2019年6月29日土曜日

商社Ⅰ

大卒後、フリーターをしていた俺が恩師の紹介で中途入社した大手玩具メーカーが俺の人生を大きく替えることに……

◆◆◆◆◆1話



「これにて、新入社員研修を終了する!」

 つい此間までフリーターをしていた俺は、この不景気の時代に大学の恩師の紹介で、
何とか、大手の玩具メーカーに就職が決まり、まぁ~ 玩具と言っても平たく言えば大人の
オモチャと言うか、国内では1位2位を争うトップメーカなんだが、入社式も研修も終わり
来週からは本格的に、商社で活躍することにはなっている。

 まだ部署は決まっていないが、配属されればたとえ何処だろうと俺は不満は無いし、
まあ、一応大学も出ていたんだが、就職活動に出遅れたと言うか何と言うかで、同期はみんな
スーツにネクタイ締めてビシッと商社マンやってて、少しはヤキモキもしたのは事実だ。

 だが! これで俺もようやく一人前の社会人の仲間入りってもんだ。
因みに俺は、営業を希望して志望書には営業でガンガン気合を入れたいと自己アピールしたし
中途とは言え新卒に負けないくらい頑張りたいとも書いた。

 あとは、来週の月曜日にどうなっているのかが楽しみなんだが、
今夜は学生時代の仲間達と居酒屋で会うことになっていて、みんなも俺の就職を祝っている。

 電話で話した時は、みんなそりゃぁ驚いたよ!
俺の就職ではなく、玩具メーカーってとこに… 「えぇ! 大人のオモチャだと!!」
みんな、言うことは同じで誰に電話しても同一の驚きしかかえって来なかったが、
俺は満足している! だから今夜は胸を張って皆に祝ってもらうつもりだ。

 研修場に通うこと3ヶ月、実に様々なことを学んだ…
研修では毎日のように、バイブとか言う女性向けの玩具を朝から晩まで見せられて中の構造や
原理仕組みについて頭が痛くなるほどに徹底的に、教え込まれた。

 等身大の女性の人形の内部、まぁ~ 膣の部分の構造と仕組みそれに対してバイブの
デザインやら機能、振動を与える部分や、女性の感度について理論に基づいた勉強の日々。

 知っているようで、実は知らない一般人の知識が如何に低いかと思い知らされた…
女性に関しては一般人の知識では役に立たないことを、嫌と言うほど思い知らされた。

 企画立案部や設計部に、資材部に作成部と一本のバイブを作るのに何十もの部署を隔て、
何千人と言う専門社員たちが、その一本に携わっている。

 たかがバイブなどと、苦笑いする人も多いが、これほどの人間が携わって出来たのが、
初代創業者が一人で開発したと言う、その名も【ウズキ1号】から【アエギ2号】、
そして、現在力を入れている【ハーレム100型】と、これまたコストパフォーマンスに
優れて愛用者が500万人を超えるヒット商品を生み出した。

 このハーレム100型を担当している、開発部の○○開発部長が中途入社の俺達の、
研修の講師として、ミッチリと俺達を指導してくれたお蔭で、俺も一人前のバイブマンに…
俺の勤めることになった会社では、社員全員をバイブマンと呼んでいる。

 俺も早く立派なバイブマンになることを、講師に誓ったのだ!




◆◆◆◆◆2話



 先週の土曜日、俺は学友たちに晴れて就職宣言して、みんなにも祝福されたと言えば
大袈裟かも知れんが、みんなにも喜ばれての社会人としての旅たちを大いに祝った。

 とは言うものの、みんなで依って集っての大人のオモチャの話題だけが盛り上がった
そんな気もしているが、まぁ~ 仕方のないこと。

 一般にはエログッズとして名高い、バイブレーターやローター達なのだから…
しかし、考えて見れば少し恥ずかしい会社のようにも思える。

 将来、俺が結婚して女房と子供とで生活していても、子供が小さいうちはいいが
大きくなった時におれの仕事の内容は、隠しきれるものではないだろうし、かと言って
嘘を突き通したとしても、何が拍子に俺の勤務先が出ることもあるだろうし。

 あぁ~ あまり将来のことは考えたくねえな~ 「ベットに寝転がる俺」
開発部長で俺達の講師だった人も演壇上から言ってたな~ 初めて営業に行った時に
販売ルート周りとかで、個別訪問していた時に、チャイムを鳴らして玄関に入れてもらい
中に入った時に、上がってしまい出て来たのが奥さんだと勘違いして、娘さんに対して
突然、バックから刀を人に向けるように、極太バイブを取り出して無言で突きつけ
110番された話や、駅前で人とぶつかった時にカバンから、数種類のバイブが飛び出し
床に転がったバイブを拾い集めてる最中に、人だかりになった挙句、駅員に取り押さえられ
変質者扱いされた話しは爆笑したが、確かに有り得ない話しじゃないし、販売店さん巡りして
店に入った時に、偶々店内に居た女性と目が合ってしまって、そのまま暫く互いに動けなく
なって、店主に激怒された話しも真実実のある内容だった。

 でも、一番爆笑したは何と言っても、忘年会の時の話しだったな~
仕事で遅くなった部長が、得意先周りから直接忘年会の店にいって、散々盛り上がった時
上司に何かやれと言われ無我夢中でやったのが、ネクタイでハチマキして額の両側に
カバンから出したバイブを差し込んで、宴会場を犬神の祟りだぁ~ と、走り回った話しは
痛いと言うか何と言うか、翌日出勤した部長は女子社員たちから爆笑されまくりだったとか。

 あぁ~ あれも爆笑したな~
仕事帰りの深夜の自宅付近で、空き巣と遭遇した若き日の部長は、発見したもの武器もなく
慌てて30センチのロングサイズバイブ、しかも、クリトリス用も付いた双方タイプを出し
まるで十手のように空き巣に立ち向かい何とか取り押さえたと言う、伝説の岡っ引き神話。

 その時、若き日の部長は、しきりに双方バイブを手に御用だ! 御用だと叫んでいたらしく
騒ぎを聞きつけた自転車に乗った警察官に変質者に間違えられたものの、空き巣は逮捕
交番の中の机の上に、ロングサイズのバイブを置いて、調書を取る警察官相手に、
その時の様子を事細かに説明したとか… それ以来交番の前を通ると御用の旦那さんと
警察官にジョークを飛ばされたというが、後にその警察官も顧客になってくれたとか。

 伝説の御用バイブは今もショールームに非売品として誇り高く展示されていると言う…

 俺はどんな社員になるんだろう…



◆◆◆◆◆3話



 晴れての初出勤、本社ビルの前8時15分、大勢の商社マンやOLが忙しく行き交う。
見上げれば、高層ビルが立ち並ぶ一つが、初出勤の俺を圧倒する。

 歩道から数十メートル離れたところにある玄関が、大勢の社員を飲み込んでいく様は
まるで大蛇が小魚を飲み込むワンシーンのようだ。

 深呼吸して歩道から皆と一緒に吸い込まれようと、緊張しながら飲み込まれる人たちの
後に続いて並び歩くと、大きな玄関がドーンとあって銀色の玄関枠が俺を威圧した。

 中に吸い込まれる人達は皆、真っ直ぐ前を向き大きなロビーの中、只管エレベーターへ
向かい、誰の顔にも笑み一つなく、緊張感が俺にもピリピリと伝わってくるのが解る。

 エレベーターに向かう途中に、何人かの警備員の姿も彼方此方に見られ益々、俺を緊張させ
気付けば俺の動きは、警備員の目に止まるほどに不自然になっていたらしい。

 俺と同じ新入社員だろうか、警備員に呼び止められカチコチになりながらも、慌てて
社員証を、背広の彼方此方のポケットから探して出して警備員に見せて、ニッコリ微笑む。
「俺は、最初から、ここに入れて… ここに入れて… あれ? 無い! 無いぞ! 無い!」
 俺は焦った… 朝、ちゃんとここのポケットに入れたはずの社員証がと、焦る俺。

 警備員がエレベーターの前で内ポケットを弄っている俺に目を付けたらしく、ドンドン
俺の方に近付いて来た… 俺は慌てた… さっきの奴のことなど忘れる程に慌てて探した。

 近付く警備員…
「マズい…」 俺の心境。

 俺の前に来た警備員が…
「ちょっと、すいませんが~」 と、俺に声を掛けてきた警備員。

 俺は、突然の警備員の声に…
「あっ! はっ! はひ! はひ!」 と、意味不明の返事をして固まった。

 社員証の提示をお願いできますか? そう言う警備員の前に一人固まり頭の中は真っ白に…
声は上擦り、喉はカラカラ、瞬きも忘れるほど緊張してしまった俺に…
「社員証の提示を、お願い出来ますか?」 と、真剣な眼差しの警備員。

「はひっ! はひっ! はひっ!」 声にならない返事をする俺。

「社員証の提示をお願い出来ますか!!」 と、一際大きくなった警備員の声。

 驚いた俺は、自分でも何をしているのか解らず、無我夢中でスーツを警備員の前で脱ぎ
内ポケットやら外ポケットを片っ端から探し、挙句の果てに、ある物を警備員に差し出した。

 幸か不幸か俺はそれ以来、警備員たちからバイブマンと名付けられたことを知った…
極度の緊張から社員証を何処にやったか覚えておらず、俺はこともあろうに男女が入り乱れる
エレベーターの前で、バックから取り出して警備員に突きつけたらしい物体は、研修で使った
30センチのロングバイブ。

 警備員は俺に突きつけられた、ロングバイブの棒の部分に入った研修認識番号を見て、
俺に敬礼して一礼し、その場を離れたらしいことが後に知り合った同期に聞かされて解った。

 俺はと言えば、まるっきり記憶になく何故エレベーターに乗れたのかさえ覚えておらず、
俺に話してくれた同期の話しによれば、俺は岡っ引きのように背広を左腕にかけ、バックも
左手に持ち、真っ直ぐ何かを追い求めるように、ロングバイブを十手のように女子社員に向け
そのままエレベーターに乗ったと言う。

 俺にロングバイブを向けられた女子社員は、俺が研修直後の新入社員だと気付いたようで
俺にバイブを向けられたまま、エレベータに乗っていたと言う。

 周囲の男女社員たちは、何事も無かったような顔して到着階を待っていたと言う…
俺が正気を取り戻したのは、エレベーターから降りて、直ぐ横の長椅子に腰掛けた後だった。

 初出勤当日は会社の部署や役割の案内と説明や、上司の紹介で終ったものの
翌日、出勤すると…
「キター! キター!」 と、彼方此方から囁き聞こえる小声の山。

 そんな時だった…
「おはよう~♪ バイブマン♪」 と、微笑みながら俺に近付いたスーツスカートのOL。

 俺が昨日十手のようにロングバイブを向けた女子社員だったことが後の彼女との会話で
認識させられることになった俺だった。

 俺はこの日から、バイブマンとして社員や警備員たちから呼ばれることになった。




◆◆◆◆◆4話



 本社ビルの中だと言うのに行き交う人達は透明なビニール袋に、色とりどりのバイブを入れ
男女の区別なく忙しそうに歩き回る。

 持っている物で部署がわかると教わったが、車椅子に乗せられこちらに来るのはと
目を凝らせば人間そっくりな女性の人形。

 それを丁寧に押す男性社員の目は真剣そのもので、まるで生きている女性を扱うかのように
真っ直ぐな目線は、行き交う人たちを追いながら丁寧に交わしていた。

 また、周囲も気遣いながら車椅子が通ると、壁側に立ちジッとして通り過ぎるのを待ち
通り過ぎてから歩き出す、まるで病院の廊下のようだ。

 中には、開発部の人だろうか白衣を着た女性が、首から医者の聴診器のようにリモコンの
コードを回して、左側にリモコンと右側にバイブがぶら下がっている。

 白衣の女性はロングヘアーの俺なんかが近づけないほどに、笑顔の似合う美人なのに
首から掛けているバイブが妙に清清しいのは何故なんだろうと、思う間もなく通り過ぎて
何処かの部屋へと消えて行った。

 今のは何だったんだろうと考える間もなく、今度はスポーツマンらしく白い歯がキラリ光る
長身で、日焼けし爽やかな笑みを浮かべる男が手に持っているのは、何やら細長い枝に
数センチ間隔で丸みのあるデコボコが付いている不思議な物だった。

 立ち止まっている俺に気付くと男がやってきて…
「あぁー♪ これかい? これは女性用のアナルバイブだよぉ~♪」 と、爽やかに語る男。

 男の手が廊下で振り回され、それを俺は身体全体で追っていると…
「あっははは~♪ これはまだ試作品なんだが、何れこれが世界中の女性を幸わせへと導く」
 男は爽やかな笑顔を浮かべ、天井を見上げると何処か遠くを見ていた。

 ここで、働く多くの社員達は自分たちの仕事に誇りを持っていると、俺は感じていた…
この会社に来て、部署はまだ決まっていない俺だが、男も女もみんなの顔には笑顔が溢れ
エログッズだのと内心、思っていた自分が急に恥ずかしくなった。

 上の階へと行くと、下の階とは打って変わって何故かテンションが違っていた…
行き交う人たちは皆が暗く、俯き加減で静かに、まるで葬式帰りのように無口だった。

 ここは何だろうとエレベータの横の壁を見ると、商品開発2課とかいてあるものの
俺は何をするところなのかは知らないが、とにかく行き交う人達には笑顔は一つもなく
皆が暗いのが解った。

 エレベータから右側の奥を覗き込むと廊下の照明は落され、奥の奥は薄暗くなっていて
その薄暗い廊下の両側のドアから、俯き加減の男性社員たちが小幅で静かに向かって来る。

 息を飲んで、奥へと進むと俯き加減で通り過ぎようとした男性社員が…
「うぅぅ… 痛ててて…」 と、何やら独り言のように辛そうな声を出していた。

「そうか! なるほど! ここは医務室か! だから照明も落されているんだ…
だが、待てよ? その割りに随分と病人が多いなぁ~ 確かに本社ビルだから相当数がいるが
こんなに病人だらけじゃ経営は大丈夫なんだろうか…」 内心、不安になった俺。

「おい! アンタ! そこで何してる? ここは関係者以外立入禁止の階だぞ!」
 突然、俺の後から肩をポンッと叩いた男性。

 振り返れば、年のころ45歳前後の人だった…
「新人さんかい?」 と、笑顔で俺を見た男性。

 どうやら、この男性は俺が新入社員だと言うことを知っているようだったから元気良く…
「ハイ! 新人の○○と言う者です! 宜しくお願いします!」 と、微笑んだ俺。

 相手の男性社員は、俺の元気一杯の挨拶に感じ入ったのか…
「おぉー♪ 上もやるじゃないか♪ こんなに元気いい人を入れるとは♪」 と、笑む相手。

 満面の笑みで俺を見詰めた、肩書きのありそうな中年男性社員が俺に着いて来てと言う…
俺は、階を案内してくれるんだと思って元気一杯をアピールしながら、スキップして見せた。

 相手も気を良くしてか、スキップしてくれたりして、俺は良い人と巡り合えたと喜んだ。
一番奥の部屋まで二人並んでスキップして行くと、左側に新人ルームと言うプレートがあって
そのドアを相手が開けると、俺を中にと引き入れた。

 真っ白な部屋で30畳間ほどの窓の無い部屋で、真ん中に風呂屋の脱衣場のような物が
調度、20人分くらいだろうか、籠には10人分くらいの衣類が置いてあった。

 おいおい! まさか? 風呂か? こんな大企業の本社ビルの風呂につれて来られて、
まさか、この人は重役なのか? そっかぁー♪ 新人に重役待遇でも見せて、励みにする
教育の一環かよ~♪ ついてる! 俺は何て付いてるんだ~♪

 俺はこの時ほど他人に対して感謝したことなど無かった…


 今、俺は数時間前に見た人達と同じように、廊下をエレベーター方向に小幅で少しずつ
息も絶え絶えになりながら、数メートル歩いては壁に寄り掛かり休憩して歩いている。


 開発2課…
それは、開発された商品の実地試験場…
俺は、脱衣場で裸になり別の部屋へ移されシャワーを浴びせられ、素っ裸で病院の診察台に
乗せられ、四つん這いされた挙句、フルチンで白衣の女性に後から…
「ギエェェーーー!! 痛てぇぇーーーー!!」 アナルバイブを突然入れられた。

 拷問は数時間におよび、その間に何十本もの新製品を挿入され、ようやく俺が、
ここの新人ではなく、新入社員だと俺を押さえつける男性社員と、白衣の女性に知って
貰えたのは、殆どの実地試験が終ってからだった。

 俺は処女を奪われてしまった。
俺はこの日、自宅アパートで泣いた。


 俺はこの日を処女損失記念日定めた……



◆◆◆◆◆5話



 俺の配属が決まった。
俺が配置された部署は今年から新しく新設されたばかりの場所で、その名もドリーム。

 ドリームは主に、男女を問わない性のアタッチメントの企画開発を専門に扱う部署で
まぁ~ 早い話が男女の下着、それも性具ではなく日常生活でも十分活用できながら、
イザと言う時に効力を発揮するような、そんな商品を開発するそうだ。

 まぁ~ エログッズを作るよりはマシなんて気持ちも若干心の端っこにあって
正直、学友たちにも何とか体裁整えられると気楽にはなっていた。

 ところが、この部署はと言うと、男は新入社員の俺と数人で残りは全員女で上司の係長も
課長までもが、美人のお姉さんばかりなんだ。

 女に顎で使われるのは嫌いではないし、反感を持つようなものでもないが、扱っている物が
物だけに、これからの俺の仕事にどう影響するのかが心配だ。

 【係長】優しい口調で…

 はーい♪ みんなこっち見て~♪ 今日から入った○○君よ! これから彼にも戦力として
加わってもらいまーす♪ みんなも色々と教えて早く一人前のドリーマーにしてあげてね♪

 【課長】強気の口調で…

 いい! ここは新しい部署だけど、まだこれといった商品が出ていない状況だから
みんなで力を合わせて、一分でも早く素晴らしい商品を作りましょう!
それから、○○君! ここでは女も男もありませんから、質問があったらドンドンぶつけて
早い内に物事を把握してもらうから! あと、このドリームでも当然のことながら
バイブだろうが人形だろと、必要な物がここに集結していますが、恥ずかしがらないで
先輩達から教わり、学んで下さい!

 顔は微笑んでいるのに目が鋭い係長に、豪気の勢いに乗せて激を飛ばしながらも何処となく
温厚な目をしている課長を前に朝のミーティングが終了した。

 何故か、数人の男性社員はミーティングが終ると沢山あるドアの一つへと言葉少なに消え
女性社員たちは前日のことだろうか、楽しげに可愛く笑顔してお喋りしながら班ごとに
打ち合わせを始めた。

 すると…
「○○君! 何をボサッとしてんの! ホラホラ自分席に一旦着いて!!」 と、女係長。

 押されるように俺は…
「あっ、はいっ! はいっ!」 と、慌てて自分の席を探した。

 すると…
「○○君、ふうぅ~ん いい感じねぇ~♪ 」 と、俺の両肩に両手を乗せて笑む女課長。

 俺の真ん前で、俺の両肩に両手を置いたロングヘアーの女課長とその横に立つ女係長は
何やらニコニコ微笑むと、二人で俺の周りをグルリと品定めするかのように回った。

 この時の課長の一声で、俺の教育係りは何故か係長になってしまった…
俺は、自分の席を確認すると直ぐに、係長に連れられ男性社員が入った部屋とは別の所へと
移動させられた。

 キラキラ光るピンクのカーテンが4つ壁に張られ、天井から吊るされたカーテンレールから
クリーム色の薄い生地のカーテンが幾重にも折り重なるように、何枚もエアコンの風に
ユラユラと揺られ、さっきの大部屋では天井に白熱灯がビッシリあったのにも関わらず
ここには、怪しくボンヤリと灯を灯す円い蛍光灯があるだけだった。

 女係長は、真ん中のダブルベットにスーツスカートで静かに腰を降ろし、俺にも座れと
そんな、態度で俺を女の眼差しで見詰めた。

 そんな女係長に引き込まれるように彼女の左側へと腰を降ろした俺は、目のやり場に困り
自分の足元をジッと見詰めていると、ガサゴソと何やら側にある木目調の小机の引き出しを
手探りしている音が聞こえた。

「まさか! コンドーム? そんな! いくら何でも… 第一ここは会社だぞ!」 と、俺。

 俺は、薄暗い部屋の真ん中のベットに女係長と一緒に腰掛、しかも彼女は引き出しの中を
ガサゴソと音を出して何かを探している。

 こんな状況で考えられるのは…
俺的には係長は申し分の無い美しい女性だし… こんな人となら… なんて考えていると…
「ハイハイハイー! あったわぁ~♪」 と、ニコニコした係長。

 バサッと女係長は何かを、二人の中間の俺寄りに投げ置いた…
「えっ、何だ?」 と、心の中で置いた物を見た俺。

「さぁー! これに着替えて!」 と、満面の笑みを浮かべて俺の目を見た、係長。

「えっ? あ、ハイ!」 と、縦横15センチくらいの袋に手を伸ばした、俺。

 俺に袋の中の説明書をジックリと読むように指示して係長は一旦、俺を残して部屋を出た、
一人きりになった俺が、袋を顔の前に持って来て裏表をガサガサと音を立てながら見入ると
中の物は、女性用のパンティーにも似たフリルがふんだんに使われた得体の知れない何かで、
早速、俺は袋を開けて顔の前で広げると仰天した。

 両手に持って広げた物体は紛れもない、女性用のフリル一杯のファンシーなパンティーで
白地にクリームや薄い空色にピンクのビラビラしたものが、折り重なるように幾重にも重なり
中の方に、説明書が折り畳まさった状態で入っていた。

 俺はパンティーを一旦、ベットに置いて取説を開いてみた瞬間、俺は恐怖を覚えた…
「男性用ファンシーショーツで、彼方を夢の世界へ運ぶ…」 と、キャッチコピー。

 俺は、慌ててベットに置いてあるフリルのパンティーを両手で裏返したり、伸ばしたり
裏表を逆にして慌てて確かめた。
「これを! これを! これをーー!! 俺に履けと言うのかーー!!」無意識に出た叫び。

 俺の頭の中は最早、パニックで真っ白に染まっていった…
こんなもの、履ける訳がないじゃないかー!! 俺はこれをよこした係長へ怒りを覚えた。

 しかも、ファンシーショーツと組み合わせるように置いてあった、別の袋を開けると…
「清純な彼方をポエムな世界に招待する男性用ブラジャー!」 と、キャッチコピー。

「こんなもん、履いてたまるかー!!」 と、商品を床に投げ付け怒鳴った、俺。

 俺の怒声を聞きつけて来たのか、勢い良くドアが開いて、女係長が入って来た!
「何! どうしたのぉー! 大きな声出してー?」 と、俺の前に立った女係長。

 俺の前に立った女係長に…
「フザケルなーー!!! このアマー!!」 と、咄嗟に怒声して立ち上がった俺。

「こんなもの履けと言うのかー!! こんな女物履けるわけねえだろう!!」と、激怒の俺。

「落ち着きなさい!!」 と、係長の後から少し大きめの声を出した女課長。

 課長と係長は俺をベットに座らせると目の前に立ち、そして俺に課長が一言…
「これは男性用です… ちゃんと男性用と記述も入っています… 役所への届けも出ている
 立派な男性用の下着です! これがどうして履けないのですか?」 と、俺を責める課長。

 そう言う課長を座って見上げながら…
「じゃぁ! アンタは自分の家族や旦那や恋人に履けといえるのか?!」 と、意気込む俺。

 少しムッとした顔で課長が…
「えぇー、履かせられるわ! この商品は多くの男性に履いてもらっての商品化です
 彼方にだけ、履けと言うものではないの! このドリームは彼方のような男気溢れる人の
 他の、ファンシーを楽しみたいと言うユーザーによって新設された部署なの!
 女物のようだから履けないというなら、今直ぐ辞表を出しなさい!」 と、怒る課長。

 女課長は、自分の彼氏や兄弟や親戚に友人たちにも使用してもらっている経緯や
ここまでの苦労を、両手を前側にして俯く女係長の横で、延々2時間に渡って俺に力説した。

 係長の顔は見えなかったが、彼女は確かに泣いていた…
薄暗い部屋の中、女係長のキラリと光る涙が、床を滲ませていた。

 俺は女課長に説得された訳ではないが、女係長の流した涙に感動して履くことを決意した。
生まれて履くパンティーのような物は縦横に伸び縮みする素材で、丸めると完全に手の中へ
隠れてしまうほどに小さく、立ち上がると俺のモッコリを左右から覆い隠すように、
色とりどりのフリルがは優しくそして可愛く寄り添った。

 スケスケのメッシュで出来ていて、通気性のいい素材の上に優しく愛らしいフリルが、
俺の乳首の辺りに丸く円を描きながら、まるで花びらがオシベとメシベを包むように、
寄り添いながら守るように縫い付けられている。

 俺は、女係長にこの晴れ姿を早く見せてやりたい、そんな一心で係長の携帯に電話し
中へ来てもらうように話すと、間もなくドアが開いて、ワイワイガヤガヤと大勢の女性が
部屋へと雪崩れ込んできた。

 俺はアッと言う間に、ドリームの女性社員たちに取り囲まれ恥ずかしさから…
「キャァー!」 と、女のような声を上げてベットの布団を前側に掴み寄り俯いてしまった。

 有り得ない展開だった…
まさか、こんな大勢の女性達が入って来て取り囲まれるなんて予想だにしていなかった。

 俺はもこの後、黄色い声で大騒ぎするドリームの女子社員達全員に取り押さえられ
ベットに仰向けにされた上で、フリルパンティーの上から、そしてブラジャーの上からと
散々、指でまさぐられてしまい、最後はこともあろうに、フリルパンティーを履いたまま、
女子社員の前で、竿をブッ立ててしまった。

 女子社員たちは押さえつけられて身動き出来ない俺を、写真撮影したり、スケッチしたり
寸法を取ったり、縫い目の強度を確認したりと様々なことをしていたが、大騒ぎする割には
誰一人として、パンティーの中で撓った竿を口にする者なく、俺はこの女子社員達に、
プロを感じていたいたのは事実だった。

 一通り見終わったのか女子社員たちは、俺を解放しそれぞれが俺に一礼すると、
静かに、部屋を出ていったが、俺はプロとは何かを思いしらされた気持ちで一杯だった。

 ただ、散々指で身体中を、まさぐられた所為で、俺の履いていたパンティーには、
死ぬほど恥ずかしい形跡が残っていたのを、後で気付いた俺だった。

 俺は知らずのうちに、我慢汁と言うか愛液と言うかをタップリとパンティーに染込ませ
そのことに気付かないまま、彼女達のプロ意識に感動していたことが判明した。

 感動していたのに、何故か涙が零れ落ちてきた俺だった…

 俺は操(みさお)を奪われた女の気持ちに浸っていたのかも知れない……




◆◆◆◆◆6話



 俺がベットに座り中の恥ずかしい液体をティッシュで拭き取っていた時だった…
「入るわよー♪」 と、突然、女係長。

 いきなりの事に驚いて、布団で下半身を隠して係長の方を見ると…
「さっきは… ごめんなさいね… あぁ、でも… ありがとう…」 と、はにかむ係長。

「いえ… 俺のほうこそ、すいまませんでした! 本当の意味でプロとは何かを知りました」
 と、ブラジャーを着け下半身を布団で覆い隠して詫びた、俺。

 すると、係長は新しい袋に入った物を俺に渡すと…
「これ、さっきの同じのなんだけど、着替えてもらえるかな…」 と、恥ずかしそうに頬を
 赤らめて俯きながら、俺に語りかけた係長。

「あと、履いてるのは私が洗うからその辺に置いといてちょうだい」 と、俯く係長。

「えっ、あっ、ちょっ、これは… あの…」 と、突然の申し出にパニックになった、俺。


 特殊な素材だから、普通には洗えないと言う係長の説得に応じ、俺は恥ずかしい液体の
滲みこんだ男性用パンティーを置いておくことを約束し、新しい物を身に着けた。

 スーツを着用して部屋を出ようとした時、俺の頭に浮かんだのはさっきの女子社員達が
ドアの向こうに居ると言う事実だった。
「恥ずかしい…」 と、羞恥心に覆われた俺。

 数分間ドアの前に立って、どんな顔して出ればいいのか散々迷った挙句に出た答えは、
どうでもいいや! だった。

 意を決してドアを開けた瞬間、俺の耳に入って来たのは白熱して論戦する女子社員達の声
「いいですか! この写真でも解る通りフリルの量が多すぎて!」 と、誰かの怒鳴る声。

「違う! そのフリルの量があればこそのファンシーでしょう!」 と、反撃する誰かの声。

 俺が部屋から出たことにも気付かずに、女子社員達は激論を交わして今にも飛びかからん
そんな心配も出るほに白熱していた。

 俺は激論する女子社員たちの方へは行かず、静かに自分の席にいくと肩の力が急に抜け
椅子にグッタリと腰掛けた。

 女子社員たちの激論は止まることを知らず、次々に意見が飛び交い恥ずかしさで気落ちする
俺の存在など、誰の目にも止まっていないようだった。

 すると、慌しい足音を立てて誰かが入り口から入って来た…
「毎度ー! バイブ課の○○でーす! 使用感を伺いに来ましたーーー♪」 と、元気な声。

 一瞬、白熱の議論が途切れた時だった…
「あら! ○○君! 出来てるわよ! 使用感に関するみんなの意見!」 と、笑顔の課長。

 俺は机に俯きながらチラッと課長を見た…
「ここに、みんなの意見が書かれてるんだけどね~ 何か刺激が単調と言うかぁ~ 
 太さや長さは申し分無いんだけど、所々に振動が行き渡ってないと言うか~ なんか
 今一なんだよなぁ~ イボイボの大きさはグットよー♪」 と、男性に笑顔で話す女課長。

 俺が両手で頭を抱えていると…
「やっぱりかぁ~ いや! そこは技術部にも念を押したんだが、やっぱりかぁー 
 やり直しだな! サンキュー! いつもモニターさせちまって申し訳ない!!」
 と、男は腕組みして、課長や周囲の女子社員を見回して、申し訳なさそうな顔して見せた。

 バイブ部の男が立ち去ると、女子社員達の話題はバイブの話しに移りティータイムに入った
同時に、俺の机の横にも一つのティーカップが静かに置かれた。

 今日は、お疲れ様~♪
「彼方だけじゃないのよ~♪ この会社では社員全員が一つのチームになっているの♪
 だから、私たち女性は男性の持ち込む性具でも何でも、モニターとして参加しているし、
 彼方がさっき履いてくれたショーツも、実はさっきのバイブ部の人にも結構モニター
 してもらってるし、ここでは全員がモニターなの♪ それだけ自分達の開発した商品には
 誇りと自信をを持っているの♪」 と、しんみりと俺に語りかける、女課長。

 ホラッ♪ ちょっとこの摘みを右に少し回してみて♪
女課長が、スーツのポケットから何かラジコンの操作機器のような物を俺に手渡した。

 俺は、俺の目を見る女課長の言う通り機器に付いてる円い摘みを少し回してみた…
「アッ・アァァ~ン♪ アンアンアーン♪」 と、突然身悶えして見せた女課長。

 女課長は俺の見ている前で嫌らしい女の声を出して身体をクネクネさせ、身悶えして
更には、立っていられないのか俺の机の角に手を置くと必死に何かに絶えていた。

 俺は何が何だが解らず、突然身悶えした女課長から離れると慌てて…
「大変だー!! 課長がー!! 課長がーー!!」 と、みんなの下へ走り寄った。

 突然…
「あっはははは~♪ キャッハハハハ~♪ ウッフフフフフ~♪」 と、大歓声が沸いた。

 俺が、みんなの沸きあがる歓声に驚いて立ちつくしていると…
「もおぅ~♪ まったくぅ~♪ 課長~ったらぁー♪」 と、笑って女課長に近付く女係長。

 俺が何が何だか解らないでいると…
さっき、大声で論戦していた女性社員が突然、俺のところへ来て20個くらいの機器を俺に
手渡して、回せと言ってきた。

 女課長に渡された物と同じ、ラジコン機器だったが、俺は言われた通り一ずつ円い摘みを
言われた通り回した。

 その瞬間もアチコチから女課長と同じように、喘ぎ声を出して身悶えし始めた女子社員たち
俺はガクガクと全身を震わせ、大変なことになった! と、パニックになってしまった。

 すると、女係長が俺の横にやってきて耳元で…
「アレはねぇ~♪ 新型のラジコンバイブを全員でモニターしているのよ~♪」 と、係長。


 それでも俺が解りかねていると、係長がポケットから出して俺に操作機器を手渡して
目で摘みを回せと言って来て、そのとおりにすると。

 突然、女係長は俺の目の前で…
「アァァァーン♪」 と、身悶えして腰をガクガクさせ俺にしがみ付いた。

 あまりに可愛い表情を見せる女係長に釣られるように、俺はラジコンの摘みを少し回すと
女係長は、正面から俺にしがみついた両手を滑らせ、流れるように俺の股間に顔を埋めた。

 切ないほどに、甘美な声を上げて俺の股間に顔を埋め、回した両手で俺の尻を強く抱いた
女係長は、アチコチから聞こえるドリームの女子社員たちにも負けないほど大声で喘ぎそして
「アァァーーーン!! イクウー! イクウゥー!! イクウゥゥゥゥーーーーーー!!」

 係長は、イクウゥーを繰り返した瞬間、俺の股間に顔を埋めた状態で気を失った。
何が起こったのか、突然のこと理解出来なかった俺だったが、気付けば係長のラジコンの
スイッチを恐ろしさの余り切っていたことに気付いた。

