2話
警視庁では前例のない鬼畜の犯行に全国の警察本部へも協力を呼び掛けていたが、5週目に入って尚も発生する鬼畜の事件は捜査員を一層引き締めた。取り敢えず現在発生している事件はほとんどが都内で行われていたが、都内から一歩出た場所も含んではいた。
そして相変わらず被害女性達と話す機会を有名な心理学の教授に任せつつ女性達の身元を捜査していた。そして数日後、心理学の教授からこんな情報が入って来たことで捜査員達を震え上がらせた。その内容とは「女性被害者達は何れも正常であるが、どうやら言葉自体も文書も書けない。つまり教育された形跡が無いのではないか」と、言う心理学の権威からの情報に捜査員達は頭を横にして報告書を読んだ。
すると捜査員達は血相を変えて「教育を受けていない??」と、口々にこの意味不明な報告書に腕組をして、あるいは机に肘たてして考えこんだ。すると捜査一課長は捜査員達に「教育を受けていないとはどう言う事だ??」と、腕組みして頭を傾げた。すると幹部捜査員から「そんな馬鹿な話は無い!! 今の日本で言葉も文書も書けない読めないなんて!!」と、声を大きくして本部の室内に轟かせた。
また別の幹部からは「いくら心理学の教授でも話がおかしい! 別の方面で捜査協力を要請しましょう!!」と、一課長に詰め寄った。一課長も「確かに変だな・・・ もしかしたら催眠術に掛けられているのでは?」と、捜査員達の顔を見て低い声で、自分が何を言っているのかさえも解らない言動を口にしていた。
すると別の捜査員から〇〇大学に催眠術に詳しい教授がいるからそちらにも協力要請しましょうと、一課長の目を見た。だが別の捜査員は被害の大きさに警察病院の担当医師の言う瞬間記憶喪失ではないかとも主張があった。結局話せない文字も解らないと言うのは捜査員達に動揺を与えた。
そして翌日、〇〇大学の催眠術に詳しいまる〇〇教授を訪ねて状況を詳しく説明すると〇〇教授は「確かにそれはありそうですね・・・」と、腕組して黙ったまま部屋の中を歩き回り「確かにそれは海外の事件でも度々あることあるのですが・・・」と、表情を強張らせた。
そして捜査員達は翌日からも写真を持って都内での聞き込みを開始したが、依然として有力な情報は無く、科捜研に依頼していたDNAの解析結果を目の前にして被害者達は全員が20歳であると言う情報を得た。捜査員達は被害女性に繋がる有効な接点として20歳の女性だと写真を持ち歩いて夜の店にも足を運んだが、何処の店でも写真の女性達を知らないと答えた。
そして事件発生から5週目になった時、再び事件が発生した。「くそお!! またか!!」と、捜査員たちに大きな溜め息をさせた。だが捜査は続行され5番目の被害者から警察病院の担当医師に血液のサンプルを頼むとそのまま、捜査員達は科捜研に足を運んだ。そして数日、科捜研からの情報では「やはりDNAで調べたが被害女性は20歳だ」と、情報提供があった。
一課長は全員、20歳と言う情報から全国の捜査本部へ行方不明者は居ないかと、再び協力を要請し同時に都内でも捜索願いが出ていないかを調べるよう捜査員達に伝えると額に脂汗を滲ませた。被害女性達の記憶喪失と年齢が絞られる中で捜査員達は一刻も犯人を特定しなければと焦りだしていた。
こうした事件が頻発していた都内でのメディアの反応は警察は寝ているのか!! 警察は何をしているんだ!!と、日に日に警察への圧力は高まっていた。そんな中で、うだつの上がらない定年まじかの所轄の捜査員は密かに捜査本部とは別の行動をとっていた。この定年まじかの捜査員は被害者は全員が20歳で捜索願いも出て居ないことから「おかしい… 何かが変だ…」と、被害女性達の関連性を疑い元、後輩だった警視庁の警視に何かを頼んでいた。
この、うだつの上がらない捜査員は捜査本部とは真逆の可能性について後輩から何とか情報の入ったUSBを手に入れると自宅のパソコンで何かを探していた。だが所詮は所轄の刑事で彼のことなど捜査本部では「あのオッサンのことなんて考えなくていい」と、周囲の刑事達は鼻で笑っていて誰も相手にしなかった。
そして数日が経過した時、6回目の被害者が現れたことで警視庁は窮地に追い込まれていたが、うだつの上がらない所轄の、しかも定年まじかの刑事はこの数日間、寝る時間も勿体ないと何かを探していた。そしてその時間、容疑者は都内のボロアパートに居て次の犯行のための準備をしていた。普段は獣医として一日に数匹の猫と犬の治療を生業(なりわい)としていた。
そしてうだつの上がらない定年まじかの刑事は、一人黙々と35年ローンを組んだ古い家の中でパソコンに目を通しマウスが壊れるほどパソコンの画面に没頭していた。20歳の被害者そして女性で言葉を話せない文字も読めないと言う摩訶不思議な現象に知らぬ間に、一歩近づいていた。
