んだ。
その時だった!
「モシモシ? 何処の部署の方ですか? ここは秘書課しか使えませんよ?」 と、警備員。
俺はギョッとした! 忘れていたのだ、警備員の存在を…
その時だった! 数人の秘書課の女共がワイワイ話しながらやってきてエレベーターに
乗込んで来た瞬間、俺も合流したかのように見せかけてエレベーターに乗込むと、
警備員は納得したような顔をして、その場を離れた。
「俺ってもしかして本当に女に見えるのか?!」 と、内心俯いて思う俺だった。
秘書課の連中は役員達の陰口に徹していて、俺の存在にすら疑問を持とうともしなかった。
一人、また一人と8階を過ぎた辺りから降りて行き、常務の居る15階になると俺一人になった。
俺は幸いとばかりに、15階でエレベーターを降り廊下に出ることに成功した。
さすがは常務のいる15階は閑散としていて、物音一つせずに静まり返っていて、俺の歩く
ヒールの音だけが、コツコツコツと長い廊下に響き渡っていた。
俺は入社当時に貰ったパンフレットに出ていた、重役たちの居場所が書いてある案内を
思い出しながらドアを探して歩いていた。
俺達には縁の無い重役たちの階層は普段から無縁の地として知られていて、
課長クラスでも、滅多に立ち入ることのない雲の上の聖地だった。
そんな時だった!! 前の方からこっちに向かいながら男たちの話し声が聞こえて来た!
俺は慌てて隠れる場所を探したが、壁と大きなドアばかりで他には何もない。
あちこちを見回して男たちの方へ数メートル歩くと、右側に何かのドアがあって
俺は咄嗟にそこへ入って気付いたのは、トイレだった。
男たちの声がトイレのドアの向う側に聞こえ立ち止まった!
ヤバい! 入って来る! 俺は要を足すフリして男性トイレの前に立った瞬間、自分が
女装していることに気付いて、慌てて大用の方へと逃げ込んだ。
幸い男たちはトイレには入って来ず、ホッと一安心して胸を撫で降ろしていると…
「ふうぅ~ 誰か知らんが行ったようだな~」 と、誰かの声が聞こえた。
「えぇ~♪ 驚いちゃったわぁ~♪」 と、聞き覚えのある声。
俺が、息を殺してジッしていると…
「パチッ! パシッ! パシッ! ペタ! ペタ! ペタ!」 と、妙な音が聞こえた。
すると…
「常務~♪ いっちゃう! いっちゃうわぁ~♪ おいで! さぁー! おいでー!!」
と、二人の男達が何やら、はぁはぁはぁはぁと言う洗い息を出して語り始めた。
そして…
「パンッ! パンッ! パンッ! パパパパパパッ! イクうぅー!!」 と、叫ぶ誰か。
「○○君! 今朝は激しかったなぁ~!」 と、誰かの話す声。
「常務こそ! 中々の絞まり具合でステキでしたよぉ~♪」 と、男の声。
「こいつら!」 と、心の中で叫んだ俺。
「ところで、特命班の教育はちゃんとやっているだろうな! ○○君!」 と、カチャカチャ
ベルトの音を立ててズボンを履く常務の声。
「ハ~イ♪ 常務のお影よ♪ これでアタシの夢が叶うわぁ~♪」 と、お釜言葉の部長。
「お前の夢かぁ~ いいなぁー 夢があるってのは! うわっははは♪」 と、常務。
「パパ~♪ アタシのこと捨てたら許さないからねぇ♪」 、完全にお釜な部長の声。
「解っておる! 思えを捨てたら誰がワシの面倒見るんだ? うわっははは♪」 と、常務。
俺は大変な会話を携帯に記録してしまったと怯えた…
二人は、ラブラブな会話をしながらトイレを出て行ってしまった後、特命班はあいつ等の
餌になるために編成されたことをしって強い衝撃を受けた。
人事部長はお釜なゲイで常務はその相手のホモだったことが解ったものの、
この録音を公表すれば、特命班は解散させることができるものの、俺とてタダでは済まず
かと言って、このまま放置すれば次々に、俺の同僚たちは部長に犯られて行くだろうし、
俺だって部長に犯られることはまず間違いない。
どうする! 俺! 考えるんだ! 俺!
そうだ! この事実をもっと上の奴に知らせたら!
いや! 駄目だ! 会社は事実を隠してしまうだろうし…
じゃぁ! 常務に録音を送りつけて特命班を解散するように要求したら!
いや、そしたらあいつ等に、録音した本人が特命班にいることを知らせることになる!
もっと、もっと証明する何かが欲しい! 例えば俺の胸を揉んでいる映像とか…
いや! マズい! 揉まれててジッとしていたら、俺までホモの扱いを受けるじゃないか!
まてよ! だったら常務と部長が愛し合ってる映像なら、誰も傷つくことも無いのでは!
そうだ! ここで見張ってれば何れ二人はここで愛し合うはずだ!
俺はトイレで様々なことを考えたが、結果はでず結局下へと降りて来て、男姿に戻ると
元々の俺の職場である総務へ行き、自分の机のパソコンで携帯から会話データを取り込んで
誰も開けないようにロックを掛けそしてそれわ、いくつかのファイルとして保存した。
二度と巡ってこないかも知れない常務と部長の会話の最終チェックを終え一服しようと、
タバコに火を付けた時だった…
「係長! さっき連絡がありまして総務課長が至急来るようにとの事です」 と、部下の男。
何事だろうと考えながら、真隣の課長室へと向かった…
「他でもないんだが、○○君! 人事部が是非君に来て欲しいと言って来てね」 と、課長。
「何でも人事部長が君の能力を高く評価していて是非、移動して欲しいと申し出があってね
まぁ~ 応じてくれれば係長から課長代理の椅子を用意すると、言っているんだが…」
と、机の前に立つ俺に、顔を曇らせて俺と目を合わせようとしない課長。
「えっ? で、でも人事には○○課長代理がいるじゃないですか?」 と、俺。
「いゃ、何でも彼は一身上の都合とかで月末には退社するらしいんだ…」 と、課長。
「え… でも俺は…」 と、俯く俺。
「○○君、何とか頼むよ! 人事に睨まれたら私も困るのだよ…」 と、困り顔の課長。
課長は知っているのだ、俺が何故、人事へ昇進移動されるのかを…
今の人事の○○課長代理の噂は、一般職の間では知らぬ者もいないほどに有名な話で
仕事帰りに何度も、内股で腰を屈めて歩く姿も目撃されていて、そして何度も痔の病気で
入退院を繰り返していることも有名な話しだ。
俺と違って家庭を持っている○○課長代理は、人事にも逆らえず言いなりになった結果
痔待になり、以前はよく本店の裏の公園で休憩時間に、バレーボールをする姿もあったのに
人事へ、営業1課から移動して数ヶ月もしないうちにその姿は公演から消えた。
どうやら、俺は完全に人事部長に好かれてしまったようだった……
◆◆◆◆◆5話
「転職したほうが良くないか? 常務まで取り込まれてるなら場合によっては専務」
と、俺に話しかける大学時代の友人。
俺は学生時代から一番信頼している友人の家を尋ねていた…
友人は大手玩具メーカに勤務するエリートサラリーマンで、俺とは違い既に課長だったが
多忙と言うこともあって、何度か電話していたものの、やっと会うことが出来たのだった。
友人の勤める会社は玩具メーカー最大手で、何でも社長は中途入社から這い上がったと言う
伝説の人で、業界でも知らない人はいないほど有名らしく、友人もその社長に憧れて入社し
頑張り屋の彼もまた、アレヨアレヨと言う真に課長へ昇進を果たしていた。
それに比べたら、俺は係長でホモの相手をする条件で課長代理とは情け無く思っていた…
「もし、お前さえ来る気があるなら、橋渡しするのは簡単だから」 と、友人。
俺は親友から手渡された親友が勤める企業概要を見て自宅で息を飲んでいた…
「こ、これは一体!」 と、咄嗟に出た一言。
男性向け性玩具GX-5型?? 女性向け性玩具XX-2000型??
何と、親友の勤める玩具メーカーとは、いわゆる性具のメーカーだったことに初めて気付いた
何度も卒業以来、飲み会で会っていたものの、親友の勤め先なんて聞いたこともなく、
玩具メーカだと言うことしか知らなかった。
抱き抱きドールFK-3000型、彼方と共に夜空を眺めたい…
天狗シリーズ復活! 貴女を宇宙遊泳に御招待するAS-03型、魅惑の一時を彼女と一緒に
男性用ファンシーショーツ&ブラジャー、パンスト、スリップ、ガーターベルトフルセット。
「何だ!こりゃぁー!!」 概要書を見て後退りしてしまった、俺。
筋肉質な若い男がフリルをふんだんに使った女物のようなショーツを履いて、レースの
ブラジャーに、キラキラと光るスリップを身に纏い、ガーターストッキングを履いて、
真っ赤なバラで覆われた、西洋ソファーに凭れて座っている写真に目を奪われた。
そして、その男の前ではフカフカの絨毯の上に足を崩して女座りする、金髪のモデルは
真っ赤な鳥の羽のような物で出来た、ワンピースを身に纏い楽しげに本を見ていた。
貴女の恋人たち、魅惑シリーズ…
バイブレーター、ロータリー、抱き抱き男性ドールと初めて見る物に俺の教養は崩れた。
月給も同じだけ約束すると言う親友の言葉に嘘は無いだろうが、しかし… しかし…
今の会社にいても部長のオモチャにされるだけだし、親友の会社に行けばオモチャを売る事に
なるだろうし、俺の心は複雑だった。
オモチャになるくらいなら、オモチャを売る方がずっといいかも知れない…
親友には、普段俺が午前中だけ女装している事実は告げてあるが、しかし! もしかしたら
この写真のようにモデルにされるかも知れない。
あれ? 待てよ! 確かアイツの部署は… と… 販売促進課かぁー!