 数時間後、課長から女子社員たち全員が、バイブを膣に仕込んでモニターしながら
ファンシィーパンティーについての会議をしていたことを、俺にも解るように教えてくれた。

 ただ、会社で女係長をイカセた事実は消えることはなかった。

 俺は間違いなく、女係長を俺の股間でイカせたのだから……



◆◆◆◆◆7話



 俺は、この会社でいろいろなことを学んだ。
男も女も無い、みんなが一丸となって様々なことに取り組む姿勢、係長や課長の仕事にかける
情熱もさることながら、男は男に出きることを、女は女に出きることを互いの性別を尊重し
認め合わなければ不可能なことになってしまうことでさえ、この会社では可能にしてしまう。

 俺は今、男性用の自慰グッズを撓らせた竿に被せて1畳間ほどの個室の中、瞑想しながら
モニターとして職務を遂行している。

 隣の部屋にも更にその隣にも、何人もの男性社員達が俺と同じように、瞑想しながら
商品の使い勝手を、様々な角度から屈託のない意見を用紙に書くために自らがチャレンジャー
として、メンズ開発部の商品テストをしている。

 最初にドアを開けて、中に入りパイプ椅子にスボンを降ろして腰掛け、小部屋の明かりを
小さく絞ってから、エッチなことを考えて、竿を右手で静かにゆっくりとモミモミし大きく
なったところで、今度は扱きを加え更に硬い物へと進化をさせる。

 そして硬さが一定に保たれた状態で、円筒状の筒の中に仕込んである専用のジェルの
ポンプを片手でプシュ、プシュッと抓んだり離したりを数回繰り返すと、無色透明の液体が
筒の中に満遍なく広がり上の方から徐々に奥の方へと流れ込んでいった。

 中にジェルが到達したのを見届けてから、円筒状の物を水平より少し傾く程度に保ち
下半身を少しだけ持ち上げて、自身の硬くなった竿をゆっくりと入れて行く。

 入り口が少し狭くなっていて亀頭全体を優しく包み込み、奥の方へ入れると竿にまで
心地いい圧力が加わっていくのが良く解る。

 自身の竿の根っこまで到達したら、腰を静かに椅子に密着させて、緑色のボタンを押す…
中の方で竿全体にフィットした肉質感のある特殊シリコンが固くなく柔らかすぎずに
程よく密着すると同時に、亀頭部分に、まるで生き物が吸い付くような感じで密着する。

 竿の部分で一番、皮膚の薄い先っぽの下辺りに、中の方でまるで女性の舌先のような物が
上下左右に揺ら揺らと揺れては、亀頭全体が吸い込まれるような感覚に覆われる。

 俺は、この一撃で溜まっていたものを中に放出してしまった…
従来品なら一度、抜いて綺麗にしてからでないとダメだったが、このXRスーパー7は
抜かなくても、何度でも継続使用が出来るのだ。

 このXRスーパー7は男性の出した体液を中の方で瞬時に固め、固まった液体は固体として
奥の方にある貯蔵室に送り込まれるから、スイッチの緑色が赤に点滅し、再び緑色になれば
最初と同様に、ポンプを片手で圧を加えジェルを流し込むだけで、再稼動が実現するのだ。

 俺はこうして、何度もの実地試験を繰り返した上で屈託の無い意見を用紙に記入し
使用した男性用グッズを袋に居れると、ズボンを履いて個室から外に出た。

 外に出ると既に、数人の終了した男性達が壁側の洗面施設で手を洗い真ん中のパイプ椅子に
腰掛て天井を見ながら喫煙していた。

 誰もが無口で、遠くを見詰めるような視線をアチコチに向けては、タバコを吸う…
その姿はまるで戦いに疲れた平家と源氏の武将達のようで銜えられた一本のタバコは
闇夜に舞う蛍のようだった。

 流石の俺も、抜かずの6発は体力を消耗させたのか、洗面で手を洗うと先輩達の端っこの
小さな椅子に持たれかかるように項垂れてしまった。

 すると…
「おい! 若いの! 何発出したんだ?」 と、眉毛の太い体育会系のような男性社員。

 俺が…
「あ… はい… 6発です…」 息も絶え絶えで答える。

 俺に向けられた目を男は再び遠くを見るように天井を見て…
「若いってのはぁ~ いいよなぁ~」 と、深い想いを吐き捨てるように小声で言った。

 疲れ果てた男立ちは、それ以降口数も少なくただ時間の経つのも忘れたように静かに
目を閉じ、座ったままで息を潜めた。

 すると、部屋のドアが開いて女性が入って来た…
「お疲れ様~♪ 本日はご苦労様でしたあ~♪ これは私たちからのお礼でーす♪」
 と、嬉しそうにニコニコ笑顔で入って来たオナニーホール部の女性だった。

 見ると何やら、手に持っていて室内の男性社員たちに何かを配っていた…
彼女が俺の前に立つと…
「はい♪ 新人のバイブマン君だよねぇ~♪ これでお昼は精を着けてねぇ~♪」

 彼女に手渡された物は、会社の近くにある焼肉食べ放題のチケットだった…
俺に微笑みかける彼女の笑顔は疲れ果てた俺には、天使のように思え辺りを見ると既に
他の男性達の姿はなく、室内には疲れ果てた俺とスカートで両膝に両手を置く女性の二人きり
女性は目の空ろな俺の顔に自分の顔を近づけると、無言で俺の頬に軽くキスして来た。

 何がどうなっているのか解らないが、女性はそのまま黙って部屋を出ていってしまった。
我に帰った俺が壁の時計を見ると既に12時を少し経過していた。

 上着を取って部屋から廊下へ出ると…
「ヒソヒソヒソヒソ… 来たわ… ヒソヒソヒソ… 流石はバイブマンね… ヒソヒソヒソ」

 何やら女子社員達が俺を見ては、何やら小声でヒソヒソ話しをしていたが俺には聞こえず
廊下を壁伝いに重たい足を引き摺るようにエレベーターに向かうと…
「来たわ! 彼でしょ… バイブマンって… 6発出したんですって! 凄いわ!」

 何やら聞こえていたが俺の耳には内容は殆ど何も届かなかった。
疲れ果ててしまい、早く自分の部署へ戻ってソファーで休みたかった。

 自分の部署であるドリームのドアを開けて中に入った途端だった…
「凄いわねー! ○○君! 6発も出したんですてぇ♪」 と、俺に駆け寄る女子社員達。

「えっ? な、何でそんなこと知ってるんですか?!」 と、驚いて女子社員達を見る俺。

「もおぅ♪ 会社中に知れ渡ってるわよー♪ 私たちもさっき聞いたばかりなのよー♪
 バイブマンが6発出したって~♪ でも、凄いねぇー♪ 普通は2,3発なのにー♪」
 と、俺はドリームの真ん中で十数人の女子社員達に囲まれた。

 ようやく、女子社員達から解放されたのは、12時30分を過ぎていたが俺はソファーに
横になると知らぬ間に眠ってしまったらしかった。

 目覚めれば午後の3時を回り、辺りには何故か静かでソファーの肘掛に乗せた頭を
少し傾ければ、誰が掛けてくれたのか仮眠用の毛布が俺を包んでいた。

 仕事もしないで、サボって寝ている俺なのにと目頭が熱くなるのを覚えた…
「こんなとこでサボる訳にはいかん!」 と、俺は一気に起き上った。

 静かに、首を回し左側の背凭れ越しにフロアーを見た瞬間、何事かと目を疑った…
何と、そこにはフロアーの床に思い思いの引き物を引いて毛布に包まって眠る女課長や、
女係長と男女社員全員が眠っていたのだった。
「何故!?」 と、強い衝撃が脳裏に走った俺だった。

 俺はもそっと、静かに身体を仰向けに戻し暫く考えた、何故? 何が起きたんだ?
解らない… 何でみんな寝てるんだ? 就業時間だと言うのに? 一体これは?
俺は頭がコンガラカリそうになりながら、何気なく右側に首を振った瞬間だった!
とんでもない光景が目に飛び込んで来たのだ!

 俺が寝ているソファーの下の床にテーブルを避けた状態でダンボールを敷いて毛布に
包まった人物… 脂ぎったバーコードハゲは忘れることの出来ない、紛れもない開発部長。

 何で、こんな偉い人がここに? しかも床にダンボール敷いて寝ているんだ?
俺は! 部長を下に見て寝ていたと言うかか! 顔から血の気の引く思いがした時だった。
「うぅ~ん ムニャムニャ」 と、ありきたりの表現で寝返りを打った部長。

 俺はの心臓は口から飛び出しそうになったのは言うまでもないが、
俺はこの場を誰にも気づかれずに、その場を離れ喫煙ルームに身を潜め就業時間を待った。

 就業時間を少し過ぎた辺りにドリームに戻ると既に殆どの人たちは帰宅した後だったが
待ち構えていたように、俺は女課長と女係長から意外なことを聞かされた。

 彼方は熟睡したとは言え勤務中にサボって寝ていた…
就業違反よ! 立派な! でも、私や彼女やこの部署の全員が彼方同様にここで仮眠を取った
部長の指示でね! そしてその部長も仮眠を取った! これで彼方は就業違反にはならない。

 今日の仕事の内容も、見てごらんなさい! ホワイトボードを!
13時~16時、瞑想して商品のことを考えると書かれてるでしょ?
あれは、彼方が戻る少し前に、部長が書き直していったの!
彼方は既にここのスタっフなのよ!
それを忘れないで!
いい!




◆◆◆◆◆8話



「でっ、どう? 使用感とか糸のほつれとかはない?」 と、ファンシーショーツについて
俺の机の横に立って髪の毛を後に少し左手で流す仕草をする係長。

「後でいいからこれに必要事項記入して、課長の机に上げといて頂戴」 と、俺の肩をポンと
軽く叩いて笑顔を見せ去った係長。

 俺は係長に言われた通り、ファンシーショーツとブラジャーを身に着けこの数日間を
任意と言う形で会社でも自宅でもモニターしていた。

 当然、洗濯は女係長がしてくれるんだが、正直恥ずかしいと言うか照れると言うか
いくら上司とは言え、相手は女性で俺の履いた所謂、使用済みパンティーの汚れとかも
見られてしまう訳だし、俺としては袋に入れて毎日返却するとは言え、その瞬間が何とも
切ないと言うか何と言うか。

 何処かに置いておくからと申し出たものの、新製品には課の責任があるから、そんなことも
出来ないからと、直接手渡しを指示されている。

 さっきも、更衣室で取り替えて来たんだが、俺はバカなのかいろんなことを想像しちまう。
女係長と女課長の二人で、何処かの個室で使用済み下着の匂いを嗅いでるんじゃないかとか、
俺のパンツで、係長がトイレでオナニーしてるんじゃないかとか、まぁ~ 有り得ないが。

 係長に渡されたモニター用紙を広げて見ると、何百項目もあって似たような質問がビッシリ
1から350項目に渡って縦に並んでいた。

 使用感や安心感と言った質問は簡単なのだが意味不明なのも相当あった。
何々~ 勃起した時に違和感はないか? 普段は右、それとも左? 玉袋は痛くないですか?
トイレの時に何処まで降ろしていますか? 蒸れ具合は大、中、小のうちどれですか?
まぁ~ 企業の聞いて来る質問なんて大したことないだろうと思っていたが、中々どうして
本来ならセクハラになるようなことが、堂々とアカラサマに書いてある。

 係長から2時間貰った回答時間、俺は30分くらいでモニター用紙を完成させると、
課長の机に封筒に入れて置くと、その足で隣の会議室に居るであろう係長を尋ね、ドアに
手を掛けると何やら、中から女性社員達の歓喜する声が聞こえた。

 何やら楽しげに弾んだ声を出しているのは、リーダーの○○さんだ!
お! 大きな声で大笑いしているのは主任の○○さんに、なにやらジョークで飛ばしてそうな
デザイナーの声も聞こえて来たし、これは何か期待出来そうな雰囲気だと、心弾ませて一気に
ドアを開けると、一瞬みんなが俺の顔を見た瞬間。
「キャァー♪ アッハハハハ♪ イヤ~ン♪ ○○君よぉ~♪ キャッハハハハ♪」

 何事? 何か大笑いしながら俺の顔をみんなで見ては腹を抱えていた女性達…
わけも解らずに一歩、また一歩と女性達の方へ近付くと、白い大テーブルの上に何かがあって
テーブルに乗せられたボードの上には、俺が履いているのと同じファンシーショーツが、
内側を晒して虫ピンで広げられていた。
「何してんだろ?」 と、テーブルの上のボードに近付いた、俺。

 キャハハハハハハ♪ ○○君♪ いいもの付いてるじゃん♪ 俺の横で爆笑する女社員…
「何!! 何でこんなものがここに!?」 一瞬見入ってから後退りしてしまった、俺。

 彼女達が見て大笑いしていたのは、紛れもない俺がさっき更衣室で取り替えて袋に入れて
係長に直接手渡した使用済みのファンシーショーツだった。

 俺の頭の中は、真っ白になってしまった…
内側を広げられ虫ピンで固定された、俺の使用済みファンシーショーツは真っ白な尻の部分に
黄色く薄い色が縦に伸びている、いわゆるウン筋がハッキリと見えていた。

 彼女達は俺の使用済み下着に付いたウン筋を見て爆笑し、そしてチンコの部分の黄ばみを
指差しながら、頭の中が真っ白になって俯く俺を下から覗きこんでいた。

 誰かが俺の背中を叩き誰かが俺の肩を押しつけ誰かが下から覗きこみ、耳元で黄色い声で
大笑いし周囲を囲まれて身体を前後左右に揺すられた俺だった。

「何してるの!! 貴女たちー!!」 突然、俺の横から怒声が飛んだ!!

 俺の身体を揺する手は止まり人の気配が瞬時に俺から離れた…
「無いと思って探してたのに!! 何でここにあるの!!」 と、激怒する声が聞こえた。

 消沈して無言で俯いていると…
「何てことしてんのさあーーーー!!!!!」 と、激怒して怒声が聞こえた。

 気が付けば俺は、自分の机に戻ってきていた…
人の気配を感じチラッと見ると、見慣れたスーツスカート…
両肘を机に着いて両手で、頭を抱える俺の右肩に静かに添えられる小さな手…
「○○君、ごめんなさい… 私の責任だわ… ちょっと目を離した隙に…」 と、女係長。

 そんな係長に俺は…
「どう責任取るんですか!」 と、両手で頭を抱えたままの、俺。

 あっ、うっ…
「あの子たちのしたことは上の方にちゃんと報告するから…」 と、小声の係長。

 塞ぎこんでいる俺…
「そんなことで済ますのか!? そんなことで済まないだろ!?」 と、豪気を強める、俺。

 俺が豪気を強めて係長に怒鳴った時だった、横の係長の後の方に大勢の人の気配が感じられ
その気配は次第に係長の後から俺の周りを取り囲んだ。
「その… ○○君… ごめんなさい! ホンの冗談のつもりだったの! ごめんなさい!」
 と、一人一人謝り始めた、さっき俺の下着を辱めた女子社員達。

 塞ぎこんでいる俺…
「今更、謝られたって! セクハラもいいとこだ!」 と、悔しさを滲ませる、俺。

 一人の女子社員が寄ってきて…
「じゃぁ、どうすれば… いいのかな…」 と、小声の女子社員。

 弱気な姿勢の女子社員に…
「あんた等もパンツ脱いで、俺に差し出せ! そしたら許してやる!」 と、怪訝な俺。

 無言になった女子社員に、とんでもないことを言っていることに気付きながらも、俺は
彼女達に仕返ししたくて放った一言だった。

 どうせ出きるわけが無い、そう思いながら俺の受けた恥辱を晴らさんばかりの醜い俺は
わざと、出来ないことを承知で女子社員達に豪気ょ放った。

 すると、何やら異音が聞こえ、チラッと見ると、ゴソゴソとスカートをたくし上げている
女子社員達が見えた。
「フンッ! どうせヤラセだろ!」 と、内心思った、俺。

 スカートはドンドンたくし上げられ、何かをスルスルッと脱ぐ音が彼方此方から聞こえ
それでも目を閉じて気付かないフリをしていた時だった。
「ポトッ、ポトッ、パサッ、パサッ」 何やら塞ぎこむ俺の両側に置かれた音がした。

 人の気配が俺から離れて行ったことに気付いたが、俺の後に一人だけ気配があって
目を閉じたまま、俺は両手を机の前に置いて、後の人に尋ねた。
「係長ですか?」 と、尋ねる俺。

「えぇ、私よ」 と、係長。

 俺は目を閉じたままで、椅子を後に回転させながら…
「係長、俺をこの場からドアの方へつれていって下さい」 と、俺。

 すると、そっと係長の小さな手が俺の左手をしっかりと握り締め俺は係長に目を閉じたまま
ドアへと連れられ、そこで目を開けた。
「係長、もういいです… 申し訳ありませんでした…」 と、一礼して廊下へ出た、俺。

 後に係長から聞いたが、彼女達は俺の周りで紛れもなく下着を脱いで机に置いたらしかった
ただ、彼女達が脱いだのは、女性用のパンティーではなく、モニターとして使用していた
男が履くトランクスの女性版のパンツだったと教えられた。

 この会社では常に男も女も何かに携わっている。

 男用のトランクスの女版って、どんなものだろう…
何故か、興味の沸いた俺だった。





◆◆◆◆◆9話



「今回のターゲットは、ズバリ! 女装マニアの男性です! 我が国の男性の女装人口は
 毎年増加傾向にあり我が社の調査に依れば、やり方次第では1兆円産業になる可能性は
 多分にあり、今回のプロジェクトは社長以下の重役達も大きな期待を寄せており
 我が社の開発及び企画部に商品開発を託して来た! よって私はこの期待に応えるべく…」

 企画部と開発部の合同で行われた会議の席上、開発部長の訓示が俺達に重圧を与えた…
今度のプロジェクトの目玉は、女装マニアが普段着として違和感なく女性用品を見に着け
生活出来る商品開発を行うと言うもので、それならドリームの手がけている男性用として
開発を進めている、ファンシー用品があるじゃないかとの反発もあったが、社内の女装愛好家
調査部の連中の一言で反発は打ち消しされた。
「女装愛好家は女装をするのが目的であって、男性用ファンシー用品は男性用であり
 女性用品ではないから、誰も見向きもしないと!」 と、調査部の連中。

 まぁ、確かに男性用に開発された商品は、あくまで男性用であり女性用ではないから、
女装愛好家の支持は取り付けられないのは何となく、俺にも解る気がした。

 でも、だとしたら結局会社は俺達に何を作れと言うのだろうか…
正直なところ首を捻ってしまうことだらけで、思い浮かぶとしたら大き目の下着に大き目の
スーツや衣類に靴と言うことになるが、それすらも敢えて大きめに作れば男性用だと
避難されそうな気がしなしでもないのは事実だ。

 このプロジェクトにはドリームの女課長も女係長も、余り乗り気では無いようで実際
頭の中に何も浮かんで来ないのが実情だった。
「男性用では無い男性のための女性用品の開発って一体何だ?」 と、男性社員。

 だから、男性が違和感なく身につけられる女性用品と言うことなら、ドリームの商品を
そのまま使用するがベストではないかと言う意見が圧倒的で、どうやら今回の意味不明な
プロジェクトは難航が予想された。

 結局このプロジェクトは開発部長に課長と係長からの強い進言もあって企画の練り直しが
なされ、俺達の手から離れることになったんだが。
「男性が違和感なく普段着として着られる女性用品か…」 と、腕組みして考え込む課長。

 すると…
「ちょっとまってよ! 私たちは考え方としては、男性用のブリーフを何とか可愛くしてと
そう言う基本理念があったように思えるわね!」 と、歩く回って的ベニ行く課長。

 すると…
「でも、課長! 結果的には男性用のショーツでいいんじゃないですか?」 と、係長。

 解った!!
「男女兼用の下着の開発! 男女が下着を選ぶんじゃなくて、下着が男女を選ばない
 店頭で男女の別で売られている下着が、もしも! 男女兼用ならどう!! 男女兼用なら
 定着さえすれば、男性が買う時も恥ずかしくないし、それでいて男女兼用だから
 女装愛好家だって男性用とか女性用とかの区別がないんだから! 受け入れるかも!!
 ねぇー! どうかしら! このコンセプトで!」 目をランランとと輝かせた課長。

 これには、俺達ドリームの人間は全員驚いてしまった。
男女の区別の無い男女兼用のショーツ、これなら確かに女装愛好家だって文句も出ない。

 俺達は早速、原案造り取り掛かりその間、課長は開発部長の下へと急いだ。

 その時…
「ちょっと待ってよ! じゃぁ、私たちが進めてる男性用ファンシーショーツは
 どうなるのよ? もしも男女兼用なんて出来たら、私たちのファンシーショーツは??」
 課長が出たあとで、顔を青ざめさせて語る、女係長。

 それを見ていた男性社員が…
「係長! それはそれでいいんじゃないですかね! 既にネットや雑誌の広告打ってますし
 突然、男女兼用下着を市場に持っていっても、販売力と広告力に欠けますし、我々ので
 最初に世に広めた後で、まぁ~ これには広告部の意見も聞いた上ですが…」
 と、腕組して手の上で頬杖ついて語る社員。

 係長が突然…
「ねえー! ○○君! 今、身に着けてるでしょ! 向うで皆に見せてもらえないかなー!」
 と、俺の前に立って真剣な顔で頼む係長。

 俺は、係長の真剣な眼差しに心打たれ、向うの部屋へと移動すると後からワイワイガヤガヤ
大勢の男女社員たちが、押し寄せて別室へと入って来た。

 俺は背広を脱いで会議テーブルの上に置くと、ワイシャツとスボンを脱ぎブラジャーと
フリルの付いたファンシーショーツ姿で、大勢の男女社員の真ん中に仁王立ちした。

 誰も笑うものなく、大勢の社員はスケッチブックやデジカメで俺の顔下を書きそして撮影し
いろんな角度から様々な角度で観察していた。
「この部分がネックなのよねぇ~ 私たち女性はこの辺りだから~」 と、俺の下半身の前に
 屈んで顔を近づける女性社員。

「そうそう! この部分を立体縫いにしたから締め付け感も軽減したのよねぇ~」 と、別の
 女性社員も俺の下半身の前の女子社員の隣で観察しばじめた。

 仕事とは言え、ファンシーショーツ一枚の真ん前に身体を屈めて観察する女子社員が
いると言うのは俺にとってこれ以上の屈辱はなく、されど動くわけにも行かずトホホな俺。

 数秒後には俺の下半身は身体を屈めて覗き込む女子社員に取り囲まれていて、
押すな押すなの大盛況となったのを機に、何故か俺のファンシーブラジャーの乳首をジッと
異様な目付きで見詰める一人の男性社員が居ることに気付いた。

 乳首の上のメッシュそして、乳首の周りを何枚も折り重なるように優しく包むフリルの
何処がファンシーなのか理解出来ないが、少なくともこの男には美しく映っているに違いなく
俺は、俺の乳首に見入る、この男の異様な視線に恐怖を感じていた。

 女性社員達は殆どが屈みこんで俺の下半身を興味深く観察し、上の方では滅多に話さない
男性社員が、俺の乳首にウットりしている。
「何だろう… 乳首が熱いのだが…」 と、内心思う俺。

 男は、俺の乳首をジッと見詰めたまま、薄らと軽く笑みを浮かべた時…
「おい! ○○! いい加減に見詰めるのよせよ!」 と、別の男性社員。

 ハッとしたような顔してニヤニヤしながら俺の前から男が離れると…
「心配すんな! アイツはホモじゃないから~♪ アイツはフリル担当だからよ♪ 自分が
 入れたフリルが可愛くて仕方ないんだよ~♪ お前にも何れ解るよ♪」
 と、別の男性社員が俺の肩をポンと軽く叩くいて離れていった。

 
 俺は1時間近く部屋の中央で感卒に堪えた後で、いつものようにモニター用紙に記入し
係長と二人で別室で商品の袋詰めと説明書入れをしていた。

 係長は俺にショーツの畳み方や袋詰めの仕方を教えていたものの、ドリームでは
こんなことまでするのかと内心、地味な作業に取り組んだ。

 商品の袋詰めと言っても、社内でのモニターさん用の物で、俺が履いてるのは全てが
前に、係長が詰めてくれた物らしかった。

 すると…
「ねぇー ○○君にお願いがあるんだけど…」 と、商品の入った箱の向う側の係長。

 係長の方を見た俺は…
「えっ、あっ、はい…」 と、商品を持ったまま係長の顔を見た。

 チョッキのポケットから何かを取り出して俺に見せようとした係長は…
「今のモニターの他に、他から頼まれた物があって、引き受けてくれないかな~ モニター」

 俺は…
「あぁ、いいっすよ!」 と、簡単に返事をした。

 嬉しそうに微笑んだ係長が、俺に渡したものは10センチ角の厚さ1センチの包装された
中の見えない物だった。

 俺が受け取ると、係長は何故か頬を紅くし恥ずかしそうに…
「じゃぁ悪いけどここで履いてもらって、そのまま仕事を続けて♪」 と、立ち去った係長。

 俺は気になっていた、係長の恥ずかしそうな顔、そして履くと言う表現が…
係長が去ったあとで、包装を取って中を見て仰天した。

 係長が俺に渡した物は、ブラウンのパンティーストッキング男性用と書かれた説明書…
俺は、既にファンシーブラジャーに、フリルタップリのファンシーショーツまで履いている。
「このファンシーショーツの上から更にこれを履けと言うのか!」 と、挫折する俺。

 人間とは非情なものだ、係長がここに俺をつれてきたのは、俺にこれを渡すため…
「こんなものまで、履いたら俺は! 俺は! 俺はーーーーー!!!」 心で叫んだ俺。

 ファンシーセットと組み合わせれば彼方はもう魅惑の人… 
 蝶が舞うように今アナタは空高く舞い上がる…
 周囲の熱い視線はアナタに釘付け♪

 取説のキャッチコピーは、激しく俺の自尊心を攻撃していた…
周囲の視線はアナタに釘付けって!! そりゃー 釘付けだろうよ!! 
こんなもの、履いてりゃよおぉぉぉぉーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!

 俺は、男性用と書かれただけの女性用のパンストを履いていた…
これは単に男性用と言う取説が書かれただけの女性用だってことぐらい、直ぐに解った。

 ドンドン増えていくモニター品に恐怖を覚えた俺だった。



◆◆◆◆◆10話



 ファンシーショーツにブラジャーを身に着け挙句の果てにはパンストまで履いた俺は、
最早誰が見ても変質者だろうか。

 この会社の中なら常識でも一歩外へ出れば、俺は確実に変質者の仲間入りだろうし
スラックスに映る後姿はビキニの下着で誤魔化せるが、パンティーストッキングは流石に
クルブシの辺りを見られれば一目瞭然。

 だが、俺は一流のバイブマンを目指すと心に誓った以上は、例えそれが男性用とキャッチ
されただけの物でも、俺は上司の命に従い行動するまでだ。

 とは言え、実に窮屈でしかもスボンがスルスルっと内側で滑る感触が気持ち悪く
フリルをふんだんに使ったファンシーショーツの所為で、ムレムレと言った感じもして来た。

 こんなものを毎日身に着けて働くのかと思うと、正直なところいくら憂鬱な気分にもなるし
「全く! 俺を何だと思ってんだ!!」 と、一人憤慨する俺。

 モニター商品の袋入れも一通り終わり時計を見れば就業時間の少し手前、
俺は歩き辛さを我慢して小部屋を出ると、係長に終ったことを告げるため広間に向かった。

 係長が真剣な眼差しでノートパソコンに見入っていて近付きがたい雰囲気もあったが、
俺は、任務の終了を伝えるに敢えて彼女の机の真ん前に向かった。
「係長! 終りました! それと…」 と、係長に話しかける俺。

 どうやら係長はモニターに夢中で俺の存在に気がつかないようで、仕方なく俺は係長の
真横に移動して、係長の肩をチョコンッと左手で突いた。
「キャァー!」 物凄い驚きで悲鳴を上げた係長。

 係長の悲鳴に驚いて後退りしてヨロケた俺だったが、周囲の社員達は一斉に係長を見て
何事かと言う目をしていた。

 すかさず大丈夫ですかと声かけた俺だったが、係長のパソコンモニターに映っていたのは
紛れもない、ホモサイトの恥ずかしくなるような男のオナニーシーンだった。

 俺に見られたことが係長には相当にショックだったらしく、見る見る間に係長の顔は
青くなっていき、シドロモドロな何かを俺に語りかけていた。

 どうせ、仕事絡みで男の身体を見ていたんだろう程度に思っていたのに、彼女は今までに
見せたこともないような表情をして、俺に何かを語りかけていた。
「私はね! こんなものに興味が! みんなが働いてるのに! 偶然よ! 偶然!」

 何故に大慌てするのだ係長と俺は内心思っていたが、それには触れず袋詰め終了を報告し
彼女の机から離れ自分のデスクへと向かった。

 椅子に座って、パンストの初期報告書を書こうと壁掛け時計を見れば就業時間になっていて
報告書を書いてる時間がないことに気付いた。

 俺の所属するドリームでは残業は禁止されていたから、報告書は明日にしてと片付けをと
立ち上がると机の横に係長が立っていた。

 すると係長が…
「さっきは、ビックリさせてゴメンなさいね! あんなサイト見てたもんだから罪の意識
 あったりしてさ! ホントにあれは仕事だから…」 と、係長。

 最初は俺の目を見ていた係長も次第に俯き加減になり声もボソボソに変化した。
「えぇー 解ってますよ! 男の身体を見ないと研究出来ませんからね」 と、語った俺。

 すると、突然係長は数回手を叩いてピョンと一回跳ねた後に、満面の笑みを浮かべたものの
何でそんなに嬉しいのか俺には理解出来なかった。

 そんな係長が初めて俺を酒に誘ったが、素直に喜べない俺の内心は早く帰宅してパンストを
脱いで楽になりたいと一心だった。

 そんな俺でも、やはり美人の上、俺の教育係りでもある彼女の誘いを断る勇気はなく
俺は、そのまま彼女に連れられて繁華街へと入っていった。

 彼女が連れて行ってくれたのは焼き鳥屋で社内でも評判の店だった。
店に入ると、店内の至るところに天狗の面があって、良く見ると天狗の鼻にはバイブが
付け替えられていた。

 彼女に聞くと、ここのオーナーは元々が俺の勤める会社の課長だった人で
今では統合されてしまったが、面白グッズを専門に扱う開発6課と言う場所だと知らされた。

 開発6課の主力商品は天狗の面についた取り外し可能なバイブでヒット商品になって
社長賞をうけたほどらしかったが、今のようにドリームとかと言う名称もなく1課から12課
編成で構成された組織は、その後経営難に陥り何度かの統合を繰り返し6課は無くなった。

 カウンターの中で威勢よく振舞う店主の姿に、想像ではあるが当時の開発6課の課長を
重ね合わせてみると、パワー溢れる課長だったと感じた俺だった。

 小上がりには名前がついていて、奥の方から1課、入り口付近は12課となっていて
何故か6課は使用不可と入っていた。

 入り口からカウター側の壁にズラリと並んだ真っ赤な顔の天狗に、色とりどりのバイブの鼻
ギラリと店内に睨みを効かせている目玉は、良く見れば初期型のローターだった。
「係長! どうして6課は使用不可なんですか?」 と、彼女似聞いた俺。

 突然…
「ヘイ! お待ち!!」 と、店主に頼んだ鳥串と豚串に手羽先の盛り合わせを出した。

 まずは乾杯しよっか! と、微笑む係長に…
「○○さんの新しい彼ですかい!? あっははははは♪」 と、カウンターの中の店主。

 すると…
「ヤーダー♪ オジサンたらあー♪ キャッハハハハ♪」 と、大きく笑う係長。

 何故だろう彼女の笑みを見て一瞬ドキッとした俺は…
「そうですよ! 俺は係長の新しい彼ですよ♪」 と、店主に嘘吹いた。

 俺の言葉に固まった彼女は…
「ちょっとぉ~ 冗談やめてよねぇー!」 と、顔を俯かせて上目使いで俺を見た係長。

 ふくれた彼女の顔を見た瞬間…
「ドッキーーーーーンッ!!」 と、心臓が突然高鳴った、俺。

 同時に店主が…
「おっ! 恋の予感ですかい! 係長さん! いいねぇ~♪ 若いってのは♪」 と、笑む。

 何故か、その後から彼女は口数が激減し俺は、マズいことを言ったと反省してしまい
二人は無言でムシャムシャ、グビグヒと空腹を満たすだけになってしまった。
「ねぇ… ○○君! 私ねぇ… ホントは○○君のこと…」 と、彼女が淑やかに囁いた。

 その瞬間だった!
「あれー? ○○じゃねーーーーー?!」 と、店内に響き渡るほど大きな声で俺を呼ぶ人。

 一瞬聞き覚えのある声に、反応して後を振り返ると、そこに立っていたのは学生時代の
親しい友人たち、そう、俺の社会進出に誰よりも喜んでくれた連中だった。

 俺は、上司である彼女を紹介し彼女にも紹介すると、流石は社会人経験の長い連中は
気を利かせて別の小上がりへと移動していった。

 楽しげに奥の小上がりで盛り上がる奴らのことを、目の前の店主に聞くと、結構まえから
常連らしく、今日も店に来るからと事前にアポが入っていたとか。

 フッと、思い出したように隣の席を見れば、彼女は疲れていたのか眠っていた…
「係長! 係長!」 と、何度か声を掛けた俺。

 俺は係長を自宅に送り届けようと、目の前の店主に彼女の住所を聞くと店主は…
「しょうがねえなぁ~! 全くこのバカは!」 と、突然彼女の頭をパシパシ叩いた店主。

 カウンターに項垂れる係長の頭をパシパシ叩く店主に俺は…
「おじさん! 何てことすんだよ! 係長だぞ!」 と、カウンターの店主を見上げた俺。

 すると…
「全く! 部下連れて来て寝る奴があるか!」 と、言いながらカウンターから出た店主。

 店主は係長の両脇に手を入れると、係長を抱き起こして立たせると引き摺るように
奥のトイレの方へ連れて行った。

 俺は店主の行動に不審を抱いて…
「おじさん! いくらなんでも!」 と、喰って掛かった。

 すると、彼女を抱き起こしたままで店主は…
「すんませんねぇ~ バカな娘が心配かけちまって…」 と、俺に何度も頭を下げて謝った。

 彼女はそのまま、トイレの横のドアから中に連れていかれ、戻った店主にきけば
奥の小部屋で寝かせてきたとのこと。

 ここは係長の父親が経営している焼き鳥屋だったことを初めて知らされ酔いも冷めた俺は
一気に飲み直し、店主の焼いた焼き鳥に舌堤を打っていた。
「おー! 娘さんにフラレたかー!」 と、奥から俺のところに大声かけてきた友人たち。