警視庁では捜査一課長が上役である警視長に顔を青ざめさせながら「何処を、何を調べればいいのか解らないのです…」と、警視長を怯えさせていたが、同時刻に容疑者はボロアパートに来る猫や犬の処置を淡々とこなしていて、仕事が終わると時折、誰かに連絡を頻繁に取っていた。
そして容疑者が携帯電話で誰かと談笑する姿を見た者は誰も居なかったが、知って居たのは預かっているリスと亀だけだった。そして7人目の被害者が出た頃には既に秋を想像させる9月の半ばに入っていたが、被害者の類似点は20歳の女性で全員が話す事が出来ず文字を書く事すらできないのにトイレの使い方だけは知っていて食事の時には両手で皿から直接取って食べていたと言う点しかなかった。
これに所轄の定年まじかの刑事が着目し、今は警視庁勤めの元後輩からもらったUSBを使って独自に捜査していた。一方、警視庁の捜査本部では7人目の被害者と6人の被害者の関連性を考えつつ写真を持って都内を歩き回るしか手立ては無かった。そんな捜査本譜に催眠術の権威と称される大学教授から「彼女達には催眠術は使われていない」と、言う報告を貰った警視庁では最後の頼みの綱を切断される思いだった。
そして8週目に入ろうとした時、8週目は被害者が居なかったことから捜査員達は胸を撫でおろした。結局、捜査本部が出した結果は「被害女性達は言葉や文字をも教育されていない」と、言う意味不明な答えしか判断材料は見つからなかった。すると捜査員から一課長に「もしかしたら彼女たちは外国で育った? かも知れない」と、の声も複数上がっていた。
外国で長期間、幽閉されていたと言う言葉に捜査員達は「その可能性もありですね!」と、さっそく国交のある国々に対して情報の提供を呼び掛けたが1日たっても2日たっても何処の国からも情報は届かなかった。そして9週目に入ったが事件はおこらず捜査員達は「このまま事件が起こらないように」と、神頼みする者まで出てきていた。
ただ、懸念されていた被害女性達は相変わらず「ギイィー! ギイィー!」と、誰かと会話するように唸り声を出すだけだった。捜査一課長は1番目~5番目までの女性被害者を全員一つの部屋に集めて見てはどうかと提案すると、捜査員達から「それはいい! やって見ましょう!!」と、全員一致で警察病院へと捜査員を10数名派遣し担当医師の立会いの下で実行してみることにした。
すると、5人集まった部屋では、まるで親しい友人と出会ったかのように「ギイィーー ギイィー」と、優しい唸り声を上げ、互いの匂いを確かめるように鼻先を相手にむけて「クンクン」と、確かめて、その表情は自然に柔らかかった。そしてそれを見た捜査員達は「これじゃあまるで動物じゃないか?」と、その微笑ましい被害者達に何故か心が満たされたようだった。
そして捜査員達が帰り際に担当医師に「5人を同じ部屋で寝泊まりできないか」と、そして監視カメラの設置は出来ないかと聞くと、担当医師は納得したように答えを出し、捜査員達はさっそく監視カメラを取り付けるように業者を呼んでカメラを数台、設置させた。 そしてその頃、ボロアパートで仕事を終えた獣医師は酒を一人で煽ると、誰か親しい人間に今度、写真集が出来たので是非みてほしいと口元を緩ませた。
そして9月も半ばを過ぎた頃、事件が都内で発生した捜査員達と鑑識が現場検証を実施し今回の被害者の女性を直ぐに警察病院へと搬送させた。手口は同じで胸の乳房を二つ切り落とされ、尻と太もも、そして陰部においては大陰唇と小陰唇まで鋭利なスプーンで剥ぎ取られていた。だがこれも前回までの事件同様に被害者は神業としかいいようのない応急処置を施されていて119番に通報が入ったと関係者は言う、しかも今回も同様に麻酔などは一切使われてはいなかったとも付け加えた。
8人目の被害者も前回同様に本人の目の前で剥ぎ取られた肉の一部がガスコンロの上に乗せられた鉄板に焦げて張り付いていたと言う。そして部屋中に飛び散ったであろう生々しい血痕が確認された。そして翌日のテレビの見出しは「警察は遊んでいるのか!?」と、警察を目の敵のように各ワイドショーで発信された。
だが8人目の被害者もまた「ギイィー!! ギイィー!」と、唸り声を病院内に響かせ、それに反応するように5人を集めた部屋からも「ギイィー!! ギイィー!!」と、唸り声が病院内を駆け巡った。そして監視カメラを見ていた推認の捜査員達もその光景に目を疑った。何故なら被害者5人が鍵のかかっているドアに全員集まり唸り声を上げていたからだった。
そして監視カメラで録画された動画が翌朝。捜査本部に持ち込まれ捜査員達は動揺した。5人の被害女性達がドアの前に四つん這いになって「ギイィーー!! ギイィーー!!」と、あわただしく唸る姿はまるで動物のようだっかからである。