販売促進ってことは宣伝とは関係ないから、モデル起用なんてことも無いだろう!
そかそかー♪ そうだよなぁー♪ 販売促進なんだから有り得ないかー♪ なるほどな!
【1ヵ月後】
俺は親友に電話して中途入社希望を伝えると同時に、部長と常務の会話をネットに投稿し
同時に、社内の全てのパソコンに彼らの会話を人事部長のパソコンを使って流した。
会社はパニックになり、噂を聞きつけたメディアは窓口に殺到し、連日押すな押すなの
賑わいを見せたものの、会社側は事実を一貫して否定した矢先に特命班の存在が明らかになり
特命班の同僚達は、次々に自分達の身に起きたことを目隠しを条件に暴露し続けた。
部長と通じていたのは、常務だけではなく専務や副社長にも及ぶと言う新たな新事実も
飛び出し、ホモ銀行として世間にその名を轟かせ経営陣は引責辞任の社長を含め総退陣し
取締役だった、人事部長と常務と専務に副社長は解任され会社を去った。
そして、俺は今…
「○○君、悪いんだけどさぁ~ これに着替えて貰えるかなぁ~♪」 と、女課長代理。
俺は今、係長候補と言う肩書きで親友の勤める会社に勤務している…
配属先は開発部ドリームと言う男女合わせて28人の女上司だけの部署だ。
何故、こんな部署に配属されたのかは解らんが、課長代理から手渡された袋を持って
更衣室に入り、中身を見ても慣れとは恐ろしいもので、何にも感じないから不思議だ。
白いレースの立体型男性用パンティー、蒸れないレースの立体ブラジャー、
膝上10センチの白いフリルのスリップにタイトスカートに脇の下メッシュのブラウスに
男性用立体編みのパンティーストッキングに2センチヒールのサンダル姿になった。
男性用魅惑シリーズに身を纏った俺は、更衣室を出ると真っ直ぐに課長代理の元へ
大勢の男女社員が行き来する、大広間を物ともせず銀行で週間着いた内股歩きを実戦し
課長代理の元へ平然と出向いた。
俺を見た女課長代理は、恥ずかしそうに視線を合わせず頬を少し紅らめていたが
当の俺は慣れている所為か、極々、自然にデスクの前に立っていた。
「ねぇ… お化粧とかは… 駄目かな…」 と、視線を合わせずに俯いて話す課長代理。
俺は場所を聞くや否や、少し急ぎ足で化粧室へ出向き鏡の前に座ると、手早くサッサと
横で見ている課長代理を気にせずに化粧をして見せた。
「凄ーい! 凄いわー♪ 何処で覚えたの~♪」 と、ピョンピョン飛び跳ねた課長代理。
「女装も化粧も全て銀行で仕込まれました…」 と、ポツリと呟いた俺。
えぇっ!!
「……」 絶句する女課長代理。
すると…
「ねぇ、悪いんだけどさぁ、一階ロビーの休憩スペース行って飲み物お願い出来るかしら♪」
と、態々、銘柄指定して俺に小銭を渡した課長代理。
俺は…
「はい、解りました、建物内であれば何処でも参ります!」 と、平然とする俺。
俺は女装(おとこよう)姿で部署を出ると廊下を歩きエレベータへと向かうも、
道行く社員達は男も女も、皆が一瞬振り向き俺の周りをグルリと回り、眺めては腕組し…
「今度の新製品だろ? これはいい素材だなぁ…」 と、興味深げに俺を見た。
俺はエレベーターでも注目の的で、いろんな部署のいろんな人から声をかけられながら
1階へ降りると、会社の人間でない人達や警備員までもが、俺を凝視していた。
内股歩きして大きなロビーをエレベーターから降りて斜めに目的地へ向かうと、
何人もの大勢の社員たちが突然、俺の周囲を囲い始めた。
「おい! これは極秘のじゃないのか? 何してるこんなとこで!」 と、俺に声掛ける男。
俺はそんな人たちに御構いなしにドンドン自販機へと向かった…
「お前! ドリームだろ! いいのかこんなとこに来て!」 と、心配する男たち。
自販機の前に立ち、課長代理の指定した銘柄の飲み物を一つ買ったところで後から…
「ほほー! これが我が社の新製品ですか?」 と、微笑ましく声掛ける初老の男性。
すると…
「しゃ… しゃ… 社長!!」 と、誰が大きな声で叫んだ。
「中々、いいんじゃないかしら♪」 と、同じくらいのスーツ姿の女性。
「副社長!!」 と、誰かの驚く数人の声。
俺は動じることもなく、飲み物を手に取ると、後の社長と副社長に一礼して、
その場を離れようとした。
「これは凝ったデザインだね~♪ 担当者は誰かな?」 と、聞いてきた社長。
俺は、ドリームの女課長代理の名前を出した…
「ハテ? どこかで聞いた名前だが…」 と、社長。
すると…
「御冗談でしょう♪ 社長の末娘さんでしょうに~♪ あっははは♪」 と、女副社長。
どうやら俺は、女課長代理に一杯喰わされたようだった…
そして、ようやくこの物語は始まった……
◆◆◆◆◆6話
【あれから数ヶ月…】
繁華街の場末の更に置くにある廃工場の暗がりの中…
「しかしどうするんですか? 無一文で会社を追い出されたんですよ!? 常務!」
と、ヨレヨレの作業ジャンパーに身を包み襟元を立てて背を丸めて歩く元、人事部長。
「何とかったって、君ー! ワシだって女房から離婚されてどうにもならんわい!」
と、ボロボロのスーツ姿、廃工場の中の真ん中で四角い空き缶で焚き火する常務。
「おい! 新入り! 火の始末だけはちゃんとやれよ!!」 と、常連のホームレス。
「あっ、はいはいはい♪ どうもすいません♪」 と、顔を上げることなく語る元、常務。
常務と部長は会社を負われ、共に家族にも見放され夫々が離婚の末にホームレス同様の
暮らしへと転落していた。
専務も会社を追われそのまま行方を晦まし、その後の消息については誰もしらなかった。
大手企業に渦巻いた同性愛の病巣は一掃されたものの、しこりは大きく残ったままだった。
「常務、お腹が空きましたねぇ~」 と、トホホな表情で常務に語り掛ける部長。
「さてと… 何か食い物でも探しに行くか…」 重い腰を上げ焚き火に水を掛ける常務。
廃工場の中には数十人のホームレスが毎日のように出入りし、ボロボロのビニールで
テントを張り、ダンボール箱で家を作り廃工場の裏の敷地で野菜を育てる者や、拾い集めた
酒に喉を鳴らす者、その中に元大手企業の常務と部長は身を潜めていた。
彼らが食べ物を探しに行っている時…
「ハイ! OK! いいわよー♪ 今の表情♪」 と、会社の撮影室で俺を取るスタッフ達。
俺は今、係長と一緒に宣伝部の一室である、ポスター用の撮影所に来ている。
今、一番輝いている男性に送る! 白い真綿のファンシーランジェリー!!と言うキャッチで
俺が身に着けているのは、真綿をイメージした立体構造のフワフワしたショーツ。
真っ白い背景で辺り一面に真っ白い真綿を敷き詰め、雲のようにデコボコつけて
その真ん中に、真っ赤なバラを一厘、横に銜えて水色のビーチチェアに寝そべる俺は美しい。
そう、俺は今、俺が一番嫌だったモデルへ大抜擢され肩書きも係長候補から、課長代理の
一声で係長に昇進していた。
ショーツの中に仕込んだ偽物の巨大ペニスで、男のシンボルを強調した仕上がりには
撮影スタッフからも、歓喜する声が止まなかった。
更に、俺はファションならパリコレ、玩具ならエロコレと呼ばれる一代イベントに、
会社の代表モデルとして出場が決定していて、来月にはモロッコへと旅立つ。
「いいわぁ~♪ 今の表情♪ もう一度こっち見て~♪」 と、張り切るカメラマン。
「お疲れ様~♪ 今の中々良かったわぁ♪」 と、嬉しそうに俺に近付く女課長代理。
俺は今や、ドリームのみならず他の部署のモデルとして引っ張りだこで一日にこなす
撮影は20本を越え、外注のプロダクションを寄せ付けなかった。
そんな中…
「あぁ~ 今日もこれだけかぁ…」 と、無造作にゴミ箱からバーガーの残りを拾う常務。
「常務! 独り占めは勘弁! 私にも半分!!」 と、慌てて常務に掴み依る部長。
そんな部長を振り切るようにゴミ箱を漁った常務…
「何だこりゃ?」 と、コンビニの買物袋を掴みとった常務。
常務が中を開けて見ると食べ残しの弁当と一冊の週刊誌が…
「こんなもんはいらん!」 と、週刊誌をバサッと投げ付けた常務。
風で捲れ上がる週刊誌を何気に見た部長が大声を出した…
「じょ、常務ーー!!」 と、叫んだ部長。
こ、これは!!