「お前ら知ってたのか!?」 と、友人達を椅子に座って見上げる俺。

「アタボーよおー! 俺らも何度かアタックしたけど全滅だったよーだ♪ うっへへへ♪」
 と、俺の側で両手を上げて踊る仕草をする友人たち。

 友人達と一緒にカウターで飲みなおして後、俺は友人たちに昔よく行ったサウナに誘われた
酔っていた所為もあってすっかり忘れていたのだった。

 アレを…

 勘定を済ませて4人でタクシーに乗って、学生時代から足を運んだ街外れの古びたサウナは
以前と少しも変わっておらず、俺達を学生時代へとワープさせてくれた。

 カウンターの親父さんも相変わらずのチョビヒゲが整えられ、俺達の顔もちゃんと覚え
店に入るなり懐かしそうにカウンターから手を振ってくれた。

 金を先払いして脱衣場に入った時、後から声を掛けてくれた看板娘の○○ちゃんもいまや
すっかり、二人のお母さんで少し太ったようだった。

 懐かしげに語り合った後で、俺達4人は脱衣場の椅子に座り昔のように服を脱ぎ始めた
看板娘の話しをしながら、何気なく背広を脱いだ時だった。

 突然、横並びに座っていたうちの両側の奴の動きが止まった…
ネクタイを外して、ワイシャツのボタンを半分まで外した時、3人の友人達が俺の後に
無言で立ちつくしていた。
「おいおい! なんだよー♪」 と、後の奴らの顔を斜め下から見上げた俺。

 一人が俺から少し離れ…
「お前! そう言う趣味あったっけー?」 と、意味不明なことを俺に伝える親友。

 俺は後の方にいる3人を無視するようにワイシャツを脱いだ瞬間…
「うわあぁー!」 と、一瞬後に飛び跳ねた親友達。

 意味不明な叫び声を同時に上げて、飛び跳ねた後の3人に構わず立ち上がってズボンを
脱いだ瞬間だった。
「うわあぁぁぁーーーーーーーーーーー!!」 と、後の三人は俺から逃げるように離れた。

 なんだー? お前らー? と逃げ出した三人を一人ずつ見ると、何やら友人達は俺を
指差してガタガタと振りえて怯えていた。

 俺が気付くのに時間は必要なかった…
3人が指差した瞬間、俺は自分の身体を見下ろしたのだ。

 俺は必死になって脱衣場で、風呂場でサウナでと無実を3人に訴えたが、爆笑するだけで
3人は俺の話しを聞いてくれないばかりか、俺から逃げる始末でホトホト困り果てていると
みんなが俺に少しずつ寄ってきた。
「信じてやるよ! お前は変質者じゃーないからな!」 と、親友達。

 タップリと汗を掻いたから休憩室でも行くかと、脱衣場に行って替えの下着をロッカーの
バックから取り出した俺は、自分の衣料籠の前で再びファンシーショーツを着用。

 当然のことながら、親友たちは噴出しそうになるのを必死に堪え、俺を取り囲んで見ていた
はずだったが、汗でショーツが張り付いて上手く履けずにモタモタして立ち上がると
見知らぬ男達が数人、俺を取り囲んで俺の下半身を見入っていた。

 顔から血の気が引く思いがするほど恥ずかしかったが、更に俺に追い討ちをかけたのは、
俺を取り囲む数人の男達は全員、俺に向けるように竿をビンビンに撓らせ息もハァハァと荒く
今にも飛びかかってきそうな雰囲気だったことだろうか。

 俺の噂は別の親友たちにも伝えられ、暫くの間は携帯が鳴りっぱなしだった。
しかし、乳首の周囲を円を描き重ねられたフリルは親友達にはどんな風に映っていたのだろう
真ん中の一物を両側から守るように重なったフリルは、親友達の脳裏に何を伝えたのだろう。

 ファンシーショーツの上から下半身にフィットしていたパンストは、親友達に俺の何を
語ったのだろうか。

 俺は数日間、泣いて暮らしたことを親友達も会社の連中も誰も知らない。




◆◆◆◆◆11話



 特殊開発部…
俺は女課長に連れられてやって来たのは聞き覚えの無い部署で、本社屋の地下3階にあって、
重役達が部屋を連ねる最上階に近い場所のエレベーターからしか行けない、厳重に守られた
この部署に何故か俺は、女課長と一緒に入ることとなった。

 本来は課長でも入ることの出来ないこの部署に行くために、特別に開発部長からパスを借り
エレベータのロックを解除し、地下3階へと降りて来たものの、複数の警備員達がアチコチに
大勢いて、出会う度に開発部長のパスを提示して廊下を歩く。

 廊下には各部屋の入り口の横に必ず配置されている警備員とドアロックキーの設備があって
ここの警備員達の大半が元警察官や自衛官で構成されている厳重な体制に驚いている。

 行き交う人たちは殆ど面識も無く、もっともここに配属された人達は一階の重役専用の
エレベーターを使うトップシークレット扱いだからだろうが、何処と無く俺たち一般社員とは
目付きが違うように思えた。

 課長によれば、ここに配属された人達は全員が次長か部長扱いだとか…
正直、俺の心臓はエレベーターに乗ったころから爆発しそうなほどで少し震えもある。

 女課長と二人で縦連なりで一番奥へ来た時、突き当たって3つのドアがあってドアの横に
3人の警備員が目を光らせて立っていた。

 一階に居る警備員とは見るからに違っていたのは、体格と言うか筋肉質ポイ太い腕と胴体
見るからに戦争経験者ではないかと思うほどの、頑丈な身体をしていた。

 女課長が一番左のドアの前に立った…
「ドリーム課長、○○です! 開発部長のパスを借りて訪問しました!」 と、パスを出す。

 警備員は課長からパスを受け取るとドアの横のセンサーにパスを当てるとカチッとドアが
開いたものの、直ぐには通して貰えず、警備員が課長に認識番号と問いかけた。

 課長が、認識番号の8桁を言うと電話で警備員が何処かへ伝えドアの上の回転灯が青い光を
放ちながらクルクルと回った。

 警備員がドアを開けると課長と俺は立て並びで中へと入った。
中は左右に伸びる長い廊下で左端も右端も見えないほど遠く、俺を唖然とさせた。

 課長が左側へヒールの音を廊下に響かせながら進む…
コツコツコツとヒールの音だけが、幾度も反響し合いながら俺の耳に飛び込んでくる。

 廊下も壁も天井も真っ白で、その白さを増長させるように天井の白熱灯が光り輝いていて
眩しい光の中にいるような錯覚を覚えたものの、ドアには番号も識別するものも無かった。

 10メートル間隔で立ち並ぶドアの向う側からは何の気配も感じられず、静まり返っている
どれほどのドアを通過しただろうか、廊下は更に続いているが課長が立ち止まった。

 襟元を直す課長につられて、俺もネクタイを調えると課長は深呼吸してからドアノブに
手をかけて静かにドアを押し開けた。

 中に入ると向う側に数メートルの奥行きがあって、左右に降りるための手摺の付いた階段が
十数段取り付けられていて、ドアの場所から2メートル位、下がったところに床があった。

 緊張しながら、階段を左がへと降りて行くと、更に左右に何箇所ものドアが一定間隔で
立ち並び、そこのドアにも番号や区別するものは何も付いてはいなかった。

 真ん中辺のドアを課長が開け後に続くと、ようやく職場の雰囲気が漂い社員達が机に向かい
椅子に座って何かをしていた。

 全員ではないが、俺から見えた人達は顔に透明プラスチックのような立体マスクをして
ある人は黒系のゴーグルをし、ある人は顕微鏡を覗いていたが全員が白衣を着用していた。
 
 課長と俺がドアから入った数メートルの場所にいると…
「いやぁ♪ いらっしゃい♪」と、満面の笑みを浮かべた白衣の男が近付いて来た。

 課長は深く一礼すると、俺も慌てて後に続いて深々と一礼をすませ顔を上げるると、
近付いて来た男は課長を下の名前でちゃん付けして、親しそうに呼んで話していた。
「○○くん! こちらは、特殊開発部の部長で○○さんよ♪ 御挨拶して♪」 と、課長。

 俺が自己紹介をすると…
「ほほおー♪ 君があの有名なバイブマンか♪」 と、俺に親しげに見詰めた部長。

 部長が右腕を振ると、俺の後から白衣に身を纏った20代中頃の女性が来て俺に一礼し、
俺も振り返って深々と彼女似一礼をした。
「バイブマンでしょ♪ 噂のっ♪」 と、ニコッと微笑んだ彼女。

 彼女と会釈しているうちに、部長と課長は何処かへ行ったようで、少しうろたえたものの
髪を後に縛った白衣姿の彼女は後に続けどばかりに歩き始めた。

 俺たち一般と違い、彼女達はトップシークレット待遇、会釈はあったものの自己紹介もなく
名前すら教えては貰っていないことに釈然としない俺だった。

 彼女が足を止めた一室のドアの前、彼女に続いてドアから入った瞬間だった…
「ウグッ! ウグググッ!」 鼻を衝くうな刺激臭が俺を襲った。

 俺の方を振り向いた彼女が…
「ちょっと臭いでしょうけど、人体には影響は無いから安心して♪」と、微笑んだ彼女。

 中には実験用のビーカーやフラスコに、かき混ぜ棒があって、どう見ても実験室の装いが
俺の目に入って来た。

 無数にある、実験用の頑丈そうな机の上に無造作に置かれた器具や顕微鏡が俺に、
ここは本当に会社なのかと言う疑問を投げ掛けて来るように思えた。

 白衣の彼女が、俺に手招きした場所へ移動すると何本かあるハンディサイズのスプレー缶を
椅子に座った時様態で、手に取って見せてくれた。

 スプレー缶には何も書かれてはおらず、中身が何なのかはまったく解らない状況で…
「ねぇ♪ バイブマン♪」 と、俺を呼んだ彼女。

 俺が彼女の顔を見ると、彼女は突然スプレー缶を一本選んでから、白いガーゼに軽く噴霧し
それを俺に嗅いで見てと言わんばかりに、しずかに差し出した。

 俺が彼女の誘導に乗って嗅いで見ると…
「オエェーーー!! ウェップ!!」 と、鼻の奥に入った刺激臭に嘔吐しそうになった俺。

「なっ! なんすかこれ!!」 と、驚いて大声で彼女似聞く俺。

 俺は否応無く次々にスプレー缶の匂いを嗅がされ、具合が悪くなった頃だった…
「バイブマン君! この匂い嗅いだこと無いかなぁ~♪」 と、照れて頬を紅くする彼女。

「もしも、バイブマン君が童貞でないなら、或いは知ってる匂いかもね~♪ まぁ~
 中には童貞ではないけど知らないって人もいるんだろうけど~♪」
 と、椅子に背を凭れながら、気分の悪い俺に問いかけた彼女。

 皆目見当も付かないと言う顔を見せる俺に…
「ここではねぇ~♪」 と、ちょっと照れて可愛い表情を見せた彼女。

 俺は、彼女の口からとんでもない事実を聞かされ、ショックを受けてしまった。
特殊開発部は10代から60代までの、平均的な女性の陰部の匂いを再現してスプレー缶に
することで、昔から同業者が開発して販売している、女性の人形の陰部にシュッとスプレー
そして、性行為に及ぶための匂いと味について研究していると言う。

 ただ、日本では人形とは言え女性の陰部を再現して販売することは法律で禁じられている、
であるから、せめて陰部の匂いと味を再現することで、使用者がより堪能出来るのだと言う
彼女の顔は、恥ずかしさも覗えるものの、目は輝いて真剣そのものであった。

 女性型の人形は、形から大きさや材質まで様々だが、陰部に匂いと味を銜えることで
よりいっそう美味しく召し上がれる薬味の開発こそが、自分のテーマだと語った彼女。

 彼女が担当している、匂いスプレーは匂いと味を同時に噴霧できるまで開発が進み
残された課題が、缶の中で上手く混ざらないと言う点らしかった。

 開発当初は、匂い用と、味用に2種類の区別があったものの、適量の目安をユーザーが
何処までしっているかが大きな課題になったらしい。

 確かに、匂いはこのくらいで、味はと言う時に、本物を知らない人なら濃い匂いに薄味に
仕上げてしまうこともあるだろうと、俺も内心思った。

 そして、彼女と話しているうちに、彼女が別のスプレー缶をニヤニヤしながら俺に見せ、
それを軽く振ってから、シュッとガーゼに噴霧した瞬間だった!
未だ嗅いでもいないうちから、漂った匂いに俺は立ち眩みを覚えてフラフラしてしまった。

 彼女の話しでは、完熟スプレーと言って、60代の女性が24時間で一週間、風呂なしで
過ごした時の平均的な匂いだと聞かされ、俺のフラフラしながに回る天井を見詰め床に、
倒れてしまった。

 恐るべし完熟スプレーなのだが、彼女の勧めで挑戦したのが10代から40代までの完熟と
10代から40代までの、別のスプレー缶だったが、最初に完熟だった所為か効果が今一、
10代、20代、30代、40代、50代、60代の完熟に対して、彼女が差し出したのが
サッパリ風味缶と言う数時間タイプも殆ど無臭だったが、風呂上りサッパリ風味タイプは
完全に無臭で、12時間風呂なしの標準風味タイプが結構、鼻を突く異臭ではあった。

 この世には作れない物など無いと言うことを改めて感じた俺だったが、もしかして
あの匂いの基準は、彼女だったのかも知れないと、急に恥ずかしくなった俺だった。

 あの20代の完熟は絶対に、彼女を元にデータを取ったのだと思った…
なにせ、この会社の連中は自分がモニターだからな! 外注なんて絶対に有り得ない。

 鼻に完熟60代の匂いがしみこんで、何度洗っても落ちないこの匂いを、俺はサリンと
勝手に名付け、二度と嗅ぐことのないようにと天井を見て祈った。

 ボンヤリしていると課長が俺の方へ来て…
「ハイ♪ ○○君に下の彼女からプレゼントだそうよ♪」 と、紙袋を俺に手渡した課長。

 課長が、俺の側を離れると急いで袋の中身を確認すると、中から小さなスプレー缶が1本
あるのが解って、手に取ってみるとスプレー缶に1回分、ヒ・ミ・ツと記されていた。

 俺は複雑な心境のまま自宅に持ち帰り、モンモンとした気分でも顔に向けて噴霧して見た。
結果、俺は一晩中、眠れないどころか嘔吐が止まらず夜を明かした。

 ベットの下に転がるスプレー缶の缶底に書かれていた四文字…
完熟60と小さくかかれた文字が、俺の目を大きくさせた。

 彼女がくれたのを、勝手に彼女の匂いだと勘違いした俺だった…
缶だけに勘違い! 実にクダラナイ落ちだったが俺の顔は数日間、60代完熟のままだった。




◆◆◆◆◆12話



 月日の経つのも早いもので入社してから既に数週間が経過していたが、俺はと言えば
これと言って専門の仕事を与えられることなく、女課長や女係長にに連れられては様々な
部署を点々と訪問する日々を送っていた。

 他の同期の奴らは専門の仕事を持っているのに、俺だけは何も与えられることもなく
ただ、黙って机に向いて座り、声の掛かるのを待っているだけだった。

 流石に1ヵ月も近くなると、俺は焦りを感じずにはいられなかった…
まぁ~ 同期で入社して直ぐに個別販売部になった奴よりは未だマシかも知れないが、
それにしても遅いような気がする。

 ファンシーショーツにブラにパンストも、ようやく普通に自宅で洗ってみる段階に入り
パンストに関しては、女性用に男性用と書いただけの物だったが、後に男の股間部分を立体に
編んだ物が作られ、モニタリングを試みてる最中だが流石に女性用と違って、立体編みは
男の竿を窮屈にすることなく、女性用よりは快適になった。

 そんな時だった…
「彼方の夜を美しく演出… 彼の心を虜にし焦らす(じらす)彼方に彼は夢中!」
 と、意味不明なキャッチコピーが袋に印刷された物を係長から受け取った、俺。

 慣れているとは言え、毎度のことながら緊張する瞬間でもある係長からのモニター依頼は
いつも、突然やってくるこの瞬間。

 何の前触れもなく、何の打診もなく、突然ニコニコ笑顔で俺の机の横に立つ係長は
いつものように、頼みづらそうな顔して見せるとニッコリと愛らしく微笑んだ。
「今度は何だろう…」 と、不安な内心の俺。

 不安な心を見抜かれまいと毅然として、係長から受け取った袋は何やら大きめな割りに
軽く重量感を全く感じない物だった。

 係長の顔を見ると、係長は居た堪れないように、その場をスッと離れた…
俺は机の上に袋を置いて、封を開くと右手だけ入れて中を確認すると、中から係長の香水が
ほのかに漂って、係長が袋詰めしたことを俺に悟らせた。
「フフッ♪」 俺のために袋詰めした係長のことを考えて少し嬉しい、俺。

 中の物を指で抓んで外に出すと、中から現れた物は…
「フッ! やってくれるぜ! 開発5課さんよぉ~!」 と、思わず俺の口から出た言葉。

 中から出て来たのは、薄い水色のレースとフリルのついたスリップが一枚…
「今度はスリップかよっ! そのうちスカートでも出るんじゃねうのか!」 と、腐る俺。

 俺は腐りながらも更衣室へと足を運んだが、思った通りそこには係長と課長が居て
ベンチに座って自販機のコーヒーを飲みながらタバコを吸っていた。

 いつに無く真剣な眼差しの二人の無視するように、俺は奥の間仕切り壁へと入って
スルスルッとズボンを脱いだが、パンストを履いてる所為か脱ぐのは早かった。

 パンスト、ファンシーショーツにブラジャー姿で鏡に映った自分を見るものの、既に
俺の涙は枯れていた。

 袋から取り出した、水色のスリップは何処が男性用なのか、首を傾げてしまうものの
俺は、目の前の現実から逃げることなく、フワフワと今にも浮きそうなほど軽いスリップに
足を通すと下から上へと捲り上げた。

 スルスルッと滑るように俺の身を包み込んだスリップは、風の無い更衣室の重たい空気を
物ともせずにフワリと俺にフィットして落ち着きを見せた。

 俺はズボンを履かずに、そのままで間仕切壁をすり抜けて女課長と女係長の下へと移動し
二人の前に立った時だ、二人は顔を見合わせ表情が若干強張った。
「ねぇ! これって何処が男性用なの?」 と、係長に聞く女課長。

「さぁ! 大きいサイズなんですかねぇ?」 と、溜息を付く女係長。

「あっ! でもちょっと見て!」 と、スリップの裾を持ち上げて裏側を覗く女課長。

「あっ! ホントですねぇー! 確かに洗濯は濯ぎ洗いで… 男性用と書いてます!」
 と、女課長に報告する女係長。

 二人は俺に聞かせるように、慌てて男性用と書かれた表記を何度も連呼してから、俺に
目を合わせないようにして無言で立ち去った。

 俺は、股間の一物の下辺りにあるレースの裾を気にしながら、ズボンを履くとそのまま
ワイシャツと上着を着ると更衣室から自分の机へと向かった。

 机の上にはいつものように、初期使用感のモニタリング用紙が置いてあって、ルームには
課長も、係長の姿も無かく他の社員達が忙しく動き回っていた。

 すると…
「よっ! バイブマン! どうしたい! 浮かない顔して!」 と、6年先輩の男性の声。

 振り向くと、キャラクターのコスチュームデザイン関連の男性社員だった…
俺は背広を脱いでワイシャツから透ける、片側2本の肩ヒモを無言で見せるとそのまま
椅子に座ったが、男性社員からは慰めの言葉どころか別の言葉が俺に浴びせられた。
「いいよなぁ~♪ ブラジャーにスリップかぁ~♪ 下にもショーツやパンストも
 履いてんだろう~♪ 羨ましいなぁ~♪」 と、意外なことを言う先輩。

「羨ましい? フザケないで下さいよ! こんなもん着せられて!!」 と、腐る俺。

「そうかなぁ~♪ お前! こんなにも目を掛けて貰ってて何が不満なんだ?」 と、先輩。

「目を掛ける?? こんな変質者みたいな格好させられてですか!?」 と、文句を言う俺。

「そうかなぁ… お前が着てる物って会社の極秘扱いだろ? 確か開発費に直すと…
 ファンシーショーツが25億円、ブラジャーが27億円でパンストが20億円に、
 スリップが20億円だから、100億までは行かんが近いものがあるだろ~
 会社の極秘扱いの100億円を着て歩いてるなんて、俺の若い頃は有り得なかったなぁ~
 そう言えば、お前! 特殊開発部へも連れて行って貰ったんだろ? いいなぁ~♪
 俺なんて勤続6年で一度も入れてもらってないもんなぁ~♪
 特殊開発部はトップシークレットだから、特別なコネでもない限り誰も入れないしな~
 しかも、係長が教育係なんて、他の部署じゃ絶対に有り得ないし、俺はお前が羨ましいよ」

  と、先輩は遠くを見るような目をして、俺に話し利かせた。

 俺は複雑な心境だった…
ドンドン、変質者に近付いて行く俺のワークライフ、同時に特別扱いされる俺の存在。

 そんな時、一つの重大事件が起きた…
いつものように、仕事を終えた俺が自宅アパートへ帰宅し玄関を開けると何かが変わっていた
何がどう変っていたかは解らないが、何かが違っていた。

 靴を脱いで内戸(うちと)を開けると、異変に直ぐに気付いた…
「何てことだー!」 と、頭を両手で抱えた俺。

 リビングの窓側に吊り下げられていた一週間分の、ファンシーショーツにブラジャーに
パンストが洗濯して干してあって、部屋は綺麗に掃除されていた。

 電話のところを見ればメモが置いてあった…
「○○へ、どんな生活をしているのか解りませんが、女物の下着はネットに入れてから
 濯ぎ洗いして下さい、それと絶対にズボンや服とは別に洗わない事、女物は痛んでしまう
 見たところ、彼女がいる様子もありませんが、私は彼方が息子として選んだ道なら
 何も言うことはありませんし、父さん弟や妹にも、今日のことは話しません。
 ただ、趣味なのか仕事なのかは解りませんが、私は切ない気持ちで一杯です、母より」

 俺の留守の間に、田舎から母親が訪ねて来たことを知った俺は…
両手で頭を抱え床に蹲って何時間も叫び続けた。
「うおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーー!!」

 俺は、確実に母親に女装癖の息子としてインプットされてしまったようだ……
涙は枯れていたはずなのに…… 




◆◆◆◆◆13話



 入社1年…

 朝のミーティングが終るころだった…
「○○君! 今日までモニターしてくれたけど彼方のお影で、確実なデータも取れたし、
 他の部署から推薦もあって、まぁ~ 私としてとても残念なんだけど、彼方にはここを
 辞めてもらうことになったから!」 と、俺を見詰める女課長。

「えぇぇぇー!!」 ざわめく男女社員たち。

 すると…
「とても残念なんだけど… 私にはもう手の届かないところに彼方は行ってしまった」
 と、寂しげな表情を浮かべて、俺の前に立つ女係長。

 周りの同僚たちが女課長に詰め寄って抗議をし始めた瞬間だった…
「おめでとう♪ 凄いスピード出世ね♪ ○○広告宣伝課長」 と、女課長。

 一瞬、ドリームの部屋は静まり返った…
「○○君が… 広告宣伝課長!!」 と、小声から叫びに変った女子同僚。

「今回のファンシーショーツとブラに対しての○○君の陰日向の無い努力が認められたの♪
 正直、男性社員でファンシーセットを1年も着用してのデータ取りは、並大抵の
 苦労では無かったと思います! 時にはパンストを、そしてスリップやガードルに、
 男性用スカートとブラウス着衣での通勤に関しては、全部署の管理職の○○君を
 高く評価していますし、統括本部長も過去に類を見ない愛社心の持ち主と絶賛しています
 今回の件は、既に常務や専務に社長の耳にも届いていて、社長直々の人事となりました
 本日から、○○君は広告宣伝部の課長に昇格しましたことを、伝えます。 そして同時に
 ○○係長のドリームでの課長への昇格を伝えます!」 と、真顔で話す課長。

 ドリームは課長の話しで一気に静まり返り、同僚達はいつしか男性用スーツスカートを
着用している俺の周りを埋め尽くした。
「○○君! いえ… ○○広告宣伝課長! 昇進! おめでとうございます!」 と、係長。

 課長が俺の前に立つと、おれを取り囲んでいた同僚達はサッと俺の前を開けた…
「これからはも! ○○君! 宜しくね!」 と、満面の笑みを浮かべる女課長。

「えっ?でも、じゃぁ課長は?」 と、女子社員達が一斉にどよめきだした。

 すると、突然ドアが開いて…
「そこからは、私が話すよ!」 と、開発部長。

 全員、開発部長を前に一斉に後に後退りするように下がると…
「○○課長は本日付で、ドリームを去り開発次長として少し上の階に来て貰うことになった」
 と、社員達の端から端まで見渡すように淡々と話す開発部長。

 ドリームの係長には、いつか俺を慰めてくれた勤続6年、今年で7年の男性社員が決まり
目を輝かせ平だった社員の何人かも主任へ昇進を果たした。

 俺は何もしていない、ただ言われた通りの物を着衣して一年間、通勤していただけだし
そりゃぁ~ 辛いことは山ほどあったよ。

 学生時代の友人にファンシーショーツにブラジャーに、パンスト姿を見られ変質者扱いされ
まぁ~ 解決はしたが、留守の間に母親が来て掃除と洗濯して帰った時なんかは、完全に
俺は、実の母親から変質者として認定されたし。

 係長から男性用スカートだと渡された時は、正直会社を辞めようと考えていたなぁ~
でもまぁ~ 哀れに思ったのか係長の進言でスカートに会社系列のブランド名を入れてくれて
かなり、俺も気が楽になったっけ~♪ まぁ~ ○○ブランドと言えばソコソコ名の通った
ところだし、一応、ファッションと言う趣で通すことが出来たし。

 スカートの次は男性用のブラウスに、リボン帯はきつかったなぁ~♪
あの時も限界を感じたっけ~♪ もう辞めようって何度思ったかしれやしない。

 歩く広告塔と呼ばれ、周囲からは哀れみの同情まで寄せられ、課長や係長を鬼だと罵る
他の部署の社員たちもいたし、課長や係長の靴に画鋲が入れられたなんてこともあったな。

 下着はショーツ、ブラジャー、スリップ、ガードル、パンスト…
衣服はは、スカートにブラウスにチョッキにリボン帯と一瞬誰がどう見ても、お釜ちゃん。

 極めつけは3センチのヒールと来たもんだ!
俺の自宅は男物は押入れに片付けられ、男性用各種が箪笥を占領してしまったなぁ。

 
 あれから月日は流れ…

 アナター♪ 起きて下さい~ 会社に遅刻しますよぉ~♪
「おぉー もうそんな時間か…」 と、お越しに来た女房に話す、俺。

 家の玄関に迎えの車が来ていた…
「じゃぁ! 行って来るよ!」 と、女房に車窓から手を振る俺。

 渋滞もなく車はスイスイと進み会社の前に横付けされると、後部ドアが開けられ…
「社長!おはようございます!」 と、俺を向かえる大勢の重役達。

 俺はあの後、ファンシー関連の広告宣伝で力を発揮し、見る見る間に出世街道を快進撃し
本部長、常務に専務、副社長と一気に駆け上がり、有り得ないことだが今は社長になった。

 中途入社からここまで来るには他人には解らない苦労をしてきたが…
あぁ! そうそう! 俺の女房を紹介しよう!
「皆様、ご無沙汰しておりました♪ ○○君の教育係をしておりました、○○でございます」
 と、和服姿で屋敷の門で俺を待つ女房の○○。

 俺は本部長になった後、女房の○○と結婚し、仲人は当然のこと当時はドリームの課長、
今は、俺の良きパートナーでもある副社長だ。

 そして、俺は今日も元気に男性用ミニスカートを履いてヒールの音を廊下に響かせている。


完了

商社Ⅱ

◆◆◆◆◆1話



「○○君! 勘違いしないでくれたまえ! 私だって好きでやっている訳ではないんだ!!」
 と、俺の背後の両脇から手を回してブラウス越しに両胸で揉む課長。

 俺は、この銀行に入社して今年で3年目の総務部の列記とした係長なのだが、
近年の不況の煽りを受けて、派遣会社から大量に受け入れていた女子の派遣社員を切って、
会社を立て直すべく、各部署から召集されし身長165センチ前後の小柄な男たちは、
通勤する時は背広で勤務する時は、スーツスカートにパンストを履きブラウスにリボンに
ローヒールのサンダル姿で、午前と午後に分かれて、店内に来る客達に背を向けて
仕事をしているフリをする仕事をしている。

 業績悪化か連日報道され、金融不安から顧客離れを防ぐ対策として、派遣社員の替わりに
比較的小柄な男性社員たちが、女装してあたかも、ここでは業績は悪化していないと言う
奇策とも取れるアピール作戦に出たのであった。

 そして、総務部の係長である俺も招集された中の一人として、女子社員から女の心得を学び
歩き方から、立ち座りに至るまでを毎日数時間勉強して、華々しく店内にデビューしたのが
2週間前なんだが、何かギコチ無いと言う、俺を指摘した女が居たらしく、そして俺は
その日から毎日、毎朝のように一人会議室に呼ばれては、ホモと噂される人事部長の
餌食として、背後から胸を揉まれ続けている。

 人事部長曰く!!
「女になりきれないのは、女の気持ちに成り切れていない所為である!」 と、人事部長。

 俺に対して普通ならセクハラとも取れるような行動を、研修や勉強と言う名のごとく…
「さあー! 女になるのだ! 女の心になるのだ!」 と、ブラウスの上から乳を揉む部長。

 最初は、ブラウスの上に手をかけるだけだった、人事部長も次第にエスカレートし
両胸を揉むようになり、デスクワーク用の椅子から背凭れ無しの椅子に替えられたと思うと
なにやら背中に当る硬い物、内心これは!と思いながらも抵抗出来ずに耐えるのは女心。

 何度かブラウスのボタンを外されそうになるものの、何とか危機を脱した俺だったが
俺を嫌いな女性社員が居て、部長にある事ない事を耳打ちしてるらしく、ホモの部長も
それをいいことに、ここぞとばかりにホモダチの和を広げようと画策していた。

 今朝なんぞは、俺のウナジにフ~ッと熱い息を吹きかけて来る始末で、会議室なのに
ドアに鍵まで掛けてくるほど熱心な部長だった。

 午前中は女装して顧客の目を騙し続け、午後からは減少傾向にある客離れを防ぐべく
奮闘する日々を繰り返している。

 まぁ~ 楽と言えば楽だし、女装に使う衣類は全て会社負担と言うこともあって慣れれば
どうってことのない死後となんだが、経費削減で冷房も温度を上げられ25度設定で
暑くて耐えられないでいると、本物の女子社員たちがチョッキを脱ぎ始めたことで、
俺達は窮地に追い込まれたのだ。

 俺もチョッキを脱ごうとすると、危険を察知した女子社員が俺に咄嗟に耳打ちした一言。
「係長! チョッキを脱いだら肌着が透けて見えちゃいますよ!」 と、慌てる女子社員。


 俺達、特命班には翌日からブラジャーとスリップが支給された…

 顔は慣れない化粧で肌荒れを起し始めていた…

 頭はカツラの所為で拷問のようだった…

 俺、どうなっちゃうんだろう…



◆◆◆◆◆2話



 何もしなくてもいいとは言え、流石に着慣れない女物を着て3時間は辛い!
フロントから入り口に掛けては客が椅子に座って或いは、立って見ているから下手な動きも
顔を見られるとヤバいから出来ないし、かと言って何かしようにも実際、俺のデスクには
何一つ入っていないし、兎に角何もしないでいるのは辛い。

 パソコンのモニターにも横にカバーが付けられているとは言うものの、周りの男どもの
目もあって、ネットも出来ないときているし、まぁ~ もっとも電源は入っていないのだが。

 モニターに向かっていると、いろんなことを頭に浮かんで来る…
俺のこと楽でいいな~ なんて思ってる奴もいるだろうし、気持ち悪いと思っている奴も
当然いるだろうが、俺の外回りの時間まで残り30分、この30分が長いのだ。

 ジッとしていると陰部が蒸れて痒くてたまらん!
スカートだから立ち上がった時にゴワゴワしてても妙だと言うことで、幼少期以来のブリーフ
嫌だったが買ってしまった。

 流石にブリーフまでは会社には要求できんしなぁ~ トホホだよ。
これが、本店じゃなく支店だったら、こんな事もないんだろうが本店勤務だし…
話しは替わるが、今朝も部長に呼び出された会議室、お決まりのパターンだったんだが、
俺としたことがとんでもないことをしてしまった。

 後に立った部長は、いつもの事なんだが俺の両肩に手を置くと軽くポンポンと手の平で
叩くと、置いた両手をジワジワと滑らせて両胸の辺りに手が滑り降りた。

 俺がバカだった…
「おぉ! 今朝は… そっか♪ そっかぁ~♪」 と、何やら微笑する部長。

 目を閉じて会議机を向いていると…
「そっか、そっか~♪ ムフフフ♪」 と、俺の胸元に右手を入れて来た部長。

 時間ギリギリに出勤して来た俺は女装の時に、うっかり襟元のボタンを閉め忘れ
そのまま、気付くこともなく会議室に来てしまったのだ。

 それを椅子に座り目を閉じて俯く俺を、部長は勘違いしたようだった…
毎日のようにホモ部長から受けるセクハラの日々、今日に限って胸元を開けておいたら部長も
勘違いすると言うものだろう。