そして9月も終わる頃、事件が起こった。それは都内から2時間ほど車で走った誰も住んでいない集落の跡地で、今にも壊れそうな古家の戸建てで一番近い村でもそこから1時間以上も車で走るような場所だった。そしてこの日の被害者は2人の女性で現場はいつもと同じだったが複数の足跡が鑑識によって発見された。現在まで被害者は全員で10人と警察でも手がかりの無いままメディアに叩かれていた。
そして暑かった夏も終わり季節は秋だある10月に入っていた。その頃、所轄の、うだつの上がらない定年を迎えつつある一人の刑事はパソコンを前に、そして全国を自費で走り回り何かを調べその根拠と証拠固めをしていた。そして刑事は「ある事に気づく」が、所轄の警察官は本部の刑事と違って地方公務員のため地方へ行くと捜査権が無いため、半ば探偵のように制限をかけられつつ靴底を減らしていた。
うだつの上がらない定年をまじかにした刑事は後輩からもらった資料の入ったUSBを手に持って小さなパソコンを持って、後輩から送信されてメールの写真を持って北海道の札幌に来ていた。そして聞き込みをするため北海道の殆どの、ある場所に足を運んで居た。そして一週間後には青森県、そして秋田県と日本全国で調べを進めていた。経費も無く警察手帳の使えない地方での捜査は難航したが刑事は一つ一つ足元を固めて行った。
そして刑事が全国を歩き回っているうちに、東京では10月の8日に10人規模の事件が発生していた。捜査一課長は「これで被害者は20人になった… くそ!!」と、机を叩いたが鑑識の調べでは今回の事件現場は悲惨な状況で、都心から1時間半の別荘地で行われた極めて残虐的な事件現場だったと言い、数十人の足跡を発見したが車のタイヤの痕跡がスコップのような物で全てが消されていたと付け加えた。
警察病院に入院しているのは20人に達し、最初のころの被害者はいつでも退院できるが警視庁は病院から退院しても身元が解らない被害者を追い出すことも出来ずに居た。そして都内では女性の夜の一人歩きを禁止し短いスカートやショートパンツをも禁じ、メディアを通じて都内に住む20代の女性に訴えていた。過去にこれほど事件が無いことから問題は都庁にも広がっていた。
警察は都庁にも要請しホームページに現在の状況を都民に知らしめたが、都民たちは「自分だけは大丈夫」と、何の根拠もない安心感を持つ若者に夜遊びをする若い女性を任意同行と言う形をとって警察署で保護するのが精いっぱいだった。 だが、事件は再び発生した、都内に住む20代の女性が拉致され目隠しされた上で、身体の肉の女の部分を全て剥ぎ取られ虫の息の所を119番通報で見つけたが、そこは不自然なほど今までの事件とは違っていた。
建物は防音装置の付いたマンションの一室で壁も床も大量の飛び散った血液が生々しく残って居て、肉は包丁のような物を使っていて、後の応急処置もずさんで単に身体中を包帯でグルグル巻きにしただけの粗末なモノだった。警察病院の担当医師は捜査員達に今迄の事件とは異なって不自然と言うか… 素人がやったとしか思えない状態だと答えた。
捜査本部では過去の事件とは別に編成されたチームに今回の事件を任せたが、部屋の中には複数の男のモノと思われる指紋も採取され飛び散った血液で足を滑らせたのか滑って転んだ形跡も発見され、科捜研にも協力を要請し捜査に加わってもらうと、一課では「模倣犯の疑いがある」と、別件として容疑者の追跡を開始した。
そして今回の被害者は口が聞ける状態だと担当医師に聞いた捜査員達は直ちに警察病院へと足を運んだ。そして担当医師の立ち合いの元で被害者の女性に名前と住所を聞くと、事件を思い出したのか突然号泣して被害女性の精神状態が悪化したことで、捜査員達は病院を後にした。
その頃、うだつの上がらない定年まじかの刑事は鳥取県に居て、独自に捜査していて世にも恐ろしい仮説を立てた所だったそして、刑事は背筋に悪寒を感じながら頭の中で仮説を組み立てながら20日ぶりの風呂に入って居た。すると目の前に無邪気に遊ぶ子供をみながらその微笑ましさに久しぶりに口元を緩めた。
そして特別なチームとして編成された捜査員達は模倣犯で6人の男達を任意で事情聴取をしていた。そこで事件の現場に居た男達の声を録音機を被害者に聞かせたところ被害女性は突然「ギヤアァーー!!」と、号泣して「イヤアァーーー!!」と、叫んだ時に捜査員達は「やっぱりヤツラか…」と、互いの顔を見た。
それから数日が経過して任意から逮捕へと発展した模倣犯を、警察署で逮捕したとメディアに情報を流し今後、模倣犯が出ないように世間にある意味で釘を刺した。
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