二人は週刊誌を拾い上げると、顔を見合わせた……
◆◆◆◆◆7話
「こらー!! そこで何をやっとるかー!!」と、慌てて掴み掛かる警備員。
「ひぃー!! ワシらは! ワシらは怪しい者じゃない! か、勘弁してくれ!!
ワシらは、この! この写真の人と知り合いなんだ! 信じてくれ!!」 と、浮浪者達。
「こちら警備室ですが、怪しい浮浪者風の男を2名取り押さえました」 と、警備員。
「頼む! 会わせてくれ! この通りだ!!」 と、警備室で土下座する二人の浮浪者。
俺に会いたいと、二人の浮浪者が尋ねてきて警備員に捕まったと言う知らせは、
直ぐには俺の耳には入ることは無かった。
俺はと言うと、新作のためのポスター撮影に追われ分刻みで対応に追われていたし、
週刊誌に掲載されたことで、俺に対する問い合わせが殺到し、会社もテンヤワンヤしていた。
そのころ…
「この二人なんですが、この会社に融資していた○○銀行の人間だと言うんですが…」
と、二人を見下げるように総務に連絡する警備員。
「どうせ、作り話か週刊誌を見たユーザーだろう! 警察へ引き渡したほうがいいな!」
と、警備員に伝える総務の人間。
二人は、警備員が警察に引き渡すべく落ち着かせるために、お茶と菓子を与えられ、
菓子に夢中になっていた。
ボロボロのスーツの男に穴だらけの雨具に身を包んだ二人は、警備員の目も気にせずに
ガツガツと菓子を食っては、喉を詰まらせ噴出すと言う惨めさを味わっていた。
「おいおい! そんなに見詰めても、もう何も無いぞ!!」 と、警備員に怒鳴られる二人。
そのころ…
「ハーイ♪ 休憩はいるわよー♪」 と、撮影スタッフに声掛けるおれのマネージャー。
俺がコーヒーを飲んでいると…
「失礼しまーす、総務の○○と言いますが、実はコレコレこうで…」
と、総務の人間から話を聞き、俺に難しい顔をして見せた女のマネージャー。
「ねぇ、○○くん… コレコレこんな感じの中年に心当たりある?」 と、マネージャー。
マネージャーの表現は流石は宣伝部に居るだけあって、的を得ていると感心するほどで
俺には、直ぐに二人が何者なのか理解出来たものの、会うことにメリットを感じなかった
俺は、マネージャーに知らないと答えた。
「うそ! その顔は知ってるって顔だよ♪」 と、鋭い観察力のマネージャー。
俺は、過去をマネージャーに明かした…
「ねぇ! その二人ホモなんでしょ! だったらアレに使えないかな~?」
と、俺の目を見詰めるマネージャー。
マネージャーの意図は直ぐにわかったものの、どうしても俺は二人を許せず、そして
同じ屋根の下にいること自体にも抵抗があった。
俺は、マネージャーに財布から数万円を出すと、二人に渡すように手配してもらい
二度とここに来ないように総務の人間に頼んでおくように言った。
俺をオモチャにしようとした奴らの所為で、俺は…
まあ~ 今の仕事は満足していると言えば満足しているが、それにしてもと言うところだが、
俺は、二人を警察に引き渡すのを止めさせるように、申し送りを添えた。
マネージャーがアレに使えないかと言った一言を就業間際に思い出していた俺は、
プランXの概要を取り寄せ、頭の中であの二人を当てはめて考えていた。
「あらあら~♪ その顔は考えてる顔ねぇ~」 と、突然声を掛けてきたマネージャー。
プランXは、男の同性愛者をターゲットにした新企画で、同性愛者のための商品が、
これでもかと提案され、その中でも一際目立っていたのがX-1シリーズだった。
X-1シリーズは高級機シリーズの第一弾で、相手のいない秘かな同性愛者のために
考案された棺方のベットで、中に入って仰向けになると、無数の特殊シリコンの舌が出て来て
仰向けになった人の全身を舐めまわすと言うものだ。
しかも、リモコンで棺の天井に好きな男性の悶える全身が映し出され、四つん這いになると
自動で、足の方からペニスバイブの付いた板が本人に迫って来てと、まぁ~ 笑うような♪
代物なのだが、開発部も後は試すだけにまで、漕ぎ付けたのだった。
しかし、ここに来て難題にブチ当った!
試す奴がいない… 勿論、俺にも要請は来たもののマネージャーは一発で拒否した。
試を引き受けるということは、ある意味、私はホモですと言うようなもんだろうし
仮にホモでなくても、あだ名はホモになるはずだ。
だから、現在は女で代用出来ないかと模索しているらしいが、いくら何でも希望者も
出てきていない様子で、お手上げ状態だ。
それにマネージャーが目を付けたが、極秘の新製品を部外者に見せるわけにもいかず、
俺の知り合いなら、何とかなるだろうと言うところだ。
焼き鳥屋で…
「ねぇ、○○君、Xシリーズの担当… 私の先輩なんだ… 力を貸してくれないかな…」
と、俺の隣でカウンターに塞ぎこむマネージャー。
「○○君が、二人の知り合いだと一言、開発本部長に言ってくれれば、後は私が…」
と、顔を上げて鳥串の塩を一つ食いちぎったマネージャー。
俺の口は重かったが…
「あいつ等には、係わり合いになりたくないんだってー!」 と、彼女とは逆を向いた俺。
すると…
「よっぽど憎いんだね…」 と、ビールを飲む彼女。
俺が…
「あぁ!!」 と、鳥串に塩を振り掛ける。
すると…
「だったら、二人を雇っていじめてやれば~♪ キャッハハハ~♪」 と、天井を見る彼女。
俺は翌朝、開発本部長に昨日の二人のことを話した…
◆◆◆◆◆8話
「キャッハハハハ~♪ 見てよー! お母さーん♪ これ見てー♪」
何処からか手に入れて来た一冊の週刊誌を、手に持ち母親に見せようとハシャグ俺の妹。
久々に休みの取れた俺が帰省すると、何も知らないはずの実家は大騒ぎになった。
週刊誌の最後に出ている、ファンシーランジェリーに身を包んだ俺の大きな写真を妹が見つけ
それを隠し持っていたらしい。
「よしなさい! 仕事なんだから仕方ないでしょ!」 と、妹を叱る母親。
「だってぇ~ これ見てよ♪ 兄貴の格好ったらさぁ~♪」 と、母親を追い掛け回す妹。
そう! 俺は真っ赤な長椅子に右を下にして純白レースショーツにスリップに身を包み
白いバラを銜えて、何処にでもあるようなポーズをしてカメラに潤むような視線を送る。
「セクシーな彼方の研ぎ澄まされた視線の向こうにあるものは…」 と、キャッチが入る。
「真っ赤なワインの入ったワイングラスに頬寄せて、窓辺に寄り添う彼方を妖精の国へと
誘う魅惑の高級男性ファンシーランジェリー、だってぇー♪ アッハハハハハ♪」
と、妹は俺の心を串刺しにして尚も笑い転げていた。
「しかし!何だな! こうして自分の息子の写真を本で見ると言うのは照れるもんだな~」
と、難しい顔してソファーに足組して座る親父。
「お父さ~ん♪ ねぇー♪ おっかしいでしょぉ~♪ アッハハハハハ~♪」
と、ソファーの後から親父に抱き着いて甘える妹。
「ハイハイ、もうその辺にしないと!!」 と、妹の頬を指で摘んだ母親。
「キャッ! イタタタタッ!」 と、頬を摘まれたまま食卓テーブルへ引っ張られて行く妹。
俺の家族は、まあ~ 何と言うか両親共に俺の仕事に理解を示しているものの、実際に
息子のあんな写真を見せられて喜ぶ親もいないわけでと言うところだろうか。
俺の暫くぶりの帰省は、恥辱と辱めで一日が過ぎたと言うところだろうか…
久し振りの俺の部屋は既に物置と化していて、不要になった妹の物から両親の物と6畳間は
布団が敷ける程度取るのがやっとだった。
飯も食って風呂にも入った俺を入り口の隙間から覗く強い視線…
誰が犯人かは知っていたが、わざと戸口に正面を向いて、ぶら下がった竿と玉を見せ付け、
驚いて逃げ出した妹に、戸をあけて投げ付けたトランクスとランニングシャツ。
一っ風呂浴びた俺は、機嫌よく母親が出してくれたトランクスとシャツを着ると浴衣を
羽織って居間でテレビを見ている親父の側へと、ビールを持って移動した。
懐かしい親父の、テレビを点けたままでする一人詰め将棋、数秒間見入っていると…
「どうした? お前もやるか?」 と、やらないのを知って話し掛けた親父。
「しかし何だな~ お前の仕事も大変な仕事だに~」 と、後ろ向きに放す親父。
俺は親父の詰め将棋をする姿を肴に缶ビールを一缶飲干した。
二階の部屋へ移り缶ビールを数本とピーナッツを枕元に置いて、布団の上に足を伸ばし
辺りを見回しながら座ると、さすがにダンボールや衣装ケースに囲まれてる息苦しさから、
布団の周りだけでも広くしようと、一つの衣装ケースを持ち上げた。
すると、衣装ケースの下のダンボール箱のフタが開いて、中の物がフワッと膨れ上がり
慌てて衣装ケースを他に移して、中の物が飛び出しそうになっているのを押さえた。
「あれ? なんだこりゃ?」 と、押さえた箇所を見る俺。
飛び出して来ていたのは、妹が高校時代に来ていたセーラー服だった…
「まてよ… 確か企画部で男物のセーラー服を作るとか言ってたなぁ~」 と、思い出す俺。
俺は慌てて、仕事用のバックを引き寄せ、中身の入った段ボールで机らしき物をつくり
何とか、使える高さにして、バックを上に置いた。
箱に入った妹のセーラー服を見ているうちに、俺は…