 部長は俺の背中に硬くなった物を押し付け、左手で俺の左手首を握るとスルスルッと、
右手をスリップの上に這わせて来た。

 一瞬驚いて身体をビクッンとさせてしまった俺に…
「大丈夫だから~♪ 心配しないで~♪ 子猫ちゃん~♪」 と、薄気味悪いホモ部長。

 部長の手がスリップの下のブラの端を指でピラピラと弄ぶと、スッと俺の左胸に手が…
「ビクンッ!」 と、部長の手が一瞬、俺の乳首に触れたことで身体を強張らせた。

 来る! 俺がそう思って心で防御していると、スッと部長の手は俺の胸から離れた…
「おっ! こりゃこりゃ、すまん!」 と、間違えて入ったように振舞うホモ部長。

 部長はそう言うと、俺の側を離れ会議室を出て行ったが、男に胸を触られたショックは
大きく俺のプライドを傷つけた。

 呆然としながら胸元のボタンを直していると、会議室のドアが開いて床を叩くヒールの音が
室内に響き、うしろに気配を感じて一番上のボタンを閉じながら振り向くいた。
「お楽しみのようね~♪」 と、微笑んだ女係長。

 この女こそが、俺のことをマイナス評価してホモ部長を唆した、俺の同期で女の係長は、
入社以来何かにつけて、俺の仕事を妨害し、社内中に俺の悪口を吹聴しているバカ女。
「中々、お似合いよ~♪ ウッフフフフ~♪」 と、俺を挑発する女係長。

 流石に頭に来た俺は、女係長の前に仁王立ちすると…
「ダメねぇ~ ボタン半分しか入ってないわよ~♪」 と、俺のボタンを直した女係長。

 女係長は、俺のボタンを直すと無言で会議室を出て行った…




◆◆◆◆◆3話



「女の気持ちになっておらんから! あんなガニ股で歩いてしまうんだ!」
 朝から、例の会議室で俺の後から両肩に手を置いて俺を叱責する、部長。

「今日からこれを履きなさい! これを履けば少しはガニ股も治るかも知れん!」
 と、後から俺の前の会議テーブルに部長が投げ置いた紙袋。

 また、あの女係長がなにやら入れ知恵したらしい…
俺はガニ股ではないし、他の特命班の連中だって誰一人としてガニ股なんぞいないはずだ。

 スーツスカート姿の俺は、部長が置いた紙袋を開けて中の物を取り出すと、絶句した。
「それは私からのプレゼントだ! ムフフフフ♪」 と、後で笑みする部長。

 白いレースの女物のパンツが3枚入っていた…
「こ!これを僕に履けと言うんですか! 部長!!」 と、肩を震わせて低い声の俺。

「そうだ! それを履いて直すべきところは直してもらう!」 と、強気の部長。

 両肘をテーブルで立てて両手を組んで、額に当てて考えていると襟元がモゾモゾ
し始めたが、俺の頭の中はパニックになっていて、それどころではなかった。
「こんな物を俺に履けと言うのか!! どうなってんだ!! いい加減にしてくれ!」
 俺は、心の中で部長にも女係長にも叫び怒りが頂点にたっしていた。

「ビクゥンッ!!」 俺は、突然無意識に身体が反応した。

 気付けば、襟のボタンを外され左胸の中に部長の手が入っていた…
モゾモゾと胸の下着の中に侵入して来た部長の右手は、俺の左胸を覆い尽くしていた。

 俺は蛇に睨まれたかえるのうに身動きが取れなかった…
「恐がることはない… はぁはぁはぁ~♪ はぁはぁはぁ~♪」 突然、息を荒くした部長。

 咄嗟に俺は…
「部長! パンツ取り替えます!」 と、少し大きめの声を発した。

 すると、部長はビックっとしたように手を引っ込めて俺から少し離れて…
「う! あ! あぁ! そ! そうだな!」 と、声を上擦らせた。

「こんなもん! 履けるか! バカ野朗!!」 と、心の中で部長に叫んだ俺だった。

 会議室から出て行った部長と入れ替わるように入って来たのは特命班の同僚だった。
「おい! 気をつけろ、お前部長に狙われてるぞ!」 と、女装姿で真横に座った同僚。

「あぁ、今も胸に手を入れられてたとこだよ!」 と、身体を震わせて話す俺。

「そうかー、遂にそこまで来たかぁー!」 と、腕組して俺の方を向く同僚。

「こんなもん履けとよ! 俺に!」 と、部長が持って来た女のパンツを指差した俺。

「あぁ、部長は女装子のゲイが好きだからな!」 と、真剣な眼差しでパンツを見る同僚。

「裏で糸を引いてるのは、女係長の○○だ!」 と、低い声で語る俺。

「あぁ、知ってるよ、お前アイツに嫌われてるしな!」 と、パンツを手に苦笑する同僚。

「だが、お前はまだいい方だよ、二課の○○なんか、スカートに手を入れられたらしい」
 と、眉を顰めて話す同僚。

「でっ! どうなったんだ?」 と、深呼吸する俺。

「あぁ、扱かれたそうだよ… 30分間も…」 と、腕組して俯く同僚。

「イッたのか?」 と、低い声の俺。

「あぁ… スカートとパンスト履いたままでブリーフの中でな!」 と、怪訝そうな同僚。

「元々、この特命班の企画は部長が立てたものらしいし、集められた男共は全員が部長の
 好みの奴らばかりらしいぞ!」 と、座っている椅子を前後に揺らす同僚。

「やっぱりそうか… 妙だとは思ったよ!」 小声の俺。

「次期に俺らも部長のオモチャにされるだろうなぁ~」 と、大きく後に仰け反った同僚。

「そんな馬鹿な話しって!」 と、会議テーブルを両手で平手打ちした俺。

「オマケに部長は、特命班を一つの部署として重役達に働きかけているらしい」 と、同僚。

「なに?! そ! そんな馬鹿な!?」 と、身体を震わせる俺。

「馬鹿も何も部署として申請が出てると常務の秘書からの情報だよ」 と、同僚。

「じゃぁ、俺達は一生もこのまま女装して働くのか?」 と、同僚を見る俺。

「いや、部長がオモチャにして飽きるまでだろう…」 と、俺の顔を見る同僚。

「飽きるって?」 と、同僚に質問する俺。

「いや、だから、その、何だよ、ヤラれて飽きるまでだよ」 と、口を窄める同僚。

「ヤラれる?!」 と、顔を歪める俺。

「あぁ、部長に散々味見されてヤラれて飽きるまでだよ!」 と、テーブルに項垂れる同僚。

「下手すりゃー 部長の部下にされて定年までオモチャにされるかもな」 と、小声の同僚。

「部長の部下だって!?」 と、息を飲む俺。

「あぁ、それも散々、ゲイの訓練させられて女装子のままで、毎日部長のオモチャにさせられ
 下手すりゃー 部長のことだから自宅にまで連れ込んで、考えたくねえが、過去にも
 俺の同僚で、部長に自宅で無理矢理犯されたやつ身二人いるんだよ」 と、強張る同僚。

「まぁ、そん時は特命班なんてなかったから、背広のまんま脱がされてだろな…」と、同僚。

「何で逃げなかったんだ!」 と、隣を向く俺。

「薬だよ! 酒に睡眠薬入れられて気付いた時はバージン損失で、縛られてたらしいし」
 と、頬を引き攣らせる同僚。

「さてと、行くかな… また、窮屈な午前の勤務が待ってる!」 と、立ち上がった同僚。

 同僚は立ち眩みを起したようだった……



◆◆◆◆◆4話



 犯られる前に何とかしなきゃ! 俺は意を決して常務に直談判を思いついた。
喰うか喰われるかではないが、俺は女装から男姿へと着替え重役達の居る階へと向かった。

 一般社員が行けるのは7階までだから、8階以上は重役専用エレベーターで行くしかないが、
さてさてどうしたもんか、一階店舗の逆側の隙間で重役専用エレベーターの様子を覗うと
書類を持った女子社員たちが乗り込む様子が目に飛び込んで来た。

 そうか! その手があった!
エレベーターに乗り込む秘書課の連中を見ていた俺は早速、元の女装姿に戻りいつものように
化粧しロングのカツラを装着すると、付近に社員たちが居なくなるのを目掛けて駆け込んだ。

 その時だった!
「モシモシ? 何処の部署の方ですか? ここは秘書課しか使えませんよ?」 と、警備員。

 俺はギョッとした! 忘れていたのだ、警備員の存在を…
その時だった! 数人の秘書課の女共がワイワイ話しながらやってきてエレベーターに
乗込んで来た瞬間、俺も合流したかのように見せかけてエレベーターに乗込むと、
警備員は納得したような顔をして、その場を離れた。
「俺ってもしかして本当に女に見えるのか?!」 と、内心俯いて思う俺だった。

 秘書課の連中は役員達の陰口に徹していて、俺の存在にすら疑問を持とうともしなかった。
一人、また一人と8階を過ぎた辺りから降りて行き、常務の居る15階になると俺一人になった。

 俺は幸いとばかりに、15階でエレベーターを降り廊下に出ることに成功した。
さすがは常務のいる15階は閑散としていて、物音一つせずに静まり返っていて、俺の歩く
ヒールの音だけが、コツコツコツと長い廊下に響き渡っていた。

 俺は入社当時に貰ったパンフレットに出ていた、重役たちの居場所が書いてある案内を
思い出しながらドアを探して歩いていた。

 俺達には縁の無い重役たちの階層は普段から無縁の地として知られていて、
課長クラスでも、滅多に立ち入ることのない雲の上の聖地だった。

 そんな時だった!! 前の方からこっちに向かいながら男たちの話し声が聞こえて来た!
俺は慌てて隠れる場所を探したが、壁と大きなドアばかりで他には何もない。

 あちこちを見回して男たちの方へ数メートル歩くと、右側に何かのドアがあって
俺は咄嗟にそこへ入って気付いたのは、トイレだった。

 男たちの声がトイレのドアの向う側に聞こえ立ち止まった!
ヤバい! 入って来る! 俺は要を足すフリして男性トイレの前に立った瞬間、自分が
女装していることに気付いて、慌てて大用の方へと逃げ込んだ。

 幸い男たちはトイレには入って来ず、ホッと一安心して胸を撫で降ろしていると…
「ふうぅ~ 誰か知らんが行ったようだな~」 と、誰かの声が聞こえた。

「えぇ~♪ 驚いちゃったわぁ~♪」 と、聞き覚えのある声。

 俺が、息を殺してジッしていると…
「パチッ! パシッ! パシッ! ペタ! ペタ! ペタ!」 と、妙な音が聞こえた。

 すると…
「常務~♪ いっちゃう! いっちゃうわぁ~♪ おいで! さぁー! おいでー!!」
 と、二人の男達が何やら、はぁはぁはぁはぁと言う洗い息を出して語り始めた。

 そして…
「パンッ! パンッ! パンッ! パパパパパパッ! イクうぅー!!」 と、叫ぶ誰か。

「○○君! 今朝は激しかったなぁ~!」 と、誰かの話す声。

「常務こそ! 中々の絞まり具合でステキでしたよぉ~♪」 と、男の声。

「こいつら!」 と、心の中で叫んだ俺。

「ところで、特命班の教育はちゃんとやっているだろうな! ○○君!」 と、カチャカチャ
 ベルトの音を立ててズボンを履く常務の声。

「ハ~イ♪ 常務のお影よ♪ これでアタシの夢が叶うわぁ~♪」 と、お釜言葉の部長。

「お前の夢かぁ~ いいなぁー 夢があるってのは! うわっははは♪」 と、常務。

「パパ~♪ アタシのこと捨てたら許さないからねぇ♪」 、完全にお釜な部長の声。

「解っておる! 思えを捨てたら誰がワシの面倒見るんだ? うわっははは♪」 と、常務。

 俺は大変な会話を携帯に記録してしまったと怯えた…
二人は、ラブラブな会話をしながらトイレを出て行ってしまった後、特命班はあいつ等の
餌になるために編成されたことをしって強い衝撃を受けた。

 人事部長はお釜なゲイで常務はその相手のホモだったことが解ったものの、
この録音を公表すれば、特命班は解散させることができるものの、俺とてタダでは済まず
かと言って、このまま放置すれば次々に、俺の同僚たちは部長に犯られて行くだろうし、
俺だって部長に犯られることはまず間違いない。

 どうする! 俺! 考えるんだ! 俺!
そうだ! この事実をもっと上の奴に知らせたら!
いや! 駄目だ! 会社は事実を隠してしまうだろうし…
じゃぁ! 常務に録音を送りつけて特命班を解散するように要求したら!
いや、そしたらあいつ等に、録音した本人が特命班にいることを知らせることになる!
もっと、もっと証明する何かが欲しい! 例えば俺の胸を揉んでいる映像とか…
いや! マズい! 揉まれててジッとしていたら、俺までホモの扱いを受けるじゃないか!
まてよ! だったら常務と部長が愛し合ってる映像なら、誰も傷つくことも無いのでは!
そうだ! ここで見張ってれば何れ二人はここで愛し合うはずだ!

 俺はトイレで様々なことを考えたが、結果はでず結局下へと降りて来て、男姿に戻ると
元々の俺の職場である総務へ行き、自分の机のパソコンで携帯から会話データを取り込んで
誰も開けないようにロックを掛けそしてそれわ、いくつかのファイルとして保存した。

 二度と巡ってこないかも知れない常務と部長の会話の最終チェックを終え一服しようと、
タバコに火を付けた時だった…
「係長! さっき連絡がありまして総務課長が至急来るようにとの事です」 と、部下の男。

 何事だろうと考えながら、真隣の課長室へと向かった…
「他でもないんだが、○○君! 人事部が是非君に来て欲しいと言って来てね」 と、課長。

「何でも人事部長が君の能力を高く評価していて是非、移動して欲しいと申し出があってね
 まぁ~ 応じてくれれば係長から課長代理の椅子を用意すると、言っているんだが…」
 と、机の前に立つ俺に、顔を曇らせて俺と目を合わせようとしない課長。

「えっ? で、でも人事には○○課長代理がいるじゃないですか?」 と、俺。

「いゃ、何でも彼は一身上の都合とかで月末には退社するらしいんだ…」 と、課長。

「え… でも俺は…」 と、俯く俺。

「○○君、何とか頼むよ! 人事に睨まれたら私も困るのだよ…」 と、困り顔の課長。

 課長は知っているのだ、俺が何故、人事へ昇進移動されるのかを…
今の人事の○○課長代理の噂は、一般職の間では知らぬ者もいないほどに有名な話で
仕事帰りに何度も、内股で腰を屈めて歩く姿も目撃されていて、そして何度も痔の病気で
入退院を繰り返していることも有名な話しだ。

 俺と違って家庭を持っている○○課長代理は、人事にも逆らえず言いなりになった結果
痔待になり、以前はよく本店の裏の公園で休憩時間に、バレーボールをする姿もあったのに
人事へ、営業1課から移動して数ヶ月もしないうちにその姿は公演から消えた。

 どうやら、俺は完全に人事部長に好かれてしまったようだった……





◆◆◆◆◆5話



「転職したほうが良くないか? 常務まで取り込まれてるなら場合によっては専務」
 と、俺に話しかける大学時代の友人。

 俺は学生時代から一番信頼している友人の家を尋ねていた…
友人は大手玩具メーカに勤務するエリートサラリーマンで、俺とは違い既に課長だったが
多忙と言うこともあって、何度か電話していたものの、やっと会うことが出来たのだった。

 友人の勤める会社は玩具メーカー最大手で、何でも社長は中途入社から這い上がったと言う
伝説の人で、業界でも知らない人はいないほど有名らしく、友人もその社長に憧れて入社し
頑張り屋の彼もまた、アレヨアレヨと言う真に課長へ昇進を果たしていた。

 それに比べたら、俺は係長でホモの相手をする条件で課長代理とは情け無く思っていた…
「もし、お前さえ来る気があるなら、橋渡しするのは簡単だから」 と、友人。

 俺は親友から手渡された親友が勤める企業概要を見て自宅で息を飲んでいた…
「こ、これは一体!」 と、咄嗟に出た一言。

 男性向け性玩具GX-5型?? 女性向け性玩具XX-2000型??
何と、親友の勤める玩具メーカーとは、いわゆる性具のメーカーだったことに初めて気付いた
何度も卒業以来、飲み会で会っていたものの、親友の勤め先なんて聞いたこともなく、
玩具メーカだと言うことしか知らなかった。

 抱き抱きドールFK-3000型、彼方と共に夜空を眺めたい…
天狗シリーズ復活! 貴女を宇宙遊泳に御招待するAS-03型、魅惑の一時を彼女と一緒に
男性用ファンシーショーツ&ブラジャー、パンスト、スリップ、ガーターベルトフルセット。
「何だ!こりゃぁー!!」 概要書を見て後退りしてしまった、俺。

 筋肉質な若い男がフリルをふんだんに使った女物のようなショーツを履いて、レースの
ブラジャーに、キラキラと光るスリップを身に纏い、ガーターストッキングを履いて、
真っ赤なバラで覆われた、西洋ソファーに凭れて座っている写真に目を奪われた。

 そして、その男の前ではフカフカの絨毯の上に足を崩して女座りする、金髪のモデルは
真っ赤な鳥の羽のような物で出来た、ワンピースを身に纏い楽しげに本を見ていた。

 貴女の恋人たち、魅惑シリーズ…
バイブレーター、ロータリー、抱き抱き男性ドールと初めて見る物に俺の教養は崩れた。

 月給も同じだけ約束すると言う親友の言葉に嘘は無いだろうが、しかし… しかし…
今の会社にいても部長のオモチャにされるだけだし、親友の会社に行けばオモチャを売る事に
なるだろうし、俺の心は複雑だった。

 オモチャになるくらいなら、オモチャを売る方がずっといいかも知れない…
親友には、普段俺が午前中だけ女装している事実は告げてあるが、しかし! もしかしたら
この写真のようにモデルにされるかも知れない。

 あれ? 待てよ! 確かアイツの部署は… と… 販売促進課かぁー!
販売促進ってことは宣伝とは関係ないから、モデル起用なんてことも無いだろう!
そかそかー♪ そうだよなぁー♪ 販売促進なんだから有り得ないかー♪ なるほどな!

【1ヵ月後】

 俺は親友に電話して中途入社希望を伝えると同時に、部長と常務の会話をネットに投稿し
同時に、社内の全てのパソコンに彼らの会話を人事部長のパソコンを使って流した。

 会社はパニックになり、噂を聞きつけたメディアは窓口に殺到し、連日押すな押すなの
賑わいを見せたものの、会社側は事実を一貫して否定した矢先に特命班の存在が明らかになり
特命班の同僚達は、次々に自分達の身に起きたことを目隠しを条件に暴露し続けた。

 部長と通じていたのは、常務だけではなく専務や副社長にも及ぶと言う新たな新事実も
飛び出し、ホモ銀行として世間にその名を轟かせ経営陣は引責辞任の社長を含め総退陣し
取締役だった、人事部長と常務と専務に副社長は解任され会社を去った。

 そして、俺は今…
「○○君、悪いんだけどさぁ~ これに着替えて貰えるかなぁ~♪」 と、女課長代理。

 俺は今、係長候補と言う肩書きで親友の勤める会社に勤務している…
配属先は開発部ドリームと言う男女合わせて28人の女上司だけの部署だ。

 何故、こんな部署に配属されたのかは解らんが、課長代理から手渡された袋を持って
更衣室に入り、中身を見ても慣れとは恐ろしいもので、何にも感じないから不思議だ。

 白いレースの立体型男性用パンティー、蒸れないレースの立体ブラジャー、
膝上10センチの白いフリルのスリップにタイトスカートに脇の下メッシュのブラウスに
男性用立体編みのパンティーストッキングに2センチヒールのサンダル姿になった。

 男性用魅惑シリーズに身を纏った俺は、更衣室を出ると真っ直ぐに課長代理の元へ
大勢の男女社員が行き来する、大広間を物ともせず銀行で週間着いた内股歩きを実戦し
課長代理の元へ平然と出向いた。

 俺を見た女課長代理は、恥ずかしそうに視線を合わせず頬を少し紅らめていたが
当の俺は慣れている所為か、極々、自然にデスクの前に立っていた。
「ねぇ… お化粧とかは… 駄目かな…」 と、視線を合わせずに俯いて話す課長代理。

 俺は場所を聞くや否や、少し急ぎ足で化粧室へ出向き鏡の前に座ると、手早くサッサと
横で見ている課長代理を気にせずに化粧をして見せた。
「凄ーい! 凄いわー♪ 何処で覚えたの~♪」 と、ピョンピョン飛び跳ねた課長代理。

「女装も化粧も全て銀行で仕込まれました…」 と、ポツリと呟いた俺。

 えぇっ!!
「……」 絶句する女課長代理。

 すると…
「ねぇ、悪いんだけどさぁ、一階ロビーの休憩スペース行って飲み物お願い出来るかしら♪」
 と、態々、銘柄指定して俺に小銭を渡した課長代理。

 俺は…
「はい、解りました、建物内であれば何処でも参ります!」 と、平然とする俺。

 俺は女装(おとこよう)姿で部署を出ると廊下を歩きエレベータへと向かうも、
道行く社員達は男も女も、皆が一瞬振り向き俺の周りをグルリと回り、眺めては腕組し…
「今度の新製品だろ? これはいい素材だなぁ…」 と、興味深げに俺を見た。

 俺はエレベーターでも注目の的で、いろんな部署のいろんな人から声をかけられながら
1階へ降りると、会社の人間でない人達や警備員までもが、俺を凝視していた。

 内股歩きして大きなロビーをエレベーターから降りて斜めに目的地へ向かうと、
何人もの大勢の社員たちが突然、俺の周囲を囲い始めた。
「おい! これは極秘のじゃないのか? 何してるこんなとこで!」 と、俺に声掛ける男。

 俺はそんな人たちに御構いなしにドンドン自販機へと向かった…
「お前! ドリームだろ! いいのかこんなとこに来て!」 と、心配する男たち。

 自販機の前に立ち、課長代理の指定した銘柄の飲み物を一つ買ったところで後から…
「ほほー! これが我が社の新製品ですか?」 と、微笑ましく声掛ける初老の男性。

 すると…
「しゃ… しゃ… 社長!!」 と、誰が大きな声で叫んだ。

「中々、いいんじゃないかしら♪」 と、同じくらいのスーツ姿の女性。

「副社長!!」 と、誰かの驚く数人の声。

 俺は動じることもなく、飲み物を手に取ると、後の社長と副社長に一礼して、
その場を離れようとした。
「これは凝ったデザインだね~♪ 担当者は誰かな?」 と、聞いてきた社長。

 俺は、ドリームの女課長代理の名前を出した…
「ハテ? どこかで聞いた名前だが…」 と、社長。

 すると…
「御冗談でしょう♪ 社長の末娘さんでしょうに~♪ あっははは♪」 と、女副社長。

 どうやら俺は、女課長代理に一杯喰わされたようだった…

 そして、ようやくこの物語は始まった……



◆◆◆◆◆6話



【あれから数ヶ月…】

 繁華街の場末の更に置くにある廃工場の暗がりの中…
「しかしどうするんですか? 無一文で会社を追い出されたんですよ!? 常務!」
 と、ヨレヨレの作業ジャンパーに身を包み襟元を立てて背を丸めて歩く元、人事部長。

「何とかったって、君ー! ワシだって女房から離婚されてどうにもならんわい!」
 と、ボロボロのスーツ姿、廃工場の中の真ん中で四角い空き缶で焚き火する常務。

「おい! 新入り! 火の始末だけはちゃんとやれよ!!」 と、常連のホームレス。

「あっ、はいはいはい♪ どうもすいません♪」 と、顔を上げることなく語る元、常務。

 常務と部長は会社を負われ、共に家族にも見放され夫々が離婚の末にホームレス同様の
暮らしへと転落していた。

 専務も会社を追われそのまま行方を晦まし、その後の消息については誰もしらなかった。
大手企業に渦巻いた同性愛の病巣は一掃されたものの、しこりは大きく残ったままだった。
「常務、お腹が空きましたねぇ~」 と、トホホな表情で常務に語り掛ける部長。

「さてと… 何か食い物でも探しに行くか…」 重い腰を上げ焚き火に水を掛ける常務。

 廃工場の中には数十人のホームレスが毎日のように出入りし、ボロボロのビニールで
テントを張り、ダンボール箱で家を作り廃工場の裏の敷地で野菜を育てる者や、拾い集めた
酒に喉を鳴らす者、その中に元大手企業の常務と部長は身を潜めていた。

 彼らが食べ物を探しに行っている時…
「ハイ! OK! いいわよー♪ 今の表情♪」 と、会社の撮影室で俺を取るスタッフ達。

 俺は今、係長と一緒に宣伝部の一室である、ポスター用の撮影所に来ている。
今、一番輝いている男性に送る! 白い真綿のファンシーランジェリー!!と言うキャッチで
俺が身に着けているのは、真綿をイメージした立体構造のフワフワしたショーツ。

 真っ白い背景で辺り一面に真っ白い真綿を敷き詰め、雲のようにデコボコつけて
その真ん中に、真っ赤なバラを一厘、横に銜えて水色のビーチチェアに寝そべる俺は美しい。

 そう、俺は今、俺が一番嫌だったモデルへ大抜擢され肩書きも係長候補から、課長代理の
一声で係長に昇進していた。

 ショーツの中に仕込んだ偽物の巨大ペニスで、男のシンボルを強調した仕上がりには
撮影スタッフからも、歓喜する声が止まなかった。

 更に、俺はファションならパリコレ、玩具ならエロコレと呼ばれる一代イベントに、
会社の代表モデルとして出場が決定していて、来月にはモロッコへと旅立つ。
「いいわぁ~♪ 今の表情♪ もう一度こっち見て~♪」 と、張り切るカメラマン。

「お疲れ様~♪ 今の中々良かったわぁ♪」 と、嬉しそうに俺に近付く女課長代理。

 俺は今や、ドリームのみならず他の部署のモデルとして引っ張りだこで一日にこなす
撮影は20本を越え、外注のプロダクションを寄せ付けなかった。

 そんな中…
「あぁ~ 今日もこれだけかぁ…」 と、無造作にゴミ箱からバーガーの残りを拾う常務。

「常務! 独り占めは勘弁! 私にも半分!!」 と、慌てて常務に掴み依る部長。

 そんな部長を振り切るようにゴミ箱を漁った常務…
「何だこりゃ?」 と、コンビニの買物袋を掴みとった常務。

 常務が中を開けて見ると食べ残しの弁当と一冊の週刊誌が…
「こんなもんはいらん!」 と、週刊誌をバサッと投げ付けた常務。

 風で捲れ上がる週刊誌を何気に見た部長が大声を出した…
「じょ、常務ーー!!」 と、叫んだ部長。

 こ、これは!!
二人は週刊誌を拾い上げると、顔を見合わせた…… 




◆◆◆◆◆7話



「こらー!! そこで何をやっとるかー!!」と、慌てて掴み掛かる警備員。

「ひぃー!! ワシらは! ワシらは怪しい者じゃない! か、勘弁してくれ!!
 ワシらは、この! この写真の人と知り合いなんだ! 信じてくれ!!」 と、浮浪者達。

「こちら警備室ですが、怪しい浮浪者風の男を2名取り押さえました」 と、警備員。

「頼む! 会わせてくれ! この通りだ!!」 と、警備室で土下座する二人の浮浪者。

 俺に会いたいと、二人の浮浪者が尋ねてきて警備員に捕まったと言う知らせは、
直ぐには俺の耳には入ることは無かった。

 俺はと言うと、新作のためのポスター撮影に追われ分刻みで対応に追われていたし、
週刊誌に掲載されたことで、俺に対する問い合わせが殺到し、会社もテンヤワンヤしていた。

 そのころ…
「この二人なんですが、この会社に融資していた○○銀行の人間だと言うんですが…」
 と、二人を見下げるように総務に連絡する警備員。

「どうせ、作り話か週刊誌を見たユーザーだろう! 警察へ引き渡したほうがいいな!」
 と、警備員に伝える総務の人間。

 二人は、警備員が警察に引き渡すべく落ち着かせるために、お茶と菓子を与えられ、
菓子に夢中になっていた。

 ボロボロのスーツの男に穴だらけの雨具に身を包んだ二人は、警備員の目も気にせずに
ガツガツと菓子を食っては、喉を詰まらせ噴出すと言う惨めさを味わっていた。

「おいおい! そんなに見詰めても、もう何も無いぞ!!」 と、警備員に怒鳴られる二人。

 そのころ…
「ハーイ♪ 休憩はいるわよー♪」 と、撮影スタッフに声掛けるおれのマネージャー。

 俺がコーヒーを飲んでいると…
「失礼しまーす、総務の○○と言いますが、実はコレコレこうで…」
 と、総務の人間から話を聞き、俺に難しい顔をして見せた女のマネージャー。

「ねぇ、○○くん… コレコレこんな感じの中年に心当たりある?」 と、マネージャー。

 マネージャーの表現は流石は宣伝部に居るだけあって、的を得ていると感心するほどで
俺には、直ぐに二人が何者なのか理解出来たものの、会うことにメリットを感じなかった
俺は、マネージャーに知らないと答えた。

「うそ! その顔は知ってるって顔だよ♪」 と、鋭い観察力のマネージャー。

 俺は、過去をマネージャーに明かした…
「ねぇ! その二人ホモなんでしょ! だったらアレに使えないかな~?」
 と、俺の目を見詰めるマネージャー。

 マネージャーの意図は直ぐにわかったものの、どうしても俺は二人を許せず、そして
同じ屋根の下にいること自体にも抵抗があった。

 俺は、マネージャーに財布から数万円を出すと、二人に渡すように手配してもらい
二度とここに来ないように総務の人間に頼んでおくように言った。

 俺をオモチャにしようとした奴らの所為で、俺は…
まあ~ 今の仕事は満足していると言えば満足しているが、それにしてもと言うところだが、
俺は、二人を警察に引き渡すのを止めさせるように、申し送りを添えた。

 マネージャーがアレに使えないかと言った一言を就業間際に思い出していた俺は、
プランXの概要を取り寄せ、頭の中であの二人を当てはめて考えていた。
「あらあら~♪ その顔は考えてる顔ねぇ~」 と、突然声を掛けてきたマネージャー。

 プランXは、男の同性愛者をターゲットにした新企画で、同性愛者のための商品が、
これでもかと提案され、その中でも一際目立っていたのがX-1シリーズだった。

 X-1シリーズは高級機シリーズの第一弾で、相手のいない秘かな同性愛者のために
考案された棺方のベットで、中に入って仰向けになると、無数の特殊シリコンの舌が出て来て
仰向けになった人の全身を舐めまわすと言うものだ。

 しかも、リモコンで棺の天井に好きな男性の悶える全身が映し出され、四つん這いになると
自動で、足の方からペニスバイブの付いた板が本人に迫って来てと、まぁ~ 笑うような♪
代物なのだが、開発部も後は試すだけにまで、漕ぎ付けたのだった。

 しかし、ここに来て難題にブチ当った!
試す奴がいない… 勿論、俺にも要請は来たもののマネージャーは一発で拒否した。

 試を引き受けるということは、ある意味、私はホモですと言うようなもんだろうし
仮にホモでなくても、あだ名はホモになるはずだ。

 だから、現在は女で代用出来ないかと模索しているらしいが、いくら何でも希望者も
出てきていない様子で、お手上げ状態だ。

 それにマネージャーが目を付けたが、極秘の新製品を部外者に見せるわけにもいかず、
俺の知り合いなら、何とかなるだろうと言うところだ。


 焼き鳥屋で…
「ねぇ、○○君、Xシリーズの担当… 私の先輩なんだ… 力を貸してくれないかな…」
 と、俺の隣でカウンターに塞ぎこむマネージャー。

「○○君が、二人の知り合いだと一言、開発本部長に言ってくれれば、後は私が…」
 と、顔を上げて鳥串の塩を一つ食いちぎったマネージャー。

 俺の口は重かったが…
「あいつ等には、係わり合いになりたくないんだってー!」 と、彼女とは逆を向いた俺。

 すると…
「よっぽど憎いんだね…」 と、ビールを飲む彼女。

 俺が…
「あぁ!!」 と、鳥串に塩を振り掛ける。

 すると…
「だったら、二人を雇っていじめてやれば~♪ キャッハハハ~♪」 と、天井を見る彼女。

 
 俺は翌朝、開発本部長に昨日の二人のことを話した…





◆◆◆◆◆8話



「キャッハハハハ~♪ 見てよー! お母さーん♪ これ見てー♪」
 何処からか手に入れて来た一冊の週刊誌を、手に持ち母親に見せようとハシャグ俺の妹。

 久々に休みの取れた俺が帰省すると、何も知らないはずの実家は大騒ぎになった。
週刊誌の最後に出ている、ファンシーランジェリーに身を包んだ俺の大きな写真を妹が見つけ
それを隠し持っていたらしい。
「よしなさい! 仕事なんだから仕方ないでしょ!」 と、妹を叱る母親。

「だってぇ~ これ見てよ♪ 兄貴の格好ったらさぁ~♪」 と、母親を追い掛け回す妹。

 そう! 俺は真っ赤な長椅子に右を下にして純白レースショーツにスリップに身を包み
白いバラを銜えて、何処にでもあるようなポーズをしてカメラに潤むような視線を送る。
「セクシーな彼方の研ぎ澄まされた視線の向こうにあるものは…」 と、キャッチが入る。

「真っ赤なワインの入ったワイングラスに頬寄せて、窓辺に寄り添う彼方を妖精の国へと
誘う魅惑の高級男性ファンシーランジェリー、だってぇー♪ アッハハハハハ♪」
 と、妹は俺の心を串刺しにして尚も笑い転げていた。

「しかし!何だな! こうして自分の息子の写真を本で見ると言うのは照れるもんだな~」
 と、難しい顔してソファーに足組して座る親父。

「お父さ~ん♪ ねぇー♪ おっかしいでしょぉ~♪ アッハハハハハ~♪」
 と、ソファーの後から親父に抱き着いて甘える妹。

「ハイハイ、もうその辺にしないと!!」 と、妹の頬を指で摘んだ母親。

「キャッ! イタタタタッ!」 と、頬を摘まれたまま食卓テーブルへ引っ張られて行く妹。

 俺の家族は、まあ~ 何と言うか両親共に俺の仕事に理解を示しているものの、実際に
息子のあんな写真を見せられて喜ぶ親もいないわけでと言うところだろうか。

 俺の暫くぶりの帰省は、恥辱と辱めで一日が過ぎたと言うところだろうか…
久し振りの俺の部屋は既に物置と化していて、不要になった妹の物から両親の物と6畳間は
布団が敷ける程度取るのがやっとだった。

 飯も食って風呂にも入った俺を入り口の隙間から覗く強い視線…
誰が犯人かは知っていたが、わざと戸口に正面を向いて、ぶら下がった竿と玉を見せ付け、
驚いて逃げ出した妹に、戸をあけて投げ付けたトランクスとランニングシャツ。

 一っ風呂浴びた俺は、機嫌よく母親が出してくれたトランクスとシャツを着ると浴衣を
羽織って居間でテレビを見ている親父の側へと、ビールを持って移動した。

 懐かしい親父の、テレビを点けたままでする一人詰め将棋、数秒間見入っていると…
「どうした? お前もやるか?」 と、やらないのを知って話し掛けた親父。

「しかし何だな~ お前の仕事も大変な仕事だに~」 と、後ろ向きに放す親父。

 俺は親父の詰め将棋をする姿を肴に缶ビールを一缶飲干した。

 二階の部屋へ移り缶ビールを数本とピーナッツを枕元に置いて、布団の上に足を伸ばし
辺りを見回しながら座ると、さすがにダンボールや衣装ケースに囲まれてる息苦しさから、
布団の周りだけでも広くしようと、一つの衣装ケースを持ち上げた。

 すると、衣装ケースの下のダンボール箱のフタが開いて、中の物がフワッと膨れ上がり
慌てて衣装ケースを他に移して、中の物が飛び出しそうになっているのを押さえた。
「あれ? なんだこりゃ?」 と、押さえた箇所を見る俺。

 飛び出して来ていたのは、妹が高校時代に来ていたセーラー服だった…
「まてよ… 確か企画部で男物のセーラー服を作るとか言ってたなぁ~」 と、思い出す俺。

 俺は慌てて、仕事用のバックを引き寄せ、中身の入った段ボールで机らしき物をつくり
何とか、使える高さにして、バックを上に置いた。

 箱に入った妹のセーラー服を見ているうちに、俺は…
気が付けば、少し窮屈だったが妹のセーラー服に身を包んでいた。

 仕事のことで頭の一杯になった俺は、カバンから企画から貰ったデーター表と寸法表に、
カラーのイメージ写真をダンボールで作った机の上に、並べておいた。

 セーラー服に身を包み、ヒダスカートを腰を振って左右に靡かせながら、データー表を
何度も、見比べていた。

 そんな時だった、突然戸が開いた…
「キヤァァァーーーーー!!」 おきまりの漫画パターンのように俺を見て悲鳴を上げた妹。

 妹の悲鳴で、一階からバタバタと二階に駆け上がってきた両親に…
「なんだ? どうした?」 と、自分の姿を忘れて問いかけた俺。

 入り口の向うで床に尻餅着いて俺を指差す妹、そして後で立ちつくす両親に…
「どうしたの? みんな揃って?」 と、笑みを浮かべて問いかける俺。

「○○は疲れているんだよ…」 と、ガックリと肩を落し寂しげに一階へ降りて行った親父。
「○○も今夜は、早く寝なさいね…」 俺と目を合わせずに一階へと立ち去った母親。
「兄貴はセーラー服も着るんだなー♪ あっははははは♪」 と、俺を指差した妹。

 俺は初めて、自分の姿に気づいたが時、既に遅かったと言うところだ。
翌日、俺は何度も何度も仕事のことだと言い訳を繰り返し、何とか理解を求めたが、
妹からは、実の妹のセーラー服を着てコッソリと部屋で踊る変態兄貴と呼ばれるようになり、
散歩に出て戻ると、俺の布団の上には履かなくなった白いソックスが置かれていた。
「兄貴へ、あんまり根を詰めないでね! ○○より」 と、一緒に妹からのメッセージ。

 俺の家族は全快一致で俺の仕事を理解してくれていると悟った……




◆◆◆◆◆9話



「いい加減にしろ!! ふざけてるのか!!」 と、激しい怒りの込上げる俺。

 俺に男物のファンシースーツを着て街中を歩き回ってくれないかと、突然の申し込みが
部署に申し入れられた。

 写真撮影だけではなく、実際に下着も着けてスーツスカートを履いて街中を歩き回ると言う
企画が持ち上がり、週刊誌にもモデルとして登場している俺なら、ピッタリじゃないか、
誰かがそう言うと満場一致で可決されたとのこと。

 しかも、付けられた所属名は特命班と言う、あの忌まわしい名前を誰が思いついたのかは、
知らんが俺がこの会社に移ってくる起点になった、あの特命班に所属しろと言う。

 当然、俺のマネージャーは難色をしめしたらしいが、特命班の班長は俺でと、企画の連中の
たっての要望と言うこともあって、マネージャーも断り切れなかったらしい。

 俺の前には、マネージャーや課長代理に係長がいて、俺を説得している最中なのだが、
俺と言えば、血の気の引く思いで3人を目の前にしているが、説得話しは耳には届かず、
口の中は乾き瞬きも数少なく、視線は3人の頭の上の一点に絞られていた。

「アンタ方は、俺に生き恥を晒せと言うのか!!」 3人の顔を見ずに怒鳴る俺。

「あぁ! で、でもね! 一週間くらいのイベントだし…」 と、声の裏返る課長代理。

「イベントだとおぅ!! あんたらは側にいねえんだろ!!」 と、怒鳴る俺。

「でも、でもね! 会社の決定事項だし…」 と、アタフタする課長代理。

 会社の要望はこうだった。
1、キャラクターは一人で何気なく普通に街中を爽やかな笑顔で散歩する。
2、キャラクターは下着からスーツスカート及びパンストにサンダル姿で明るく散歩する。
3、キャラクターは化粧は薄めにし自然に歩き食事をして爽やかさを演出する。

「散々、写真撮影して週刊誌にまで顔だして、挙句の果ては女装して街を歩け…
 こんな馬鹿なことがあるかーー!!!」 と、立ち上がって激怒する俺。

 そのころ…
「はーいOK! 今の調子忘れないでー♪」 と、撮影スタッフ。

 俺の一声で契約社員となった例のホモの二人の親父たちは、同性愛者向けのパンフの
撮影に入っていて、全身タイツ姿で股間をモッコリさせて二人で寄り添っていた。
「愛に国境はない… 世界中の男達に捧げる同性愛者専用セックスシリーズ」と、キャッチ。

 俺の知らないところで、彼らもまた彼らの再スタートを始めていた。
何度も棺型のオナニーマシーンに入り、何十人ものスタッフの見守る中で、繰り返される
挿入の実地試験に、悲鳴をあげ耐え抜いた二人は同性愛者グッツの宣伝要員にも抜擢された。

 それに引き換え、俺ときたら今度は街中を練り歩けとの御達しが届いて苛立ちを、
3人の女相手にモロに見せ付けていた。

 何度も、何度も申し訳なさそうな顔して頼み込む女たちに、俺は…
「もう、辞めるるわ~」 と、一言切り出し深呼吸した俺。

 ガックリと肩を落した女たち…
俺は黙って立ちあがると、俯いたままの女たちを他所に、自分のデスクへと向かった。

 机に向かって、頬杖付いてると…
「辞めなくてもいいから… 私たちが無理言い過ぎただけだから…」 と、女課長代理。
「無理にとは言ってないし、断ることも出きるから…」 と、俺の目を見ようとしない係長。
「今まで通りの仕事でいいと思うから… ねっ! 会社辞めないで!」 と、マネージャー。

 余にも暗い表情の女たちに…
「何の話をしてんですか! 誰が会社辞めるんすか?!」 と、不機嫌な俺。

 3人が一斉に俺の机の前で…
「えっ? だってさっき辞めるって…」 と、言う顔をして見せた。

 妙なことを言う彼女達におれは…
「俺、今日で男を辞めますから…」 と、3人の顔を見て豪気に言った俺。

「俺も商社マンすから、簡単に会社辞めませんから…」 と、俺。

 俺は、女課長代理と女係長に女マネージャーに、ニッコリと作り笑顔してそう言うと、
女たちはピョンピョンと俺の机の前で飛び跳ねて手を叩いて大喜びした。
「但し、条件があります!」 と、顔を上げた俺。

 こうして、俺は特命班の任務を了承したが、俺の出した条件は、課長代理と係長と
マネージャーの三人にも、俺と同行してもらうことを提示した。

 企画部の要望を一部変更して貰い、彼女達3人は変なオジサンの格好をしてもらい、
俺の勤めるこの○○商事の、イベント中と書かれたプラカードを持って、一緒に練り歩く。

 変なオジサンは、ステテコに雪駄を履き、腹巻にラクダのシャツにハチマキを頭に巻いて、
俺の周りで楽しげに踊りながら一緒に歩く。

 この条件を満たすならと、俺は条件を叩きつけた…
勿論、3人の女たちは顔を見合わせ涙目になりながら、何度もミニ会議を何度も行った。

 数時間後…
「ね! ○○くん! この企画、断りましょうよぉ~♪ ねっ! それがいいって~♪」
 と、自分達の羞恥心を押さえることの出来ない女課長代理たち。

 すると俺が…
「あぁー、それはもう企画の方に了承済みと言うことで、俺の方で伝えましたし、
 課長代理たち3人も同行する提案と了承も企画部長から貰ってありますよ」と、笑顔の俺。

 3人の顔から見る見る間に血の気が引き、係長は俺の机の前で倒れてしまった。
倒れた係長を両端で支えながらも、引き込まれるように崩れ落ちた課長代理とマネージャー。

 机の前の3人の女たちに俺は…
「企画の連中、凄い大喜びしてましたよ!! 部長なんか飛び跳ねて踊ってましたから♪
 今更、断ったらマズくないすっかねぇ~♪」 と、ニヤっとして語る俺。

「今頃、変なオジサンの衣類の確保してると思いますよ~♪」 と、ニヤっとした俺。

「いやぁ~ 受けるでしょうねぇ~♪ 女の変なオジサンなんて、馬鹿受けっすよ♪」
 と、噴出す俺。

 机の下から、顔をヒクヒクと引き攣らせて、出て来た3人は完全に失神寸前だったが…
「これで、俺の事も少しは理解してくれるはず…」 と、心で思う俺だった。

 ちょっと、可哀相だったかなぁ~♪ 彼女達…
何故か嬉しい俺だった。




◆◆◆◆◆10話



「○○商事新作キャンペーン開催中でーす♪」 と、ハゲ頭の真ん中に数本の毛の残るヅラに
チョビヒゲ、丸い黒縁めがね、らくだのシャツに腹巻にステテコに雪駄と言う井出達で、
男性用ビジネススーツスカートに身を纏った俺の前に、1人そして後に1人、真横に1人と
社名の入ったプラカードを持って、可笑しな踊りをして立ち振舞う、女課長代理と係長と
マネージャーの女たち。

「本日! ○○商事より新作の発表で~す♪」 と、半泣き状態で大声を張り上げる女たち。

 俺は無言で、ただ黙ったままで朝のビジネス街を自分のテンポで只管歩き、立ち止まっては
ポーズを決めて休憩するものの、彼女達はプラカードを持っては行き交う人に近付き、笑顔で
新作をアピールしている。

 俺の服装は、中からファンシーショーツ、ファンシーブラにファンシースリップ、そして
今回から仲間に加わった、ファンシーガードルを履いた上から、男性用ビジネススカートの
タイト15型とブラウス23型にリボン8型と、フル装備ま井出達だ。

 当然ながら、薄化粧を施しているが、こりは別のメーカーからの出品依頼で使用していて
大手カツラメーカーからも是非、使って欲しいと言う容貌のもと、俺の頭には男性用カツラが
装着されている。

 言うまでもないが、俺は昨日の夜に散髪屋で丸坊主にして来たのだが、丸坊主にして
正解だったと言えよう。

 こんなに頭がカッカと暑くなるとは予想だにしてなかったからだが、俺の周りで踊って
声を張りはげる女たちの可笑しいことと言ったらありゃしない!

 ステテコの下には女性用に作られたトランクスが透けて見え、動く度に女特有に、
全身がプルプルと揺れ、周囲の男たちは俺を見るよりも、女たちに目が行くようである。

 俺を指差して見るのは、殆どがOLたちで俯き加減に上目使いで恥ずかしそうに見る女や
俺の真横に来て下から上まで舐めるように見入る女と様々だった。

 そんな時だった…
「あっははははは~♪ おい! 見ろや! コイツ女装しとるでー♪ あっはははははは♪」
 と、俺の前に立ちふさがった男たちが数人。

 さすがに、恥ずかしくなった俺は、真正面を見ていた顔を少し俯かせた…
「あっははははは♪ コイツ照れてやがるぜ! うっひゃひゃひゃ♪」 と、指差す男たち。

 すると…
「この中はどうなってんだー♪ うっひゃひゃひゃ~♪」 と、俺のスカートを捲る男。

 俺の周りは人集りになり…
「おいおいおい! パンスト履いててガードル履いてるぜー♪」 と、爆笑する男達。

 その時だった…
「ビリッ! ビリビリビリー!!」 誰かに後からスリットを引き裂かれた。

 咄嗟に俺は…
「キャァーーーー!!」 と、前屈みになってスカートを押さえて悲鳴を上げた。

 俺の悲鳴を聞いたのか、二人の警察官が駆けつけ、男達を捕まえたが、数時間後…
「申し訳ありません!!」 と、男達の勤める会社の上司が平謝りする警察署の中。

 聞けば、俺の勤める会社の出入り業者だったことが判明…
「どんな償いも致します!」 と、男達の上司。

 翌日から、俺に仲間が加わった…
「もっと堂々としてー!!」 と、後の女係長から激が飛ぶ。

「ホラホラー! 顔上げて!!」 と、先頭の女課長代理が大きな声を上げる。

「ガニ股は禁止よおー!!」 と、女マネージャーが踊りながら仲間を煽る。

 きのうの…
「どんな償いもしますから、穏便に!!」 と、言う相手の上司の言葉に甘えた俺達。

 女のような格好に不慣れな男3人は、俺の後から意気消沈しトボトボと着いて来ると…
「デターーー!! 昨日の奴らだよー♪」 と、昨日の俺を見た通行人の誰かの笑い声。

 昨日のこの三人のように、俺たち4人を指差して大笑いして、まるでチンドン屋でも
追い駆けるかのように後から、笑いながら着いて来た。

 阿波踊りのように楽しそうにプラカードを持つ女たちは、気付かない素振りで淡々と
俺の行く方向へと踊りながら付いてきていた。

 後から着いてきていた、何処かの男も暫くすると消えてしまったところで休憩に入った。
「よおー♪ 頑張ってるねー♪」 と、昨日の男達の営業スマイルの上司。

 拳を握りプルプルさせる男性用ビジネススーツスカートの3人の男達に、何やら耳打ちする
昨日の上司に…
「こんなことすんなら! 俺は刑務所の方がマシですよ課長!!」 と、突然怒鳴った男達。

 すると…
「君はどうなんだね! 君も刑務所の方がいいのかね…」 と、もう一人に聞く上司。

 すると…
「俺は、悪いことしたと反省してるし… 続けさせてもらいますよ」 と、一人の男。

 君はどうだねと最後の男に上司が聞くと…
「デヘッ♪ デヘッ♪ デヘヘヘヘヘ♪ こんな機会は滅多にないし、俺はOKですよ♪」
 と、照れながら相手の上司に満面の笑顔で伝えた男。

 数日後…
「アッラァ~♪ ヤダワァ~♪ ストッキングが伝線してるぅ~♪ 替えなきゃねぇ~ン♪」
 と、何故かオネエ言葉の刑務所へ行くと言ってた男。

「○○ちゃんはねぇ~ 歩き方が雑なのよねえぇー♪」 と、もう一人に首を傾げる男。

「そうよぉ~♪ ○○はネエェー♪ もっと内股で歩かないと駄目なのよーん♪」 と、男。

 俺の居る特命班は徐々にお釜ルームへと変わって行くように思えた……



◆◆◆◆◆11話


  
「課長! ストッキング忘れてますよ」 と、俺の足を見て指摘する部下の男。

 俺は、例の特命班の仕事をこなし様々な宣伝要員の任務をやり遂げ、つい最近課長に昇進した。
思えば銀行からの転職以来、男を捨てプライドを捨て真っ直ぐ前だけを見てここまで来た。

 会社では誰も言わんが、一歩外に出たら完全に変態扱いを受け終いには交番で調べを受けたり、
通報されたりと、苦難の宣伝活動を乗り越え、いまや男性用スーツスカートも売れ行きを伸ばし、
最初は、同性愛者や女装趣味の人たちだけだったのが、今や殆どの企業でクールビズとして、
人気を高め、企業からの注文も一気に増えた。

 かく言う、俺も今や自宅マンションから男性用スーツスカートセットを身に纏って、
会社を往復している。

 男性用と女性用の確実な違いは、やはり男の体型に合わせた構造と言う点だろうか。
何といっても、男にはぶら下がっているものがあるから、この部分の立体構造は欠かせないし、
女性とは違って、胸も無いしウエストも細くないから部分的に伸縮する素材を使ったことで、
男の筋肉質な身体をサポートさせた。

 ただ、女性用のブラウスには当然のように付いているリボンなんだが、俺達も最初はリボンで
宣伝行動していて気付いたことがあって、それ以来はリボンではなく普通のネクタイに変更し、
今では女性用と言わなくても、ネクタイに替えることで男性用と誰でもが、把握出きている。

 俺のお気に入りは、何と言ってもタイトスカートの横スリット、ファスナーシ仕様だ!
裾が狭く歩きづらいんだが、スリットを上に上げれば裾も広がり下げれば狭まるから、
冷房の効いた部屋と、効いてないない部屋での体温調節が簡単なんだ。

 それに、ファンシーショーツも普段の生活を重視して新たに、男性用パンティーも登場し、
調度、女性用と男性用の中間に位置された男性用パンティーにはフリルなどの飾りはなく、
どちらかと言うと、既存の男性用ビキニショーツに近いかも知れない。

 パンティーストッキングも、完全に立体編みされていて、男性自身を優しく包み込む構造で、
伝線に強い素材になっているものの、薄さも保たれていて快適そのものだ。

 ただ、どうしても俺が馴染めないものが、男性用のブラジャーなんだよ。
別に邪魔になるほど、ブルブルする胸がある訳でもないが、窮屈と言うか何と言うか、
ただ、これも妙なもので、ずっとブラジャーを着けていたせいか、人前で胸を見られることへの
抵抗感が出て来て、終いには脱げない状況にも変化してしまったんだ。

 他人に、特に異性である女性に乳首を見られることへの羞恥心と言うか、兎に角恥ずかしく、
健康診断の時なんかは、同僚の男性社員たちの前でも、顔が熱くなるほど恥ずかしいのだ。

 だから、診断で待っている時はブラをしているのにも関わらず、胸をタオルで覆っている、
男がやたら多くなって、部署の違う奴が上半身裸でいたりすると、つい、目を反らしてしまう。

 今では、この会社の男性社員の8割以上が男性用スーツスカートで仕事しているから、
逆に普通の男性用スーツの男性たちが特異な目で見られているのも事実だ。

 玩具メーカーだった、この会社も今や男女衣料品を扱う総合メーカーへと様変わりしたし、
新人社員たちは、就職活動時から既に男性用スカートスーツを着て面接に挑み、やる気を
アピールして人事の奴らの視線を浴びている。

 女性用の衣類を男性用に改良して愛好者に売るのではなく、完全に男性用として作った物を
普通にデパートで並べて、あるいはスーパーで並べてもらうことにも成功し、
先月も、何件か男性用専門のブティックがオープンしたらしい。

「課長! そろそろ行きませんと会議に間に合いませんが…」 と、考え事してた俺に部下。

 俺は、急いでトイレへ駆け込むと、便座に腰掛て黒いパンティーストッキングに両足を包み、
鏡の前で、着衣の乱れは無いかチェックをいれ、トイレを出た。

「課長、その男性用の口紅少し派手じゃないですか?」 と、俺に声かけた女性係長。

「え! 派手かな~ 俺的にはかなり薄くしたんだが…」 と、女性係長に返答する俺。

「でも、課長なら少し派手目の方がいいかもですねぇ~♪ と、俺を一回りした女係長。

 真っ赤なハイヒールに、黒のタイトスカートに白いブラウスとチョッキ、そして明るい色の
口紅と鮮やかな色彩の化粧をした俺は、課長会議へと部下と一緒に向かった。

 12階の大会議場に入ると、黒系男性用スカートスーツを身に纏った凄腕の課長たちが、
ドアから入った俺を一斉に見た。

 そこには、例の同性愛を強要したことが発覚して追放され、拾われたあのホモの元人事部長と
取締役だった常務の二人が、男性用ガーターベルトを着用してモデルとして演壇に立っていた。

 正式に雇われたこの二人は、着用モデル部のスタッフとして、それなりの用途についていたが、
俺を見るといつも、ビクビクオドオドして逃げてしまうが、今日は逃げられないようだ。

 男性用の黒いスリーインワンからガーターが黒いストッキングを吊り上げ、中にはレースの
男性用ファンシーショーツを履いていた。

 演壇のスクリーンに映し出されたキャッチ…
バラのトゲが彼方には心地いい♪

 今回はサディスティック用品の社内宣伝も入っているようだった。


◆◆◆◆◆12話



「ねえ、○○君! ちょっといい?」 と、廊下で俺に声を掛けて来たレディス開発部長。

 俺とは無関係な部署の女部長だったが、聞けば向こうは俺の事は先刻承知で俺が
入社したてのころから、俺の知らない時にチョクチョク見学していたらしい、モデル撮影の
現場の片隅、仕事に専念していた俺の目に入るはずもなくと言うところらしいが。

「今度、新企画で野菜は女性の味方と言う題目で新商品の開発をするんだけど…」
と、俺の真正面にたって垂れ下がった数本の髪の毛を少し横にずらした、女部長。

「申し訳ありませんが、僕は僕の仕事で手一杯でお手伝い出来る状態ではありません」
と、彼女の前からすり抜けるように先を急ごうとした、俺。

「待って! 話だけでも聞いてくれない? 時間はとらせないから!」 
と、俺の目を凍りつくような眼差しでジッと見詰めた、女部長。

「部署単位での応援は全て上を通して頂けませんか?」 と、彼女を突き放した俺。

「上を通してたら時間が無いの! 流行(はやり)は生き物なの時間が無いのよ!」
と、すり抜けようとした俺の左腕掴んだ彼女。

「課長! 急ぎましょう! 打ち合わせに間に合いませんよ!」 と、後から駆け寄る係長。

 俺は、助かったと思って後を振り返ると駆け寄って来た係長の顔を見るとその場をから
何とか離れることに成功した。

 すると…
「課長、気を付けてくださいよ!」 と、俺の右側から語り始めた係長。
 あの女部長は上を通さずに勝手に他の部署へ応援を頼み、他人を散々走り回らせて手柄を、
横取りして自分の部署を飾るので有名なんです。

 そして…
そのくせ、上を通さなかった罪を応援してくれた側に全部罪を被せて知らんフリなんです。

 更に…
言ってたでしょ! 時間が無いだとか流行は生き物だとか何だとかって、あれはあの部長の
口説き文句なんですよ! ああやってプロ意識を煽っては利用するだけ利用してポイです。

 係長は仕事一本槍の俺とは違って、社内の情報には凄腕で俺の知らないことをカバーして
俺を支えるようにとの、統括本部長からの抜擢で俺と行動を共にしている。

 どうやら、俺は何人目かの犠牲者にされかかったらしかったが…
あの女部長の鋭い目が気になってたことは事実だった。

 俺も元々は銀行マンだ、人を見る目はその辺の商社マンよりは上だと思っているが、
あの女部長の凍り付きそうな目の奥にある焼けるような炎は何なのか、俺は知りたいと
何故だろう沸々と湧き上がるものを感じていた。

 そんな俺が彼女と再会したのは仕事で遅くなった帰り道、自炊するのも面倒になって
居酒屋で何か喰って帰ろうかと、繁華街に入ったものの何処も満席で入れ切れずに、
仕方なく裏通りへ入ると数軒が軒を並べる中華料理屋があって、俺はそこへ入ることに決め
フッと何気なく端っこの店の隣を見ると、消えかかった街灯の下でボンヤリと見えた看板、
その看板に書かれていた店名の下に、俺の勤める会社(メーカー)の名前が入っていた。

 近寄ってみてみれば、うちの取引先の小売店だったことが解って…
「へぇー、こんなとこにもは内の顧客がいるのか~♪」 と、何故か嬉しい気分の俺。

 俺は嬉しくなって店先から中を覗いてみると、数人の男性の客に混じって女性も一人いて
店主と何やら話しこんでいた。

 すると、突然店の中を覗きこむ俺の顔を中にいた女性が振り向いた…
「えっ?」 咄嗟に店先から逃げ出した俺。

 何で、こんなところに彼女が…
逃げだした、俺は中華料理屋の隣の焼き鳥屋の中の小上がりで、隠れるように飲んでるとこを
見つかってしまった。

「驚いたわ… こんなところで○○君に会うなんて…」 スーツスカート姿の女部長。

 テーブルを挟んで座布団に座り、焼き鳥を頬張る俺の前に足を崩して座る女部長は微笑して
ビールを飲む俺をテーブル両肘着いて頬杖付いて見ている。

 女部長の俺に話し掛ける目は会社で出会った時とは違っていて、凍り付きそうな目は
暖かく、目の奥の炎は穏やかになっていた。

 彼女は毎日、仕事が終ると日課のように小売店を回っては商品のデーター取りに専念し
直に小売店から情報ほ得ていたことを俺は知った。

 営業から上がって来る情報は歯に衣を着せた文書ばかりで、褒め称えられる内容に
疑問を感じていた彼女は係長時代から部長になっても、一人で直接生きた情報を集め
それを元に新商品を考案していたと言う。

 彼女の凍り付きそうなほどに冷たい視線の中の、燃えるような炎の理由にホンの少しだけ
触れたような気がしていた俺だった。

 彼女の仕事に対する姿勢は、情熱だとか他人(ひと)が語るものとは何かが違っていて、
仕事に対する彼女の思いを聞いているうちに、俺は彼女に魅かれていった。

 俺はこの日、彼女の部屋へ泊まってしまった……




◆◆◆◆◆13話



「部長! 申し訳ありません! 勘弁してください!」

 俺としたことが、こともあろうに部長を… いくら酔ってたとは言え…
俺はベットで俺に背を向ける部長に土下座して謝った。

 すると…
「あんまり謝られるとさぁ… 傷付くんだよねぇ…」 と、背中を向けたままの部長。

 そして…
「俺、責任取ります!」 と、部長に土下座する俺。

 すると…
「責任ってどうやって取るのさっ?」 と、部長。

「昨日は○○君、激しかったなー もおぅビックリしちゃったぁ~♪」 と、微笑む部長。

 俺は黙ってベットに頭を着けて申し訳なかったを繰り返していると…
「じゃぁー♪ 私と結婚してくれるってことなの?」 と、聞き返す部長。

「課長のアンタに何で貰われなきゃなんないのさ! フザケないでよ!」 と、怪訝な部長。

 確かにそり通りだった。
格下の俺が上司に当る部長を貰うというのは… しかし、俺には責任の取りようもなく
今は、こうして部長に謝るしかなかった。
「でも部長! 俺には他に責任の取りようが…」 と、背中を向けて寝ている部長に話す俺。

 すると…
「じゃー 結婚はしんくていいから、私の仕事手伝ってくれないかな~」 と、部長。

 俺は…
「個人的な責任にビジネスを重ねることは、俺には…」

 部長は…
「じゃー 仕方ないな、警察に行って正直にレイプされたって話すしかないわ」

 俺は…
「そ、そんな! レイプなんて!」

 部長は
「本当じゃないのぉ! 抵抗しないのに無理矢理押し倒して…」

 俺は
「……」

 部長は
「……」

 俺は
「解りました、部長の仕事手伝います」

 部長は
「そう♪ じゃー約束よ♪」

 俺は事故嫌悪になっていた…
「じゃー約束だからね♪」  と、俺の後に座った部長。

「何!! 何で前にいるはずの部長の声が後から?」 驚いて後を向いた俺。

 俺は、部長に一杯喰わされたらしいことに後に気付いて抗議をしたが…

 俺が無理矢理、部長をベットに押し倒したのは事実だったらしく、彼女を抱きしめそして
一旦大人しくなった彼女から離れて衣服を脱いだと言う。

 その間に彼女はベットの下に置いてあった、男性用のセックス人形と自分が入れ替わり、
何も知らない俺は、部長だとばかり思い込んで、無抵抗の人形とセックスをしたらしく、
その一部始終ビデオ撮影されていたことを知らされた。

 俺は他人の見ている前で、しかもビデオ撮影されてることも知らずに人形相手に、
激しいケダモノを演じていたらしかったが、もしその時に人形がなければ俺は本当に部長を
レイプしていたことになっていた。

「でも、○○君、すごかったよー♪ 見てて私も濡れちゃったくらいだもん♪」 と、部長。

 男性用セックス人形・XR-2000、恐るべし。
更に恐ろしい女部長……





◆◆◆◆◆14話



 俺が人形相手に獣化している映像を見せてくれると言う部長に断りを言い、
自分の仕出かしたこととは言え、本意ではない仕事を手伝わされるハメになった俺は、
女部長から翌日会社で、企画書を見せられた。

 内容は、早い話がバイブだと買いづらいから何か工夫が必要とのことで、
女性と台所の野菜をイメージして、さりげなく家のリビングにも飾れるような商品開発。

 女=茄子ではなく、斬新で新しい何かを発見したいと言う部長の意気込みは解るが、
どうしても俺には女=茄子は切り離すことが出来ず躊躇していた。

 コンセプトは、爽やかにそして煌く星空のように……
茄子では無く、例え同じでも茄子を連想させない何かが必要だと考えれば考えるほど、
目の前に極太の茄子が出て来て俺を苦しめる。

 そう言えば昔、高校の美術室で籠に入った果物があって、よくそいつをデッサンしてたっけ
果物見たいに籠に野菜を入れて……

 そうだ! 冷蔵庫の野菜室だ! 早い話が人目に付いてもバレなきゃいいんだろ!
だったら木は森に隠せって言うしな! OLなら未だしも主婦が自分のバイブを亭主に
見られでもしたら…

 俺は早速、この企画書に俺なりのアイデアを書き込んだ!
スラスラと出て来るアイデアに自分でも驚いていたが、俺は女部長に急いでそれを見せた。
「ダメね! こんなんじゃ素人のアイデアだわ! やり直して!」 と、キツイ顔する部長。

「隠すのではなく見せるのが目的よ○○君! 見せてあげたいのよ! 堂々とね!」
 と、遠くを見詰め俺に小声で囁いた部長。

 見せたい… 見せてあげたい… 堂々と……
部長の言葉がヤケに俺の耳に刺さったものの、見せるバイブなんて…
俺は考えていた、考えて考えて頭が痛くなるほど考えていたが、結局何も浮かばなかった。

 考えてダメな時は外の空気でも吸って来るのが俺の流儀…
部署を離れて、一階へ降りるエレベータへ向かうと、誰かが談笑する声が聞こえ振り向くと、
重役だろうか数人が昔話に華を咲かせていた。

 立ち聞きするのは趣味ではないが、重役達は一体どんな話しをしてるんだろう、
立ち止まって話しを聞いて見ると、資料室がどうとか展示室がどうと言う話だった。

 重役達は俺に気付くと途端に口を閉ざしてそのまま、俺を通り過ぎて奥の方へと消えたが
資料室に展示室とは何のことやら、確かにここには資料室はあるが… 資料室… 資料室!!

 俺は何かに吸い寄せられるように、資料室へと足を急がせた…
普段は管理課以外に来ることの無い資料室だが、何故か俺を呼ぶ何かの存在を意識していた。

 大きな鉄板のドアを開けると、中は薄暗く太陽の陽射しを嫌うためか極端に窓は少なく、
そしてスチール製の棚が100坪のフロアーを埋め尽くしていた。

 理由は解らないが、何かが俺を引き寄せ俺はそれに従って歩き出した、その時だった!
2メートルほどの高さに貼り付けられた黄ばんだ、説明文書が目に止まった。

【開発6課】(商社1を参照)

「開発6課の主力商品は天狗の面についた取り外し可能なバイブでヒット商品」

 天狗の面!? 何だそれは? どんな物だ? 何処にあるんだ?
俺は別の資料を探そうと、台に上って6課の資料を探したものの関連資料は何処にも無く、

 その時だった…
「そこにはもう何も無いよ…」 管理人だろうか、初老の男性が俺に声を掛けた。

 俺は…
「この! この6課について詳しく知りたいんです! 何処にあるか教えて下さい!」

 すると…
「アンタさんは… 何か苦しんどるようだが…」 と、震える声で語りかけてきた。

 そして…
「お願いです! 教えて下さい! 6課のことを!」 と、何故か必死で頼んだ俺。

 こちらへと震える声の男性が、俺に小声で語り掛けると俺の前をスーッと通路沿いに移動し
俺は男性の後を追い掛けたが、いつのまにか小走りになっていた。

 そして棚の端へ来た時、男性は左にスーッと曲がり俺も慌てて曲がると、そこにはもう
男性の姿は無く、他の棚の通路を四方八方探したが何処にも居なかった。

 元の場所に戻って棚を見上げると、廃棄品と言う紙が貼ってあった…
俺は、その紙が張られている棚のダンボールを漁りに漁ってようやく見つけた黄ばんだ資料を
ホコリ塗れになりながら、何とか集めると床に腰を降ろして体育座りした。

 すると何処からともなく…
「ボウズ! 後のことは頼んだぞ~♪」 と、微笑むような声が聞こえた。

 辺りを見回したが何処にも、さっきの男性の姿は無かった…
俺は狐に抓まれたような、そんな気分でアチコチ見ながら資料を持って場を離れた。

 開発6課の主力商品は天狗の面についた取り外し可能なバイブでヒット商品になって
社長賞をうけたほどらしかったが、今のようにドリームとかと言う名称もなく1課から12課
編成で構成された組織は、その後経営難に陥り何度かの統合を繰り返し6課は無くなったが、
現在の我が社の社長夫人の父でもあると資料には書き加えられていた。

 俺は資料をコピーして、展示室にやってくると慌てて探し始めた…
「天狗の面… 天狗の面… 天狗! 天狗! 天狗が無いじゃないか!!」 激怒した俺。

 何で無いんだ! 激怒して発した俺の声が展示室に響き渡った時だった…
「天狗の面なら廃棄処分が決まって先ほど庶務が回収して行きましたよ」 と、女管理人。

 ふざけるな! 俺らの先輩たちが残した物をゴミにするなんて!
エレベータはこんな時に限って満員で列を作るものだが、何でこんな時に!
俺は庶務を目指して走った! 兎に角走った! 走ってヘトヘトになりながらも走った!