気が付けば、少し窮屈だったが妹のセーラー服に身を包んでいた。
仕事のことで頭の一杯になった俺は、カバンから企画から貰ったデーター表と寸法表に、
カラーのイメージ写真をダンボールで作った机の上に、並べておいた。
セーラー服に身を包み、ヒダスカートを腰を振って左右に靡かせながら、データー表を
何度も、見比べていた。
そんな時だった、突然戸が開いた…
「キヤァァァーーーーー!!」 おきまりの漫画パターンのように俺を見て悲鳴を上げた妹。
妹の悲鳴で、一階からバタバタと二階に駆け上がってきた両親に…
「なんだ? どうした?」 と、自分の姿を忘れて問いかけた俺。
入り口の向うで床に尻餅着いて俺を指差す妹、そして後で立ちつくす両親に…
「どうしたの? みんな揃って?」 と、笑みを浮かべて問いかける俺。
「○○は疲れているんだよ…」 と、ガックリと肩を落し寂しげに一階へ降りて行った親父。
「○○も今夜は、早く寝なさいね…」 俺と目を合わせずに一階へと立ち去った母親。
「兄貴はセーラー服も着るんだなー♪ あっははははは♪」 と、俺を指差した妹。
俺は初めて、自分の姿に気づいたが時、既に遅かったと言うところだ。
翌日、俺は何度も何度も仕事のことだと言い訳を繰り返し、何とか理解を求めたが、
妹からは、実の妹のセーラー服を着てコッソリと部屋で踊る変態兄貴と呼ばれるようになり、
散歩に出て戻ると、俺の布団の上には履かなくなった白いソックスが置かれていた。
「兄貴へ、あんまり根を詰めないでね! ○○より」 と、一緒に妹からのメッセージ。
俺の家族は全快一致で俺の仕事を理解してくれていると悟った……
◆◆◆◆◆9話
「いい加減にしろ!! ふざけてるのか!!」 と、激しい怒りの込上げる俺。
俺に男物のファンシースーツを着て街中を歩き回ってくれないかと、突然の申し込みが
部署に申し入れられた。
写真撮影だけではなく、実際に下着も着けてスーツスカートを履いて街中を歩き回ると言う
企画が持ち上がり、週刊誌にもモデルとして登場している俺なら、ピッタリじゃないか、
誰かがそう言うと満場一致で可決されたとのこと。
しかも、付けられた所属名は特命班と言う、あの忌まわしい名前を誰が思いついたのかは、
知らんが俺がこの会社に移ってくる起点になった、あの特命班に所属しろと言う。
当然、俺のマネージャーは難色をしめしたらしいが、特命班の班長は俺でと、企画の連中の
たっての要望と言うこともあって、マネージャーも断り切れなかったらしい。
俺の前には、マネージャーや課長代理に係長がいて、俺を説得している最中なのだが、
俺と言えば、血の気の引く思いで3人を目の前にしているが、説得話しは耳には届かず、
口の中は乾き瞬きも数少なく、視線は3人の頭の上の一点に絞られていた。
「アンタ方は、俺に生き恥を晒せと言うのか!!」 3人の顔を見ずに怒鳴る俺。
「あぁ! で、でもね! 一週間くらいのイベントだし…」 と、声の裏返る課長代理。
「イベントだとおぅ!! あんたらは側にいねえんだろ!!」 と、怒鳴る俺。
「でも、でもね! 会社の決定事項だし…」 と、アタフタする課長代理。
会社の要望はこうだった。
1、キャラクターは一人で何気なく普通に街中を爽やかな笑顔で散歩する。
2、キャラクターは下着からスーツスカート及びパンストにサンダル姿で明るく散歩する。
3、キャラクターは化粧は薄めにし自然に歩き食事をして爽やかさを演出する。
「散々、写真撮影して週刊誌にまで顔だして、挙句の果ては女装して街を歩け…
こんな馬鹿なことがあるかーー!!!」 と、立ち上がって激怒する俺。
そのころ…
「はーいOK! 今の調子忘れないでー♪」 と、撮影スタッフ。
俺の一声で契約社員となった例のホモの二人の親父たちは、同性愛者向けのパンフの
撮影に入っていて、全身タイツ姿で股間をモッコリさせて二人で寄り添っていた。
「愛に国境はない… 世界中の男達に捧げる同性愛者専用セックスシリーズ」と、キャッチ。
俺の知らないところで、彼らもまた彼らの再スタートを始めていた。
何度も棺型のオナニーマシーンに入り、何十人ものスタッフの見守る中で、繰り返される
挿入の実地試験に、悲鳴をあげ耐え抜いた二人は同性愛者グッツの宣伝要員にも抜擢された。
それに引き換え、俺ときたら今度は街中を練り歩けとの御達しが届いて苛立ちを、
3人の女相手にモロに見せ付けていた。
何度も、何度も申し訳なさそうな顔して頼み込む女たちに、俺は…
「もう、辞めるるわ~」 と、一言切り出し深呼吸した俺。
ガックリと肩を落した女たち…
俺は黙って立ちあがると、俯いたままの女たちを他所に、自分のデスクへと向かった。
机に向かって、頬杖付いてると…
「辞めなくてもいいから… 私たちが無理言い過ぎただけだから…」 と、女課長代理。
「無理にとは言ってないし、断ることも出きるから…」 と、俺の目を見ようとしない係長。
「今まで通りの仕事でいいと思うから… ねっ! 会社辞めないで!」 と、マネージャー。
余にも暗い表情の女たちに…
「何の話をしてんですか! 誰が会社辞めるんすか?!」 と、不機嫌な俺。
3人が一斉に俺の机の前で…
「えっ? だってさっき辞めるって…」 と、言う顔をして見せた。
妙なことを言う彼女達におれは…
「俺、今日で男を辞めますから…」 と、3人の顔を見て豪気に言った俺。
「俺も商社マンすから、簡単に会社辞めませんから…」 と、俺。
俺は、女課長代理と女係長に女マネージャーに、ニッコリと作り笑顔してそう言うと、
女たちはピョンピョンと俺の机の前で飛び跳ねて手を叩いて大喜びした。
「但し、条件があります!」 と、顔を上げた俺。
こうして、俺は特命班の任務を了承したが、俺の出した条件は、課長代理と係長と
マネージャーの三人にも、俺と同行してもらうことを提示した。
企画部の要望を一部変更して貰い、彼女達3人は変なオジサンの格好をしてもらい、
俺の勤めるこの○○商事の、イベント中と書かれたプラカードを持って、一緒に練り歩く。
変なオジサンは、ステテコに雪駄を履き、腹巻にラクダのシャツにハチマキを頭に巻いて、
俺の周りで楽しげに踊りながら一緒に歩く。
この条件を満たすならと、俺は条件を叩きつけた…
勿論、3人の女たちは顔を見合わせ涙目になりながら、何度もミニ会議を何度も行った。
数時間後…
「ね! ○○くん! この企画、断りましょうよぉ~♪ ねっ! それがいいって~♪」
と、自分達の羞恥心を押さえることの出来ない女課長代理たち。
すると俺が…
「あぁー、それはもう企画の方に了承済みと言うことで、俺の方で伝えましたし、
課長代理たち3人も同行する提案と了承も企画部長から貰ってありますよ」と、笑顔の俺。
3人の顔から見る見る間に血の気が引き、係長は俺の机の前で倒れてしまった。
倒れた係長を両端で支えながらも、引き込まれるように崩れ落ちた課長代理とマネージャー。
机の前の3人の女たちに俺は…
「企画の連中、凄い大喜びしてましたよ!! 部長なんか飛び跳ねて踊ってましたから♪
今更、断ったらマズくないすっかねぇ~♪」 と、ニヤっとして語る俺。
「今頃、変なオジサンの衣類の確保してると思いますよ~♪」 と、ニヤっとした俺。
「いやぁ~ 受けるでしょうねぇ~♪ 女の変なオジサンなんて、馬鹿受けっすよ♪」
と、噴出す俺。
机の下から、顔をヒクヒクと引き攣らせて、出て来た3人は完全に失神寸前だったが…
「これで、俺の事も少しは理解してくれるはず…」 と、心で思う俺だった。
ちょっと、可哀相だったかなぁ~♪ 彼女達…
何故か嬉しい俺だった。
◆◆◆◆◆10話
「○○商事新作キャンペーン開催中でーす♪」 と、ハゲ頭の真ん中に数本の毛の残るヅラに
チョビヒゲ、丸い黒縁めがね、らくだのシャツに腹巻にステテコに雪駄と言う井出達で、
男性用ビジネススーツスカートに身を纏った俺の前に、1人そして後に1人、真横に1人と
社名の入ったプラカードを持って、可笑しな踊りをして立ち振舞う、女課長代理と係長と
マネージャーの女たち。
「本日! ○○商事より新作の発表で~す♪」 と、半泣き状態で大声を張り上げる女たち。
俺は無言で、ただ黙ったままで朝のビジネス街を自分のテンポで只管歩き、立ち止まっては
ポーズを決めて休憩するものの、彼女達はプラカードを持っては行き交う人に近付き、笑顔で
新作をアピールしている。
俺の服装は、中からファンシーショーツ、ファンシーブラにファンシースリップ、そして
今回から仲間に加わった、ファンシーガードルを履いた上から、男性用ビジネススカートの
タイト15型とブラウス23型にリボン8型と、フル装備ま井出達だ。
当然ながら、薄化粧を施しているが、こりは別のメーカーからの出品依頼で使用していて
大手カツラメーカーからも是非、使って欲しいと言う容貌のもと、俺の頭には男性用カツラが
装着されている。
言うまでもないが、俺は昨日の夜に散髪屋で丸坊主にして来たのだが、丸坊主にして
正解だったと言えよう。
こんなに頭がカッカと暑くなるとは予想だにしてなかったからだが、俺の周りで踊って
声を張りはげる女たちの可笑しいことと言ったらありゃしない!