 俺が庶務へ辿り付いた時だった…
「あっはははは~♪ ホラホラホラー♪ わっははは~♪ キャー♪ ヤメテヨ~♪」 
 手に持って女子社員を追い駆ける男性社員達と楽しげに逃げる女子社員。

 それを見た俺は何故か…
「テメーラ何してんだーーー!!」 と、激怒して天狗の面を取り上げた俺。

 すると…
「何すんだよ! アンタ!」 と、俺を威嚇してきた若い男性社員。

 俺は自分の社員バッチを見せ立場を男性社員に伝えると…
「おい、アンタ、ここは庶務だが何か用なのか?」 と、庶務課長。

 俺は同格の相手を睨み付けると、天狗の面を持ってその場を離れようとした…
「おい! 持って行かれちゃかなわんなぁ~ いくら商品開発部でも廃棄決定されてんだ」
 と、強い口調で俺の前に立ちふさがった庶務課長。

 間違った行動をしている自分を省みることなく、俺は庶務課長に名刺を渡して何かあれば
ここへと逆に庶務課長を睨み返してその場を離れた。

 商品開発の苦しさや辛さなど何も解らない庶務の対応に腹が立ったのは事実だったし、
先輩達の手がけたものを遊びの道具にした庶務やそれを許した重役にも腹が立った。

 一つの商品には様々な立場の者が、様々な角度から関与し出来上がるまでの道のりも険しく
やがて商品化されても時間の経過で廃棄されるなんて許せるはずもなく。

 俺が自分の部署に戻って来たときだった…
「お前! 何てことしてくれたんだ! 庶務から常務へ越権だと抗議が入った!」
 と、俺の前に来て激怒する部長。

 俺は…
「アンタも庶務の連中と同じなんだな!」 と、部長の前で部長を威嚇した俺。

 すると…
「何! 貴様、上司に向かって何て口の聞き方だ!」 と、激怒して俺を睨む部長。

 そして…
「アンタは俺の上司じゃない!」 と、身体を一歩部長へ突き出した俺。

「俺の上司は顧客や、この面を作った先輩たちだ! 大事な物を捨てる奴は上司じゃない!」
 と、拳骨を握り締めて上司の前に顔を突き出した。

 部署に走った緊張感は暫く薄れることはなかった…

 俺はこの後、重役会議にかけられたものの何者かの力添えで、無罪放免になったが、
この時の俺には知るしもなかった。

 俺は天狗の面を持って会社でも自宅でも、面と睨めっこする日々を過ごした。

 そして…



◆◆◆◆◆15話


「○○課長! 出来ましたよ! 頼まれていたものが!」 鋭い目をした試作課の親しい社員

「これなら! これなら行けるな!」 と、試作課の彼を見詰めた俺。

 二人は試作品を机の前に何も語らず、ただ黙って互いの顔を数分間見合っていた…
「何度も何度もやり直して… 辛かったですが、これが一番良い形だと専門家として自負しています」
 目の奥をキラキラ光らせた彼は、そう言い残すと俺の前から立ち去った。

 コンセプトは和の心…
直径5センチ長さ35センチと通常バイブを遥かに長くした亀頭部分の先っぽには穴が空いていて、
そこに唇を重ねると、まるで本物のような尺八の音色を楽しめ本格的な演奏が出来る仕掛けだ。

 見た目はどう見てもバイブだが、面白グッズとして販路を見出すと同時にバイブとしての実用性も、
確保した新型のバイブ。

 部長の言う野菜に搾った内容ではないからボツもありえるだろうが、そうはいかない!
キュウリに茄子にゴーヤはそのままの形を維持しながら、色鮮やかに本物そっくりのバイブは
誰でもが思いつく、女=茄子をそのまま隠さずに流用することで斬新性ではなく、安心感を女性に
植えつける狙いがある。

 したがって、面白グッズと同時に売り出すことでその地位を擁立して行くと言う考え方が可能になる。
最初の構想どうりに籠に入った、バイブ内臓の野菜たちから少し離れた場所にさりげなく和の心が入り
新商品コーナーの展示の仕方も従来のようではなく、昭和初期から中期のように、何処にでもあった、
民家の竈(カマド)に障子や、煤けた畳にランプとアンティーク調の展示ルームを展開する。

 玄関を開けると右側に竈が見え、さりげなく籠に入った野菜たちが今夜のオカズとばかりに犇き合い
更に、玄関から中に入ると大黒柱に堂々とぶら下がっている尺八。

 尺八型バイブには尺八ケースも付いているから、ケースに入れて柱にぶら提げて置くも良し、
そのまま寝室に放置しておくも良し。

 隠すことをやめて曝け出すことで自然さをアピールする野菜達と、隠すべきは隠し晒すべきは晒し
見せる時と隠すときを使い分けられる尺八バイブ。

 コンセプトは、和の心。
少し太い茄子は挿入用に丸型は乳首やクリトリスを刺激し、細いキュウリはアナル用に挿入用、
太くてイガイガのあるゴーヤは熟練者用として担当させ、更に丸く大きいキャベツはダイレクトに
ボディー用を担わせる。

 丸く大きいキャベツは股間にそのまま挟んで、強力な振動でワイドさを演出させる。
そして、今回の目玉となるのがオレンジ色のニンジンだ。

 このニンジンの先っぽは丸くなっていて、クリトリスや乳首は勿論のこと、耳の中やアナルに、
アナル周辺と言った、人それぞれの壷を担ってもらう。

 脇の下や足の指の間に専用アタッチメントを装着すれば、背中をまるで誰かに舐めまわされている
そんな錯覚を覚えてしまうほどだ。

 更に、枝豆君の登場だが、茎に着いて無数の枝豆君は不定期に散らばっていて、個々に振動して
予想の着かない動きをしてくれるから、本当に愛撫されているような錯覚に陥る。

 枝豆君の根っこを持って、刺激したい部分に当てるだけで予期出来ない場所が予期出来ない形で
振動し合い、そして枝前同士がブツカって予想出来ない動きをする。

 当初の直径25センチの籠ではなく、40センチの間口で深さも畑から戻ったと言わんばかりに
70センチと大幅な変更に設定したことで、本物の野菜を演出できるのだ。

 今回のプロジェクトには大勢が既に関わっているから、ボツでダメにしたくない。
天狗の面のように関わった人の苦労を無駄が報われるようにならんと。

 そして、まだ閑静されていないトウモロコシ…
一つのベースに1500粒の小型振動版を採用して一つ一つが独立した振動を醸しだす。

 これによって、大雑把な一体物の動きが1500粒の独立した動きに変わって使う人により多くの
幸福な愛の時間を提供してくれるのだ。

 俺は、このプロジェクトを必ず成功させる!
もしもボツになっても、これは俺の信念で商品化させてやる!

 沸々と俺の闘士が奮い立つのを感じた。



◆◆◆◆◆16話



「部長、どうですか…」 部長の自宅MSを訪ねた俺は薄明かりの中で試作品を手に部長を見詰め、
            掠れるような小声で、部長に聞いた。

「……」        試作品を手に持ち薄明かりに目を細めて照らし始めた部長。




「○○君、いいわよ♪ 結婚しましょう♪ 私たち♪」 突然の部長の一言に耳を疑った俺。

「○○君が以前、私に責任を取るって言ったの覚えてるかしら? 実はね! 私、妊娠してるの!
 そう、彼方の子共をね!」 テーブルで差し向かいに座り俺を見詰め目を細める部長。

「えっ、でもあれは人形が相手だと…」 試作品をテーブルに置いた部長に小声の俺。

 部長はそう言うと、椅子から離れ後ろのテレビのスイッチとビデオのスイッチを入れた…
大画面に映し出された映像は、人形などではなく確かにベットで俺に無理矢理押し倒された部長で、
激しく抵抗する部長を力ずくで犯す俺の姿が映っていた。

 部長は何かあるといけない、そう思って偶々、姪の運動会を撮影した時のビデオを寝室に
置いてベットに入ったらしいところへ、レイプ魔の俺が雪崩れ込んで部長を。

 その時の全てが、ここに記録されていた…
泣き叫びながら抵抗する部長の口を抑え、押し付けながら部長の衣服を剥ぎ取った俺の姿だった。

「私ね、処女だったの…」 と、俯き加減に小声で話す部長。

 仕事に差し障りが出てはと人形に話を摩り替えた部長の一芝居だったが…
「無理にとは言わないけど、私は○○君が好きよ… 愛しているのかな…」 と、小声の部長。

「彼方は今回の商品開発が成功したら間違いなく部長に昇進するわ…」 テーブルに両肘着く部長。

「そしたら私たち同格でしょ♪ 上でも下でもないし…」 テーブルの上で組んだ両手の部長。

「答えてください! 今回の件は一体誰なんですか!?」 と、テーブルに前屈みになった俺。

 部長はテーブルの上で組んだ両手に軽く頬を寄せて…
「言わなきゃ駄目… かな…」 と、俯き上目使いに俺を見た。

「……」 黙ったままで軽く部長に頷いた俺。

「今回の件は、ある人が凄く彼方に関心があって、是非やらせてみて欲しいと頼まれたの…」
 と、真剣な眼差しで俺を見詰めた部長。

「何ヶ月なんですか? 部長のお腹の子は…」 と、前屈みの姿勢を元に戻した俺。

 本当のことを言うわね…
「うっふふ~ 冗談よ♪ 彼方の子ではないし、あの映像も合成よ♪ 安心して!
 あれは、ある人がもしも彼方が渋った時に脅迫してでもやらせて欲しいって頼み込んで来たの」
 と、微笑して俺を見た部長。

「だから妊娠もしてないし彼方はわたしを犯してもいないし… でも、これで終わったわね!
 彼方なら出きると確信していたわ~♪ これで私の彼方に対する役目は終ったわ!」
 と、後に流れる映像を止めて照明を大きくしようとした部長。

 えっ? ちょっと○○君、冗談は…

 俺は灯りを元に戻そうとした部長を後から抱きしめ、そして……

 【数年後】

 俺は取締役常務に昇進した。
あの時俺を後押ししてくれた影の存在こそが、現在の会長である通称バイブマンであった。


「おい! おきろ! コイツ… よっぽど気持ちよかったと見えるな…」 誰かの声。

 誰かが俺の両乳首を弄っているのが解ったが、心地良すぎて目蓋は重くとても目を開けられず
じっとしていると、誰かが俺の耳に熱い息をフッと吹きつけてきたのがわかった。

 パチッ、パチッと誰かが俺の胸元のボタンを外したのが解ったものの、心地良過ぎて目が開かず
俺はされるがままになっていた。

 スーッと上半身が空気に晒されたと思うと突然、何かヌルヌルしたものが俺の右胸に、
吸い付くように張り付いた。

 その熱いヌルヌルした物体は俺の乳首を、チュゥっと吸い付くと何かがレロレロと滑りだした…
「アッ… ウッ… アァァンッ…」 無意識に出た俺のヨガリ声。

 気持ちいい… 身体中の力が抜けて指一本動かせずにいると、俺の身体は宙に浮いて
何処かに仰向けに寝かされたように感じた。

 スルスルッと何かが下半身で音を立てたと思うと、涼しい空気が下半身を覆った。
何かが俺の脚を弄ってダンスでもするかのように、上下左右と右往左往をし始めると身体全体が
ポカポカと暖かくなってきた。

 何か重たいものが俺に圧し掛かって来た瞬間、俺の鼻を嫌な匂いが突いた。
俺が銀行勤めをしていた頃、俺に女装をさせ同性愛の相手をさせようと企んだ憎い人事部長の
はげ頭の油の匂いだった。

 あまりに激しく匂い、俺の心地良さも終焉を迎えた時俺は目を覚ました。
ギャアァァァァァーーーー!!! 何で! 何でアンタがここに居るんだーーー!!!。

 女装下着姿になった俺の上に、油ぎった人事部長のハゲ頭が見えた!
俺は叫んだ! やめてくれーーーー!! 人事部長の手がストッキング越しに俺の一物を激しく
撫で撫でしながら、俺の右乳首に吸付いていた。

 後手に縛られ身動き出来ない俺は、口をタオルで塞がれ散々ハゲ頭に身体を舐め回された挙句に
尻の処女を奪われてしまった。

 俺は長い夢を見ていたようだった…
この会社を辞めたいと言う願望が俺に濃厚な夢を見せ、同時にハゲ頭の愛撫にトロケさせられ、
身動き出来ないようにされてしまったのだっだ。

 俺は翌日から人事部に異動させられ人事部長から個室を与えられ、出勤と同時にスーツスカートに
チョッキ・ブラウスにリボンを付けさせられ、新人特命班の教育と指導にあたっている。

 もちろん、下着も全て女物だが毎朝一回は必ず部長の洗礼を受ける…
パソコンに向かう俺の後から両手が伸び、ブラウスのボタンを外され伸びた両手が俺の胸を。

 そして週一回、定例の部長からの濃厚な愛撫を受け、知らず知らずに目覚めさせられて行く…
俺は月に二度、肛門科へ出向き健診を受けているものの医師は何かを承知しているようだった。

 俺の役名は人事特命指導課・専任指導課長。
ただ、幸か不幸か人事部長の肉棒は硬くなっても俺の親指程度だったことだ。

 同性愛者では無い俺が、同性愛者の中で出世コースに乗っていることだけは間違いない。
この数十年後、俺は本店の頭取まで登りつめたことは言うまでもない。

 郷に入れば郷に従え!

 完了

2019年6月26日水曜日

泥棒Ⅰ

 仕事の疲れから過労気味だった俺は、自分の部屋に帰るなり、あることをしたまま眠ってしまった… そして俺は自分の家で泥棒に犯されてしまった。



◆◆◆◆◆1話






 度重なる残業ので俺はクタクタになって窓も閉め忘れ眠ってしまったらしい。

 風に揺れたカーテンが「バタバタ」と、靡いたとしても俺の耳にはそんな音するも届くことはなく「キィー ガタンッ!」と言う、耳に刺さる音するらも熟睡している俺には届かなかった。

 熟睡しきっていて、怪しい物音さえも届かなかった俺を、アイツは「おい! 起きろ! おいっ!」と、身体を揺すり「殺されたいのか! こらあぁ!」と、抱きかかえた上、目の覚めぬ俺を後ろ手に縛り俺の頬を「バシンッ!」と、叩いた。

 突然の痛みと激しい揺さぶりに驚いた俺が「誰… うん… 誰かいるのか…」と、寝ぼけて回らぬ口で話しかけた瞬間「おい! 起きろよ! ホラホラ… いつまで寝てんだよぉ!」と、頭を鷲掴みにされた挙句「パシパシパシッ」と、頬を何度も平手打ちされた。

 ようやく目の覚めた俺が辺りを窺うと「フッ! ようやく御目覚めかい!」と、誰かが俺の身体を片側から抱き起こしていることに気付いた。

 男のゴツイ手が、俺の脇腹あたりを抱いていることに驚いた俺が、両手を動かそうとした瞬間「ギュッ!」と、激しい痛みが両手首に伝わり「誰だ!」と、思わず大声を上げると「シッ! 大声を出すんじゃねぇよ! 死にたくなきゃーよおぅー!」と、後ろから俺の耳に呟いたた男が「おいおい! 散々梃子摺(てこずる)せてそれはないだろう!」と、俺に語った瞬間俺は「泥棒なのか!」と、震える声で後ろの男に尋ねた。

 すると男は俺に「声の割りにゃぁ、ずいぶんと可愛い格好してんじゃねえかよ~ フフッ♪」と、俺を見て嫌らしい声で話し笑った。

 男の嫌らしい言葉に「ハッ!」と、した俺は女装したまま眠ってしまったことに気が付いて「こ、これは… これは…」と、声を震わせ言い訳しようとしたものの、恐怖と恥ずかしさから言葉が出てこず「これは…」と、言いかけた時、男は「いいってことよ♪ 誰にだってプライバシーはあるんだし性癖のひとつや二つはあるってもんだ~♪」と、俺を抱き起こしている脇腹の手を、ブラウスの上から上下に撫でた。

 恐怖にジッと耐える俺の身体は振るえ「カチカチカチ」と、口を強張らせると「そんなに怖がるなって~♪ 静かにしてたら殺しまではしないからよっ♪」と、俺の脇腹の手をブラウス越しに滑らせ胸の辺りで止めると「おいおい、まさか… お前… 豊胸してんじゃねえだろうなぁ~♪ フフフッ♪」と、男はブラウス越しにブラとスリップの上から、俺の胸を手の平で軽く揉み回し驚いた俺が「俺は… 俺は女じゃないから… 間違えないで… ガチガチガチ…」と、後ろの男に声を震わせた。

 男は俺の忠告に耳を貸す様子もなく「ほほおぅ~♪ やっぱりお前、男のくせに豊胸手術してたのか~♪」と、嫌らしく薄ら笑み声で笑った。

 そんな男に俺は「金ならアソコに財布があるから… 暴力は振るわないでくれ!」と、額から脂汗を滲ませ後ろの男に言うと男は俺に「ほほおぅ~ 物分りがいいじゃねぇか~♪」と、抱き起こしている手を離した瞬間「ドスンッ!」と、俺は後ろ手に縛られたままベットに仰向けになってしまった。

 男は俺の財布を手に持つと「若いのに結構持ってやがるなっ! そうだなー取敢えず全部ってのは気が引けるから2万円だけ貰っておくからよ!」と、目出し帽の内側で目を光らせた。

 目出し帽の男が仰向けになっている俺の方を見て「結構、似合うじゃねぇか~♪ 女の格好がよおぅ~♪」と、俺の乱れたスカートの中を覗き込んだ。

 恐怖の余り全身が「ブルブル」と、震えた俺が「全部やる! 全部やるから早く出て行ってくれ!」と、男の方へ頭を持ち上げると「中々、いい脚してんじゃねぇか♪」と、俺のスカートを軽く捲り上げるとストッキングの上から膝を「スゥゥー」と、撫でてきて一瞬自分の身に何が起きたのか分らずパニックに陥った俺が「殺さないでくれえぇぇーー!」と、大声で喚き出した瞬間「バシッン! バシバシバシーンッ!」と、俺の両頬に激しい痛みが走り「ゴオウラァ! 大きな声出すなって言ってるだろう! 危うくナイフで腹を刺すとこだったじゃねえか!」と、俺の頬を平手打ちしたあと俺の身体の上に乗った男は、俺の顔の両頬を両手で力を入れて押え付けた。

 俺は何が何だが分らなくなって「ぅぅぅぅぅ… ぅぅぅぅ…」と、男に頬を両手で押さえられながら女のように泣き出してしまうと「ふっ♪ 可愛いヤツ♪」と、男は俺の頬から両手を離し薄笑いすると「チュッ♪」と、軽いキスを泣いている俺の頬にし、それに驚いた泣いている俺は「何度も言うけど… 俺は… 俺は男だから… アンタの用は足せないから… ぅぅぅぅ…」と、必死に相手の男に涙を両頬に伝えながら訴えた。

 その瞬間、男は片手を俺のスカートの中に入れストッキング越しに太ももを撫で回し、それに驚いた俺が「ヤダー! ヤメテェー!」と、事もあろうに女装を楽しんでいる時の癖で女の言葉で叫ぶと、男は「おとなしくしろ!!」と、俺の耳元で声を凄ませ「死にたいんだなぁ!」と、俺の耳たぶを噛んだ。

 男は俺の耳たぶを噛んだまま、スカートの中を忙しく嫌らしい手つきで彷徨うと俺の耳たぶから口を離して「おれはなぁ! 男でも女でもどっちでもいい両刀なんだよ! わかるか~! 豊胸して女の格好し男なら一度で二度美味しいわなぁ~♪ ふっ! ふふふふふぅ~♪」と、思いもよらない言葉を俺に吐き捨てた。

 男の言葉に俺は、背筋を凍らせ激しい悪寒に全身を小刻みに震わせると「お前、本当はこうして欲しかったんだんだろおぅ!」と、俺のうなじに「ピチャピチャ」と言う嫌らしい音を立てて舌を這わせた。

 ザラついた男の舌が唾液でヌルヌルと俺のうなじを滑ると「ヤメテェー! 御願いだから許してぇ…」と、女言葉になっていることに気が付かない俺は必死に男に嘆願を繰り返した。

 男の手は俺のスカートのホックを外し「アッ!」と、言う時間もかけずに「スルスルスルーッ!」と、タイとスカートを俺から脱がせると後ろ手に縛られてる俺のブラウスを「ビリッ! ビリビリビリィ!」と、破き引き裂くと俺の耳元で「可愛がってやるからな!」と、俺の耳の中に舌をいれ「チュパチュパチューチュッパ」と、舐めまわししゃぶりついた。

 俺の上に乗りかかった男の硬さが、スリップ越しに俺の陰部に伝わり「グイッ!」と、俺は両肩からスリップとブラジャーの肩紐を無造作に引き下ろされた。

 男のゴツゴツした両手が、俺の乳房を回すように揉みまわし、回しながら乳首を指で弾くと「ぅっ! ぅん!」と、乳首への刺激が俺の全身を仰け反らせ俺に恥ずかしい声を出させた。

 捲り上げられたスリップの風が俺の顔を掠めると、男は泣き叫ぶ俺の口を手で押さえ乳首に舌を絡ませると「チュッ! チュゥー!」と音を出してシャブリ始め、両足をバタつかせ全身を左右に動かして抵抗する俺のパンストを爪で引っ掛けると「ビリビリヒリィ!!」と、激しく破いたかと思うと俺の顔を見て「お前はジッとしてれば死ぬことはねぇ! 泣いてもいいから! 黙って目を閉じてろ!」と、俺のアソコをパンティーの上から手で撫でると「ふっ! 抵抗する割りに! グショグショじゃねえかぁ!」と、俺の濡れたパンティーの上に手を滑らせた。

 俺は男に言われるがまま心の中で「早く終わって!」と、何度も叫びながら、俺は体位を自由に変えられ「ピチャピチャ」と、音を立てて俺の身体を舐め、吸いムシャぶりつく男の性(サガ)に耐えている俺を無視するように男の手は俺のパンティーを剥ぎ取り「ふっ! ビショビショじゅねぇかよぉ! ふふ!」と、剥ぎ取ったパンティーを俺の顔の上にブラ下げると「見てみろ! お前から奪ったグショグショのパンティーをよ!」と、俺は瞼の外に揺れる影を感じた。

 数時間、男に恥辱を受け続けた俺だったものの、男の優しく激しく切ないほどの愛撫にいつしか俺は完全に女のように、全身を悶えさせ仰け反り、乳房を揺らし我が身を蕩けさせてしまっていた。

 今自分がどんな体位をしているのか… させられているのかさえ分らないほどに男の愛撫に溺れていた俺が「痛ーーい! 痛ーーい!!」と、下半身をそして全身を左右に振った時、俺は自分の中に太くて硬い物が入って来たことに気が付いた。

 男の両手は「痛い! 痛ーい!!」と、逃げようとする俺の腰に指を食い込ませ逃がすまいと、男は腰を「パアァーン! パアァーン!」と、激しく打ち続け、やがて打ち付ける感覚が早くなったと思った瞬間、俺の中に熱い液体が勢い良く入ってきたことを認識させた。

 男は俺の中に体液を放出したあとも、余韻を楽しむように「ペッタン! ペッタン!」と、俺の尻肉に自らの肌を打ちつけ「いい味だった!」と、肩で息すると俺から手を離し離れた。

 俺は後ろ手に縛られたまま、頬を下にして尻を突き出し両足を開いた状態だと言うことに初めて気が付たのは、尻の穴から「トロリ~」と、流れ落ちた男の体液が太ももを伝いベットに流れ落ちたからだった。

 男が俺から離れタバコに火を点け煙を吐き出した音が聞こえた後「いい味だった~ はぁはぁはぁ… 処女だったなんて知らんかったが、痛いだろうが風呂入って指を突っ込んでちゃんと洗え! 少し切れてるかも知れんが洗えは痔にはならんからな! それと生で出しちまったが俺はエイズ検査では何ともねえからよ心配すんな!」と、荒い吐息でタバコを吸う男だった。

 そんな男の目の前で後ろ手に縛られ、男の出した体液を尻の穴から滴らせる惨めな俺は「うぅぅぅぅ… ぅぅぅ…」と、声を詰まらせ咽び泣いていた。

 咽び泣く俺を見ながら男は「お前から貰った2万円の内、1万円は破いたパンストとブラウスの代金としてサイフに戻して置くからな! それと暫くはケツの穴も痛いだろうから慰謝料として1万円を財布に戻しておくからな!」と、淡々と言いたいことを言うと「俺に抱かれたい時はここに電話しろ」と、メモ紙を俺の頬に載せ、縛っている縄を解くと玄関から出ていった。

 俺は男が出て行くとベットに顔を押し付け声が枯れるまで泣いた… 将来好きな人が出来た時にと思って膨らみを持たせた胸を、何処の誰とも分らない男に吸われて揉まれ、そしてレイプまでされて… 俺は気が狂うほど泣いて泣いて夜を泣き明かした。

 一晩中、泣いて朝を迎えた俺はフラフラと風呂場へ行くと身体を洗い流し、屈んで大便するようにして肛門を広げると、シャワーを片手に片手の中指を肛門に入れて中を洗浄した。

 激痛が俺の空白の頭の中に電光石火して、酷い痛みを伴ったと思うと中に入れた指に伝わって俺を犯した男の体液が「ヌルヌル」と、俺の手に伝わっては流れていった。

 悔しい! 悔しいという気持ちが込み上げてきて風呂場に咽び泣く俺の声がコダマした……『俺に抱かれたい時はここに電話しろ』と、言い残したあの男の声が忘れられなかった。

 女性ホルモンの投与で縮んだ玉袋とペニスに残る、アイツの舌と唇の感覚を消してしまいたいと何度もボディーシャンプーする俺の心はズタズタだった。

 

 

 
◆◆◆◆◆2話






 あの忌まわしい事件から数日が経過したものの、俺の中ではは「犯された」と、言う言葉が消えず絶えず悔しいと唇を噛み締めた。

 身体中に残った男に吸いつかれた鬱血(うっけつ)の跡は、数日経った今も消えることなく、トイレに行く度に否応なく見ささる太ももの内側に付いた鬱血痕が「アイツ」を、思い出させる。

 疲れてはいたとは言え、よりによって女装姿で寝入ってしまうとは… 幾度も自分を責めたが、仕事から帰った後、女になる生活を始め既に数年間の時(とき)を経過している俺にとって葛藤が吹き荒れる。

「何で窓を閉め忘れたんだ!」と、女になって寝入った自分を責めた後に、今度は窓を開けたことを繰り返しせめてみたものの、何の解決にもならなかった。

 あれ以来、自宅アパートの部屋を出る度、妙に人目が気になり「キョロキョロ」と、視線を辺りに向け閉めるドアは静かに… 静かに…

 二階から階段で降りる時も、下から上がって来る見慣れた住人たちの顔さえもマトモに見ることも出来ず「もしかしたらコイツが…」と、知らずまうちに相手の顔に目出し帽を当てはめて見てしまうが、住人たちは俺が女装子(じょそこ)だと誰も知るはずもないだろう。

 豊胸手術をしたとは言え、普段は晒しを巻いてワイシャツの上の背広は脱ぐこともなく、外ではけして薄着ににることをしない俺の素性を見抜ける者など、いるはずもないだろう。

 大学時代、好きになった彼がゲイバーに通っていると知り、何日もストーカーして彼のことを知るや否や、彼は女装子が好きな人だと知って発作的に決意した豊胸手術も、終わって見れば彼は既に別の女装子と交際していたことに気付いて落胆したあの時。

 もっと早く手術していればと自分を責める日々を過ごしたが、元々乳首は女とまでは行かないが男にしては感じすぎるほどに敏感だった俺は、人知れず自宅にこもっては、女装して自らの胸でオナニーを繰り返した。

 男物の服より女物が圧倒的に多い俺の部屋には、部屋の壁際にある男用の箪笥の他に、押入れの中には女専用の箪笥を隠し持つと言う隠れ女装子の部屋。

 洗濯物もベランダに干すものは男物で、内側には女物と分けてと徹底していたのに、まさか二階の窓から深夜に誰かが入るなんて想定もしていないから、俺の中にスキが生まれのは言うのでもない。

 今更、ああだこうだと考えても仕方のないことだが、俺は今仕事を終えて帰宅し、シャワーで汗を流し大きなバスタオルで胸を隠すように身体を包み窓辺で涼んでいた。

 窓から入る微風が風呂上りの俺の身体から熱を奪い、片手に持った冷えたカンビールが俺を内側から冷やしている。

 窓から見える向こう側の高層マンションと、手前にある少し大きめの森林公園は傷ついた俺の女心を癒し、全身脱毛で「ツルツル」した脚は俺を「ウットリ」した気分にさせてくれた。

 外からの微風が心地よくカーテンを閉めたくは無かったが、アイツのことが一瞬、頭に浮かんだ瞬間「ザアッー」と、アイツに対する嫌悪感が俺にカーテンを閉めさせた。

 手入れされた俺の脚を包み込む、パンティー部の切り替え付きシーム仕様のパンティーストッキングは、部屋の明かりにツヤツヤ感を演出する色はアッシュグレー。

 パンテイーストッキングに圧着されるように肌に馴染んでフィットする、白のビキニタイプのパンティーがグレーのストッキングを引き立てている。

 裾部分がレース編みされている黒のロングスリップが心地良いほどに、俺の肌を「スルスルッ」と、滑るように上から下へと落ちBカップの胸を包み込んだ。

 歩く度にノーブラの乳首にスリップの胸レース部分が、擦れて俺の身体を、一々ビク付かせては全身に刺激を伝える。

 洋服ダンスから取り出した、黒の無地のワンピース「チュニック」を、着こなし、腰にアクセントの薄いパープル紐を回し、夕食の準備のために台所に立つ。

 女になって台所に立つこの一時(ひととき)が一日の疲れを癒し、テーブルの上のワインと鮭のムニエルが俺の空腹を満たしてくれた。

 こんな生活を何年も続ける俺の中には、いつか現れるだろう素敵な彼のために、女として… それ以上に女装子として可愛がられたいと言う期待が常に膨らんでいる。

 後片付けをし終わってベットに入るまでの僅かな時間が、俺にとって至福の時と言えるだろう… 洋服や下着のカタログを眺めながら脚を崩して色んなことを考える。

 理想の彼に出会えたら、最初のデートは何処でファーストキスの場所は何処でと、一人笑みを浮かべて想像しては恥ずかしさに頬を紅く染める。

 閉めたカーテンの内側から手だけ出して窓を閉めると、何度もカギをチェックしてから灯りを落としたが、いつもはここまで厳重にはしないものの、あの一件以来、俺の生活の中にオドオド感が残ってしまった。

 ワンピースを脱いでスリップ姿でベットに入ると「スルスルッ」と、脚に伝わるシーツとストッキングの心地いい摩擦感にストッキングを脱ぐのを忘れていたことに気付く。

 慌てて起き上がってストッキングを脱ごうとスリップを両手で捲り上げた時、ストッキング越しにスリップとの摩擦感が起きて思わず「ァン…」と、無意識に出した女の声。

 両手の中指でストッキング越しに両足の脚の甲から、膝そして太ももへと着くか着かないくらいに指を滑らせる俺は「ァッン… ァン…」と、女の声を出しベットに仰向けに身体を沈めた。

 自分の下半身をストッキング越しに両方の中指を滑らせ、ヨガリ声を出し身悶えを繰り返すとパンティーが濡れていることに気付くものの、両手の指は止められず太ももから尻へと移りやがて、尻に指を滑らせながら別の手でスリップの肩紐を外して乳房を優しく揉んだ。

 パンティーストッキングの中で密着してパンティーは「グショグショ」に濡れ、俺の吐息も次第に荒く変わって行った。

 大学時代に好きだった彼を思い浮かべ「彼の手が私の身体を…」と、想像しながら一人で二役を知らずのうちに演じ可愛らしい小鳥の鳴き声をベットに溶け込ませた。

 彼の手が… 彼の指が… と、想像していた時だった! 突然「可愛がってやるからよぉ! ふっふふふ♪」と、憎いアイツの声に変わり頭の中で必死に憎いアイツを打ち消そうとしたが、必死になればなるほど「いい匂いだなぁ! ふっふふ♪」と、俺を恥辱するアイツが強調されて行った。