ステテコの下には女性用に作られたトランクスが透けて見え、動く度に女特有に、
全身がプルプルと揺れ、周囲の男たちは俺を見るよりも、女たちに目が行くようである。
俺を指差して見るのは、殆どがOLたちで俯き加減に上目使いで恥ずかしそうに見る女や
俺の真横に来て下から上まで舐めるように見入る女と様々だった。
そんな時だった…
「あっははははは~♪ おい! 見ろや! コイツ女装しとるでー♪ あっはははははは♪」
と、俺の前に立ちふさがった男たちが数人。
さすがに、恥ずかしくなった俺は、真正面を見ていた顔を少し俯かせた…
「あっははははは♪ コイツ照れてやがるぜ! うっひゃひゃひゃ♪」 と、指差す男たち。
すると…
「この中はどうなってんだー♪ うっひゃひゃひゃ~♪」 と、俺のスカートを捲る男。
俺の周りは人集りになり…
「おいおいおい! パンスト履いててガードル履いてるぜー♪」 と、爆笑する男達。
その時だった…
「ビリッ! ビリビリビリー!!」 誰かに後からスリットを引き裂かれた。
咄嗟に俺は…
「キャァーーーー!!」 と、前屈みになってスカートを押さえて悲鳴を上げた。
俺の悲鳴を聞いたのか、二人の警察官が駆けつけ、男達を捕まえたが、数時間後…
「申し訳ありません!!」 と、男達の勤める会社の上司が平謝りする警察署の中。
聞けば、俺の勤める会社の出入り業者だったことが判明…
「どんな償いも致します!」 と、男達の上司。
翌日から、俺に仲間が加わった…
「もっと堂々としてー!!」 と、後の女係長から激が飛ぶ。
「ホラホラー! 顔上げて!!」 と、先頭の女課長代理が大きな声を上げる。
「ガニ股は禁止よおー!!」 と、女マネージャーが踊りながら仲間を煽る。
きのうの…
「どんな償いもしますから、穏便に!!」 と、言う相手の上司の言葉に甘えた俺達。
女のような格好に不慣れな男3人は、俺の後から意気消沈しトボトボと着いて来ると…
「デターーー!! 昨日の奴らだよー♪」 と、昨日の俺を見た通行人の誰かの笑い声。
昨日のこの三人のように、俺たち4人を指差して大笑いして、まるでチンドン屋でも
追い駆けるかのように後から、笑いながら着いて来た。
阿波踊りのように楽しそうにプラカードを持つ女たちは、気付かない素振りで淡々と
俺の行く方向へと踊りながら付いてきていた。
後から着いてきていた、何処かの男も暫くすると消えてしまったところで休憩に入った。
「よおー♪ 頑張ってるねー♪」 と、昨日の男達の営業スマイルの上司。
拳を握りプルプルさせる男性用ビジネススーツスカートの3人の男達に、何やら耳打ちする
昨日の上司に…
「こんなことすんなら! 俺は刑務所の方がマシですよ課長!!」 と、突然怒鳴った男達。
すると…
「君はどうなんだね! 君も刑務所の方がいいのかね…」 と、もう一人に聞く上司。
すると…
「俺は、悪いことしたと反省してるし… 続けさせてもらいますよ」 と、一人の男。
君はどうだねと最後の男に上司が聞くと…
「デヘッ♪ デヘッ♪ デヘヘヘヘヘ♪ こんな機会は滅多にないし、俺はOKですよ♪」
と、照れながら相手の上司に満面の笑顔で伝えた男。
数日後…
「アッラァ~♪ ヤダワァ~♪ ストッキングが伝線してるぅ~♪ 替えなきゃねぇ~ン♪」
と、何故かオネエ言葉の刑務所へ行くと言ってた男。
「○○ちゃんはねぇ~ 歩き方が雑なのよねえぇー♪」 と、もう一人に首を傾げる男。
「そうよぉ~♪ ○○はネエェー♪ もっと内股で歩かないと駄目なのよーん♪」 と、男。
俺の居る特命班は徐々にお釜ルームへと変わって行くように思えた……
◆◆◆◆◆11話
「課長! ストッキング忘れてますよ」 と、俺の足を見て指摘する部下の男。
俺は、例の特命班の仕事をこなし様々な宣伝要員の任務をやり遂げ、つい最近課長に昇進した。
思えば銀行からの転職以来、男を捨てプライドを捨て真っ直ぐ前だけを見てここまで来た。
会社では誰も言わんが、一歩外に出たら完全に変態扱いを受け終いには交番で調べを受けたり、
通報されたりと、苦難の宣伝活動を乗り越え、いまや男性用スーツスカートも売れ行きを伸ばし、
最初は、同性愛者や女装趣味の人たちだけだったのが、今や殆どの企業でクールビズとして、
人気を高め、企業からの注文も一気に増えた。
かく言う、俺も今や自宅マンションから男性用スーツスカートセットを身に纏って、
会社を往復している。
男性用と女性用の確実な違いは、やはり男の体型に合わせた構造と言う点だろうか。
何といっても、男にはぶら下がっているものがあるから、この部分の立体構造は欠かせないし、
女性とは違って、胸も無いしウエストも細くないから部分的に伸縮する素材を使ったことで、
男の筋肉質な身体をサポートさせた。
ただ、女性用のブラウスには当然のように付いているリボンなんだが、俺達も最初はリボンで
宣伝行動していて気付いたことがあって、それ以来はリボンではなく普通のネクタイに変更し、
今では女性用と言わなくても、ネクタイに替えることで男性用と誰でもが、把握出きている。
俺のお気に入りは、何と言ってもタイトスカートの横スリット、ファスナーシ仕様だ!