 昔好きだった彼に抱かれている想像でのオナニーは、俺を後ろ手に縛ってレイプした憎いアイツが俺の頭の中を占領した。

 必死で打ち消そうとしたアイツの記憶が鮮明に現れた時、既に俺のオナニーはアイツに恥辱され続けた、忌まわしい記憶の中のオナニーへと押し流されて行った。

 アイツの嫌らしい手が指が俺の肌の上を荒々しく滑り、俺を辱めながら笑い様々な体位をさせては「ピチャピチュチュウチュウ」と、嫌らしい音を出して俺を恥辱していった。

 俺は憎いアイツに犯された時のことを思い出しながら、自らの手で履いているパンティーストッキングを引き裂き、パンティーを荒々しく剥ぎ取った。

 蘇る記憶に吸い込まれるように、悔しさに涙が溢れシーツを涙で濡らし、我が身を嫌らしく触る両手はいつしか憎いアイツの手になり、俺の両手は後ろに縛られたような錯覚に陥った。

 尻を突き出さされてアイツが俺に入って来たときの、俺の「痛い! 痛い! 痛ーーい!」と言う切ない女の声が脳裏を駆け巡ると、俺は自分の意思に反して四つん這いになり、両脚を開き尻を突き出していた。

 後ろに縛られている両手の感覚は幻覚なのだろうが、実際の俺の両手は尻の肉を左右に持ち穴を痛いくらいに広げ「痛い! 痛い! 痛い!」と、小声で顔の頬をベットに押し付けている自分には気付いてはいない。

 やがて俺の中に硬い物が「グリグリ」と、入ってくると、萎縮し小さくなりながらも硬くなったペニスは前後に「シュッシュッ」と、扱かれた。

 自分の指を尻の穴に無理やり挿入し、更に自分の手でペニスを扱いていることにも俺は気付いてはいなかったが、俺は憎いアイツに犯されている惨めな自分を、オナニーの中で再現していることに全く気付いてはいなかった。

 アイツに犯され泣き声を出す自分と、俺の後ろで身動きできない俺を犯すアイツが確かにここに存在していたし、イッた後、荒い吐息をしてベットに両手を後ろにした常態で、真横になって泣いている自分がそこにいた。

「もう一度… もう一度アイツに犯されて見たい… 一度だけでいいからアイツに恥辱されて見たい…」と、言う想いが俺の中に現れた時だった。

 俺はアイツから貰った携帯電話のメモに見入っていた……

 




◆◆◆◆◆3話






「お願い… 来て! お願い…」

 夜の10時、玄関の鍵を開け念のために窓も開けた…

 何故、こんなことしてるのか分らない… 風呂に入って身体の手入れをして隅々まで綺麗に洗い、肌を引き締めるように冷水に身体を浸した。

 黒いレースのストッキングに脚を通し黒いガーターベルトでレースを留め、ガーターの紐の上から黒いレースのショーツを着けた… 黒い2段掛けのブラで胸を固定し、黒いロングのネグリジェに肌を包みベットの中に身を沈めた。

 黒で統一された俺の身体は白いシーツの上に浮き上がって見えるだろうか… 胸の奥で「ドキドキ」と、激しい鼓動が内側から俺の耳に伝えられる。

 消された灯りの下で訪問者を待つ俺は「何故こんなこと…」と、言う自分と「抱かれたい…」と言う込み上げて来る激しい性(サガ)に葛藤を繰り返していた。

 時計の針は11時を差し、更に12時を過ぎたころ俺は「来るはずないか…」と、半ば諦めかけていると「コトッ! コトコトコトッ!」と、何処からか物音がして「サアァーッ!」と、窓辺のカーテンが流れた。

 黒い影はカーテンを開けて中に入ると、ベットに身を沈める俺の傍へ来て「無用心だぞ! 玄関の鍵は閉めとかなきゃな!」と、言うと玄関へ移動し内側から鍵をかけ足音を立てずに俺のいるところへ戻って来た。

 そして影はベットに身を沈める俺の横へ来ると「色っぽいな… 黒づくめか… 俺と同じだな… フッ!」と、小さく笑うとネグリジェ越しに右肩から斜めに「スゥッ」と、胸から逆の脇腹、そして下腹部から太ももへと指を滑らせ「うぅ…」と、反応する俺を見て「可愛い女(ヤツ)」と、呟くと白い歯を見せた目出し帽。

 影は俺の頭を軽く撫でると突然「いいかぁ! 俺は彼女のとこへ夜這いに来た訳じゃねえんだ! 勘違いすんな!」と、目を瞑る俺の頭を鷲掴みにすると大声で俺に怒鳴り「キャッー!」と、掴まれた頭を両手で支え「大きな声出さないでー! 聞こえちゃう!」と、影を怒鳴り返すと影は「心配すんな! 下も隣も今夜は留守だ! タップリ犯してやる!」と、強い口調で俺の頭をベットへ投げつけた。

 ベットの反動で俺の全身はバウンドしセットした髪は振り乱れ「グッタリ」する俺に影が「何処の世界にこんな格好で寝る女がいるんだ! シラケちまったぜ! まったく!」と、真横で目を瞑る俺に言葉を吐き捨てると、突然「ホラよ!」と、俺の頭を掴んで徐半身を起こすと、両手を後ろ手に縛り上げ「さてさてどうやって料理するかな!」と、俺の後ろに座り両側からネグリジェ越しにブラの上に手をかけた。

 肩からネグリジェを「ビリ… ビリ… ビリ…」と、まるで俺に音を聞かせるように、ゆっくりと引き裂き「ちょ! ヤメテー! 安くないのよ…」と、俺は無意識に後ろの影に声を上げると「ほほぅ♪ これからレイプされるってぇ女が、ネグリジェの心配か!」と、俺の耳元に口をつけると小さな声で囁き「生意気言うんじゃねえぇー!」と、ネグリジェをビリビリと激しい音を立てて引き裂いた。

 突然だった、俺の後ろから離れた思った瞬間「望み通りメチャメチャにしてやるよおー!」と、俺をベットに押し付けブラの肩紐を「グイッ!」と、左右同時に引き下ろすと、激しい手付きで両胸を揉み回すと「チュゥゥ」と、影が俺の乳首に吸い付いて来た瞬間「違う! この人じゃない! あの男じゃない!」と、激しい衝撃が俺を襲った。

 影は嫌らしい手付きで俺の身体を、所狭しと忙しく撫で回し痛い程に胸にムシャぶりついて「はぁはぁはぁはぁ」と、荒く吐息を俺の耳に伝えた。

 レースのショーツは、ぎこちない手付きで剥ぎ取られ、爪を引っ掛けたのかストッキングが伝線する音を俺に伝え「チュゥチュゥ」と、乳房が吸われる音に重なった。

 影は身動き出来ない俺の身体を、何度もザラザラした舌で舐め吸い回すと「いい匂いしてやがる!」と、両脚を大きく広げると俺の竿に貪りついて「チュゥゥ!」と、先っぽに舌を絡めながら口を上下させ「凄げぇな! ドンドン湧き出てくるぜ! 嫌らしい汁がよお!」と、下から俺に吐き捨てると、再び貪りついて俺に身悶えと恥ずかしいヨガリ声を上げさせた。

 影は最初にここに来た男とは完全に違っていることに気付いたものの、俺は影からの激しい愛撫に全身から力が抜け、身を任せるしかなかった。

 竿を吸われ玉を舐められ交互に攻められる俺は、全身を仰け反らせ首を左右に振り後ろ手に縛られた両手で拳を握っていた。

 影の舌先が肛門に入った瞬間、俺は「アァァァーン!」と、無意識に持ち上げられた尻を左右に小刻みに振りその揺れは両乳房をも揺らした。

 ベットのヘッドへと上半身を起こされ引き摺られ背中を凭れさせられると、閉じた瞼の外が急に暗くなり「しゃぶれ!」と、影が荒々しく俺に伝えると、俺の頭は鷲掴みにされ顔を上に上げられた。

 俺の顔を上に上げた影は俺に「さぁ! しゃぶれ! さあ!」と、荒い吐息の中から声を荒げ俺の口を開かせようとした瞬間、目を開いた俺の目の前に太く撓る影の肉棒が見え「イヤッ! イヤァ!」と、首を左右に振ると影は「女だろう! 女ならシャブれるはず! さぁ! シャブレ!」と、影が陰毛の中から聳える肉棒を俺の顔に近づけると俺は必死に口を閉じて抵抗した。

 影は俺の抵抗に業を煮やしたのか、遂に俺の鼻を片手で閉じると「ふっ! これでどうだ! 息が苦しいだろ! ゴオウゥラァー!」と、俺を怒鳴り苦しさに耐えられず遂に俺は口を開いて息をした瞬間! 生臭く熱を帯びた肉棒が俺の口の中に入ると影は「噛むんじゃぁーねえぞー! 噛んだら分るだろう! オマエなら!」と、生臭さと男の愛液に塗れた肉棒は俺の口の中に押し込められ「オエッ! ウゲエェ! ウェッ!」と、何度も嘔吐を繰り返す俺に影が「女なら舌を絡めて俺の汁を飲むんだよ~!」と、俺の頭を鷲掴みにして前後させた。

 生臭くヌルヌルした男の愛液が俺の舌に絡みつき「もう… もう許してぇー! お願いだから… お願いだからぁー!」と、大粒の涙を零し影に哀願を繰り返すと「ダメだ! 許さねぇー! さぁー! シャブレ!」と、口の中で上下左右へと肉棒を押し込み滑らせた。

 ドクドクと口の中に滴る男の愛液が喉に流れ込み、熱い肉棒が俺の口の中で脈打つと「さぁ! 口を窄めろ! さもねえと!」と、俺の玉を足でベットに踏みつけた「痛ーーーい! 痛ーーい!」と、抑えられている頭を左右に振って叫ぶと「口を窄めろ!」と、影は低い声で俺に命令し俺は痛さから「コクッ」と、頷いて口を窄めた瞬間「シュッシュッシュッ」と、影は俺の窄めた口に腰を前後させた。

 窄めた唇に「ヌルヌル」と、男の愛液が潤滑剤のように滑り数分後、俺は生まれて初めて男の精液を口の中に溢れさせ「ゲホッゲホッゲホゲホゲホ」と、俺を激しく咽させ苦しませる精液は生臭さを、鼻から口から外へと飛び散った。

 影は出し切ってない精液を縮みかけた肉棒を絞るように、俺の頬や額に擦りつけると「女なら男の体液ぐらいで大騒ぎすんな!」と、俺を叱り付け目を開いたまま呆然とする俺の両脚を引き摺って、ベットに仰向けにすると再び俺の身体を舐めまわしていた。

 俺は余りのショックから何も考えられず目を見開いたまま顔を横にし、鼻や口から男の精液を垂れ流していた。

 影はそんな俺に構い無しに身体を横に、そして、うつ伏せにと体位を勝手に変えては俺の身体を味わい、後ろ手に縛った俺の尻を突き出させ両脚を開かせた瞬間「ズブズブズブリュゥゥー」と、硬く太い物が俺の中に容赦なく入って来て、俺に「痛ーーーーい!! 痛ーーーーーい!!」と、絶叫させた。

 俺を「痛ーーーーーーーーい!!」と、絶叫させた影の物は最初の男のものとは比べ物にならないほど大きく、全身に痙攣を起こさせるほどの激痛が走った。

 どんなに叫ぼうと、どんなに「許してーーー! 痛ーーーーーい!!」と、叫ぼうと影は前後の動きを止めることなく俺を犯し続けた。

 激しい激痛に耐えながら「早く終わって! 早く終わって!」と、俺は声にならない声で号泣しながら叫んでいた。

 どれほどの時間が経ったのかわからないが影の「イクウゥゥゥー!」と言う叫び声だけが俺に伝わった。

 尻を突き出したままで真横に倒れた俺の横で影が「いい味だったぜ~!」と、呟くと何かを結ぶ音がして「ベチャッ!」と、ベットでグッタリする俺の顔の傍に、結ばれたコンドームが投げ捨てられ「土産に置いていくからな!」と、影は冷たい言葉を俺に吐き捨てた。

 ゴソゴソと俺の後ろで服を着る音がして「これは少ないが穴の治療費と破れた下着の弁償だからな!」と、言うとコンドームの横に1万円札をパラパラと落とし「そこの角曲がって突き当たりを進めば肛門科の病院あるからよ! そこはカマだのゲイだのの専門みてぇな場所だからそこへ行け…」と、言うと影は、俺を自由にして窓の外へと消えた。

 影が消えた瞬間、俺は風呂場へとズタズタま下着のまま猛走(もうそう)し、熱い湯を全身に浴び何杯もの水を飲んでは「ゲエェー! ゲエェー!」と、吐き出した。

 目から涙を零し、鼻から口から生臭い精液が水に溶けて流れるものの、口の中に指を突っ込んでは吐き出し、吐き出しては水を飲んで繰り返した。

 俺は惨めな思いでこの世から逃げ出したい気持ちで一杯だった… アイツに抱かれたいなんて思った自分が情けなく激しい怒りが込み上げては「恥ずかしい… 恥ずかしいよおぅー!!」と、風呂場に崩れ叫んでいた。

 洗い流したい… 全てを洗い流したい… 降り注ぐシャワーは崩れて泣き叫ぶ俺の声を掻き消してくれていた。

 

 
 

◆◆◆◆◆4話





 肛門がヒリヒリと痛んで普通に歩くことも困難な勤め先の昼下がり、時計の針は3時をまわり終業まで残り2時間、トイレは極力我慢に我慢を重ねたが俺はもう限界を迎えていた。

 ケツの中に何かが入っているような異物感が止まらず、歩き方も内股で不自然な形になり、ツイツイ周囲の目を気にするものの俺は意をけっして席を立った。

 部署を出るまでは幸いにして誰にも会うことなく出たものの、トイレのドアの前で数人が立ち話をしている…「マズイ同僚がいる!」と、心の中で思いながらも直立の姿勢でドアノブに手を伸ばそうとした瞬間「よおぅ! ○○じゃないかー♪」と、突然俺は背中を「バシッ!」と、叩かれ「ハフッ!」と、妙な声を出して直立の姿勢が乱れ、腰砕け状態でドアノブに掴みかかった。

 そんな俺を見て「おい! 大丈夫か?」と、心配する同僚の手前「ふんっ!!」と、腹に力を入れて「ああ! すまんすまん! 考え事してたもんだから♪」と、直ぐに身体を立て直して笑みを浮かべた俺はトイレへと入った。

 トイレは混んでいて並ぶにも立っているのも辛い俺は「キョロキョロ」と、中を見回すと丁度大きい方から出てきた人の後に雪崩れ込むように入った。

 幸い混んでいて使ったのだろう、便臭もなく一安心して用を足そうとチャックを開けて先っぽを出し「ふん!!」と、全神経を先っぽに集中させて力んだ瞬間「ニョロ…」と、先っぽではなく後ろの方から妙な感覚が脳裏に伝わった。

 もう一度「ふん!!」と、力むと今度は「ニュル」と、妙な感覚が伝わり、俺は「なんだ!?」と、ばかりにズボンを下ろして和式トイレに大便スタイル「もしかしたら…」と、トイレットペーパーで拭き取ってみると、ペーパーは真っ赤に血で染まっていた。

 大便スタイルで「チョロチョロ」と、小便を出すと同時に尻の穴から「ポタンッポタンッ」と、赤い血が便器を染め俺を震撼させた。

 しかも小便が終わる頃には尻の穴は「ズキズキ」と、軽く疼き(うずき)始め、俺は仕方なくトイレットペーパーを丸めて尻の割れ目に挟み込んで再び部署へ戻り終業時間を待った。

 地下鉄とバスを乗り継いでようやく自宅付近に来た時「確か、この辺りに肛門科の病院があると言ってたが…」と、辺りを見回しながら探し歩くと、真新しい民家に挟まれて立ち木で覆われた草ぼうぼうの診療所を見つけた。

 診療所の前には大きなサクラの木が数本植えられていて、目を凝らさないと中に何があるのか分らないほどに草木に包まれていたが、サクラの枝に吊るされた腐りかかった看板がぶら下がっていた。

 ○○診療所と書かれた朽ち果てた看板には「肛門診療受け付けます」と、小さな字で書かれているものの、本当に営業しているのか疑問に思えるほど建物も朽ち果てていた。

 サクラの陰から「チラチラ」と、覗き込むように中の様子を窺っていると「ガラガラガラー」と、中の方から引き戸の開く音がして「それじゃぁ♪ 先生♪ ありがとう♪」と、男とも女とも着かない声が聞こえ、俺は慌ててその場から離れ自販機の前に立った。

 すると中から出てきたのは化け物のような厚化粧した40代のオカマで、タンクトップにデニムのミニスカート姿の筋肉質の男だった。

 こっちに向かって来たオカマに気付かれまいと、慌てて自販機にコインを入れタバコを買うと「あらぁ~ アナタも早く行かないと閉まっちゃうわよ~♪」と、俺の尻を「ポンッ!」と叩いた瞬間「痛てぇー!」と、俺は飛び上がってしまった。

 俺が肛門を病んでいることを、オカマは知っていたようで「立ちかたが変よぉ~ バレバレだもん♪」と、俺に言い捨てると腰をフリフリして行ってしまった。

「はいよぉー♪ じゃぁーそこに下だけ脱いで腰かけてぇー」と、俺は医者に言われた通り、背凭れの着いた座る場所に穴の開いた椅子に腰かけると、医者は手動でハンドルを「クルクル」と、回して俺を身体を頭方向へと下げて「ほぉ、女性ホルモンの投与してるんだねぇ」と、俺に一言いってから診察を始めたがその瞬間俺は「アレッ! この声は…」と、咄嗟に聞き覚えのある声に眉間にシワを寄せた。

 医者は冷たい消毒剤付きのガーゼで拭いたあと、何かの器具で肛門を開き内視鏡のようなもので覗き込むと「たいしたことないな、全治一週間てとこだろう」と、言うと「塗り薬出しておくから…」と、俺に声をかけ、俺が医者に「どうして何も聞かないんですか?」と、尋ねると医者は俺に「人それぞれに生き方が違うからねぇ、敢えて聞く必要はないだろう…」と、俺の肛門に何が入ったのか見通しているようだった。

 診察が終わって受付に行くと「すいません… 今回は御薬だけなので現金でいいですか?」と、40代後半の太った女性が俺に保険証を返すと「1000円です」と、ニコっとして見せた。

 俺は1000円を払い終わり診療所を出ようとすると「裏口もありますから宜しければどうぞぉ~♪」と、帰りかけた俺に受付の女性が逆方向に手を向けた。

 軽く頭を下げた俺は入り口から靴を持って来て、逆の裏口から外へでたが、思い出そうとしていた… あの医者の声、何処かで聞いたことがあるにの何処で聞いたのか思い出せなかった。

 自宅アパートの自室に戻った俺は、普段は余り使うことのない生理用ナプキンを、パンティーの少し後ろ側に着けて女へと変身した。

 生活の半分を女として生活している俺は、男の服よりも女の服の方がリラックス出きるようになっているから、帰宅したら女へと変身することで窮屈な男の生活から開放されている。

 塗り薬が効いているのか既にズキズキ感も薄まり、俺は昨日の影がズタズタにした下着類を挟みで切り刻み、素性が分らないようにしてゴミ袋に放り込んだ。

 お気に入りのネグリジェだったのにと、唇を噛んだものの昨日の影の我が身に対する非道に腹立ちが込み上げて来る。

 散々玩具にした挙句に自分イッて俺はと言えば、ただ痛い思いをして下着も靴下もボロボロにされてその上、精液まで飲まされて…「ちきしょー!!」 と、俺は床を両手で叩いた。

『俺に抱かれたくなったら連絡しな!』と、置いてった携帯のメモも、結局来たのは別人で「あんな酷い目に俺を遭わせやがって!」と、考えれば考えるほど俺の肩は震えたが、実際のところ呼んだのは俺だしと悔しさのホコ先すら見つからなかった。

「なにがー! 抱かれたくなったら連絡しなだぁぁー!!」と、何度も床を両手で叩きながらも、捨てるに捨てられない最初の男からの連絡先。

 尻の穴の痛みもなくなった数日後のある日の夜、少しムシムシしていて暑さに負けた俺は、ミニスカートを捲くり上げるとパンティーストッキングのゴムを両手で抓み「スルスル」と、脱いだ瞬間「アレ… なんだろう…」と、パンティーの下の玉に妙な違和感を覚えた。

 脱いだストッキングを丸めて椅子の背凭れにかけ、パンティーを脱いでみると「わあぁ!! なにこれ!」と、自らの玉を覗き込んだ。

 確かにホルモン剤の投与で萎縮はしていたが、ペニスは手の親指の第一関節まで縮まった上、玉袋が極端に小さくなってピンポン玉の半分にも満たなかった。

 俺は思わず「そんな馬鹿な! 萎縮は止まったはずなのに!」と、体育座りして両脚を広げ股間を覗き込んでいた。

 慌てた俺はベットにそのままの状態で身を沈めると、右手の親指に唾液を付けて「ニュルニュル」と、亀頭の先を回しながら左手で下からブラをズリ上げて乳首を「コロコロ」と、指先で摘むと次第にペニスは勃起をした。

 起き上がった俺は勃起した自分のペニスを覗き込むと「凄げえぇ!」と、我が目を疑った! 勃起した俺のペニスの長さは5センチもなく、亀頭は2センチ弱で竿の太さは1.5センチあるかと言う程に縮んでいたのを見るや否や「ヤッタアァー♪」と、ガッツポーズを取って「これで履ける! 念願のフリルのスキャンティーが履けるよぉー♪」と、心躍らせその後はベットを静かに揺らせた。

 思えば、ステキな誰かと出合った時にあげようと思っていた処女は喪失してしまったが、スキャンティーの履ける今の俺の心境は処女以上に価値を見出してやまなかった。

 俺はルンルン気分で翌日、PCから可愛いフリルのスキャンティーをショップに発注し届く火を指折り数えて待っていた。

 肛門は完全に治り仕事にも支障もなく、全てが以前同様にスムーズに進行しあの携帯番号も何かに紛れたのか何処かへ消えてしまったらしかった。

 更に数日後、家に届いた箱を「ワクワク♪」して開けると、中から次々に出てくる憧れのフリルのスキャンティーに胸を時めかせた。

 さっそく身に着けたスキャンティーは、パンティーよりも薄くそしてシナヤかで、ちょっぴり小さくその分をフリルが幾重にもバラの花のように折り重なり愛らしさを保っていた。

 ファンシーなスキャンティーに合わせて買った、フリルいっぱいのキャミは女の子らしさを俺に伝え鏡に映った我が身(かおした)にウットリしてしまった。

 この日の夜、俺はファンシィーな気分に浸りきっていた……






◆◆◆◆◆5話






 
 一週間の仕事を終え明日から休みと言う金曜日の午後9時、いつものように帰宅して女に変身して時間を過ごしていると「コンコン… コンコン…」と、窓を何かが叩く音がして、忘れ掛けていた二人を思い出し慌てて窓辺へと近づいた。

 カーテンに身体を隠すようにそっと窓を開けると「バシッ! バシッ!」と、開けた窓側の壁を叩く何かに一瞬、驚いて身を引くと、釣竿の先っぽが壁を叩いていることに気付き下を見れば、黒装束の何者かが見えた。

 しきりに壁を叩く釣竿の先っぽには、白いメモらしいものが付いていて、それを受け取れと言わんばかりだった。

 俺がそっと手を伸ばして竿先に付いているメモを取ると、下に居た黒装束は「サッ!」と、暗闇に紛れてしまった。

 白いメモを握りとめ窓を閉めると、ソファーに腰掛け足組してメモを見ると「抱いてやろうか? ご無沙汰だろ? 可愛がってやるぜ! そろそろ欲しいんだろう」と、書かれた内容に「バカにしてる! なにさっ!」と、俺の怒りはメモを破り捨てた。

 デニムのショートパンツにフリルが可愛いキャミソール姿の俺は、破ったメモを細切れにして屑篭に「パラパラ」と、投げ入れた。

 元はと言えば、盛りの付いたメス猫のように抑えることが出来ずに連絡を取った俺の所為だが、まさかあんな酷い目に遭うなんて予想だにしてなかったし、肛門科へ足を運ぶことになったのもアイツの所為に間違いない。

 好きでもない、何処の誰とも分らない男の精液を口の中に出され「女なら飲めるだろう!」と、怒鳴られた挙句あんな大きい物いれられて、どんだけ痛かったことか…「もう! うんざりなのよ! 放っといて欲しい!」と、悔しさにソファーの角を叩いた。

 時計の針は10時を回り、疲れてもいた俺は「少し早いかな…」と、独り言をいいながら冷蔵庫からカンビールを取り出し「ゴクゴク」と、一気飲みすると部屋の明かりを落とした。

 薄暗い部屋の中、ショーパンとキャミを脱ぐとフリルのスキャンティーだけになってベットに身を沈め、仰向けで目を閉じるものの『抱いてやろうか? ご無沙汰だろ? 可愛がってやるぜ! そろそろ欲しいんだろう』の書かれた文字がチラついて寝付けない。

 瞼に浮かぶ文字をかき消すように寝返りを打つと、乳房が否応無く下の方へ「プルンッ」と、流れ丁度いいところに収まらず、再び逆の方に向くとこれまた同じでシックリと来ず「やっぱ、寝るの早いかな…」と、上半身だけ起き上がると流れるように両胸はヘソ方向に「プルンッ」と落ち「何でこんなに胸が気になるんだろう…」と、右手で左乳房を軽く揉むと「ふわぁ~」と、今までに無い心地いい刺激が脳裏に伝わって「ぇ… どうして?」と、更に揉みながら今度は両胸を揉んで見た。

 余りの心地よさに俺は身体の力が抜け、そのままベットに倒れこんでしまい両手をクロスさせて、両胸を揉みながら両方の乳首に両指を絡めた瞬間!「ァァァーン♪」と、無意識に発した自分の恥ずかしい声に驚いて目を見開いてしまった。

 両乳房から脳裏に伝わる激しいまでの心地よさと、稲妻のように「ビンッビンッ」と、全身に走る快感はいつしかフリルのスキャンティーを濡らし俺に身悶えをさせていた。

 自分でも恥ずかしくなるほどに感じていて、止めようとするヨガリ声さえも止められず身体を真横にして顔を枕に沈めた。

 全身が熱くなり毛布を肌蹴(はだけ)乳首に絡めた中指を、肌に滑らせるように下半身へと移動させると「スルスルッ」と、スキャンティーを後ろから脱がせ硬くなった小さなペニスに手の平を当てれば「ヌルッ」と、した愛液で優しく上へ下へと滑らせた。

 俺の中から溢れる愛液は撫でる手の指と指の間に、滲みこんでペニスのみならず擦れる指からも「ほんのり」と、心地よさが脳裏に伝えられた。

 枕に顔を沈め片手でペニスを、そして片手で乳首をと刺激は増す一方で体位も知らずのうちに、両脚を開いて尻を突き出している状態に気付いてはいない俺だった。

 やがてペニスからヌメル手の平は離れ、更に玉へ玉から肛門へと移ったことさえも分らずに中指を「クイッ」と、動かした瞬間!「ァァァァーーーーン!」と、枕の中に一際大きくヨガリ声を発し、ようやく自分の指が何処を弄っているのかが分った。

 中指で肛門の周りをペニスから溢れた愛液で、回すように優しく丁寧に滑らせると「ビクビクビクゥッン!」と、全身に痙攣が走り尻を左右に振動させ気付いた頃には俺の中指は肛門の中へと入っていた。

 前後を優しく繰り返すと肛門の内側が少しずつ熱くなって、指を「クネクネ」と、軽くクネらせると頭の中は真っ白に、そして立ち眩みしたように瞼の中は真っ暗になって俺をイカせてしまった。

 ベットに放たれた俺の精液は、瓶ビールの王冠ほどの量と少なく、女になりつつある身体の変化を月明かりに照らせれて俺に見せつけていた。

 シャワーに身を包み満足げな表情で戻ってくると、下着をビキニショーツに替え体液で汚れたシーツをベットから剥ぎ取り腰を下ろすと「性転換したいな…」と、一瞬口にした自分の言葉に驚いた。

 今まで一度も考えたことのない性転換と言う、自分で放った言葉が脳裏に浮かんだ瞬間「性転換なら肛門だって使わないから痛くないし、将来好きな人が出来ても自然に結ばれるかも知れない… 今のままじゃゲイかオカマでしかない…」と、突然不安が俺を襲った。

 男として、女として両方で生きて行きたいと思っていた俺に、転機が訪れた気がした。

 翌朝、いつものように目覚めた俺はショーパンとキャミに身を包み朝食の準備をしていると「ガサガサガタンッ」と、玄関の郵便受けが音を立て「チラシかな」と、思いながら玄関へ行き中の物を取り出すと「俺は前のヤツみたいな手荒なことはしないよ、女は大切扱うが俺のモットーだから連絡を待つ」と、サインペンで書かれた大きな文字が目に入った。

「まただ… 昨日の釣竿の男に違いない!」と、俺は軽く拳を握り締め「捕まえてやる!」と、書かれた携帯番号に見入った。


【その日の夜】


 時計の針は午後9時を回り肌の手入れも終わった頃、ベットの下に相手に見えないように野球のバットを忍ばせ相手に「会いたいの… 来て…」と、携帯に連絡して直ぐに電話を切ると窓の鍵を外しカーテンを掛けて待った。

 捕まえてやると決心しての準備はしたものの、いざ実行となると「もし相手が大男だったら… 勝ち目はないし… また酷い目に遭わせられるんじゃ…」と、不安材料が俺の脳裏を掠め「そうだ!」と、箪笥から護身用の催涙スプレーを出して枕の下に隠して一安心する俺だった。

 時計の針は10時を回り、俺は部屋の明かりを落としそのままの格好でベットに潜んで、窓が開くのをジッと待つこと30分「カタッ… コトコトコト… カラカラカラ~」と、静かに窓が開いてカーテンが風に少し流れると「子猫ちゃぁ~ん♪ 来たよおぅ~♪」と、囁いて部屋に入って来た。

 男は俺の潜むベットへ静かに向かって来ると「今夜はタップリと可愛がって上げるからねぇ~♪ 子猫ちゃ~ん♪」と、今までに無いタイプの男に戸惑う俺。

 ジッとして動かない俺の足元の毛布を「スッ」と、捲り上げると突然「ヌルッ」と、した感触が俺の足の指に感じ「ぁん…」と、一瞬、ヨガリ声を無意識に発した俺は、足の指と指の間に滑る男の舌に「ぁぁん!」と、更にヨガリ声を発した。

 男の舌は俺の足の指を入念に舐めシャブリつくように、一本ずつ丁寧に所狭しとまるで味わうように、足の裏や甲、そして足首にまで30分以上も愛撫し続けた。

 俺はと言えば今までにされたことが無かったせいか、たかが足とバカにしていたものの男の舌業(したわざ)は、俺のペニスや乳首にも匹敵するほどに俺を蕩けさせた。

「マズイ! このままじゃ!」と、危機感を感じながらも俺の正常な思考回路は、次第に男の舌業に麻痺させられて行った。

 男の舌が膝へ来ることには1時間を超え、俺は既にショーツをグショグショに濡らしてしまっていて、身体を上下左右に揺らせながら悶えていた。

 足先から膝にしつこいほどに纏わりつく男の両手と、肌に溶け込むように滑る舌先に俺は「もう… もう好きにしてよー!」と、心の中で叫んでいた。

 千手観音のように物凄い数の手に触れられ、何百人もの男に一度に舐めまわされている錯覚に陥ったまま、俺は仰け反って男の愛撫に反応を繰り返すと「子猫ちゃ~ん♪ 喉が渇いたから水貰うからねぇ~♪」と、男の愛撫が止まり台所で水の流れる音が聞こえた瞬間、俺は意識を取り戻し枕の下から催涙スプレーを隠し持った。

 男が水を飲んで向かってくると「さぁ~ また始めようねぇ~♪ 可愛い子猫ちゃ~ん♪」と、毛布の中の俺に声かけた瞬間、俺は起き上がって目の前に居る男の顔目掛けて「シュウゥゥゥー!!」と、スプレーを噴霧させた。

「ぎゃあぁぁー!! ゴロゴロゴロン! ドスンッ! うわあぁー! 目が! 目があぁー!」と、男は大声上げて床に埋まって叫び声を上げた瞬間、俺はベットから出て「パチッ!」と、部屋に明かりを灯し方手にバットを持っていた。

 男は部屋に明かりが灯されたことすら知らないのか、両手で目を覆って叫んでいた。

 
 

 

◆◆◆◆◆6話






 床に崩れ両手で目を覆う、黒の上下に目出し帽を着けた男に「防犯スプレーだからしばらく見えないからね! 警察呼んであげるよ!」と、腕組して埋まる男の前に立った俺は「さぁ! 顔を見せてもらうからね!」と、男の頭に手をかけた! その瞬間!「ブゥ~ン パチパチパチッ! スゥーッ」と、灯りが消えたと思うと突然玄関の鍵を外から開ける音がして「ドタドタドタドタッ!」と、誰かの足音がしたと思った瞬間「ドスッ!」と、腹に強い衝撃が走り俺は「ウッ! ウゥゥゥ!」と、その場で倒れてしまった。

 次に俺が目覚めた時、とんでもないことになっていることに気がついた… 上半身は裸にされ下半身はパンティーが一枚だけ、しかもベットの上で左手は左足首に右手は右足首にと縄で縛られ、完全に身動きのとれない状況に陥っていた。

 首を枕から持ち上げ辺りを見入ると、ベットの真上の電気スタンドは俺の恥ずかしい格好を真上から照らし、足元に見えた動く影がベットに両手を着いて「フザケた真似しやがって!」と、低い声で俺を威嚇し俺のパンティーに指を引っ掛け「今夜のオマエは最低の女だ!」と、男は目出し帽の顔を俺に近づけ「何でこんなことするのよ! 俺はこんなこと望んでないのに!」と、目の前の男を怒鳴ると男は「望んでないだと! フッ! オマエのオナニー知ってるぜ! オマエ、自分でストッキングをビリビリに引き裂き、服をズタズタにして全身揺らしてしてるよなぁ~!」と、俺の胸に手をかけた男に「そんなことしてない! 第一アンタに関係ないだろう!」と、俺が言い返すと「オマエ誰かにレイプされてる想像してオナニーしてんだろう~♪」と、男は声を嫌らしく震わせた。

 そんな男に俺は「何処でどうやって覗いたか知らないけど… アンタにとやかく言われる筋合いないだろう!」と、俺が悔しさと恥ずかしさから涙を滲ませると「可愛いヤツ… 食べてとまいたい~♪」と、流れる俺の涙を指でふき取った男に「早く自由にして! こんな格好… ウゥゥゥ…」と、俺は半泣きで男に訴えると「ダメだ! オマエには少し反省してもらうために… お仕置きしなきゃならん!」と、言って俺に真っ赤な大きい蝋燭(ろうそく)を顔の前で見せ付けた。

 男は俺の顔の前に出した蝋燭をユラユラと揺らし「コイツはなぁ~ 90度くらいの温度でオマエの柔肌にポタポタと落ちるんだよ~♪」と、男は俺に蝋燭を見せてニヤニヤして笑い俺が男に「ヤメテ! そんなことされたら俺… ヤメテよおぅ… ヤメテ!」と、顔を顰めると「さてさて、オマエの鳴き声を聞きたくなったな♪ どんな小鳥の声を聞かせてくれんのかな…」と、火の付いてない蝋燭で俺の胸や太ももを滑らせた。

 涙を零してやめるに言っても俺の声は男には届かず、男は急に無言になると赤く大きな蝋燭にライターで火を点け「キレイだろう~♪ この蝋燭が溶けてオマエの肌に… クックククク♪ オマエの泣き叫ぶ顔が浮かぶぜ♪」と、俺の目を見詰めると一旦俺から離れベットから降りて俺の真横に立った瞬間!「ギャアァァー!!」と、凄まじい声で叫んだ俺は太ももに滴る蝋燭の熱さを感じた。

 熱さで手足に力が入り縛っている縄が手首や足首に食い込むと「ポタッ… ギヤアァァー! 止めろー! 止めてくれー! 熱い!」と、俺は動けぬ全身を前後左右に揺すって叫んだ。

 男は熱いと叫ぶ俺を見て肩を笑わせ「どうだー♪ 気持ちいいだろう♪ たまらんな~ オマエの叫び… クックククク♪」と、軽い笑みを発すると「ポタリッポタリ」と、俺の太ももに執拗に蝋燭を垂らし続け「ギヤァー! 止めろー! 熱いんだよぉー! 止めてくれぇー!」と、叫ぶ俺の叫び声を無視したように今度は熱さでモガキ苦しむ、俺の胸に「ギヤァー! 熱い! 熱ーい!」と、俺の叫びに伴ってブルブルと揺れる胸に男は片手を「ピタリ」と、貼り付けると「美味しそうな胸だな…」と、乳首に親指と中指を絡めた。

 俺の叫び声が重なる度に前側は赤い蝋が覆い尽くし、次第にプルプルと揺れていた胸は鈍い動きになるほどに蝋燭の蝋が俺の身体を覆った。

 男は泣きながら叫ぶ俺を見ては、獣(けだもの)のように笑みを浮かべ「おいおい、叫ぶ割にオマエのパンティー グショグショに濡れてるがどういうことなんだぁ~♪」と、グッタリしている俺のパンティー越しにペニスの先っぽを親指でヌルヌルと回し始めた「感じてやがるのか… コイツ」と、独り言を呟くと「そりやぁー!」と、縛られている俺の身体をそのままうつ伏せにした。

 俺の顔はベットに方頬を沈め、尻を後ろに突き出すような体位にさせられ「うぅぅぅぅ…」と、泣いて涙をシーツに染み込ませる俺に「さてさて、前半は終了したが今度は後半と行くか♪」と、俺のパンティーを鋏で片側「サクッ」と、切り離すと「う~ん… いい匂いだぁ~♪」と、苦痛に汗を掻いた俺の尻に顔を埋めて後ろの方で歓喜して見せた。

 ポタポタと尻の上へと落とされては弾けるように張り付く蝋燭は、肛門の端っこに溜まり尻の割目から玉の裏へとその熱を流れ伝え、その度に泣き声を上げてシーツを涙で染める俺は既に体力を消耗しきり叫び声は唸り声へと変わって行った。

 尻から背中へ、背中から腰へと蝋燭は落とされ、やがて蝋燭は尻から内モモへと地獄のような苦しさを俺に伝え「クッククク♪ 熱いだろう~♪ 内モモの柔らかい肉はなぁ~ 脇腹と同じで一番熱いんだよ♪ オマエの内モモ… 可愛いくらいにプリプリ揺れてるぜ~♪」と、男は蝋を垂らし続け苦しさから俺はベットに顔を埋めて耐えた。

 ベットに顔を埋め耐えていると蝋燭が落ちないようになり「終わった…」と、思っていると突然「そりゃぁ!」と、体位を仰向けに変えられた瞬間!「ヤメテェェー! イヤアァァー!」と、俺は全身をバタつかせて抵抗した。

 男は俺を仰向けにすると突然、俺のペニスに貪りついて「チュゥゥーチュゥゥー レロレロ チュパチュパ」と、嫌らしい音を出して俺を辱め「イヤダァァー! ヤダァー!」と、必死で抵抗する俺に「クックク、いい味しやがる!」と、笑うと再び俺のペニスに貪りついて、俺から湧き出る愛液をストローのように吸い出し「ヤケに小さくなったんじゃねえか? 妙だなぁー?」と、男は小さく萎縮した玉袋を口に入れ舌を絡みつけ、シャブリつき「痛ーい! 痛い痛い痛ーい!」と、俺は絶叫した。

 散々男にペニスを貪られた俺を「そりゃぁ!」と、持ち上げうつ伏せにすると俺は頭の中が真っ白になるほどの激痛に襲われた。

 肛門にゼリーのような物を塗られ入れられると、男の太くて硬い物が俺の中に突き刺さるように入り「痛ーーーーい! 痛ーーーーい!」と、何度も泣き叫ぶ俺に、数分後「イクウゥゥーー!!」と、俺の腰に男の手の爪かせ食い込んだ。

 男は使用済みのコンドームを結び「ポタッ!」と、俺の顔の前に放り投げ「いい味だった!」と、一言呟くと「オマエ、相当萎縮してるがこのままだと男に戻れなくなるぜ! まあ、女になるってなら分るが、このままなら男でも女でもなくなっちまうからな!」と、俺を縛る縄を解き始め「何で… 何でこんな目に遭わせるの… 俺のこと抱きたきゃ優しくさえしてくれれば俺は…」と、縄を解く男に泣きながら話す俺に「すまんな! 俺は少なくともオマエを女と認識してるからな~ 俺の女への愛し方だからな! 正直、俺の彼女にしたいくらいだオマエのこと…」と、俺を後ろから抱き起こした男の両手は、俺の両胸に添えられ「パラパラ」と、落ちる蝋に紛れて俺の胸を揉み始めた。

 胸を優しく揉まれ「ホッ」とした安心感からか俺は心地よくなり左右に首を「ユラユラ」と、揺らすと男は「オマエ… いい匂いがするな…」と、俺の頭に後ろから顔を近づけ深呼吸を繰り返した。

 男の両手は俺の胸を優しく丁寧に揉み回し、男の指が時折「ツンッ」と、乳首に当たると「ビクゥンッ!」と、揺れながらも全身を震わせる俺に男は「オマエ、マジで感じるんだな… あぁ~オマエが俺だけのものならなぁ~」と、俺を「ギュッ!」と、抱きしめた。

 そんな男に俺が「アンタが優しくしてくれるなら… 俺はアンタのものになるよ… だからもう酷いことしないでぇ… 御願いだから…」と、俺の胸を揉む男の両手に俺はそっと手を添えた。

 男は俺の申し出に悩むかのように動きを「ピタッ」と、止めると「本気… なのか…」と、後ろから俺のウナジに唇を這わせ小声で言い、俺は黙って小さく頷いて見せると男は「そうか… よし! 分った! オマエは俺の女だいいな!」と、言葉を強めると俺に男は「じゃ、こっち向け! 顔を見せるから!」と、意気込みを見せたものの俺は男に「ヤメテ! いいの… ムリしなくていいの… このままでもいいから…」と、俺が顔を深く俯かせると男は「オマエのこと愛してもいいのか… 本気で愛してもいいのか…」と、男は俺の耳に唇を這わせた。

 愛してもいいのかと言う男の問いに、俺は黙って頷いて見せると、男は俺を優しく仰向けに寝かせると俺の唇に自らの唇を重ねて来た。

 男は俺に「目を閉じて… 落ち着いて…」と、小声で囁くと俺は生まれて初めて正常位で抱かれ、男は静かにゆっくりと俺に痛みを伴わないように気遣いを見せ、俺は男の腕の中で閉じた瞼から嬉し涙を滴らせていた。

 俺はこの日から、女へ性転換すること本気で考えるようになっていた……

 

 


 
◆◆◆◆◆7話






 俺はこの彼(ひと)のために生きて見たい… 顔も知らない彼だけど一緒に人生を歩んで見たい… 同じ時間を過ごして見たい… 俺の心はあの時以来、彼への想いが日に日に増して行った。

『これが俺の本当の電話番号だから…』と、渡された携帯電話の番号のメモに一滴(ひとしずく)の涙を零すと『泣き虫は嫌いだぞ』と、俺の頭を引き寄せて額に頬を寄せてくれた彼。

 そして俺に言った一言『あいつ等からオマエを俺が守るから…』と、口付けしてくれた彼に『教えて! どうして俺のこと… 何人居るの? 何で俺のこと知ってるの? 他の人達は一体何者たの?』と、尋ねた俺に彼は『今は、オマエのことを愛してるとしか言えない… ゴメン…』と、俺を抱きしめてくれた彼。

 あれから数週間、彼からは毎日のように連絡が来ては二人は互いの声を、互いに絡めあう日々が続き、相変わらず毎日のように窓の外では訪問者が夜になると「コンコン」と、窓を叩いて俺を怯えさせた。

 そんな時、彼に「怖いの… また来てるの… 怖いよおぅー」と、連絡をすると不思議にも数日間は窓の外からは人影は消え、彼もまた俺を訪ねる時間を変え「今度は金曜日の昼過ぎの2時頃に来るよ♪」と、愛し合った後、手帳に時間を記し別れの口付けを交わした。

 訪ねる度に黒い目出し帽を獲ろうとする彼の腕に「御願い…」と、言って寄り添い止める俺に彼は「もう、いいだろう… 二人の心は通じてる… 今更顔見たからって嫌われるとは思えない…」と、寄り添う俺の腕を優しく払おうとする彼に「もうすこしだけ時間を下さい…」と、俯いた俺に彼は「そだな… 出会い方が異常だったしな…」と、溜息をして見せた彼は「早く一緒に暮らしたい…」と、俺の頭を静かに撫でてオデコにキスをした。

 俺は彼にベットの上で身体を揺らされる度、痛かっただけのセックスが少しずつ心地よさに変わり、心地よさから全身を激しく悶えさせるほどの女へと変わって行った。

 二人は互いに求め合う日々を繰り返し、更に数日が経過したある日のこと「明日から一週間仕事で連絡が取れないから…」と、俺に言い残し「窓は完全に閉めて鍵をかけること、ドアにはチェーンをかけること」を、何度も繰り返し言い聞かせ俺の前から去っていった。

 俺は彼の居ない一週間を怯えて過ごさねばならない恐怖を感じながらも、彼に言われた通り窓に2重の鍵をかけ、ドアには帰宅する度にチェーンをしてあいつ等の襲撃に備えた。

 外から叩かれる窓の音を気にしながらも数日が経過し、残すところ数日と迫った夜のこと「ジリジリジリジリジリィィィーーー!!」と、けたたましく火災警報器が部屋の外の廊下から鳴り響いた。

 慌てて時計を見ると10時を超えていたものの『絶対に夜は部屋から出ちゃダメだぞ!』と、言った彼の言葉を思い出し鳴り響く警報機の音に両耳を塞ぎ、床に座り込んでしまうと「ドンドンドンドーン! ドンドンドンドーン! どなたか居ませんかー!! 火事でーす! 部屋から出て下さーい!」と、玄関で誰かがドアを激しく叩く声が塞いだ両手の隙間から聞こえて来た。

 ドアから中へ叫ぶ声が異様で「本当の火事?!」と、立ち上がった俺は慌ててドアへと走り寄り「火事ですかー!」と、ドア越しに聞くと「アナタも早く逃げて下さーい!!」と、ドアの外から叫び声が聞こえ「ガシャガシャガシャーン!」と、ドアチェーンと鍵を外し外へ出た瞬間!「ドスンッ!」と、腹に強い衝撃を受けて俺は気を失った。

 どれほど気を失っていたのだろうか… 何処からか誰かの声が聞こえる…「うっひひひ~ デニムのミニスカにライトブラウンのストッキングはいいよなぁ~♪ たまんねぇなぁ~♪」と、誰かの声がすると「手間かけさせやがって~ 今夜はタップリと楽しませてもらおうか…」と、別の誰かの声がして「しかしよぉ~ いいのかぁ~ アイツのいねえ時にこんなことしてよぉ~」と別の声そして「こんな上玉の女装子を独り占めするアイツが悪いんだよ! コイツはみんなの物だろう~♪」と、嫌らしく笑った男達。

 目覚めていたものの恐怖で目を閉じたままの俺に「おい! いつまで寝てんだ! 起きろ! バシッ!」と、誰かに頬を平手打ちされ目を開くと、ベットの周りには5人もの目出し帽をかぶった上下を黒尽くめが立っていて「誰! 誰なの!」と、俺は上半身を起こそうと周りを見回すと「おとなしくしろ! 殺すぞ! 俺達は泥棒だよ! 但し銭はいらねぇ! 欲しいのはアンタの身体だよ!」と、俺に低い声を浴びせると「はいはいは~♪ 獲物は大人しくネンネしようねぇ~♪ 此間は御世話になりましたねぇ~♪」と、防犯スプレーを浴びせられた男が笑いながら俺をベットに押し付けると、両手を頭の上に押さえ付け両手首をロープで縛りベットのヘット部分に結びつけた。

 5人の男達にベットの周りを囲まれた俺は、恐怖で身体は硬直し声一つだせず黙って両手を縛られると「そうそう♪ いい娘(こ)だねぇ~♪」と、俺の頬を手で軽く撫でると、突然男の一人が俺のタンクトップをナイフで切り裂き「可愛いなぁ♪」と、薄笑いするとブラジャーの肩紐を静かに切り取って「女はこうして一枚ずつ剥ぎ取って行くのが楽しいなぁ~♪」と、うつ伏せの俺の顔の真ん前から覗き込んだ。

 肩紐を切られた無残なブラジャーは俺の胸の上にそのまま残り、それを取ろうと別の男が手を伸ばした時「イヤアァァァーーー!!」と、初めて叫び声を出した俺の声に一瞬驚いたように身体を「ビクッ」と、させた瞬間、男達は俺の両脚首を「ムンズ」と、鷲掴みするとデニムのミニスカートを巻く利上げ「ヤメテエェェー!」と、両脚を振って抵抗する俺のパンティーストッキングを「ビリビリビリィィー!」と、群がるように引き裂き「そりゃぁ!」と、大声を出して俺の両脚を大きく開かせると左右から「チュゥゥ! レロレロレロチュゥゥー!!」と、二人の男は破れたストッキングの残る脚にムシャブリ付いて来て、別の男二人は俺からブラジャーを取ると「チュゥチュゥゥ」と、嫌らしい音を立てて乳房に左右からムシャブリついた。

 痛いほどに俺の肌は吸われ舐められ首を左右に振って「ヤダァー! ヤメテヤメテー!!」と、叫ぶを俺を無視するように、最後の男は俺の開かれた両脚の真ん中から這い上がり、パンティーの上から俺のペニスに齧り付いて来ては少しずつパンティーを下ろした瞬間「ビリッ… ビリッ…」と、パンテイーは引き裂け俺は男の前に恥ずかしい部分を晒しされた。

 俺のパンティーを剥ぎ取った男は「あーっはははは♪ こりゃぁーいい♪ コイツ、萎縮が限界まで達して女化しちまってるぜ♪」と、周囲に伝えると男達は俺から舌を放して「すげぇー♪ 完全にクリトリスみてぇになってやがる♪ こりゃぁー極上になりやがったなぁー♪」と、俺の陰部に見入ると再び「イヤダアァァー!」と、叫ぶ俺の身体を味見するように「ピチャピチャレロレロレロ」と、音と感覚を俺に伝えた瞬間!「痛ーーーーい!!」と、真ん中の男は俺を絶叫させた。

 俺の萎縮して敏感になっているペニスを銜えた真ん中の男は「痛い! 痛い!」と、叫んで泣きじゃくる俺の顔を見て「ふっふふ♪」と、笑うと再び俺のペニスに拷問のようにザラつく舌を押し付け、貪り続けると余りの激痛に俺は失神してしまった。

「おい! ホラホラ起きろよ! ペチペチペチッ!」と、誰かに頬を叩かれ目覚めると俺は尻を突き出しうつ伏せにされていた… ペニスの痛みが消えずに「ビリビリビリ」と、残る俺に後ろから「そろそろ入れさせてもらおぅかぁ~」と、無造作にゼリーを肛門に塗られ指を入れられ「痛い!」と、声を出すと後ろの男は「バシッ!」と、俺の尻を激しい音を立てて平手打ちし「ズニュリュゥゥゥー!」と、俺の中に入ると「パァン! パァンッ!」と、俺の尻を打ちつけながら「ビリビリ」と痛む俺のペニスをゼリーのついた親指と人差し指で挟むように「シュッシュッ」と、前後させ「痛い! 痛い! 痛い! 痛いよーーー!」と、号泣する俺に「時期に良くなるだろうよぉ~♪ 子猫ちゃ~ん♪」と、扱くペニスの指を早めた。

 一人、二人と俺を玩具(はけぐち)にする男も、最後の5人目に入る頃には、俺は扱かれるペニスと言うよりも身体全身を扱かれている錯覚を覚えるようになっていた。

 大きな指が俺の全身をゼリーで塗らし、前へ後ろへと前後し痛みとは間逆の快感に変わっていることに気付き始めていると「どうだい♪ コイツ尻振ってやがるぜぇ~♪ コイツは今、本物の女への羽化を始めたらしい… こうなられちゃ、俺達も手を引かざるえないだろう… ハウゥッ! コイツ自分で穴を締めやがったぁ! クソ! もっと楽しみたかったのによぉ! ウッ! イきそうだぜぇ! いい締り具合だ! ウッ! 見てみろ… コイツの身体を完全に羽化が終わったみてぇだ… ウッ! 限界だあぁ! イクウゥゥゥゥーーー!!」と、誰かが何かを話していたが俺の耳には届いてはいなかった。

 俺はフワフワと宇宙を漂っているかの心地よさに見舞われ、閉じられた目は開くこともなく耳からは何も聞こえず、果てしなく続く心地いい空間を漂い続けていた。

 眩しい光が瞼の外側に見えた俺が、目覚めると部屋の中には人の気配はなく、ゆっくりと身体を起こして周りを見渡せばベットもシーツもキレイに直され、男達に切り刻まれた衣類は買い物袋に入れられその上に「アンタはもう自由だよ、アンタは俺達の手の届かないところへいっちまったからな、グッバイ子猫ちゃん泥棒より」と、書かれたメモが置かれ、それを読んだ瞬間「終わった… 終わったんだ! もうこれで何もかも!」と、心の中でジワジワと嬉しさが込み上げて来た俺はベットの上で四つん這いになって、前側へと移動し脹脛(ふくらはぎ)を広げ、女座りをすると両手を高く上げ「万歳!」と、一人歓喜すると両胸は「プルルルーン」と、揺れ「ふうぅ~」と、深呼吸した瞬間、片手が乳首にホンの少し触れ「アァァーーーン!」と、人のヨガリ声を上げベットに身体を沈めてしまった。

「えっ! 今のなに!」と、驚いて目を大きく開くと俺は無言で自分の乳首をそっと中指で撫で「ビクウゥン!」と、身体を揺らせ更にもう一度触れると「ビクウゥン! ァァァーーーン!!」と、激しい快感が俺の中を駆け巡り「そんなバカな…」と、普段の10倍以上の快感に息を飲み「もしかしたら…」と、ベットにうつ伏せのまま股間に手を滑らせた瞬間!「ビクビクビウゥゥゥーーーーン!!」と、俺の気絶させるほどの激しい快感が俺から俺に息をすることさえも忘れさせた。

 風呂場へ行きシャワーを浴びるものの、乳房に当たる降り注ぐシャワーの一滴でさえもが俺をその場に崩れさせ、激しい快感に飲み込まれそうになりながら降り注ぐシャワーに背中を向け、小刻みに震える手で給湯を止めると「はぁはぁはぁはぁ」と、俺は肩で息をしていた。

 バスタオルに身を包み窓辺に凭れかかるものの、風呂場での激しい快感に違和感を覚え小刻みに震える身体を止めようと、落ち着けとばかりに窓から外を見ると、引越しのトラックが見え「誰か出るのかな…」と、何気なく「ボーッ」と、していると「ジリジリジリーン!」と、目覚まし時計が出勤時間を俺に伝えたが、風呂場での出来事に余りの衝撃を覚えた俺は、会社に休みの電話を入れ男物のハーフパンツとトレーナーに身を包み、湯冷ましのつもりで部屋を出ると「アレ? なんだろう…」と、隣の部屋のドアが開いているのに気付いた。

 俺が外に出ると俺を入れて6軒入っていたアパートは俺を除き全てが引っ越してしまったと、下の階の前で大家さんが腕組して首を捻っていた。

 殆ど付き合いの無かった住人たちだったが大家さんの話しに依ると、住人達は俺がここに来る少し前に引っ越してきたらしかったが、奇妙なことに個々の部屋の玄関には、蝋燭・縄・釣竿・鋏・ナイフが置かれていたと言う。

 

 



◆◆◆◆◆8話






 
「そうかぁー アイツら消えたのか~」と、愛し合った後、ベットの上で俺を抱き寄せながら「ポツリ」と、呟いた彼の一言は俺を「ハッ!」と、させた。

 仕事から戻った彼は真っ直ぐ空港から俺の部屋を訪れ、俺以外に空室になったアパートの話しを、そして俺が5人の男達にレイプされたことを話すと「アイツらぁー!!」と、握り締めた拳を振るわせたものの、アパートから俺以外の退去の話しを聞くと安堵の表所を見せた。

 スーツ姿に黒い目出し帽と言う格好で入って来た彼は、玄関で出迎えた俺を「会いたかったぁ…」と、抱きしめ声を震わせ口付けをしてくれた。

 そして俺が身体の異変を伝えると、彼は目出し帽のままデニムのミニスカにニーソックスの俺をベットに沈め、確かめるようにそして貪るように俺の身体を激しく揺らし、その度に激しく全身を揺らし叫ぶように恥ずかしい声を放つ俺を何度もイカせた。

 彼が俺を愛し始めてから1時間と少しが経った頃だろうか、彼から「ポタッ… ポタッ…」と、汗が俺の胸に滴り落ち谷間へ流れるのを感じながら、繰り返し悶えヨガリ声を出し全身を痙攣させた頃「イッちゃう!! イッちゃう!!」と、何度もイッた後に再び俺を襲った強い快感、そして彼もまた「イクぞおぉぉー! イクぞおぉぉー!」と、彼の両手が俺の肩に掛かった時、二人は同時に声を発した。

 正常位で彼の熱い体液を身体の中に感じた俺は、俺を抱きしめて「はぁはぁはぁ…」と、肩で荒い吐息を立てる汗だくの彼を、下から「ギュッ!」と、強く抱きしめると「お前、はぁはぁはぁ… 変わったな… はぁはぁはぁ… ありえない程の感度だよ…」と、下から抱きしめた俺を、上から強く抱きしめ「愛しているからな… はぁはぁ… お前のこと… はぁはぁはぁ…」と、肩で息をしながら俺の舌に自らの舌を絡めた彼のペニスは突然「ムクムクムクゥゥー!」と、俺の中で大きくなって「痛ーい! イタタタタタ! 痛ーい!」と、俺の顔を顰めさせた。

 彼のペニスは俺の中で突然一回り以上も大きくなり、顔を顰めて必死に彼にしがみ付く俺に彼は「お前、羽化したんだよ… だから本当の俺でも受け入れられるはずだ…」そう、言うとゆっくりと腰を前後させ「痛い! 痛いよぉぅー! 痛いよおぅー!」と、彼の背中に立てた俺の爪は彼の肌に食い込み「ウッ!」と、一瞬顔を顰めた彼は俺に「俺も痛いぞぉ! ウゥゥゥ!」と、唸り声を出し、俺の両頬に両手を添えると「ポタッ! ポタッ!」と、抱かれる俺の脇腹に生暖かい物が滴り落ちた。

 俺の痛みは次第に激痛から弱痛(じゃくつう)に変わり、彼の背中に突き立てられた俺の指の爪も離れて行くと「アアァァーーン! いい! いいのおぅ! いいのおぅーー!!」と、彼の腕の中で激しい声を上げると彼もまた「いいぞおぅ! お前! 最高だーー!!」と、俺の中にペニスの熱を伝わり、彼を受け入れることが出来た嬉しさが俺の快感を限界まで押し上げた。

 何かが動く気配で目を覚ました俺に彼は「失神すんだからビックリしただろう♪ まったくお前ってヤツは~♪」と、俺の頭を撫でながら微笑む彼。

 二人は狭い風呂場に寄り添うように、そして楽しげに笑みを浮かべ「お風呂くらい帽子取ればぁ~♪ キャッハハハハ♪」と、俺の笑う声が風呂場に声をコダマし、放たれるシャワーに抱き合いながら身を委ね、俺は彼と目が合った瞬間、彼と目を合わせながら静かに彼の前に正座た。

「いいのか…」と、下から視線を合わせる俺に彼が呟くと、俺は黙って頷いて彼のペニスを両手で支え口の中へと静かに運んだ。

 膝を小刻みに揺らし、俺の肩に両手を掛け時折「ビクゥンッ!」と、全身を揺らす彼のペニスは硬く大きな肉棒になり俺を「ゲホッゲホッ」と咽させ、涙目になると彼は「もうよせ… お前の愛は十分伝わってるから…」と、俺から離れようとしたものの、俺は顔を左右に揺らし彼を最後まで愛し続けると、俺の肩に乗せられた彼の手は「ギュゥゥー!」と、力を増しそして「ジュッーー! ジュッーー! ドクドクドクッ! ドゥルドゥルドゥル!」と、水鉄砲のように口の中に勢い良く放たれ、口じゅうに彼の精液が広がった。

 俺は口の中に広がった彼の精液を必死で飲み込もうとしていると「よせ、もういいから… ムリしなくていいから… 吐き出せ…」と、俺に優しく言葉をかけたが俺は口を閉じたまま「ゥゥゥ!」と、首を激しく左右に振り涙目になりながらも心の中で「ヤアダァァァー!!」と、彼の手を振り解きそして「ゴクンッ!」と、精液を飲み干した。

 彼の精液を飲み干しそのまま両手を床につけ「俺の… 俺の… うううん違う… 私の… 私のアナタへの愛の証だから… 私もアナタのこと愛してるもん!」と、シャワーの音に涙声を紛らわせた。

 床に両手をついて泣き崩れる俺を、彼は優しく抱き続けてくれた……

「あぁ、今夜は来れないけど、明日また来るから♪」と、ビショビショになって洗濯機で脱水だけした目出し帽をかぶり部屋を後にした彼。

 彼が部屋を出た後、バックを忘れてることに気付いた俺は男物の服に着替えると慌てて彼を追いかけた。

 部屋のドアを開けた瞬間、俺の方に背中を向けた彼に一階で大家さんが「やぁ♪ オーナー! こんなとこへ珍しいですねぇ~♪」と、声を掛けられていたが彼は目出し帽を外し片手に持ちながら立ち去った。

 俺は彼のバックを玄関に置くと慌てて一階の大家さんに「今の人は? ここのオーナーって大家さんじゃないんですか?」と、競りつくように聞くと大家さんは「あぁ、そうだよ… 私がオーナーからここを借りて又貸ししてるが、別にアンタには関係ないだろう!」と、少し苛立って裏の自宅へと去って行った。

「彼が… ここのオーナー…」と、納得の行かない俺だったが、彼のバックを持って中に入ろうとした時だった「ズキッ! ズキズキズキ…」と、突然肛門が痛みだし俺は額に脂汗を滲ませ、中に入ると痛みが引くのをジッと待った。

 肛門の痛みは数時間続き、我慢できなくなった俺は前に行ったことのある肛門科の診療所を訪ねようと、一階へ降りた所で余りの痛みでその場に埋まってしまうと「おい! どうしたんだ! しっかりしろ!」と、後ろから大家さんに声掛けられ、尻を押さえている俺に大家さんが「痔かぁ! 分るぞぉ、その痛みはワシも痔だからなぁ!」と、俺の傍から離れると「プップー!」と、軽自動車で掛けつけ「近くにいい診療所があるから!」と、俺を乗せると「大丈夫! あの先生なら楽にしてくれるから!」と、俺を元気付けた。

 俺の乗せた大家さんの車が診療所の前に来ると「待ってろよ~ 今、聞いてくるからな!」と、大家さんは慌てて診療所の玄関へ入って行くと直ぐに看護婦さんを連れてくると俺を中に運んだ。

 大家さんは俺に「もう安心だからな♪ ここへ来れればもうワシは用無しだから♪」と、俺の肩を「ポンポン」と、叩くと診療所を出て行った。

 数分後、俺は看護婦さんに肩を貸して貰い診察室へと移るものの、痛みでズボンも脱げずにいる俺に「ズボン脱がせますね♪」と、看護婦さんが声を掛けると「ああ、いいよ君は出てくれ」と、医者が傍に来て俺を診察台に乗せズボンを脱がせた瞬間「マズい! パンティーのままだ!」と、俺は痛みを耐えながら心の中で叫んでいた。

 医者はズボンを下ろしたが、パンティーを見て同様することなく「下着とりますからねぇ」と、パンティーを脱がすと、俺の腹の上にカーテンを掛け「けっこう大きい物が入ったようですけど… 相手の方は上手なのかな… 注入薬で直ぐに痛みは治まりますからねぇ…」と、カーテンの向こうから言うと「カチャカチャ」と、器具の音を出して治療をしてくれた。

 何かが少しずつ入ってくる感触を中に感じながらいると「どうかなぁ~ 痛み少しは治まりましたかぁ~」と、医者口調で俺に尋ね「は、はい… かなり楽になりました」と、カーテンの向こうの医師に答えると「それじゃ今日の治療はこれくらいにして、バックを取りにアナタの自宅へと参りますかね…」と、妙なことを言う医師に「えっ?」と、聞き返すと突然カーテンが「シャァァァーッ」と、開いた瞬間、下の方で何か黒い物が俺の肛門を覗き込んでるのが見え「えっ?」と、俺が驚きの声を発すると「スゥゥーッ」と、斜め仰向けの俺の股間に黒い目出し帽が現れ「患者さん♪ 治療は終わりましたよぉ~ そろそろ私のバックを返して欲しいので参りますかぁ~♪」と、目出し帽は訳の分らないことを言い出し、俺は慌ててパンティーを身に着けると立ち上がってズボンを履いて治療室を出ようとした。

 すると黒い目出し帽が俺の進路を阻むかのように立ち塞がって「わからないのか? 愛しているのに…」と、黒い目出し帽は俺の前で俯いて寂しさを俺に伝えた瞬間、俺は「もおぅ! 意地悪なんだからぁぁー!」と、白衣を着た目出帽の男の胸に両手のゲンコツを打ち付けた。

 男は目出し帽をゆっくりと俺の前で脱ぐと、俺を見詰め「愛してるよ…」と、俺の身体を引き寄せ、俺は黙って彼の胸の中に顔を埋めて涙を彼の身体に伝えると、彼は俺を「ギュッ」と、抱きしめるて「今日から俺はお前の専門医だからな… お前は俺だけの患者だからな… 一生涯だ…」と、彼は俺の顎を「クイッ」と、少し持ち上げると俺の唇に自らの唇を重ねた。

 もはや愛し合う二人には障害は何もない… あるとすれば「先生! いつまでラブコメやってるんですかぁー? 患者さん来てますよぉ!」と、二人の愛を邪魔する熟練看護婦かも知れない。

 俺は会社辞め、見習い看護婦として日々この診療所で熟練看護婦に「違う違う違う! 何度言ったら分るのぉー! 全く最近の若い女ときたら! こんなことも分らないのねぇー!」と、尻をビシバシ叩かれている。

 そして「あぁ、アイツらかぁー♪ アイツらはこの診療所に来る患者(オカマ)たちの彼氏たちだよ~ アイツらがここで話してるのを偶然知った俺は飛び入りしただけで、アイツらの仲間じゃないんだよホントだってばぁ~♪ 嘘じゃないってー あっはははは♪ 釣具屋(つりざお)に金物屋(はさみ)だろ、それに造園屋(縄)に研ぎ屋(ナイフ)に衣料品店(めだしぼう)の計5人だろう、そして飛び入りの俺の6人だよ♪」と、笑って済ませようとする彼。

 一年後、俺は彼の立会いの下で外国で性転換の手術を受け、今では彼の妻として病院では看護婦として同じ人生を歩んでいる。

 
 完結

男に抱かれた男は、もう男には戻れない。 23話

 23話  白いパンティーに水色のキャミと大きめのショートパンツを履いた真子は、冷房を少し強くして汗が引くのを待って居ながらもパンティーが汗で蒸れている不快な気持ちのまま、社長室でパソコンでニュースを見ていた。そして30分後に二人の社員が入って来て月末で多忙な二人は直ぐに仕事に取...