裾が狭く歩きづらいんだが、スリットを上に上げれば裾も広がり下げれば狭まるから、
冷房の効いた部屋と、効いてないない部屋での体温調節が簡単なんだ。
それに、ファンシーショーツも普段の生活を重視して新たに、男性用パンティーも登場し、
調度、女性用と男性用の中間に位置された男性用パンティーにはフリルなどの飾りはなく、
どちらかと言うと、既存の男性用ビキニショーツに近いかも知れない。
パンティーストッキングも、完全に立体編みされていて、男性自身を優しく包み込む構造で、
伝線に強い素材になっているものの、薄さも保たれていて快適そのものだ。
ただ、どうしても俺が馴染めないものが、男性用のブラジャーなんだよ。
別に邪魔になるほど、ブルブルする胸がある訳でもないが、窮屈と言うか何と言うか、
ただ、これも妙なもので、ずっとブラジャーを着けていたせいか、人前で胸を見られることへの
抵抗感が出て来て、終いには脱げない状況にも変化してしまったんだ。
他人に、特に異性である女性に乳首を見られることへの羞恥心と言うか、兎に角恥ずかしく、
健康診断の時なんかは、同僚の男性社員たちの前でも、顔が熱くなるほど恥ずかしいのだ。
だから、診断で待っている時はブラをしているのにも関わらず、胸をタオルで覆っている、
男がやたら多くなって、部署の違う奴が上半身裸でいたりすると、つい、目を反らしてしまう。
今では、この会社の男性社員の8割以上が男性用スーツスカートで仕事しているから、
逆に普通の男性用スーツの男性たちが特異な目で見られているのも事実だ。
玩具メーカーだった、この会社も今や男女衣料品を扱う総合メーカーへと様変わりしたし、
新人社員たちは、就職活動時から既に男性用スカートスーツを着て面接に挑み、やる気を
アピールして人事の奴らの視線を浴びている。
女性用の衣類を男性用に改良して愛好者に売るのではなく、完全に男性用として作った物を
普通にデパートで並べて、あるいはスーパーで並べてもらうことにも成功し、
先月も、何件か男性用専門のブティックがオープンしたらしい。
「課長! そろそろ行きませんと会議に間に合いませんが…」 と、考え事してた俺に部下。
俺は、急いでトイレへ駆け込むと、便座に腰掛て黒いパンティーストッキングに両足を包み、
鏡の前で、着衣の乱れは無いかチェックをいれ、トイレを出た。
「課長、その男性用の口紅少し派手じゃないですか?」 と、俺に声かけた女性係長。
「え! 派手かな~ 俺的にはかなり薄くしたんだが…」 と、女性係長に返答する俺。
「でも、課長なら少し派手目の方がいいかもですねぇ~♪ と、俺を一回りした女係長。
真っ赤なハイヒールに、黒のタイトスカートに白いブラウスとチョッキ、そして明るい色の
口紅と鮮やかな色彩の化粧をした俺は、課長会議へと部下と一緒に向かった。
12階の大会議場に入ると、黒系男性用スカートスーツを身に纏った凄腕の課長たちが、
ドアから入った俺を一斉に見た。
そこには、例の同性愛を強要したことが発覚して追放され、拾われたあのホモの元人事部長と
取締役だった常務の二人が、男性用ガーターベルトを着用してモデルとして演壇に立っていた。
正式に雇われたこの二人は、着用モデル部のスタッフとして、それなりの用途についていたが、
俺を見るといつも、ビクビクオドオドして逃げてしまうが、今日は逃げられないようだ。
男性用の黒いスリーインワンからガーターが黒いストッキングを吊り上げ、中にはレースの
男性用ファンシーショーツを履いていた。
演壇のスクリーンに映し出されたキャッチ…
バラのトゲが彼方には心地いい♪
今回はサディスティック用品の社内宣伝も入っているようだった。
◆◆◆◆◆12話
「ねえ、○○君! ちょっといい?」 と、廊下で俺に声を掛けて来たレディス開発部長。
俺とは無関係な部署の女部長だったが、聞けば向こうは俺の事は先刻承知で俺が
入社したてのころから、俺の知らない時にチョクチョク見学していたらしい、モデル撮影の
現場の片隅、仕事に専念していた俺の目に入るはずもなくと言うところらしいが。
「今度、新企画で野菜は女性の味方と言う題目で新商品の開発をするんだけど…」
と、俺の真正面にたって垂れ下がった数本の髪の毛を少し横にずらした、女部長。
「申し訳ありませんが、僕は僕の仕事で手一杯でお手伝い出来る状態ではありません」
と、彼女の前からすり抜けるように先を急ごうとした、俺。
「待って! 話だけでも聞いてくれない? 時間はとらせないから!」
と、俺の目を凍りつくような眼差しでジッと見詰めた、女部長。
「部署単位での応援は全て上を通して頂けませんか?」 と、彼女を突き放した俺。
「上を通してたら時間が無いの! 流行(はやり)は生き物なの時間が無いのよ!」
と、すり抜けようとした俺の左腕掴んだ彼女。
「課長! 急ぎましょう! 打ち合わせに間に合いませんよ!」 と、後から駆け寄る係長。
俺は、助かったと思って後を振り返ると駆け寄って来た係長の顔を見るとその場をから
何とか離れることに成功した。
すると…
「課長、気を付けてくださいよ!」 と、俺の右側から語り始めた係長。
あの女部長は上を通さずに勝手に他の部署へ応援を頼み、他人を散々走り回らせて手柄を、
横取りして自分の部署を飾るので有名なんです。
そして…
そのくせ、上を通さなかった罪を応援してくれた側に全部罪を被せて知らんフリなんです。
更に…
言ってたでしょ! 時間が無いだとか流行は生き物だとか何だとかって、あれはあの部長の
口説き文句なんですよ! ああやってプロ意識を煽っては利用するだけ利用してポイです。
係長は仕事一本槍の俺とは違って、社内の情報には凄腕で俺の知らないことをカバーして
俺を支えるようにとの、統括本部長からの抜擢で俺と行動を共にしている。
どうやら、俺は何人目かの犠牲者にされかかったらしかったが…
あの女部長の鋭い目が気になってたことは事実だった。
俺も元々は銀行マンだ、人を見る目はその辺の商社マンよりは上だと思っているが、
あの女部長の凍り付きそうな目の奥にある焼けるような炎は何なのか、俺は知りたいと
何故だろう沸々と湧き上がるものを感じていた。
そんな俺が彼女と再会したのは仕事で遅くなった帰り道、自炊するのも面倒になって
居酒屋で何か喰って帰ろうかと、繁華街に入ったものの何処も満席で入れ切れずに、
仕方なく裏通りへ入ると数軒が軒を並べる中華料理屋があって、俺はそこへ入ることに決め
フッと何気なく端っこの店の隣を見ると、消えかかった街灯の下でボンヤリと見えた看板、
その看板に書かれていた店名の下に、俺の勤める会社(メーカー)の名前が入っていた。
近寄ってみてみれば、うちの取引先の小売店だったことが解って…
「へぇー、こんなとこにもは内の顧客がいるのか~♪」 と、何故か嬉しい気分の俺。
俺は嬉しくなって店先から中を覗いてみると、数人の男性の客に混じって女性も一人いて
店主と何やら話しこんでいた。
すると、突然店の中を覗きこむ俺の顔を中にいた女性が振り向いた…
「えっ?」 咄嗟に店先から逃げ出した俺。
何で、こんなところに彼女が…
逃げだした、俺は中華料理屋の隣の焼き鳥屋の中の小上がりで、隠れるように飲んでるとこを
見つかってしまった。
「驚いたわ… こんなところで○○君に会うなんて…」 スーツスカート姿の女部長。
テーブルを挟んで座布団に座り、焼き鳥を頬張る俺の前に足を崩して座る女部長は微笑して
ビールを飲む俺をテーブル両肘着いて頬杖付いて見ている。
女部長の俺に話し掛ける目は会社で出会った時とは違っていて、凍り付きそうな目は
暖かく、目の奥の炎は穏やかになっていた。
彼女は毎日、仕事が終ると日課のように小売店を回っては商品のデーター取りに専念し
直に小売店から情報ほ得ていたことを俺は知った。
営業から上がって来る情報は歯に衣を着せた文書ばかりで、褒め称えられる内容に
疑問を感じていた彼女は係長時代から部長になっても、一人で直接生きた情報を集め
それを元に新商品を考案していたと言う。
彼女の凍り付きそうなほどに冷たい視線の中の、燃えるような炎の理由にホンの少しだけ
触れたような気がしていた俺だった。
彼女の仕事に対する姿勢は、情熱だとか他人(ひと)が語るものとは何かが違っていて、
仕事に対する彼女の思いを聞いているうちに、俺は彼女に魅かれていった。
俺はこの日、彼女の部屋へ泊まってしまった……
◆◆◆◆◆13話
「部長! 申し訳ありません! 勘弁してください!」
俺としたことが、こともあろうに部長を… いくら酔ってたとは言え…
俺はベットで俺に背を向ける部長に土下座して謝った。
すると…
「あんまり謝られるとさぁ… 傷付くんだよねぇ…」 と、背中を向けたままの部長。
そして…
「俺、責任取ります!」 と、部長に土下座する俺。
すると…
「責任ってどうやって取るのさっ?」 と、部長。
「昨日は○○君、激しかったなー もおぅビックリしちゃったぁ~♪」 と、微笑む部長。
俺は黙ってベットに頭を着けて申し訳なかったを繰り返していると…
「じゃぁー♪ 私と結婚してくれるってことなの?」 と、聞き返す部長。
「課長のアンタに何で貰われなきゃなんないのさ! フザケないでよ!」 と、怪訝な部長。
確かにそり通りだった。
格下の俺が上司に当る部長を貰うというのは… しかし、俺には責任の取りようもなく
今は、こうして部長に謝るしかなかった。
「でも部長! 俺には他に責任の取りようが…」 と、背中を向けて寝ている部長に話す俺。
すると…
「じゃー 結婚はしんくていいから、私の仕事手伝ってくれないかな~」 と、部長。
俺は…
「個人的な責任にビジネスを重ねることは、俺には…」
部長は…
「じゃー 仕方ないな、警察に行って正直にレイプされたって話すしかないわ」
俺は…
「そ、そんな! レイプなんて!」
部長は
「本当じゃないのぉ! 抵抗しないのに無理矢理押し倒して…」
俺は
「……」
部長は
「……」
俺は
「解りました、部長の仕事手伝います」
部長は
「そう♪ じゃー約束よ♪」
俺は事故嫌悪になっていた…
「じゃー約束だからね♪」 と、俺の後に座った部長。
「何!! 何で前にいるはずの部長の声が後から?」 驚いて後を向いた俺。
俺は、部長に一杯喰わされたらしいことに後に気付いて抗議をしたが…
俺が無理矢理、部長をベットに押し倒したのは事実だったらしく、彼女を抱きしめそして
一旦大人しくなった彼女から離れて衣服を脱いだと言う。
その間に彼女はベットの下に置いてあった、男性用のセックス人形と自分が入れ替わり、
何も知らない俺は、部長だとばかり思い込んで、無抵抗の人形とセックスをしたらしく、
その一部始終ビデオ撮影されていたことを知らされた。
俺は他人の見ている前で、しかもビデオ撮影されてることも知らずに人形相手に、
激しいケダモノを演じていたらしかったが、もしその時に人形がなければ俺は本当に部長を
レイプしていたことになっていた。
「でも、○○君、すごかったよー♪ 見てて私も濡れちゃったくらいだもん♪」 と、部長。
男性用セックス人形・XR-2000、恐るべし。
更に恐ろしい女部長……
◆◆◆◆◆14話
俺が人形相手に獣化している映像を見せてくれると言う部長に断りを言い、
自分の仕出かしたこととは言え、本意ではない仕事を手伝わされるハメになった俺は、
女部長から翌日会社で、企画書を見せられた。
内容は、早い話がバイブだと買いづらいから何か工夫が必要とのことで、
女性と台所の野菜をイメージして、さりげなく家のリビングにも飾れるような商品開発。
女=茄子ではなく、斬新で新しい何かを発見したいと言う部長の意気込みは解るが、
どうしても俺には女=茄子は切り離すことが出来ず躊躇していた。
コンセプトは、爽やかにそして煌く星空のように……
茄子では無く、例え同じでも茄子を連想させない何かが必要だと考えれば考えるほど、
目の前に極太の茄子が出て来て俺を苦しめる。
そう言えば昔、高校の美術室で籠に入った果物があって、よくそいつをデッサンしてたっけ
果物見たいに籠に野菜を入れて……
そうだ! 冷蔵庫の野菜室だ! 早い話が人目に付いてもバレなきゃいいんだろ!
だったら木は森に隠せって言うしな! OLなら未だしも主婦が自分のバイブを亭主に
見られでもしたら…
俺は早速、この企画書に俺なりのアイデアを書き込んだ!
スラスラと出て来るアイデアに自分でも驚いていたが、俺は女部長に急いでそれを見せた。
「ダメね! こんなんじゃ素人のアイデアだわ! やり直して!」 と、キツイ顔する部長。
「隠すのではなく見せるのが目的よ○○君! 見せてあげたいのよ! 堂々とね!」
と、遠くを見詰め俺に小声で囁いた部長。
見せたい… 見せてあげたい… 堂々と……
部長の言葉がヤケに俺の耳に刺さったものの、見せるバイブなんて…
俺は考えていた、考えて考えて頭が痛くなるほど考えていたが、結局何も浮かばなかった。
考えてダメな時は外の空気でも吸って来るのが俺の流儀…
部署を離れて、一階へ降りるエレベータへ向かうと、誰かが談笑する声が聞こえ振り向くと、
重役だろうか数人が昔話に華を咲かせていた。
立ち聞きするのは趣味ではないが、重役達は一体どんな話しをしてるんだろう、
立ち止まって話しを聞いて見ると、資料室がどうとか展示室がどうと言う話だった。
重役達は俺に気付くと途端に口を閉ざしてそのまま、俺を通り過ぎて奥の方へと消えたが
資料室に展示室とは何のことやら、確かにここには資料室はあるが… 資料室… 資料室!!
俺は何かに吸い寄せられるように、資料室へと足を急がせた…
普段は管理課以外に来ることの無い資料室だが、何故か俺を呼ぶ何かの存在を意識していた。
大きな鉄板のドアを開けると、中は薄暗く太陽の陽射しを嫌うためか極端に窓は少なく、
そしてスチール製の棚が100坪のフロアーを埋め尽くしていた。
理由は解らないが、何かが俺を引き寄せ俺はそれに従って歩き出した、その時だった!
2メートルほどの高さに貼り付けられた黄ばんだ、説明文書が目に止まった。
【開発6課】(商社1を参照)
「開発6課の主力商品は天狗の面についた取り外し可能なバイブでヒット商品」
天狗の面!? 何だそれは? どんな物だ? 何処にあるんだ?
俺は別の資料を探そうと、台に上って6課の資料を探したものの関連資料は何処にも無く、
その時だった…
「そこにはもう何も無いよ…」 管理人だろうか、初老の男性が俺に声を掛けた。
俺は…
「この! この6課について詳しく知りたいんです! 何処にあるか教えて下さい!」
すると…
「アンタさんは… 何か苦しんどるようだが…」 と、震える声で語りかけてきた。
そして…
「お願いです! 教えて下さい! 6課のことを!」 と、何故か必死で頼んだ俺。
こちらへと震える声の男性が、俺に小声で語り掛けると俺の前をスーッと通路沿いに移動し
俺は男性の後を追い掛けたが、いつのまにか小走りになっていた。
そして棚の端へ来た時、男性は左にスーッと曲がり俺も慌てて曲がると、そこにはもう
男性の姿は無く、他の棚の通路を四方八方探したが何処にも居なかった。
元の場所に戻って棚を見上げると、廃棄品と言う紙が貼ってあった…
俺は、その紙が張られている棚のダンボールを漁りに漁ってようやく見つけた黄ばんだ資料を
ホコリ塗れになりながら、何とか集めると床に腰を降ろして体育座りした。
すると何処からともなく…
「ボウズ! 後のことは頼んだぞ~♪」 と、微笑むような声が聞こえた。
辺りを見回したが何処にも、さっきの男性の姿は無かった…
俺は狐に抓まれたような、そんな気分でアチコチ見ながら資料を持って場を離れた。
開発6課の主力商品は天狗の面についた取り外し可能なバイブでヒット商品になって
社長賞をうけたほどらしかったが、今のようにドリームとかと言う名称もなく1課から12課
編成で構成された組織は、その後経営難に陥り何度かの統合を繰り返し6課は無くなったが、
現在の我が社の社長夫人の父でもあると資料には書き加えられていた。
俺は資料をコピーして、展示室にやってくると慌てて探し始めた…
「天狗の面… 天狗の面… 天狗! 天狗! 天狗が無いじゃないか!!」 激怒した俺。
何で無いんだ! 激怒して発した俺の声が展示室に響き渡った時だった…
「天狗の面なら廃棄処分が決まって先ほど庶務が回収して行きましたよ」 と、女管理人。
ふざけるな! 俺らの先輩たちが残した物をゴミにするなんて!
エレベータはこんな時に限って満員で列を作るものだが、何でこんな時に!
俺は庶務を目指して走った! 兎に角走った! 走ってヘトヘトになりながらも走った!
俺が庶務へ辿り付いた時だった…
「あっはははは~♪ ホラホラホラー♪ わっははは~♪ キャー♪ ヤメテヨ~♪」
手に持って女子社員を追い駆ける男性社員達と楽しげに逃げる女子社員。
それを見た俺は何故か…
「テメーラ何してんだーーー!!」 と、激怒して天狗の面を取り上げた俺。
すると…
「何すんだよ! アンタ!」 と、俺を威嚇してきた若い男性社員。
俺は自分の社員バッチを見せ立場を男性社員に伝えると…
「おい、アンタ、ここは庶務だが何か用なのか?」 と、庶務課長。
俺は同格の相手を睨み付けると、天狗の面を持ってその場を離れようとした…
「おい! 持って行かれちゃかなわんなぁ~ いくら商品開発部でも廃棄決定されてんだ」
と、強い口調で俺の前に立ちふさがった庶務課長。
間違った行動をしている自分を省みることなく、俺は庶務課長に名刺を渡して何かあれば
ここへと逆に庶務課長を睨み返してその場を離れた。
商品開発の苦しさや辛さなど何も解らない庶務の対応に腹が立ったのは事実だったし、
先輩達の手がけたものを遊びの道具にした庶務やそれを許した重役にも腹が立った。
一つの商品には様々な立場の者が、様々な角度から関与し出来上がるまでの道のりも険しく
やがて商品化されても時間の経過で廃棄されるなんて許せるはずもなく。
俺が自分の部署に戻って来たときだった…
「お前! 何てことしてくれたんだ! 庶務から常務へ越権だと抗議が入った!」
と、俺の前に来て激怒する部長。
俺は…
「アンタも庶務の連中と同じなんだな!」 と、部長の前で部長を威嚇した俺。
すると…
「何! 貴様、上司に向かって何て口の聞き方だ!」 と、激怒して俺を睨む部長。
そして…
「アンタは俺の上司じゃない!」 と、身体を一歩部長へ突き出した俺。
「俺の上司は顧客や、この面を作った先輩たちだ! 大事な物を捨てる奴は上司じゃない!」
と、拳骨を握り締めて上司の前に顔を突き出した。
部署に走った緊張感は暫く薄れることはなかった…
俺はこの後、重役会議にかけられたものの何者かの力添えで、無罪放免になったが、
この時の俺には知るしもなかった。
俺は天狗の面を持って会社でも自宅でも、面と睨めっこする日々を過ごした。
そして…
◆◆◆◆◆15話
「○○課長! 出来ましたよ! 頼まれていたものが!」 鋭い目をした試作課の親しい社員
「これなら! これなら行けるな!」 と、試作課の彼を見詰めた俺。
二人は試作品を机の前に何も語らず、ただ黙って互いの顔を数分間見合っていた…
「何度も何度もやり直して… 辛かったですが、これが一番良い形だと専門家として自負しています」
目の奥をキラキラ光らせた彼は、そう言い残すと俺の前から立ち去った。
コンセプトは和の心…
直径5センチ長さ35センチと通常バイブを遥かに長くした亀頭部分の先っぽには穴が空いていて、
そこに唇を重ねると、まるで本物のような尺八の音色を楽しめ本格的な演奏が出来る仕掛けだ。
見た目はどう見てもバイブだが、面白グッズとして販路を見出すと同時にバイブとしての実用性も、
確保した新型のバイブ。
部長の言う野菜に搾った内容ではないからボツもありえるだろうが、そうはいかない!
キュウリに茄子にゴーヤはそのままの形を維持しながら、色鮮やかに本物そっくりのバイブは
誰でもが思いつく、女=茄子をそのまま隠さずに流用することで斬新性ではなく、安心感を女性に
植えつける狙いがある。
したがって、面白グッズと同時に売り出すことでその地位を擁立して行くと言う考え方が可能になる。
最初の構想どうりに籠に入った、バイブ内臓の野菜たちから少し離れた場所にさりげなく和の心が入り
新商品コーナーの展示の仕方も従来のようではなく、昭和初期から中期のように、何処にでもあった、
民家の竈(カマド)に障子や、煤けた畳にランプとアンティーク調の展示ルームを展開する。
玄関を開けると右側に竈が見え、さりげなく籠に入った野菜たちが今夜のオカズとばかりに犇き合い
更に、玄関から中に入ると大黒柱に堂々とぶら下がっている尺八。
尺八型バイブには尺八ケースも付いているから、ケースに入れて柱にぶら提げて置くも良し、
そのまま寝室に放置しておくも良し。
隠すことをやめて曝け出すことで自然さをアピールする野菜達と、隠すべきは隠し晒すべきは晒し
見せる時と隠すときを使い分けられる尺八バイブ。
コンセプトは、和の心。
少し太い茄子は挿入用に丸型は乳首やクリトリスを刺激し、細いキュウリはアナル用に挿入用、
太くてイガイガのあるゴーヤは熟練者用として担当させ、更に丸く大きいキャベツはダイレクトに
ボディー用を担わせる。
丸く大きいキャベツは股間にそのまま挟んで、強力な振動でワイドさを演出させる。
そして、今回の目玉となるのがオレンジ色のニンジンだ。
このニンジンの先っぽは丸くなっていて、クリトリスや乳首は勿論のこと、耳の中やアナルに、
アナル周辺と言った、人それぞれの壷を担ってもらう。
脇の下や足の指の間に専用アタッチメントを装着すれば、背中をまるで誰かに舐めまわされている
そんな錯覚を覚えてしまうほどだ。
更に、枝豆君の登場だが、茎に着いて無数の枝豆君は不定期に散らばっていて、個々に振動して
予想の着かない動きをしてくれるから、本当に愛撫されているような錯覚に陥る。
枝豆君の根っこを持って、刺激したい部分に当てるだけで予期出来ない場所が予期出来ない形で
振動し合い、そして枝前同士がブツカって予想出来ない動きをする。
当初の直径25センチの籠ではなく、40センチの間口で深さも畑から戻ったと言わんばかりに
70センチと大幅な変更に設定したことで、本物の野菜を演出できるのだ。
今回のプロジェクトには大勢が既に関わっているから、ボツでダメにしたくない。
天狗の面のように関わった人の苦労を無駄が報われるようにならんと。
そして、まだ閑静されていないトウモロコシ…
一つのベースに1500粒の小型振動版を採用して一つ一つが独立した振動を醸しだす。
これによって、大雑把な一体物の動きが1500粒の独立した動きに変わって使う人により多くの
幸福な愛の時間を提供してくれるのだ。
俺は、このプロジェクトを必ず成功させる!
もしもボツになっても、これは俺の信念で商品化させてやる!
沸々と俺の闘士が奮い立つのを感じた。
◆◆◆◆◆16話
「部長、どうですか…」 部長の自宅MSを訪ねた俺は薄明かりの中で試作品を手に部長を見詰め、
掠れるような小声で、部長に聞いた。
「……」 試作品を手に持ち薄明かりに目を細めて照らし始めた部長。
「○○君、いいわよ♪ 結婚しましょう♪ 私たち♪」 突然の部長の一言に耳を疑った俺。
「○○君が以前、私に責任を取るって言ったの覚えてるかしら? 実はね! 私、妊娠してるの!
そう、彼方の子共をね!」 テーブルで差し向かいに座り俺を見詰め目を細める部長。
「えっ、でもあれは人形が相手だと…」 試作品をテーブルに置いた部長に小声の俺。
部長はそう言うと、椅子から離れ後ろのテレビのスイッチとビデオのスイッチを入れた…
大画面に映し出された映像は、人形などではなく確かにベットで俺に無理矢理押し倒された部長で、
激しく抵抗する部長を力ずくで犯す俺の姿が映っていた。
部長は何かあるといけない、そう思って偶々、姪の運動会を撮影した時のビデオを寝室に
置いてベットに入ったらしいところへ、レイプ魔の俺が雪崩れ込んで部長を。
その時の全てが、ここに記録されていた…
泣き叫びながら抵抗する部長の口を抑え、押し付けながら部長の衣服を剥ぎ取った俺の姿だった。
「私ね、処女だったの…」 と、俯き加減に小声で話す部長。
仕事に差し障りが出てはと人形に話を摩り替えた部長の一芝居だったが…
「無理にとは言わないけど、私は○○君が好きよ… 愛しているのかな…」 と、小声の部長。
「彼方は今回の商品開発が成功したら間違いなく部長に昇進するわ…」 テーブルに両肘着く部長。
「そしたら私たち同格でしょ♪ 上でも下でもないし…」 テーブルの上で組んだ両手の部長。
「答えてください! 今回の件は一体誰なんですか!?」 と、テーブルに前屈みになった俺。
部長はテーブルの上で組んだ両手に軽く頬を寄せて…
「言わなきゃ駄目… かな…」 と、俯き上目使いに俺を見た。
「……」 黙ったままで軽く部長に頷いた俺。
「今回の件は、ある人が凄く彼方に関心があって、是非やらせてみて欲しいと頼まれたの…」
と、真剣な眼差しで俺を見詰めた部長。
「何ヶ月なんですか? 部長のお腹の子は…」 と、前屈みの姿勢を元に戻した俺。
本当のことを言うわね…
「うっふふ~ 冗談よ♪ 彼方の子ではないし、あの映像も合成よ♪ 安心して!
あれは、ある人がもしも彼方が渋った時に脅迫してでもやらせて欲しいって頼み込んで来たの」
と、微笑して俺を見た部長。
「だから妊娠もしてないし彼方はわたしを犯してもいないし… でも、これで終わったわね!
彼方なら出きると確信していたわ~♪ これで私の彼方に対する役目は終ったわ!」
と、後に流れる映像を止めて照明を大きくしようとした部長。
えっ? ちょっと○○君、冗談は…
俺は灯りを元に戻そうとした部長を後から抱きしめ、そして……
【数年後】
俺は取締役常務に昇進した。
あの時俺を後押ししてくれた影の存在こそが、現在の会長である通称バイブマンであった。
「おい! おきろ! コイツ… よっぽど気持ちよかったと見えるな…」 誰かの声。
誰かが俺の両乳首を弄っているのが解ったが、心地良すぎて目蓋は重くとても目を開けられず
じっとしていると、誰かが俺の耳に熱い息をフッと吹きつけてきたのがわかった。
パチッ、パチッと誰かが俺の胸元のボタンを外したのが解ったものの、心地良過ぎて目が開かず
俺はされるがままになっていた。
スーッと上半身が空気に晒されたと思うと突然、何かヌルヌルしたものが俺の右胸に、
吸い付くように張り付いた。
その熱いヌルヌルした物体は俺の乳首を、チュゥっと吸い付くと何かがレロレロと滑りだした…
「アッ… ウッ… アァァンッ…」 無意識に出た俺のヨガリ声。
気持ちいい… 身体中の力が抜けて指一本動かせずにいると、俺の身体は宙に浮いて
何処かに仰向けに寝かされたように感じた。
スルスルッと何かが下半身で音を立てたと思うと、涼しい空気が下半身を覆った。
何かが俺の脚を弄ってダンスでもするかのように、上下左右と右往左往をし始めると身体全体が
ポカポカと暖かくなってきた。
何か重たいものが俺に圧し掛かって来た瞬間、俺の鼻を嫌な匂いが突いた。
俺が銀行勤めをしていた頃、俺に女装をさせ同性愛の相手をさせようと企んだ憎い人事部長の
はげ頭の油の匂いだった。
あまりに激しく匂い、俺の心地良さも終焉を迎えた時俺は目を覚ました。
ギャアァァァァァーーーー!!! 何で! 何でアンタがここに居るんだーーー!!!。
女装下着姿になった俺の上に、油ぎった人事部長のハゲ頭が見えた!
俺は叫んだ! やめてくれーーーー!! 人事部長の手がストッキング越しに俺の一物を激しく
撫で撫でしながら、俺の右乳首に吸付いていた。
後手に縛られ身動き出来ない俺は、口をタオルで塞がれ散々ハゲ頭に身体を舐め回された挙句に
尻の処女を奪われてしまった。
俺は長い夢を見ていたようだった…
この会社を辞めたいと言う願望が俺に濃厚な夢を見せ、同時にハゲ頭の愛撫にトロケさせられ、
身動き出来ないようにされてしまったのだっだ。
俺は翌日から人事部に異動させられ人事部長から個室を与えられ、出勤と同時にスーツスカートに
チョッキ・ブラウスにリボンを付けさせられ、新人特命班の教育と指導にあたっている。
もちろん、下着も全て女物だが毎朝一回は必ず部長の洗礼を受ける…
パソコンに向かう俺の後から両手が伸び、ブラウスのボタンを外され伸びた両手が俺の胸を。
そして週一回、定例の部長からの濃厚な愛撫を受け、知らず知らずに目覚めさせられて行く…
俺は月に二度、肛門科へ出向き健診を受けているものの医師は何かを承知しているようだった。
俺の役名は人事特命指導課・専任指導課長。
ただ、幸か不幸か人事部長の肉棒は硬くなっても俺の親指程度だったことだ。
同性愛者では無い俺が、同性愛者の中で出世コースに乗っていることだけは間違いない。
この数十年後、俺は本店の頭取まで登りつめたことは言うまでもない。
郷に入れば郷に従え!
完了
2019年6月29日土曜日
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